ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2011年度知事会見録一覧 > 知事会見2012年1月4日
ここから本文です。
更新日:2016年12月25日
長野県知事 阿部守一
皆さん明けましておめでとうございます。本年も県民のための県政に全力を尽くしてまいりますので、メディアの皆様方のご支援とご協力をお願いしたいと思います。県民の皆さんとの協働、共創の県政ということで進めていきたいと思っておりますので、さまざまな課題が山積しておりますけれども、ぜひ、今年1年、県民との協働、共創がさらに一層進むように私自身もそして県の組織全体も、取り組んでいきたいと思っています。先程、県の職員へのあいさつということで、昨年からの引き続いての課題も含めて、いろいろお話させていただきました。安岡正篤氏の「辰」という字の解釈、理想に向かって辛抱強くかつ慎重にいろいろな抵抗や妨害と戦いながら歩みを進めていくという意味があるということです。まさに時代の大きな転換点、日本全体も長野県も課題がさまざまある中で、しっかりと理想の旗を掲げて難しい課題であるということで逃げることなく、前を向いてしっかりと正面から取り組んでいく1年にしていきたいと思っています。さまざまな課題がありますけれども、私としては中期計画を策定、本格的に行う年でもありますので、今までの延長線上に長野県の未来はないということを再三申し上げてきているわけでありますので、今までの延長線上にない計画を作っていかなければいけないなと思っておりますし、また、施策を推進する県行政のあり方というものも行政・財政改革を本気になって取り組む中で、しっかりと再構築していかなければいけないと思いますので、行政の仕事の仕方、体制のあり方、それから新しい施策、政策、そうしたものが相まって、10年後あるいは20年後、本当に長野県が元気になったと安心して暮らせる県になったと思っていただけるように、今年1年全力で取り組みたいと思います。
また、部局長会議のときにも申し上げましたが、なるべく当面、中の仕事に力を注いでいきたいと各部とのコミュニケーションの時間をこれまで以上に多くしていきたいと思っておりますので、対外的な行事、いろいろな集会等にお声をかけていただく機会が多いわけで、それ自体大変ありがたいことだと思っておりますが、どうしても仕事の優先順位を付けたときには当面は中期計画あるいは行政・財政改革を控えている中で、内部での議論、コミュニケーションに時間を割かせていただきたいと思っておりますので、この点については県民の皆様方のご理解もいただきながら、私自身の時間の使い方を変えさせていただきたいと思っておりますので、冒頭申し上げさせていただきたいと思っています。私の方からは以上でございますので、ご質問いただければと思います。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
先程の仕事始めの式の中で、大阪都構想の関係に多少触れられて、長野県のあり方、市町村とのあり方、それから道州制議論も取り上げてお話をされていたのですが、都構想に対してですね知事の考える長野県としてのあり方というのは、問題意識はどういうところにあって、逆に目指したいそういった枠組みというのが知事にあるならお伺いしたいのですけれど。
長野県知事 阿部守一
大阪都構想というのは府と市の二重行政をどうクリアしていくのか、乗り越えていくのかということが一番のテーマだと思っています。大都市制度、私も横浜におりましたので県と政令市の関係というのはこれはもうそもそも政令指定都市制度ができたときからの、本当は自治法改正で特別市になるはずで、県の区域から除かれるはずだったのが今のような形になっているわけでありまして、県と政令市の間というのはそのとき以来さまざまな議論があるわけであります。長野県においては大都市いわゆる政令指定都市はないわけでありますけれども、しかしながら都道府県と市町村との関係のあり方というのは大都市ほど明確な課題ということでは意識はされていないですけれども、しかしながら同じような問題があると思っています。これは市町村が悪いとか県が悪いとかそういう話ではなくて日本の地方自治制度に内在しているものだと思っています。国との関係を含めてまずはやはり責任の所在が不明確だと橋下さんもそういうふうに言っていますけれども、私も全く同じでありまして、一つの仕事をするのに国も県も市町村もちょっとずつお金を出しているという仕組みとか、少しずつ権限を分配する仕組みというのは発展させていく、右肩上がりで経済成長して資源をどう分配するかという時代にはよかったかもしれませんけれどもこれから経済も成長しない税収も伸びない中で誰がどう責任を持っていくかということはやはり明確にしていくことが必要だと思っています。そういう意味で私は県と市町村の関係というものも全国的な視点でいえば道州制というもののあり方も視野に入れながら考えていかなければいけない時期にきているのではないかと思っております。ぜひこれ私自身がどうこうということではなくて長野県全体が20年後、50年後どういう形で発展していくのが望ましいかという観点で考えていかなければいけないのかなと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
以前お伺いしたかもしれませんが道州制のことに関しては知事はどういう現在スタンスでいらっしゃるかちょっと確認したいのですが。
長野県知事 阿部守一
道州制については人によっていろいろなイメージがあるので、一概に良いとか悪いとか論じにくいところが正直あると思っていますけれども、私は今の都道府県と国との関係を見たときに道州制にすればいろいろな課題が一気に解決するということにはならないだろうと。むしろ今の分権が進まないのは都道府県制に問題があるからではなくて、国が持っている権限とか財源をなかなか手放さないというところにあるので、そういう意味で道州制の議論と分権の議論とある中で、まずは今の中での分権というのを進めていくというのが私は重要だと思っています。しかしながら、国の形ということを考えたときにさまざまな議論が行われるということは私も必要だろうと思っていますが、長野県の場合、制度的な問題ということよりはむしろ地理的な問題で、じゃあ広域的に道州というものが位置付けられたときにどう考えていくかということは非常に難しい問題があるなと思っております。私はぜひ受け身で道州制に向き合うのではなくて、県として主体的に向き合っていくということが必要だろうと思っています。一つの選択肢としては、今の長野県域だけで一つの州になるということも当然選択肢として考えていかなければいけないのではないかなと思っております。まだ道州制の具体的な形が明らかではないので単純に反対とか賛成とかいう形ではないですけれども、しかしながら県として主体的な議論を行う中で積極的に対応していくことが不可欠だと思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
つまり長野県イコール州という枠組みも一つの考え方っていうことですよね。
長野県知事 阿部守一
私は選択肢の一つとしてはあり得ると思っています。
信濃毎日新聞 岩間基樹 氏
なるほどなるほど。分かりました。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
1点はですね、先程、仕事始めの式それから部局長会議でも触れられた点ではあるのですが、税と社会保障の一体改革ですけれども、年末に出た税調の案に対するまず知事の受け止めをまだ伺っていなかったかと思いますので、その点についてお話いただきたいのとですね、もう一つは先程のお話の中で国に文句を言うだけではなくて、県としてやらなければいけないことについてはやっていかなければいけないというお話がありましたが、現時点ではですね、どんなことをですね、県としてやらなければいけないとお考えなのかその点についてもお話ください。
長野県知事 阿部守一
社会保障と税の一体改革についての評価は、評価の視点がいくつかあると思っています。そういう中で、税制面の話で申し上げれば、これは全国知事会の山田会長あるいは町村会の藤原川上村長をはじめ地方自治体関係者の皆さんのご努力もあって、消費税収から一定割合を地方に対して配分するということが具体的に位置付けられたということは率直に評価していいのではないかと思っています。しかしながらその反面、これはあえて私が県職員の前で申し上げた趣旨は、税収、これ財政面からすれば評価すべきものだと思っていますけれども、しかしながらそれは増税の中で県として仕事をやっていくわけでありますから、間接的に国が制度改正をして反射的な利益を得ているという形には今の制度上なってしまうわけですけれども、しかしながら私も含めて、県職員全体はそのこと、要するに県民から税金を頂く、消費税というのは商売をやっている皆様方にとっては非常に影響がある税金でもあるわけでありますので、そうしたことにしっかり思いを致しながら、ますます県民の皆様に理解していただけるような、期待にこたえられるような政策づくりをしっかりしていかなければいけないということとセットだと思っています。それから社会保障の面は、大きな枠組みの整理はされたと思っていますけれども、しかしながら現場の目線とか、一個人としての、例えば一人のお年寄りとか、一人の子育て世帯の長とか、そういう人たちから見たときに心に響くような改革案になっているのかというと、どうもやはり制度論ですから国民には分かりづらいし、必ずしもそうはなっていないのではないかと思っています。しかも年金であるとか介護であるとかのそうしたものの安心、安全を確立する上ではまだまだ財源的には不十分だと率直に言って思っていますし、制度の方向性というのがしっかりと見えてきていない部分があるのではないかと思いますので、ぜひこの社会保障のあり方についてはこれからも安心して暮らせる日本の社会をつくるという観点で、われわれ現場からも問題提起をしていかなければいけないと思っておりますし、国においては引き続き踏み込んだ検討をしていっていただきたいなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
これは確認ですが、先程、財政面についてはですね、税収を得る側の自治体としても一生懸命仕事をして、今まで以上の仕事をしなければいけないという前提付きではありますが、消費税増税については、一方で先程知事がおっしゃったようにですね、経済に対するマイナスの影響を心配する声もあったりしますが、それを踏まえても先程のお話では税収増につながるというのは肯定的にとらえてらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、その税制の話については私は社会保障制度を安定させていく上での増税というのは避けて通れないと率直に思っています。しかしながら先程申し上げたように本当に安心できるような仕組みにつながるかというところにおいては、必ずしも万全の施策にはなりきれていないのではないかと思っておりますので、ぜひそうした点についてはこれからも、国会も含めてさらに議論を深めていってもらわなければいけないだろうと思っておりますし、われわれ現場の方からも問題提起をしていかなければいけないだろうと思っています。国民の理解と協力なしにはこの税金の話というのは進んでいけないわけでありますが、私としてはまだ率直に言って社会保障の面においての充実性あるいは国民に対する説明というのは、まだまだこれからかなという感じを受けているので、そうした点について政府においてしっかり取り組んでいただかなければいけないと思いますし、逆に地方自治体も消費税収の一定割合の配分を受ける、あるいは地方消費税という形で徴収するわけでありますので、これは県としても行政改革、財政改革を含めて心して取り組んでいかなければいけないと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
それから最後の1点ですが、先程お話もう一つありました二重行政の話ですけれども大阪府であれば行政機構を変えることによってその二重行政を一挙に解消しようという考え方にあるわけですけれども、その解消の仕方として県と市町村に二重行政の部分があってそれを先程の責任面などの問題から変えていかなければいけないとすれば、変え方としては何かそうした行政機構の変更に踏み込むものをお考えでらっしゃるのか、それとも個別の例えば事業仕分けであってもそれはその役割分担を明確化することでその先につなげていく仕組みの一つではあると思うのですけれども、どういうやり方で二重行政を解消していこうとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私は制度の面も含めて視野に入れながら議論をしていかなければいけないだろうと思っています。長野県の特色であり、ある意味でちょっと語弊があるかもしれませんが、良い部分というのは、小さな自治体、小規模な町村がしっかりと地域で存在感を発揮されてきているという点に実はあるのではないかなと思っております。そういう意味でこれまで県と市町村はいろいろな意味で協力関係を築きながら仕事を進めてきているわけですけれども、社会の大きな変化の中で県と市町村との関係のあり方をどうするかというのは、まず市町村長の皆様方と率直に話をしたいなと、ご意見を伺いながら考えたいなと。そういう中で今実際に広域連合というこれは制度といえば制度で長野県に10広域あるわけでありますし、今の制度では足りないようなことがあれば制度改正まで含めて、これ国が大きく動こうとしている中では積極的に、他の地域と長野県はやっぱりかなりいろいろな意味で私は違うと思っています。77市町村があって町村が多くあって、村が30はあるというのは他の県でこんなに村が多い県はないわけでありますので、そういう意味で何となく政府なり地方制度調査会なり政党なりの議論に単に追従しているということでは長野県の良さというのが本当に維持できるのかという懸念も率直に言ってありますので、そういう問題意識を持ちながら市町村の皆さんとぜひ一緒になって考えていくことができればありがたいなと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
すみません。追加になります。重ねてということでもありますが、それはその例えば議論の端緒とすればですね、県と市町村との協議の場などで、そうした議論を市町村側に向けていくことも、今後、直近で言えば今年の春以降になるのかもしれませんが、そういうことになると受け止めて・・・
長野県知事 阿部守一
向けていくというか、一緒になって考えていくということですよね。これは県にとってどうとか、市町村にとってどうとかではなくて、住民の皆さんの側から見て、どういう形が一番望ましいのかということが、まず中心になるべきだと思いますので、一緒に考えていければありがたいと思っております。
朝日新聞 浅野有美 氏
先程、仕事始め式でおっしゃられていた自然エネルギー元年ということについてです。去年ですね、既に庁内ですとか、市町村との組織が立ち上がっていると思うのですが、元年というからには、どんなことに取り組もうとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
はい。これは、国も固定価格買い取り制度を今年は本格的に制度改正が実施に移されるわけでありますので、日本全体としてもエネルギー政策が、大きく変わる年になるだろうと思っております。そうした中で、長野県もこれまで今お話があったように、自然エネルギー信州ネットを作って、どちらかというと地道な基盤づくりをしてきたわけでありますけれども、これからは具体的なビジネスモデルをしっかりと作って、そして地域のある意味で自立にもつながるような自然エネルギーの普及拡大を目指していきたいと思っております。その中の一つの考え方として「1村1自然エネルギー」。これは市町村の皆さんとも協力して、今の取り組みだけではなくて、国が新年度にいろいろな制度とか予算とか用意をしています。それから元気づくり支援金についても、これまで全県的なテーマ設定というのは、させてもらっていないわけでありますけれども、来年度は自然エネルギーも大きな柱の一つにして優先的にそうしたものに支援を行っていきたいと思っておりますので、そうしたものを活用しながら、それぞれの地域にある有効なエネルギー源をしっかり使ってもらうような仕組みづくりを行っていきたいと思っております。
長野県知事 阿部守一
今年1年よろしくお願いします。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください