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更新日:2019年1月21日
長野県知事 阿部守一
7月29日の知事会見を開かせていただきたいと思います。私の方からは冒頭5点ほどお話をしたいと思います。
まず、本日部局長会議を開催致しました。部局長会議のテーマの一つは23年度上半期の犯罪・交通事故の状況について、県警本部長から報告を受けました。交通事故については死亡者数が非常に今年の初め多かったということで、非常事態宣言を出したわけでありますけれども、6月は県警あるいは交通安全に取り組まれている皆様方のお力もあってゼロという月になったわけであります。引き続きその傾向が継続されるようにですね、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。それから併せて移住・交流推進本部を設置したという報告を観光部の方から行いました。私が本部長であるわけですけれども、移住・交流についてはこれは長野県はさまざまなアンケート、データ等から見ても他の地域から移住したい、交流したい県として強い期待、ニーズがあります。私も昔、総務省の過疎対策室長をしていた時に、移住・交流を進めようという取り組みをしていたわけでありますけれども、その頃のことを思い返しても、長野県の場合はいわゆる大都市との距離的な近さという観点もありますし、非常にイメージが良い県の一つであるということともあいまって、ポテンシャルが極めて大きいと思っております。これまでもIターンでありますとか、楽園信州といった取り組みで行ってきているわけでありますけれども、もう少し部局横断的、総合的かつ情報発信力ももっと高めて、そしてなおかつ市町村はかなり熱心に取り組まれているところも多いわけでありますので、そうした市町村の皆様とも連携しながら、この移住・交流について進めていきたいと思っております。当面、今年度中に移住・交流推進戦略を作っていきたいと思っておりますし、併せて移住・交流を進めていくための支援施策についても構築をしていきたいと思っております。
2点目でございますが、部局長会議に引き続きまして行政・財政改革推進本部会議を開催致しました。お配りしているプレスリリースのとおり、事業仕分けにつきまして今年の9月3日、4日、5日に実施を致しますが、その事業につきまして決定を致しました。今年度の対象事業は50事業ということであらかじめ県民の皆様、あるいは市町村からご提案をいただいた事業を含めて検討のうえ決定をしたところであります。併せまして仕分け人につきましては、県民委員については24名の方にご応募をいただいたわけでありますが、その中から18名の皆様方にお願いをするという形に致しました。また有識者につきましては14名の方に今回はお願いすることに致しました。なお構想日本の仕分け人につきましては現在調整中と伺っておりますので、決定次第公表したいと思います。また新しく導入致します県民判定人につきましては、最終的には181名の方、無作為抽出4千名ですから5パーセント弱ぐらいの方にご参加をいただけるということでございます。3日間、9班編成でございますので、延べ人数としては216名の方にご参加いただいて、実施をしていきたいと思っております。今後の予定と致しましては8月7日に模擬仕分けを行います。また8月の中旬、下旬にかけて現地視察を行ったうえで9月の実施に向けた準備を行っていきたいと思っております。詳細につきましてはこの後担当課長の方からご質問にお答えする予定です。それから行政・財政改革全体の話につきましては、10月中を目途に新しい行政・財政改革方針骨子案というものを定めていきたいと思っております。私の方からは行政改革という言葉が、非常に良くない言い方かもしれませんが手あかがついたフレーズになってしまっているものですから、単に組織の統合だとかですね、人を減らすとかですね、もちろん結果としてそういうことが必要になる場合もあるかもしれませんけれども、それが目的ではないと。県民のニーズ、期待に本当に応えられる県の行政組織、県行政の運営、どうすれば実現できるのか、県の行政の質をどうすれば本当に高めていけるのかそうした観点から議論をしてもらいたいということをお願い致しました。また財政改革については県の予算規模もかつてに比べると小さくなってきている中で、これから将来に向けての例えば福祉、医療そうした側面を考えたときには今のままの財政構造で本当に持続可能性があるのかという点について、私ははなはだ疑問がある、今のままで良いとはなかなか言い切れないのではないかと思っておりますので、これはそれぞれの職員、それぞれの組織はもちろん一生懸命仕事をやっているわけでありますし、これまでも県として取り組んでいる施策についてはこれはもとよりまったく要らないということは無いはずでありますけれども、しかしながらこれからの将来を考えたときにはやはり本当に優先順位の見極めをしっかりした上で、必要が無いものについては廃止していく、見直ししていくという作業が欠かせないわけであります。これはぜひ各部局長のリーダーシップの下で単なる積み上げではもうどうしようもないだろうと思っておりますので、各部局長のリーダーシップの下で行っていっていただきたいというお話をさせていただいたところであります。行政・財政改革についてはまた具体的な内容等が出てくれば皆様方にお伝えをしていきたいと思います。
それから3点目でありますが、放射性物質の関係で牛肉を取り巻く環境、畜産農家の皆さんにもいろんな影響が出てくる可能性が否定できないと思っております。各都道府県の中で、牛肉の全頭検査という動きがあるわけでありますけれども、これは農政部長のほうから昨日もお話をさせていただいてきているところではありますけれども、長野県におきましては汚染した疑いのある稲わらを餌として使用した事例はないと農家に確認を取っておりますし、現時点で暫定規制値を超える牛肉が長野県下、長野県産の牛肉は出てはおりません。県として抽出で検査をしていますけれども検出されていない状況であります。そうした観点で、今の時点で安全を確保するという観点から直ちに全頭検査を行う必要はないと考えております。しかしながら、牛肉・畜産の話は全国的な方向もありますし、一方では市場がどういう形で評価していくかということについてもしっかりと目配りをしていかなければいけないと思っております。そういう観点では、これは今後の早急に検討したいと思っていますけれども、安心を確保するという観点からの全戸検査のようなものも視野に入れて考えていく必要があるのではないかと思っています。放射性物質の関係については、県内に流通している牛肉の検査でありますとか、今般のような稲わらを牛に摂取させていたことによる生産者サイドの問題であるとか、これは県として、例えば農政部だけとかあるいは健康福祉部だけとか縦割り的な対応では十分な措置が講じにくいと考えております。そうした観点で、われわれの責務としてはやはり県民の皆さんのまずは安全をしっかり確保するとその上で安心、あえて安全と安心を使い分けていますけど、安全というのは身体に危険が及ばないようにしなければいけないと思っていますし、それと同時に非常に放射性物質を含んだような食品が流通しているということになるといろいろな不安を抱かれる方も多いと思いますので、そうした不安を除去するということも必要だと思っております。そういう観点で放射性物質全般に対しても対策を講じていくための対策会議の設置をしていきたいと思っております。これについてはやはり消費者目線、女性目線ということ、それから環境部を所管しているということで加藤副知事をキャップにして取り組んでもらいたいと考えております。早急にそうした中で全庁的に統一ある対応を行っていきたいと思っています。
それから4点目ですが、これ資料を皆さんにお配りをさせていただいているかもしれませんが、社会人経験者を対象とする職員採用選考試験を行いたいと思っております。採用年齢については非常に長野県、幅があるわけでありますけれども、試験方法については新卒者も既卒者もあるいは社会人経験者も同じ様な試験を受けなければいけない状況であるわけですれども、私としては、社会が複雑多様化して県政が対応していかなければいけない課題も、先程の放射性物質の話も含めてですね、非常に専門性が高くなったりあるいは高度化してきていると思っています。先般の県議会の中でも、例えば危機管理の専門家を登用する必要があるんじゃないかとか、あるいは情報についての専門的な職員が必要じゃないかとか、幅広い能力を持った人材をどう登用するか活用するかという点でのご指摘、ご質問もあったわけでありますけれど、私は県政を運営していく上に当たってはできるだけ多様な人材がこの県庁の中で働いていくということが大変重要だと思っています。そうした観点も踏まえて多様な社会経験を持ち即戦力となるような人材をぜひとも採用していきたいということで今回、社会人経験者を対象とする職員採用選考試験を実施するということに致しました。ぜひ大勢の皆様方、本当に私は県行政というのは、大変やりがいのある仕事だと思っております。もうけを上げなければいけないとかですね、ノルマを達成しなければいけないですとかそういうことを抜きにして本当に県民の幸せのため、長野県のために全力を挙げていける仕事だと思っていますので、ぜひ大勢の意欲ある皆さんの応募をお待ちしたいと思っております。
それから、最後、リニア中央新幹線の関係でいろいろ報道等で何というか私もよく承知していないような話がいろいろ書かれたりすることがあるので、私の状況認識を申しあげておきたいと思います。5月16日にJR東海の山田社長にお会いした際にも私の方から申し上げましたが、長野県、今までルート問題でさまざまな議論があったわけでありますので、ぜひJR東海においても地域の声、地域の考えというものをぜひよく聞いてもらいたいというお話をさせていただいたわけでありまして、県の協議会あるいは各地域のさまざまな考え方をJRの方で聞き取っていただいているというところであります。JR東海、何というか今後のスケジュールとして想定されるのは、駅位置は5キロ円で3キロ幅のルートいう形になるわけでありますので、点と線という形になるわけではないと思っておりますけれども、私どもの方からは例えば水資源の保全に配慮するようにとか、あるいは広範な地域からのアクセスの容易性についても考えてほしいということを、これは協議会の意見として申し上げてきているところでございますので、そうした点についてJR東海の方で今具体的なご検討をいただいていると思っております。そうしたJRが検討するに当たって必要な情報については、事務ベースでやりとりをさせているという現状であります。今後、JR東海がそうした検討を踏まえてですね、公表をされてくるということになろうかと思います。私としては、JRにおいてはしっかりと地域の声を踏まえたご提案をいただきたいなと考えているところでございます。私の方からは以上でございます。
朝日新聞 伊藤唯行 氏
今の牛肉のお話で全戸調査っていうのをもう少しちょっと詳しくイメージを教えていただきたいんですが。
長野県知事 阿部守一
これは、これからの検討ということで決定をしているわけではありませんけれども、牛肉の安全性あるいは安心を確保するという観点からの取り組みとして全頭検査というやり方と全戸検査というやり方とあります。全頭というのは文字通りすべての牛について検査をするという形でありますが、先程申し上げましたように、私ども個別の農家に対して調査をさせていただいておりますけれども長野県内の農家においては、3月11日以降放射性物質を浴びた恐れのある稲わらを牛に対して与えたケースはないと考えております。他の県はそういうケースがあるし実際に牛肉からも放射性物質が検出されたりしていますので、そういう意味ではある意味で安全性の担保という観点からすれば全頭検査ということも必要な場合があるかと思います。しかしながら長野県の場合、今、全頭検査を行っているあるいは行おうとしている県とは今言ったように状況が違っているわけでありますので、そういう意味で行うとすればやはり安心面を確保するということで稲わら摂取はさせていないですけれども、一応長野県、そこのAさんという農家の牛は安全だよということを確認するための全戸検査、一戸の農家の全頭ではなくてその中の1頭を検査するというような形で長野県としては現時点でやるとすると十分ではないかなと考えておりますが、そういう意味では全戸検査ということも視野に入れて対応を考えたいと思っております。
朝日新聞 伊藤唯行 氏
続いてリニアの件ですけれども、JR側が今複数案で多分交渉しているというような認識で私はおるんですけれども、仮に駅位置について複数案示してきたという場合には、要はルート問題と同じような地域間対立というのがまた生まれてしまうかなという懸念があるんですがそこら辺はどうでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先程もちょっと申し上げたんですけれども、これは他の地域もそうですけれども、今回JRが次の段階として公表をすると想定されているものは計画段階環境配慮書においての公表ということで、3キロ幅の概略ルートと5キロ円での概略駅位置と、これ他の地域も皆同じになっていますので、そういう意味で何というか、ピンポイントで絞った形のものにはならないと思っていますので、そういう意味でピンポイントの案があるんじゃないかということはないわけでありますので、そこが次のステップとして5キロ、3キロのものが示されてさらにそこから具体的にどうしていくかという絞り込みが行われるという形になってくると思います。
朝日新聞 伊藤唯行 氏
そうなると5キロ円ということであるとピンポイントでないと、ですから5キロ円が二つあっても一つであっても、あまりこう状況としては変わらないという認識ですか。
長野県知事 阿部守一
どういう意味ですか、二つというのは。
朝日新聞 伊藤唯行 氏
5キロ円が二つこう何か例えば示されたという場合と5キロ円が一つ他県のように示されたという場合、この二つのケースでもあまり状況としては変わらないですか。
長野県知事 阿部守一
変わらないという意味が良く分かりませんが、通例、一つの円を示してくるということが前提でJR東海は考えてるんじゃないかと思いますが、そこは示すのはわれわれじゃなくてJR東海ですので、そこの考え方については率直に申し上げてよく分からないなと思います。
朝日新聞 伊藤唯行 氏
ありがとうございました。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
まず最初にリニアの関係なんですけれども、環境配慮書のですね公表についてなんですが、まだ検討段階ということであるんですけれども、今県の方で東海さんからですね今後の発表のスケジュールというかですね、手順的なもので発表の目途みたいなのがいつ頃になるかと、一時はちょっと月内になるのではないかということでかなりそういった可能性も示唆されていたわけなんですけれども、例えば今日を含めてですね、今後発表のタイミングみたいなものを今伺っている範囲内であれば教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
それはJRの方で慎重にご議論ご検討いただいているところだと思いますので、いつ発表するということについては承知はしておりません。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
分かりました。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
それでですね、次、牛肉の関係なんですけれども全戸検査も含めて今後の対応を検討していくということなんですが、その後対策会議というお話されましたが、この対策会議で協議される内容とですね放射線の問題のどの範囲まで、腐葉土、牛肉、空間放射線といろいろありますがどの範囲で対応の会議を考えられているのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
範囲については、できる限り広くだと思っております。ただ、何でもかんでも行ってもしょうがないので、空間放射線量の測定とかですね、降下物、水道水の測定というのは、今まで環境部が行って特に問題は出ていないという状況でありますから、そこまで一緒に議論する必要はないと考えております。ただ、今回出ているような例えば今の牛肉の話でいけば、消費者側のところについては健康福祉部、生産者側のところについては農政部、国もそういう形で対応しているわけでありますけれども、政府の対応ももう少し横断的にやっていただきたいと率直に思っているわけですが、そういうことを言っている県自らが縦割りの発想、縦割りの構造になってはいけないと思っております。そういった観点で、加藤副知事に全体を俯瞰(ふかん)して対応を行ってもらいたいと、そういう意味での対策会議ということでございます。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
設置のめどと対応会議の名前が決まっていましたら教えてください。
長野県知事 阿部守一
それは本日中に設置します。正式な名称については、確認していないですけども、今申し上げたような趣旨の名称になるだろうと思います。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
一回目の会合が今日あるという認識でよいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今日やるということでいいです。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
すいません、しつこくて申し訳ありませんが、もう1点、主な話は、当面は牛肉をメインに今日からということでよいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
例として牛肉を出したので、別に牛肉の話に限らないと思います。あえてもう一つ例をだせば、腐葉土の話も議論になっているかと思います。県外で放射性物質を含んだものが流通しているということで、これもしっかり対応していかなければならないわけですが、例えば、片方で下水汚泥の堆肥関係は環境部で行っていて、農地関係になると農政部となってはいけないので、放射性物質の関係の問題というのは、生産者側、流通者側、消費者側、どちらかにポイントだけを絞って考えればよいという話ではありませんので、そういう意味で部局横断で取り組まなければいけない、もとよりこれまでも、関係部局が寄り集まって、検討してきますが、私のところに来なければ全部集約されないという話では困りますので、そこは改善していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 山口雅史 氏
ありがとうございます。
中日新聞 小松田健一 氏
3点お願いします。まず、牛肉の話ですが、冒頭、知事が全頭検査を視野にという趣旨の話をされましたが、全頭検査を実施するということになれば、大変な手間と暇がかかります。そのための準備はすでに進められているのか、全頭検査が県の体制で可能であるとの判断された上でのご発言なのかお尋ねします。
長野県知事 阿部守一
全頭検査と全戸検査と2通りあって、私の説明が分かりにくかったかもしれませんけども、長野県においては、個別の農家に聞き取りをしておりますので、安全という観点からの全頭検査は現時点では必要ではないと思っています。しかしながら、安心確保という観点からの全戸ですね、ですから、対象となる農家が272戸、全頭となるとそれの何倍掛けかになりますけれども、長野県の農家が長野県の市場に向けて出荷するケースに対処して検査していくということになれば、現実的な対応は十分可能だと思っています。
中日新聞 小松田健一 氏
そこは私の誤解で失礼しました。
中日新聞 小松田健一 氏
もう1点、10月を目途に財政改革についての指針、方針をまとめられるというお話をされましたが、具体的には、例えば国の中期財政フレームのように一定期間歳出の枠をはめるというような具体的な数値を伴うものなのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
10月の段階では骨子案なので、どこまで具体的に数字を出せるかというのは、今の時点では必ずしも明確にはしていません。これは、例えば国の動向も、来年度の地財(地方財源)がどういう形になってくるか、国の概算要求がどういう形になってくるかということと、復興財源でさまざまな増税の議論等もあるわけでありますので、そうしたものをある程度見据えて、財政フレームは固めていく必要があるのかなと思っています。
中日新聞 小松田健一 氏
最後にもう1点、公債特例法の成立の見通しが立たない中で、今のところFB(政府短期証券)の発行と一般会計の特別会計への繰り入れで、どうにかしのいでいるわけですが、このままですと11月くらいで財源が枯渇するとも言われています。そうなると、地方交付税配分に大きな影響があるのではないかということですが、現時点で県当局で最悪の事態というのは想定されてらっしゃるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは、最悪の事態は避けていただかなければいけないと、私は思っています。これは長野県だけで、どうこうできる話ではないので、もう少し国の状況を見極めていきたいなと思います。
中日新聞 小松田健一 氏
知事会等でそういったことについて、意見具申をされるというようなことはお考えですか。
長野県知事 阿部守一
前回の全国知事会では、その辺の議論はありませんでした。今の時点で、これは各政党間においてもさまざまな調整を行っていただいているところだと思っていますので、今直ちに、そういうことを私として行うとは考えていません。
信濃毎日新聞 東条勝洋 氏
次の日曜日の31日に、「自然エネルギー信州ネット」が茅野市の諏訪東京理科大で設立されて、同じ日に同じ大学で「みんなのエネルギー・環境会議」による全国規模の会議が開かれるのですけども、全国規模の会議は先日、東京で主催する人たち、発起人の人たちが記者会見を開いて、阿部知事からお誘いを受けて、ぜひ長野県でというような話があって、長野県で開くようになったと、おっしゃっていたかと思うのですけれども、こうした全国規模の注目される会議が今度長野県で開かれるその脈絡とですね、この長野で全国規模の会議が開かれる意義について、知事の方から説明いただければと思います。
長野県知事 阿部守一
脈絡というか、この場でも何度も繰り返しお話しさせていただいておりますけども、自然エネルギーの拡大というのは、日本全体にとっても重要なテーマだと思っておりますし、とりわけ太陽光にしても、水力にしても、地熱にしても、潜在的な可能性が大きい長野県にとっては、一つの大きな政策テーマだと思っています。そういう中で県内のNPOとか企業の皆さんと一緒になって、「自然エネルギー信州ネット」を立ち上げるわけでありますけども、それと併せて、「みんなのエネルギー・環境会議」という動きが、これは一部の人たちの議論の中でエネルギー政策が決められていくことがあってはならないと、なおかつ、特定の主義主張の人ばかりで議論して、集まったら最初から結論が見えているという話でもいけないという思いの人たちが集まって、そういう会議を作ろうということでありました。私は長野県でそういう取り組みを進めて、自然エネルギーの普及拡大の取り組みを進めたいと思っていますし、併せてですね、エネルギーの問題については、県議会でも答弁させていただいておりますように、広く国民的な議論を行って、合意形成を図るということが不可欠だと思っておりますので、ぜひそうした考え方を共有されている皆さんがエネルギーの将来について、特定の立場からだけではなくて、広く議論していこうという会議を作られるということですので、それであれば、私ども長野県で行っていただくと大変ありがたいなということを申し上げて、今回、茅野市の諏訪東京理科大で開催していただくという形になったということであります。
信濃毎日新聞 東条勝洋 氏
分かりました。
信濃毎日新聞 百瀬平和 氏
原子力防災の関係で伺いたいのですけども、新潟県では柏崎刈羽原発のEPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)を何キロまでとは決めてはいませんが、拡大する方向で検討を始めています。それに伴って、新潟県が新潟県内の市町村を対象に原子力防災に関する勉強会を開催していますが、県境の飯山市とかが、参加したいと申し込んだところですね、あくまでも新潟県の防災計画を考える場であるという理由で断られたと聞いています。飯山市などは放射線に関しては、県境なんて関係ないのだから、参加させてほしいという立場で主張しているわけなのですが、長野県の市町村も勉強会に出席できるように、長野県に後押しをしてほしいとか、あるいはもっと広い意味での両県の連携を強めてほしいといった要望が出ていますが、そのあたりに関する見解を伺いたいのですけども。
長野県知事 阿部守一
この間、並行在来線の要請に行ったときに、飯山市長からも原子力発電への対応について、飯山市としてのお考えを私も聞かせていただいたところであります。私はこういう事態になっているので、今までの制度、仕組み、県境単位とかですね、そういう部分というのはフィクションになってしまったというか、あまり意味がないのではないかと思っていますので、そういう意味で飯山市のお考えは、私はごもっともだと思っています。これは新潟県の主催する事業なので、あまり私がとやかく言えないところもありますけども、原子力防災の観点では新潟県ともこれまで以上に連携していかなければいけないと思いますし、飯山市の意向については、これからいろいろな取り組みを行うにあたって最大限尊重しながらやっていきたいと思います。
信濃毎日新聞 百瀬平和 氏
飯山市などが今後そういう勉強会に県境を越えて参加できるように、何らかの県としても後押しするような考えは。
長野県知事 阿部守一
これは相手がある話ですので、絶対こうだという話はできないですけど、例えば今回の原発災害を見ていても、これまでの原発立地県とそれ以外の県とで、やはりこれまでの地域防災計画の策定も含めて、差が出てしまっているということも事実ですので、そういう観点では県としても原発立地県に学ばなければいけない点はいっぱいあると思いますし、飯山市がそういう考え方で、他県の行うものについても同じように情報共有していきたということは、当然のお考えだと思いますので、具体的に少し、そういう相談を新潟県とはしたいと思います。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
本日、行政・財政改革推進本部会議でありました方針なのですけども、昨年度から本年度中に今後に向けた方針を作ることは明らかにされていたわけですけれども、その後東日本大震災の発生を受けてですね、今後の行政・財政改革のあり方を考える上での現状認識というのをですね、お聞かせください。
長野県知事 阿部守一
現状認識・・・。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
先程若干触れられたように、復興財源の確保に向けてですね、増税も検討されたりであるとか、多額の復旧費用がかかる中で、国の予算というのがかなりの部分がそちらに振り向けられる可能性というのはあると思うのですけれども、そうしたことを踏まえてですね、今後県としての財政・行政のですね、改革推進の方針を作っていく上でどういう影響があるか、現状認識を聞きたいのですが。
長野県知事 阿部守一
東日本大震災の影響ということはもちろんあると思いますが、しかしながら知事会等でも例えば交付税については復興財源としては別枠にするべきではないかという議論があるように、何というか混然一体となってどの部分が復興財源でどの部分が復興以外のところかっていう話にならない形にしていっていただくことが必要だろうと思います。それと同時に私は東日本大震災でさまざまな気づきというか、あるいは日本社会にとっての課題というのが浮き彫りになってきていると思っていますけれども、それは新しい総合計画の中で、政策テーマとしてはしっかりと打ち出していかなければいけないと。今回行政改革、財政改革ということでありますので、行政改革については先程も言ったように、本当に私はやはり地方分権をずっと叫び続けてきていますけど、まだまだ本当の意味では分権社会にはなってないと思っています。それはいろいろな対応においてやはり、県民の声とか県民の考え方をわれわれがストレートに受けてですね、それに対応していくということが第一にあるべきで、国からの指導助言とかですね、それは私は二の次だという感覚でおりますので、もちろん国の言っていることを無視するつもりはないですけれども、政府の言っていることと地域の考え方が違っていれば、地域の考え方をやはり後押ししていくというのがわれわれの使命だと思っていますので、そういう動き方とか考え方ですね、そういうこと自体変えていくことが行政のあり方を変えていくという上では重要だろうと思っています。財政については、今回あえて行政、ポツ、財政改革ということで、今まで行財政という非常に漠とした一体化をしているわけですけども、何となく行財政にしてしまうとですね、財政を健全化するための行政改革で人を減らしたり、何か減らしたりっていうことばかりやるので、私の行政改革のイメージはそうではないと。むしろサービスの向上だったり人の向上だったりということをぜひ行っていきたいと思っていますので、そういう意味では東日本大震災等の影響も全くないわけではありませんけれども、行政のあり方というのはそういうものとはある意味独立した形で検討できる部分ではないかと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
ありがとうございました。
行政改革のひとつのですね、柱立てのひとつに組織再編というのもあるのだと思いますし、こちらにも項目にも入っていますけれども、今おっしゃったように減らすという観点ではなくて、県民の期待にどういうふうに応えていくかという上で、今年度4月の組織再編というのは比較的小規模になりましたけれども、これから本格的にこの方針を考えていく中でもですね、組織再編についてもお考えなんだと思いますが、これ本年度中にその方針を出されるということは来年4月に一定程度ですね、知事の目指している組織再編というのは形にしたいとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これはあの、中期計画との兼ね合いということも視野に入れて考える必要があると思っています。もちろん来年度組織改正ということも考えなければいけないですけれども、具体的な政策目標というのは中期計画の中で明らかにしていくわけですから、組織のあり方としてはむしろそちらとの関係の方が強くならざるを得ないのかなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
最後にあの、今日項目もあがっているわけですけれども、6月県会中にですね、一般質問の中で、知事も現地機関、特に地方事務所長を念頭に置かれてだったと思いますけれども、予算要求権をですね、現地機関に導入していくことっていうのも、持たせていくということも必要ではないかというご発言ありましたけれども、それもやはりこの行政・財政改革のですね新たな方針策定の中で検討されているという認識でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今度、地方事務所長との意見交換もやっていきたいと思っていますので、そうした中で行政のあり方を分権的な構造に変えていくというひとつの手法だと私は思っていますので、地方事務所のあり方、せっかくそれぞれ所長がいてがんばっていただいているので、もう少し地域の声に柔軟に対応できるような仕掛けがあった方がいいのではないかなと思っていますんで、そうしたことも含めて考えていきたいと思います。
中日新聞 小松田健一 氏
何回もすみません。ピークカットチャレンジについてお尋ねですが、26日に全日程を終えたということでその総括的な評価についてまずお願いします。
長野県知事 阿部守一
ピークカットチャレンジ、これまで3回行ってきたわけでありますけれども、3回いずれにおいても県全体での目標マイナス5パーセント、それから県機関での目標マイナス10パーセントを上回る結果になりました。これは多くの皆様方に協力していただいたおかげだと思っております。これから夏本番ということで、8月に入り一番暑い時期になります。引き続き県民の皆様方には今回のピークカットチャレンジも踏まえてですね、一層の省エネルギー・省電力に努めていただきたいと。もちろんお年寄りの方とかお子さんのいらっしゃる方があまり無理されても困るわけですけれども、一定の節度ある範囲内でですね、取り組んでいきたいと思っていますけれども、中部電力によりますとお盆休み前後が最大の電力需要期になるのではないかと聞いておりますので、ぜひこの期間の昼間午後1時から4時のピークカットについては、県民の皆さんでしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。また詳細な結果については、資料はお配りするようにしたいと思います。
中日新聞 小松田健一 氏
ありがとうございます。
中日新聞 小松田健一 氏
もう一点その関連で、今後冬季の節電をどうするかという課題が出てくると思うのですが、長野県の場合は消費電力量のピークが冬の方が多くて、なおかつピーク時間帯が非常に長いという問題を抱えていまして、暖房を必要以上にカットするというのはこれはやはり命にも関わりかねないということで、夏とは違った節電対策というのが必要になってくるのではないか思うのですが、そのあたりは知事はどのようにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。長野県は他の地域に比べてやはり夏場と冬場を比べた時に相対的に冬場の電力需要が大きいという部分がありますので、そういう意味では冬場に向けての議論ということもしていく必要があるだろうと思います。今回行っているピークカットチャレンジを含めた節電対策というのは、決してその一過性のものにしようということではなくてそもそもライフスタイルを変えていってもらいたいということに繋げていきたいと思っていますので、ぜひ日常的な取り組みになるような形を今後はしっかりと進めていきたいと、その中で冬場の電力需要がこれはあの、中部電力管内がどういう見通しになりそうかということも改めて中部電力からお伺いする必要があると思いますので、冬場の、長野県においては夏冬、結構冬の電力需要が高いですけれども、管内全体であればやはり夏場の需要の方が高いだろうと思いますので、その辺を中部電力の見通しも聞く中で、冬場の対策をどうするかということについては改めて検討していきたいと思います。
朝日新聞 浅野有美 氏
1点だけお願いします。行革についてなのですけれども、地方分権改革のところにある、中部圏と関東地方と何か広域的にやりたいということなのですが、これは何か具体的に、例えば防災面で連携したいとか知事のお考えがあればお聞かせ下さい。地方分権改革とあるんですけれども、これまでにも関東知事会とかいろいろ会議は開いていらっしゃいますが、知事として連携を具体的にどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
これは、連携というよりは、国の出先機関改革に対しての対応というのを現在、関東知事会でも中部圏知事会でも、事務レベルで検討しているという状況がまずあります。そうした中で、先般の中部圏知事会議でも大村知事の方から報告いただいたわけですけれども、今の中間取りまとめの状況では、国の出先機関からの権限移譲については、今の体制、要するに関西みたいに広域連合を作らなければ受けられない事務というのはほとんどないというのが、今の中間報告の内容になっていますので、そういう意味では、一つは政府はまとまった出先機関丸ごと一括、広域の受け皿がある所に対して権限移譲というスタンスでありますけれども、もう少し柔軟に対応して頂くことを求めていく必要があるんじゃないかなと私は思っていますし、中部圏全体の感覚もそういう感じではないかなと思っています。そういう意味では、長野県においては、これは関東、中部圏知事会でも両方またがっているわけでありますので、県単独で受け入れることを中心にして議論を進めていく必要があるというふうに思っています。よろしいですか。そういう趣旨、今の状況はそういう状況です。
中日新聞 大平樹 氏
牛肉と放射性物質全般について対策を講じる対策会議についてお伺いしたいのですが、消費者目線、女性目線ということで期待しているということなのですが、今までの県の対応についてそれが足りないというふうにお考えなのか、改めてこのタイミングでこの対策会議を設置する狙いを教えてください。
長野県知事 阿部守一
一つは、私はさっきから言っているように、国の対応は不十分だということでこの場でも言ってきていますが、われわれがその二の舞を演じてはいけないと強く思っています。そういう意味で、先ほども言ったように私の所では、確かに健康福祉部、農政部一緒に来て議論をして方向付けをしたりしてきていますけど、しかしながら、私の所で全部総合調整をするというのは極めて合理的な仕組みではないと思っています。今まではそういう形でやってきていましたが、特に今回やはり腐葉土の問題でありますとか、あるいは牛肉の問題でありますとか、もう生産側から消費の側まで全て重なる複合的な問題が全国的な問題にもなっているわけでありますので、やはり県の体制としても、しっかりですね、情報共有して、総合的に取り組めるような形を作る必要があると判断して、今回そういう会議を作るように私の方から指示をしたところであります。
中日新聞 大平樹 氏
重ねてなのですが、消費者目線という意味で、これまでの県の発表のあり方であるとか、対応の仕方というのは消費者目線に立っているかどうかというのは、知事はどうお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は今回の対応に限らずですよ、どうしても行政というか県政というのは供給側の目線の方が私は強すぎるんじゃないかと思っています。食肉の流通等に関しても、やはり一般の消費者がどういう不安感を持っているかということについても、われわれはしっかりと思いを共有して、対策をしていくということが重要だと思っていますので、単に法律の規制を守ればそれで良しということではないと思っています。そういう意味では、そうした点についてより踏み込んだ検討を行ってもらいたいというのが私の考えであります。
中日新聞 大平樹 氏
あと、知事の所に行って情報集約をするのは合理的でないと、副知事が二人おられて、なぜ知事のところで集約しなければいけない状況が続いているのか、副知事二人のリーダーシップというのは今どういうふうに知事は考えておられるかということをお聞かせ下さい。
長野県知事 阿部守一
それは今の放射性物質の関係については、両副知事の所管をまたがっちゃっているからですよね。要は環境だったり、子供たちの教育だったり観光地の安全だったりというのは加藤副知事の方ですし、農産物をどうするかというのは和田副知事の方の担当ですから、今の形式的な事務分担上は私の所でなければ集約できないという形になっちゃっているわけですから、もとより副知事が何の調整もしてないということではないわけでありますけれども、やはりそれは体制的にもしっかりと明確にして、和田副知事の所管にかかわる情報についても加藤副知事の方に共有してもらうということを今回明示的に組織として明らかにしたいと思っています。
信越放送(SBC) 花岡晃子 氏
牛肉の全戸検査に関してなのですが、知事は先程からそれを視野に入れて考えるというお話だったのですが、最終的なご判断については、例えば何かこういう状況になれば、ということなのか、何か今調整をされているところなのか、その辺のご判断の時期とか・・・。
長野県知事 阿部守一
これは私の思いは先程申し上げたとおり、こういう問題というのは行政が頭の中だけで考えていてはいけないと思っています。そういう意味では、まずこの牛肉の問題でいけば、生産者の皆さんがどういうお考え、思いでいるのかと、それから消費者の皆さんのお考え、不安感というのがどういうものなのかというものを見極めて判断したいと思っています。
信越放送(SBC) 花岡晃子 氏
体制的には可能であるということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは今環境保全研究所の放射性物質の測定は、大車輪で目一杯やってもらっているところです。したがって民間への委託検査ということも視野に入れていかなければいけないと思いますけれど、そうしたものも併わせればですね、物理的な対応としては不可能ではないだろうなというふうに思っています。
信越放送(SBC) 花岡晃子 氏
分かりました。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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