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更新日:2022年1月29日

新年のあいさつ(令和4年1月4日)

  • 日時:令和4年1月4日(火曜日)10時00分~
  • 場所:特別会議室(部局長会議)

知事あいさつ

 改めまして、皆さん、明けましておめでとうございます。

 年末年始にかけても、新型コロナウイルス感染症対応であったり、豪雪対応であったり、休みなく働いていただいた皆さんに改めて感謝申し上げます。お疲れ様でした。ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症の陽性者も、少しずつ全国的にも本県でも増えてきている状況になっています。全県で10万人当たりの新規陽性者数が1週間で2.5を超える状況で、少しずつ陽性者が増えてきていますので、健康福祉部と危機管理部を中心に、まずはしっかりと状況を確認しながら、万全の対策・対応を取っていかなければいけないと思います。

 1年前を思い出すと、1月のお正月休み明けに新規陽性者数がどんどん増えて、医療非常事態宣言発出まで行きましたので、そうしたことをもう一回振り返りながら、また、今の状況は昨年とはだいぶ変わってきて、いろいろと対応の選択肢が増えてきています。県民の皆様の命と健康を守るために、引き続き万全を期していきたいと思いますので、この点については各部局が一致団結して対応していってほしいと思います。

 それから、今年はとら年ということで、とら年は成長や始まりの年とも言われています。長野県としても、新型コロナウイルス感染症を何とか抑え込んで、元気が出る、活力ある1年にしていきたいと思っています。

 1月には臨時県議会を開催させていただきますので、年末年始をまたいで総務部、それから関係部に補正予算案の策定作業をしていただきましたけれども、県民の皆様の暮らしと産業を支える非常に重要な予算になりますので、しっかり良い予算案を取りまとめて、県議会で十分御審議いただいた上で着実に成立をしていただき、実行していきたいと思います。

 昨年から始めていますけれども、今年は新しい総合5か年計画の策定を本格化していく年にもなります。これまで取り組んできたことを基礎に置きながら、次の時代に向けた新しいビジョンをしっかりと明確に打ち出していきたいと思います。この点については、企画振興部を中心に、各部局で知恵を出して取り組んでいってほしいと思います。

 特に私が感じていることは、一つは大きく社会の変革を起こしていかなければいけない、起きなければいけない時代だと思っています。脱炭素社会づくりであったり、DXの推進であったり、あるいは東京一極集中を排しての信州回帰の動きであったり、引き続き確実に進めていかなければいけないと思います。

 また、公正な社会づくりで、格差の問題、個人の所得格差の問題もありますし、地域間格差の問題もあります。マイノリティーの立場の皆さんも含めて、全ての皆さんが幸せを実感できる、取り残されない社会を確実につくっていかなければいけないと思っています。

 総合5か年計画の基本的な概念は、学びと自治であります。この学びと自治を引き続き具体化していきたいと思います。特に、県庁組織の学びと自治の観点もしっかりと各部局長の皆さん、職員の皆さんには意識をしてほしいと思います。

 先日、ANAから来ている職員を若手職員が招いて勉強会をしているところを私も見てきました。ANAの企業理念、あるいは職員の行動規範は非常に徹底されているなと感じて、お話を聞いていました。

 長野県も県民の皆様の幸せのために仕事をしている組織でありますので、目の前にある仕事にしっかりと向き合うことももちろん重要ですが、それと併せて、県民のために働く職場であることを改めて一人ひとりの県職員の皆さんが自覚し、共有し、お互い力を合わせて様々な困難を乗り越え、本当に県民の皆様のために、そして長野県の発展のために貢献できる長野県組織にするにはどうすればいいかをしっかり考え、これからの方向性の中に位置づけていく。そうした年にしてもらえればと思っています。

 昨年私が講演で使ったレジュメの最後の部分を参考までに配りました。

 1枚目は来年度の予算編成における重点施策を掲げています。この分野についてはしっかりとした方向を掲げて、来年度の当初予算に向けて、着実な施策づくりに取り組んでいってほしいと思います。

 1枚めくって裏面ですけれども、未来への展望ということで少し話をしました。3ページ目の下段の「これからのNAGANOビジョン」と書いたところは、先日、皆さんと一緒に神野先生のお話を伺い、私なりにポイントだけを書いたものです。

 「豊かさから幸福へ」と、「所有欲求から存在欲求へ」ということで、私たちの目指すべき方向性です。経済成長の後の目標を、これは長野県のみならず日本全体が明確に共有できない状況が続いている感がありますが、「豊かさから幸福へ」、あるいは「所有欲求から存在欲求へ」、こうしたことをしっかりと共有して、これからの県政への取組に反映していってほしいと思います。

 その上に「国民所得倍増計画」と書きましたけれども、新しい資本主義が岸田総理からも提唱されています。私としては、新しい資本主義の方向性、行方については注目をしているところです。日本の高度経済成長の時に何が起きたのかを少し振り返ってみました。ちょうど講演した時が12月21日で私の誕生日だったので、私が生まれた1960年に国民所得倍増計画ができて、そこからいろいろな取組が始まって、高度経済成長まっしぐらという時代でありました。

 私が注目したのは、国民所得倍増計画は単に所得を伸ばそうということだけではなく、この前後に、今の日本の社会を形づくるいろいろな制度や法律ができた時代だったという点であります。

 全国総合開発計画も1962年に最初の全総ができましたし、農業基本法が制定されたのは1961年で、工業化社会に向けて農村人口がどんどん都市へ流出する中で、農業のあり方をどうするかということを改めて考えなければいけなくなったということです。

 また、貿易為替自由化大綱で、様々な管理が行われている時代から大きく貿易の自由化にかじが切られたときでもありました。もちろん反対する人たちもたくさんいただろうと思います。そうした侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を経て、貿易の自由化が成し遂げられました。

 石炭採掘のコストが上がったことと、貿易自由化で石油のコストが下がったことで、石炭から石油への大規模なエネルギー転換が起きました。そうした中で、失業者を救済するための雇用促進事業団ができて、また、中小企業基本法もできました。

 また、社会保障制度の根幹でもある国民皆保険、皆年金制度がスタートして、その後に教育関係で3つ、高校進学率急上昇、科学技術振興のために理工系学生の増員であったり高専の設置、長野高専も1963年に開設。それから学習指導要領も、これまでは参考程度だったものが、法的拘束力を持つ文部省告示で定められました。

 全体的に所得を増やす、神野先生が言うところの「豊かさ」を目指すために、フルセットの体系が出来上がったのがこの1960年代の前半だったと思っています。

 これからの社会をどう変えていくのか、所得倍増計画から約60年たった今日求められていると思っています。

 次のページに、「創造的で持続可能な共生社会」と書きましたけれども、私としては長野県がこうした地域であらねばいけないということで、基本的なところだけ少し書いています。

 時代の大転換、国民所得倍増計画の時代のように、国に主導してもらわなければ、なかなか進まないところもありますけれども、恐らく社会保障制度のあり方から産業のあり方を含めて、そしてベースとしての教育も含めて、抜本的な転換を行うことを前提として、この豊かさから幸福への追求がなされなければいけない時代になってきていると思います。

 「創造的(なすべき人がなす。)」と書きましたけれども、私はどちらかというと地方分権をもっと進めなければいけない、進めてほしいと思いながら書いていますけれども、誰か一人が構想して、全国津々浦々まで行き渡らせる工業化社会の成功モデルから脱して、本当に各地域が、あるいは各企業が、それぞれの強みを活かせる社会に転換する、創造的な社会が求められると思っています。

 持続可能ということで、国民所得倍増計画の頃はあまり地球環境の問題は意識されていませんでしたし、また、社会全体が豊かな社会にはなりきれていなかったので、取りあえず「皆で豊かさを目指そう」とコンセンサスが取れたわけです。今や地球環境とどう共存するか。そして、その下の共生社会にあるように、誰一人取り残されない社会をどう構築するか。こうしたことが強く求められてきていると思っています。

 創造的で持続可能な共生社会を目指した取組を、長野県からしっかりと方向づけをして取り組んでいく必要があると思っています。

 次のページには、「『新しい資本主義』への期待」と書いています。国の新しい資本主義実現会議に政府側から提出された資料で、私が抜粋したものです。かなり多くの人たち、これまでの資本主義をけん引する立場であった経済学者や経済団体といった方たちからも、今までの資本主義の在り方の課題に目を向けて、そうしたものを克服していかなければいけないのではないかという方向性がかなり強く出されてきています。

 最初の3人は学者の方たちですが、たとえばハーバード・ビジネススクールのように、まさに資本主義をけん引してきた中心にいる先生方からも、企業は株主の利益を追求するだけではいけないという方向性が出されてきています。また、世界最大の資産運用会社のCEOでさえ、社会的な目的に企業が奉仕することが求められています。

 下は、アメリカの経営者の団体と経団連の方向性を書かせていただきました。経団連も非常に面白いタイトルを付けたと思って見ていますけれども、「。新成長戦略」ということで、一遍ピリオドを打って新しい成長戦略を描こうということが打ち出されています。マルチステークホルダーを重視する多様な価値の包摂と協創ということで、生活者、働き手、地域社会、国際社会、地球の未来との価値協創が打ち出されています。

 企業側あるいは市場セクターの考え方もだいぶ変わってきていますし、こうしたことに呼応して我々政治セクターや行政セクターがしっかり転換していくことが今、強く求められていると考えています。

 まだ、新しい資本主義の国の方向性は必ずしも明確になっていないところですが、経済団体あるいは経済学者も含めて、相当程度、これからの経済社会の在り方については、今までの延長線上では言い切れないだろうという方向性が示されていますので、そうしたことも念頭に置きながら、長野県のさらなる発展と県民の皆様の幸せの追求のための取組を県として進めていきたいと思っています。

 参考までに少しお話をさせていただきましたけれども、今年1年、私としては冒頭申し上げたように、これまでの2年間が新型コロナウイルス感染症でなかなか思うように我々も活動できませんでしたし、県民の皆様もいろいろな活動を思い切りできない状況が続いていました。今年こそは元気で活力ある1年になることを心から願い、そうしたことを実現するために、県職員一同力を合わせて頑張っていきたいと思います。

 当面の短期的な補正予算の編成、それから県議会対応、そして、もう少し中期的なフェーズで申し上げれば新しい総合5か年計画の策定も含めて、より広い視野、長期的な視野を持ちながら県政を進めていきたいと思いますし、是非こうした観点については各部局長の皆さんはじめ、各県職員の皆さんと共有しておきたいということでお話をしました。

 今年1年も一致協力して、お互いに支え合い・助け合いの心で県政を進めていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。私からは以上です。

 

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