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更新日:2016年7月1日

知事会見(平成28年(2016年)7月1日(金曜日)15時25分~16時37分 会場:県庁)

≪阿部知事からの説明≫

1 県議会6月定例会が閉会、長野県登山安全条例の登山計画書届出制度の開始、「ザワメキアート~信州の障がいのある人の表現とアール・ブリュット~」の作品公募について

≪取材者からの質疑≫

2 子どもを性被害から守るための条例について(1)

3 長野県火山防災のあり方検討会について

4 子どもを性被害から守るための条例について(2)

5 子どもを性被害から守るための条例について(3)

6 大北森林組合補助金不適正受給について(1)

7 大北森林組合補助金不適正受給について(2)

8 子どもを性被害から守るための条例について(4)

9 子どもを性被害から守るための条例について(5)

10 子どもを性被害から守るための条例について(6)

11 大北森林組合補助金不適正受給について(3)

 1 県議会6月定例会が閉会、長野県登山安全条例の登山計画書届出制度の開始、「ザワメキアート~信州の障がいのある人の表現とアール・ブリュット~」の作品公募について

長野県知事 阿部守一
 それでは、7月1日の会見を始めさせていただきます。
 まず本日6月定例会閉会ということで、提案させていただいた議案については、慎重にご審議いただいた上でご可決をいただいたこと、大変ありがたく思っております。予算と条例に関して2点申し上げます。
 まず予算の関連では、もちろん今回の補正予算、ご議決いただいてしっかりとした執行に努めていきたいと思っておりますが、今回、大北森林組合の補助金返還等に関連しまして、付帯決議を県議会の皆さま方が付されています。11億5,346万円の返還額等についての補正予算について、まずはご議決をいただいて大変ありがたいと思っております。今回付帯決議をいただいたわけでありますので、私ども県としては大北森林組合に対して抜本的な経営改善、そして補助金返還を強く求めてまいります。また補助金返還計画等をしっかり策定をしていくことができるように県としても指導を行っていきたいと思っております。また債権管理に当たりましては、単に現状把握ということではなく、組合の事業経営計画あるいは補助金等の返還計画の見通しも含めて十分把握をしてまいります。そして、その上で県議会に対しても必要なご説明を行っていきたいと思っております。もとより県民の皆さま方に対してもという形になります。それから再三この場でも申し上げてきておりますけれども、今回の事案、一義的にはこれは大北森林組合、今、刑事事件として裁判が行われているわけでありますけれども、組合あるいは元役員の責任が大変重いと思っておりますが、とはいえ、長い間こうした補助金の不正受給を県として発見することができなかった、あるいは不適切な助言等を行ってきたという私ども県側としての対応も問題があると思っておりますので、こうしたことを重く受け止めて、しごと改革、そしてコンプライアンス推進に全庁挙げてしっかり取り組んでいきたいと思っております。そういう中で県民の皆さま方の信頼回復に努力していきたいと思っております。
 それから、議案に関連してもう1点。子どもを性被害から守るための条例案についても、ご議決をいただいたわけであります。平成25年2月の定例会以来3年以上にわたって県議会の皆さま方にも子どもを性被害から守るための具体策について、熱心にご議論いただいたわけであります。今定例会で私どもが提案させていただいた子どもを性被害から守るための条例案についてご議決いただけたということ、大変ありがたく思っておりますし、また、これまでいわゆる青少年保護育成条例を作らずに県民運動を中心に青少年の健全育成に取り組んできた長野県としては、引き続きこの県民運動を多くの県民の皆さま方の力を結集し、県民運動を活性化することと併せて、この条例でうたわれておりますような予防のための教育、あるいは被害者の支援、そして規制項目、罰則規定の運用と、こういうことを総合的に行っていくことによって性被害に子どもたちが遭うことがないように、そうした長野県づくりのために全力を尽くしていきたいと思っています。また規制項目、全体的には公布日施行という形になっておりますけれども、今回の規制項目について11月1日施行という形にさせていただいておりますので、この間、私どもは集中的に条例内容の普及に努めていきたいと思っております。今定例会においては、補正予算でリーフレット作成費をお認めいただいておりますので、この予算を使わせていただく中で、全ての中高生あるいは小中高校生の保護者の方々に長野県としての相談体制等を周知していきたいと思いますし、また、子どもを性被害から守るための取り組みについても理解を深めていただくように広報していきます。また、一般の住民向けにもリーフレットを作成して研修をはじめとするさまざまな場面で配布をさせていただきたいと思っておりますし、県の広報紙「広報ながのけん」でありますとか、あるいはテレビ、ラジオ、ホームページ等も活用してまいります。また、市町村にもご協力をお願いして市町村の広報誌におきましても、今回の条例、特に規制、罰則規定も盛り込んでおりますので、そうしたことの周知を図っていきたいと思っております。条例案ご議決いただいたわけでありますが、条例ができれば全て解決というわけでは当然ないわけでありますので、条例の趣旨、目的をしっかりと踏まえた上で、子どもを性被害から守るための取り組みが総合的に推進されるように県としても最大限努力をしていきたいと思っております。
 それから県議会関係以外の案件について、2点、私からお話し申し上げたいと思います。
 まず、登山安全条例の登山計画書届出制度の開始についてでございます。これにつきましては登山安全条例、昨年の12月に制定して登山計画書の提出義務付けをしたわけでありますが、本日7月1日から施行という形になっております。事前に登山計画書を作成していただくことによりまして遭難事故を防ぐとともに、万が一遭難をされた際にも迅速な救助を行うことができます。どうか登山者の皆さま方には登山計画書を提出していただきますように呼び掛けをしていきたいと思います。お願いしたいと思います。特に私どもは罰則を設けて義務付けるということではなくて、提出しやすい環境をつくることによって登山計画書の提出を促そうということで考えております。提出方法としては日本山岳ガイド協会の運営されております「コンパス」のご利用、あるいは県のホームページでの電子申請といったウェブから提出していただくことも可能でございます。また現場の登山ポストへの投函(とうかん)あるいは郵送、持参、ファクス、こうしたさまざまな手段でご提出いただくことができます。またコンビニエンスストアのマルチコピー機から登山計画書の用紙を印刷していただいてファクスで送っていただくことも可能でございますので、ぜひこうしたこともご利用いただければと思っています。また、これから本格的な夏山シーズンになるわけでありますけれども、山岳遭難等のトラブルを防止するために「登山を安全に楽しむためのガイドライン」を定めて29日に公表させていただいたところでございます。山の日の関連イベントあるいは講習会での活用、さらにはスポーツ用品店、山小屋の皆さんにも配布させていただく中で、登山される方にぜひこのガイドラインに則した安全で楽しい登山をしていただけるように取り組んでいきたいと思っています。これから「信州 山の日」、7月24日にありますし、また8月11日は国民の祝日の「山の日」であります。上高地で山の日記念全国大会も開催されます。大いに信州の山を活用して長野県を、山を中心にいろいろな盛り上げを図っていきたいと思っております。あさっての3日には松本市のキッセイ文化ホールにおきまして、国民の祝日「山の日」制定記念信州山岳サミットを開催致します。私もパネルディスカッションに参加させていただきますので、ぜひ多くの皆さま方にお越しいただければと思っております。
 それからもう1点でありますが、お手元のチラシ、こちらにポスターを掲示させていただいておりますけれども、アール・ブリュットについてのお知らせでございます。「ザワメキアート~信州の障がいのある人の表現とアール・ブリュット~」ということで作品の公募を行わせていただきたいと思います。資料をお配りしているかと思いますが、今年度新たに障がい者のアート作品展「ザワメキアート~信州の障がいのある人の表現とアール・ブリュット~」を開催致します。その出展作品の募集を開始致しましたので、ぜひ広くお伝えいただければと思っております。この作品展は近年注目されておりますアール・ブリュット、アール・ブリュットはもともとフランス語のようでありまして「もとのままの、素のままの、加工をされていない」芸術という意味の言葉であります。美術の専門教育を受けていらっしゃらない方々が独自の発想、方法で制作された芸術作品を指すということでありますが、主として障がい者の皆さま方が活動されている分野であります。県内では平成24年度にアール・ブリュットの全国巡回展の一つとして開催させていただいたことがございます。このことについては、去る3月30日、私も含めて13都県の知事によりまして2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障がい者の芸術文化活動推進知事連盟というものを設立致しました。東京オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、やはり文化を広めていく契機にしていきたいということで、障がい者の芸術文化活動を連携して盛り上げていこうという形の知事連盟を立ち上げました。現在29の都道府県に拡大をしておりますが、今後この知事連盟が連携して障がい者の芸術文化活動を盛り上げていきたいと思っています。また長野県としては、この作品展については毎年これから開催をしていきたいと思っております。障がい者の芸術文化活動を県としてもしっかり応援していきたいと思っています。さまざまな能力を持っている障がい者の皆さま方がその持てる能力を最大限生かせるような長野県づくりのために取り組んでいきたいと思っています。今回は作品公募させていただいておりますので、ぜひ多くの皆さま方に応募いただければありがたいと思っております。私の方からは以上でございます。よろしくお願い致しします。

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 2 子どもを性被害から守るための条例について(1)

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 大きく2点お願いします。最初に性被害の条例の関係なんですが、繰り返しになりますが、これまでの議論を振り返って十分だったかという点と、条例の中身、当事者になるであろう若い方等含めて、周知というか内容が分かった上で県民議論というのが進んでここまできたかどうかという、それについてまずご認識を教えていただきますか。

長野県知事 阿部守一
 何度も同じようなご質問いただいているわけでありますけれども、子どもを性被害から守るための専門委員会を設置して、この問題に取り組み始めてから約3年の月日が経過してきているわけであります。その間、もちろん全ての場面で県民の皆さんと対話をしてきたわけではないわけでありますけれども、ときに県民の皆さま方と対話をして、あるいは子どもを支援されている皆さま方と意見交換をさせていただき、さらには法律の専門家の皆さま方のお考えも頂戴する中で、相当程度慎重かつ丁寧な検討、議論を行ってきたと考えています。もとより210万県民のお一人お一人に条例の内容がお分かりになっているかというと、それはそういう状況ではないと思いますが、それを言い出すとすべての法律条例がそんな状況にはなってないわけでありまして、われわれとすれば今回の条例の考え方あるいは内容、こうしたものを、先ほど申し上げましたようにできるだけ多くの皆さま方にご理解いただけるように広げていきたいと思いますし、これはわれわれ行政としての役割、責務、こうしたものも規定されているわけでありますので、しっかりと条例に基づいた対応を責任を持って行うことによって、性被害に悩む、苦しむ子どもたちが1人でも少なくなるように、いなくなるようにしていきたいと思っております。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 先日、弁護士会の方から会長の談話という形で懸念を示すという声が出たんですが、内容は知事もお読みになっているかと思うんですが、それについてのご見解も教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 弁護士会の皆さま方の観点ですから、やはり法的な観点で私も対応させていただかなければいけないだろうと思いますけれども、今回の条例については、先ほど申し上げましたように法律の専門家の皆さま方にも十分検討いただいた上で取りまとめています。他県のいわゆる青少年育成条例、これはなぜ議論になっているかというと、いわゆる淫行するという処罰規定が、これは罰規定として適切なのかということが議論されてきたわけです。私はそういう理解をしています。これについては昭和60年の最高裁判決で淫行するという規定自体も合憲性が維持されています。極論すれば淫行するという条例規定も十分に処罰規定として通用しているというのが現状であります。しかしながら、私どもとしてはというか私としてもですけれども、この場でも何回も申し上げましたけれども、今回の条例を作るか作らないかということに当たっては、やはり県民の皆さま方の理解と、それから法的な整理をどうするかと、この二つが私としては大変大きな課題だと思ってずっと考えてまいりましたが、条例モデルの検討の中でもこの最高裁判例を踏まえて、そして最高裁判決の中でも慎重な反対意見も踏まえて構成要件の明確化が図られているということから、そういう意味では法的な観点で懸念されることについては、われわれとしてはできる限り対応させてきていただいていると思っています。この条例によって1人でも多くの子どもたちが救われるようにしていきたいという思いでございます。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 もう2点、見直し規定についてお伺いしたいんですが、具体的に新しく盛り込んできている部分があるんですが、今後その見直しの進め方というのはある程度期限を区切ったりですとか、進め方ですとか、県警の方から、ないしは検察からある程度情報をもらわなければいけない、でもなかなか捜査当局というのはそういった情報を得ることが難しいかと思うんですけど、その辺はどのように考えてらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 これはまず検討する規定については、私としては全く予断を持たずに規定を置かせていただいています。今お話があったように、これから実際に条例を運用していくことによって具体的な事例、これは警察として対応するケースも出てくる可能性もあると思いますし、それ以外にも、例えば子ども支援センターに寄せられるようなものとか児童相談所に寄せられる案件とか、そういうこともありますので、そうした状況をしっかりわれわれが注視しながら、子どもたちを守っていくと。その中で、今後検討が必要だと判断すればどうしていくのか、在り方についてはその時点で考えていくということになると思います。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 濫用防止規定があってもなかなかそこの実効性の問題があるかと思うんですが、県警本部長なりいろいろな場で適切な捜査をするという発言をしているんですが、そこを担保する部分で行政として何か考えてらっしゃる、かなり難しい問題かと思うんですが、考えている部分はありますか。

長野県知事 阿部守一
 例えばどういうことですか。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 できるだけどういう捜査が行われているかというのを可能な限り開示を求めるというか、それはあまり現実的ではないのかもしれないですが、新しく条例を作った県としての責任上、そこはあるような気がするんですが。何かできることを模索するというか、考えていくということは。

長野県知事 阿部守一
 私は、これは県警本部長も再三県議会でも答弁されていますし、県議会終了後にも私から本部長には、条例の趣旨を踏まえた適切な対応をしてくださいということで要請させていただいています。これは捜査機関として人権を尊重した捜査をしていくということは当然のことだと思いますし、今回は条例の中で子どもの最善の利益を尊重するということ、国民の権利をしっかり尊重するということを規定されているわけでありますから、警察当局、捜査当局におかれましても、今回の条例の趣旨ということを十分踏まえた対応をしていただきたいと思っています。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 条例について最後にもう1点だけお伺いします。この点についてはもうかなり長い間、知事といろいろお話をお聞きしてきたんですが、ちょっと観念的な質問になりますがどうしてもお聞きしたいことがあって、この問題について最後の手段だと弁護士会の方も言いますし、法律の専門の方々も仰います。極論を言えば、社会のありようとして規制に頼るべきなのかどうかという点についてはどのようにお考えになるかっていう点を教えていただきたいんですが。対症療法的に罰則をすることによって被害が減るという傾向はあると思うんですが、それによってやっていく社会が果たして望ましい社会なのかどうか。でも知事は従前から禁欲的にそこの必要性というのは考えてこられてると仰っているんですけど、その点についてのご認識というのはどのように考えますか。このまま厳罰化。

長野県知事 阿部守一
 私が感じているのは、他県の条例に比べるとうちの県の条例、今回、議決いただいた条例は、罰則の部分については極めて抑制的な内容だと思っています。先ほど申し上げたように、淫行すると、これ最高裁の判断では第一類型、第二類型という形で分けていますけれども、例えば自己の性的欲望を満足するためだけの性行為というようなことは、今回の私どもの条例では罰則の対象にしていません。今のご質問の趣旨は、規制罰則だけに頼っているのはおかしいのではないかというような趣旨と私は受け止めましたけれども、それは今回の条例全体をあまりにもご覧いただいてないのかなと思います。先ほどから申し上げているように、予防のための教育であったり、インターネットへの対応であったり、あるいは県民運動の活性化であったり、そうしたこと全体の中で、どうしても必要最小限罰則規定が必要だというところについては、規制とそれから罰則を設けているわけでありまして、このことについては、他県のいわゆる青少年育成条例と並べていただければ一目瞭然の違いだと思います。ですから、そういう意味では、もしそうしたご懸念を呈される方がいらっしゃるということであれば、そうした皆さま方にはぜひ他の県と比較をされた上で長野県の条例についてご意見をいただきたいと思います。

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 3 長野県火山防災のあり方検討会について

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 別の質問であと1点だけお願いします。先日知事もご出席されましたが、火山防災連絡協議会と、その後開かれた火山防災のあり方検討会、途中から両方とも非公開になっているんですが、知事ご出席されていた前段の火山防災連絡会議の方も途中から非公開になっていると思うんですけど、これはなぜ非公開なのかご説明いただきたいんですが。あり方検討会については、ビジターセンターの問題についてご遺族の方の感情等に配慮する部分があるというふうなご説明を受けているんですが。こういった会議を、今までも御嶽山の噴火災害以降、県は積極的に火山防災については取り組みをされているので、なぜこれが非公開になったのかというのを教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 私もよく分かってないですけれども、危機管理部に聞いてもらった方が早いかもしれないです。その場では問い合わせはされてないんですか。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 後段についてはご遺族の感情というか部分があるというふうに聞いているんですが。知事ご自身もご出席されていた前段の連絡会議の方は、内容等を拝見していて非公開の必要性があるというふうに考えられないのですが。

長野県知事 阿部守一
 私も途中から抜けてしまっているので、危機管理部の方から説明してもらえますか。

危機管理防災課火山防災幹 南沢修
 各先生から忌憚(きたん)のないご意見を頂きたいということで、あとまだ検討段階で、まだ発表できるような内容でもございませんので。また民間の方も入ってらっしゃったものですから、やはりマスコミさんが入ってしまうとちょっと言いたいことも言えないというようなことがないような形で、議論の部分については非公開とさせていただいたということでございます。

信濃毎日新聞 村澤圭一 氏
 これは要望ですが、今の南沢さんのような説明をよく行政の方からお話をお伺いするんですが、それはちょっと私どもとよって立つところ違うというか、それは公開が原則だと思うので、そこはいろいろご検討いただきたいところではあるんですが。

長野県知事 阿部守一
それは承っておきますけれども、また危機管理部にも考え方を聞いてみたいと思います。

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 4 子どもを性被害から守るための条例について(2)

読売新聞 小池望 氏
 子どもを性被害から守るための条例の件で戻ってしまうんですけど、聞きたいのですが、先ほどもお話にありましたが、3年4カ月ほどでしょうか、知事としては慎重に議論を重ねてこられたと思いますが、3年以上という期間についてどのように考えてらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 これは見方によっていろいろ受け止め方があると思います。例えば今回のパブリックコメントをさせていただく中で、もう待ったなしで、罰則規定も含めてすぐ制定すべきだという極めて強いご意見をいただいた方もいらっしゃいます。そういう方からすると時間かけ過ぎではないのかという見方になろうかと思います。ただ、私とすれば今回のこの問題は長い間、長野県としては条例によらない対応で取り組んできました。そういう中で、私とすればやはり多くの皆さんのご理解をいただく形で条例化するのであれば、しなければいけないと思っておりましたので、先ほど申し上げましたように、私の常に頭の中にあったのは、県民の皆さま方の理解と、それから他県のいわゆる青少年保護育成条例で議論されているような法的な問題、うちの場合はそういうことはないですけれど、有害図書規制みたいな形をもし盛り込むとすれば表現の自由の問題とかも出てくるのが青少年保護育成条例ですから、今回の場合は「淫行する」という形で一般的に使われている部分の構成要件の明確化というところが主として法的な論点の重要な部分だったわけですけれども、そうしたことをやはり丁寧に検討して、そして県民の皆さま方にもご理解いただく中で一緒になって取り組んでいこうという機運をつくっていく上では、この3年間のさまざまな取り組みというのは、私は意味があったのではないかなと。これから、条例を議決いただいたわけでありますので、これまでの取り組みもしっかりと踏まえて生かしていくということがわれわれの責任だと思っています。

読売新聞 小池望 氏
 議論の間に実際に被害に遭っている18歳未満の子どもがいるという、それは件数としては県警の方から確か発表があったと思いますが、それについてはどう思われますか。

長野県知事 阿部守一
 条例ができていれば防げた可能性があるということを考えれば、われわれとしては大変内心じくじたるものはあります。ただ、今申し上げましたように、長野県としてこの条例を制定して、そして今回の条例は規制項目だけではなくて教育であったり、あるいは性被害者に対する支援であるとか、そういうことも包括的に総合的に規定をしたある意味で全国の中でも例のない内容の条例でありますから、こうしたものを作っていく上では、私は必要な期間だったと思っています。

読売新聞 小池望 氏
 今、全国で他に例を見ない条例というふうにお話しいただきましたが、全国で唯一そういう18歳未満との性交、意思に反する性交を禁止する条例のない長野県というふうに全国的には見られていたと思うんですけれども、今回の条例制定というのは47番目の県になったというふうに表現すべきなのか、それともそうではないと、以前確か知事がおっしゃっていたと思うのですが。

長野県知事 阿部守一
 私は47番目の県ではなくて、子どもの性被害に総合的に取り組む条例を作った最初の県だと考えています。

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 5 子どもを性被害から守るための条例について(3)

朝日新聞 井口恵理 氏
 同じく子どもを性被害から守るための条例についてなんですが、先ほど知事も仰っていたように、これまで条例に頼らず県民運動でやってきた長野県だからこそ、これまで条例成立までに長い時間がかかったのだと思いますが、検討から約3年かけて、ついに議決へということになったと思うのですが、今の知事の思いというものをもう少し聞かせてもらえますか。

長野県知事 阿部守一
 思いというよりは、今回の提案説明の中でも申し上げましたけれども、子どもの性被害というのは、大変長い間心の傷を負ってしまいかねない深刻な問題だと受け止めています。性被害、性暴力自体が魂の殺人とも言われるということで申し上げたわけですけれども、こうした性的な行為による被害者、特に子どもの被害が起きることがないように、この条例を基にいろいろな取り組みを着実に進めていかなければいけないという改めて責任の重さを痛感しているという感じです。これまで本当にいろいろな方と意見交換してきました。特に子どもの支援をやってこられた、子どもを守ってこられた方ほどこの条例の必要性ということを痛切に訴えられていましたので、そうしたことを振り返れば、この条例ができて、この条例を本当にどう生かすかいうことがまさにこれから問われてくるんだろうと思います。

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 6 大北森林組合補助金不適正受給について(1)

信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
 大北森林組合の関係で伺いたいんですけれども、先日の裁判で、当時の担当の県職員の方が、事業がやられていないのに認められて、事業がやられてないのにいつかやると思って認めることを「闇繰越」と呼んでいたと、それは複数の県職員がそういうふうに呼んでいて、そういう引き継ぎもされていたというふうに裁判で明らかになったんですけれども、そのような手続きを闇繰越と呼んでいたということを知事は聞き取り調査の結果などから把握はしていましたか。

長野県知事 阿部守一
 まず、私自身は闇繰越という用語、それについては聞いたことがなかったです。しかしながら、ここの場でも私何度も申し上げている通り、期ずれの容認、要は年度内完了ができないということの容認をしていたということは、これはわれわれ当初から把握をしているわけでありますので、今の闇繰越と言っているものと、私が期ずれの容認ということで言ってきたものは基本的に同じだと認識しておりますので、そういう意味では何ら新しい事実ではないと思っています。

信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
 ただ、その闇と言ってる時点でかなりの不正の認識が県職の方にあったんじゃないかなと推察できるんですけど、その点はどうですか。

長野県知事 阿部守一
 期ずれの容認だってあってはいけない話で、期ずれの容認自体、中でわれわれが議論するととんでもないと。ですから用語がどう使われているということに関係なく、年度内完了しないような事業執行というのはあり得ない話だと思っています。

信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
 あともう1点、その県職員の方が現地調査をせずに、書類に調査したとうその書類を書いて、組合が補助金を不正受給した路線の中で池田町の町道だとか、森林総合研究所だとかそういういわゆる補助金対象外の道路で不正受給がされていたということがわれわれの取材で分かったわけですけども、そもそもこの補助対象外のところだと知事が再三言っておられる、いつか工事をすると思っていたという理屈が整合性が取れないんじゃないかなと思うんですけど、その点は県職員の方は、町道だとか、公団だとかの土地と認識した上で事業を認めていたんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 補助対象外であるという客観的な事実と、職員の認識がどうだったかということとのずれは当然あり得るわけで、私が聞いている中では、それは職員の認識がなかったということです。そういうものがあったら、要するに補助対象になり得ないようなものがあったというのはわれわれも当然認識していますし、そのことは公表をしていると思います。信濃毎日新聞が先日記事を書かれたものを見て、私は何か新しい事実が判明したのかと思って担当者を呼んで聞いたら、昔取材されたコメントが載っていますと伺いましたので、そういう意味では全く新しい事実が出たわけではないだろうと思っています。

信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
 ただその今まで補助対象外の認識がどのように、やはりチェックしていたのかどうかっていうのがわれわれ分からないんですよ。要はその報告書に、現地を報告する検査野帳だとかには地番だとか土地の所有者だとかが載っていて、それを調べれば、これは補助対象外の町道だとかそういったものだっていうふうに分かると思うんですよ。だから、かなり今までも散々ずさんな調査っていうことは検証委員会でもそれは明らかになっていると思うんですけども、ちょっと調べれば分かることをなぜしなかったのかという非常に疑問が残るんですけど。

長野県知事 阿部守一
 個々のケースについてということではなくて、今回、そもそも大北森林組合の対応について北安曇地方事務所は全体的に駄目なんです。対応がおかしい。ご指摘されている通りだと私も思います。ですから、例えばそれはどうしてなのかといったら、例えば事業量が多過ぎたとか当時の課長がいけいけだったとか、いろいろ要因があるわけですけれども、それらは今のケースについて、私がこれだこれだと具体的に関連付けて申し上げるほど個別具体的な話は私は聞いてないですけれども、ただ全般的には今お話があったように、北安曇地方事務所の対応も大北森林組合側の事務の進め方も極めて問題があったということはこれは事実でありますので。

信濃毎日新聞 佐藤勝 氏
 それは分かるんですけれど、それは極めて確かに問題だったんですけど、やっぱその不正の架空申請の容認という意味では、ちゃんとチェックした上でいつかやると思っていたっていうんだったら分かるんですけども、何のチェックもせずにただ単に職員の方が何かを根拠にして、いつかやると思っていたというようには思えないんですよね。根拠はあるんですかね。

長野県知事 阿部守一
 これはまず森林整備の計画がハードル高めの計画で、この場でもいろんな形でご説明をしてきていると思いますけれども、本庁と現地機関の連携が必ずしも良くなかったと、森林整備のアクションプランの目標自体が前の前の知事のときの方針で極めて高めだったわけです。真面目に受け止めているわけです。それを何とかやろうということで、普通は補助金を受け取る側が申請してきて補助金を出すわけですけれども、事業推進するために補助事業を行う側に頼まなければ、だから今回は大北森林組合側に事業をやってくださいとやっていかなければいけないような状況だったわけですから、そういう意味で、普通の補助金の事業のやりとりの感覚とは確かに違っているということは事実だと思います。これ別にわれわれ、前々からそういう話をしているわけでありまして、ですから、もし具体的なケースで何かということがあれば、またコンプライアンス推進室長の方にも聞いていただければと思います。

人事課コンプライアンス推進室長 宮下克彦
 県の認識としては今まで通りでございまして、検証委員会の報告書にも職員は業務多忙及びこれまでの検査業務における前例の踏襲から申請書類の審査が極めて形式的になったということで、職員側の非常にずさんなところ、そこを指摘しておりまして、こういうことから現状の認識の把握が不足していたというのは確かです。そういったことで職員は町道であるという認識がしていなかったということは県としてもそこは確認しておりますので、そういったことでこういう状況になっていると、そういうことでございます。

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 7 大北森林組合補助金不適正受給について(2)

信濃毎日新聞 須田充登 氏
 大北森林組合の関係でいくつか教えてください。先ほど第2会派の方から加算金の財源捻出について職員の採用抑制で捻出すると県はしていますけれども、それは抑制しないでほしいという申し入れがあって、委員会の審議なんか見てて、別の会派からも同様の、採用抑制するというのはちょっとおかしいんじゃないとかという声が出ていました。知事は先ほど意見として受け止めるというふうに仰っていましたけれども、別の会派の議員さんからも同様な異論が出てるということも踏まえても、現時点では意見として受け止めるというお考えに変わりないのですか。

長野県知事 阿部守一
 ご意見として受け止めるということです。

信濃毎日新聞 須田充登 氏
 それで人件費を削減して財源を捻出するというその考えなんですけれども、超勤と職員採用の抑制ということなんですが、例えば報酬とかですね、職員さんの給料とか、そういうところに手を付けないで、超勤なり採用抑制なりという方法で財源を捻出するという考えを取られてるというのはこれは何でなんでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 職員給与の削減だと言っている方というのはいらっしゃるんですか。職員給与の削減ということは、個々の職員に直接的に制裁を科するのに近いような形に私はなると思っています。私は県政の責任者ですから、そうしたことも当然選択肢の一つとして念頭に置きながら今回の対応を考えています。

信濃毎日新聞 須田充登 氏
 それも選択肢としてはあったけれども、懲戒処分もされているからこれ以上その職員さんにということなんですか。

長野県知事 阿部守一
 今のご質問は、関係のない職員の給与カットということではないんですか。

信濃毎日新聞 須田充登 氏
 それも含めて、例えば全員から一律の返納という形もあるでしょうし、強制的に取るという方法もあるかもしれませんけれども。

長野県知事 阿部守一
 県議会でそういうご議論があったんですか。

信濃毎日新聞 須田充登 氏
 県議会からはそういう議論ないですけれども、私が取材する中では県民の方にはそういうご意見をお持ちの方もいらっしゃいました。ただ、それを別に今やれと言っているわけではなくて、そういう方式ではなくて、今回その財源捻出の方法として職員採用の抑制と超勤を取られたのはなぜかという質問です。

長野県知事 阿部守一
 これは私として県民の皆さま方に、私は今回の県の対応の基本的な考え方は県民の皆さま方の負担を最小化するということです。今回の国への返還金等も、国からの返還請求がない中で、県議会の皆さま方にご理解いただいて補正予算に計上させていただいてご議決いただいたのは、これは加算金が付される可能性があるわけでありますので、返還請求があり次第直ちに返還していくということが県民負担を最小化する道だと思っています。今、お話があった加算金等についても、これは私は、県の職員が個々の職員の責任というよりはやはり組織風土を改善していかなければいけない。それと同時に、職員全体で捻出をしていく努力をしなければいけない。そういう考え方で人件費の削減で加算金の部分については対応していこうというのが、これは私の考えでもあるし県としての方針であります。 

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 8 子どもを性被害から守るための条例について(4)

中日新聞 今井智文 氏
 またちょっと条例の方に、子どもの性被害の方なんですが、委員会の審議の中で賛成された議員の中にも県民運動が衰退しないようにしてほしいですとか、条例の運用状況を定期的に公表してほしいというようなご意見あったかと思うんですが、その辺りの新しい議会からの意見に対して、今後どのように対応をしていこうと考えてらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 今回、先ほど申し上げたように条例が可決されたからといって、われわれの取り組みの歩みを止めるのではなくて、いろいろな取り組みを加速化させていかなければいけないと思っています。そういう中で、県民運動の活性化ということもわれわれとしては大きなテーマだと思っていますので、例えば青少年サポーターの募集等を行ってきておりますけれども、これからできるだけ子どもたちに近い世代、若い人たちが青少年サポーターになっていただくことができるように大学生等への働き掛け等も行って、今までの県民運動を基盤としながらも、より広範な皆さま方に参画をしていただけるような環境をつくっていきたいと思っています。

中日新聞 今井智文 氏
 運用状況の定期的な報告とか、そういう意見ありましたけど、そちらはどうですか。

長野県知事 阿部守一
 もちろん例えば、児童相談所への相談件数とか、あるいは子ども支援センターに寄せられた相談件数とかそういうものはわれわれも随時公表させてきていただいておりますので、条例に関連していろんな取り組みであったり出てまいります。そうしたものについては、あるいはそういうケースが出ない方がいいと思っていますけれども、罰則規定に基づく検挙という形につながる案件も出てくる可能性がありますので、もちろん個別の内容についてはプライバシーに最大限配慮しなければいけない話だと思いますけれども、しかしながら、どういう現状にあるのか。どういう現状というのは、性被害の現状というのはプライバシーの尊重ということもあってなかなか一般の方たちには伝わりづらい。実際に性被害を受けた方、あるいはその支援をしている方、あるいはその周りにいる方は大変深刻な問題だと思っていますけれども、正直言って私も周りで直接そういう被害を受けた人間がいるわけではないので、この問題に取り組み始めるまではその深刻さの度合いの受け止め方がやや弱かったかもしれませんけれども、でもこういう悩みとか課題というのは1人でも多くの県民の皆さま方に共有していただくということも片方で大事なことだと思いますので、そういうことを考えれば、プライバシーに最大限配慮しながらも一体現状がどうなっているのかということについては、県民の皆さま方と共有する方法を考えていかなければいけないだろうと思っています。

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 9 子どもを性被害から守るための条例について(5)

信濃毎日新聞 河田大輔 氏
 今の質問の補足で1点だけお伺いしたいのですが、公表の仕方なんですが、知事部局の施策については青少年問題協議会で進捗(しんちょく)をお話しするということは答弁であったと思うんですが、その摘発の実態というか、いわゆる17事例のときのように、プライバシーに配慮しつつ何歳でこういう事例でしたっていうものを公開するっていうことをお考えだということでよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 それは警察とよく相談しないと私だけでは決められない。ただ、先ほど申し上げたように、性被害あるいは子どもの性にまつわる問題というのは、決して今回の条例の規制あるいは罰則項目だけではないわけです。さんざん県議会でも出ていましたけれども、既存の刑法等でも処罰できるのではないかという議論もありました。私はそれは全く違っていると思いますけれども、既存の刑法に基づく犯罪類型もあるわけですし、また犯罪にまでは至らないような性的な相談というのもいろいろな形で子ども支援センターには性にまつわる相談もあるわけでありますので、そうしたものをプライバシーを尊重しながら、どういう形で県民の皆さま方と共有するかというのは、私は実は簡単なことではないと思います。子どもが自分のケースを公開されると思えば相談しづらくなってくるということも慎重に考えなければいけないと思いますので、そういうことを十分念頭に置いた上でどういう形で県民の皆さま方と共有するのかというのは慎重に考えなければいけないと思っています。これは決して公表に後ろ向きだということではなくて、多くの子どもたちを救う上ではどういう形がいいのかということをしっかり考えていく必要があると思っています。

信濃毎日新聞 河田大輔 氏
 委員会でも県警の方で前向きに検討するということがあったので相当連携して考えていくということだと思いますが、考え方、方向性としては、指摘されてる冤罪(えんざい)の恐れという部分を監視するという意味で公表、共有ということをするのか、あるいは被害がこういうものがあるので、今後も必要な施策、まだ足りないものはないのかっていうのを確かめる、検証するという意味でそういったものを蓄積していくという考えなのか。

長野県知事 阿部守一
 私は、これは警察とも相談しなければいけないんですけれども、冤罪の恐れがあるから公表するということはどうも違うと私は思っています。違うというのは、議場でもお答えしたと思いますけれども、刑罰法規というのは、先ほど百瀬議員も非常に論理的な賛成討論されていらっしゃいましたけれども、構成要件適合しているだけでなくて違法性とか有責性が問われるわけでありますし、それから疑わしきは被告人の利益にという刑事事件の一般原則があるわけでありまして、そういう中で冤罪が抑止されていくということだと思います。そういう意味では、この問題、先ほど申し上げたように、性被害に直接遭ったことがある方、あるいはそうした支援を行っている方とそうではない方の意識のギャップというのは相当程度あるのではないかと思いますので、そういう差を縮めていく上で、どういう形で問題を共有していくのかということが考えどころだと思っています。

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 10 子どもを性被害から守るための条例について(6)

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 まず性被害条例についてなんですが、まず1点、ずっと長野にこういった条例がなくて、全国の他のところ、ネット上にですね、長野で、長野はいいぞだとかそういったようなことも書かれたりしてると思うんですが、条例の周知ですね、県外向け、かなり県内だけの話ではないと思うんですが、なんか周知の方で工夫考えていらっしゃることとかっていうのありますか。

長野県知事 阿部守一
 ちょっとメディアの皆さんに協力してもらって、県外には長野県もこういう罰則ができたということを伝えていただければ一番ありがたいと思いますけど、われわれホームページ等でも周知をしていかなければいけないと思いますし、他の県では長野県と同様なものは既に罰則対象になっているので、基本的には私はまず県民の皆さんにしっかりと周知していくということが重要だろうと思っています。日本全国の人たちにどうやって広げるかというのは、それはちょっと課題です。今直ちにこうだというふうに、いい案を持っているわけではないので。普通の場合は条例の周知は県内だけで基本的にはいいはずですけれども、お話しいただいたように、そういう県外から来る方が処罰対象になり得る場合も当然なくはないと思いますので、そういうことも含めて周知の在り方を考えていきたいと思います。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 あと、この条例になんていうか抽象的になるんですが、期待することっていうのをお聞きしたいんですが。というのは、先ほどちょっと僕議会見てなかったんであれなんですが、構成要件該当するだけじゃなくて違法性、有責性、かなり厳しく見るっていうことだと、ひどい行為に対して見るということだと思うんですが、突き詰めていくと威迫、困惑、そういったものを突き詰めていくと他の刑法なりにそもそも抵触したり、刑法や児童ポルノ禁止法だとか児童福祉法、かなりそこに抵触して、近い行為が該当するのかなっていう気がするんですが。

長野県知事 阿部守一
 それは申し訳ないんですけれども、法的な議論していて、気がするみたいなところが大きな誤りで、そんなことないですよ。明確に条文を見ていただければと思いますけれども。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 実際、警察が摘発するとき考えることだと思うんですが、全くそういった他の法律に抵触しないで、この条例の構成要件に該当して、かなりその違法性、有責性もあると。かなり狭い適用範囲に実務上はなるのかなと思うんですが。

長野県知事 阿部守一
 狭いか広いかというのは主観的な話なので、広いか狭いかというのはなかなか申し上げづらいわけでありますけれども、先ほどから申し上げておりますように、今回の子どもを性被害から守るための条例案、どうも誤解されているような気がしてならないので、もう1回改めて申し上げれば、今回の条例案の子どもの性被害っていうのは別に今回私どもが条例で規制しているものだけを性被害と言っているわけではなくて、第3条第2項に性被害の定義を置いていますけれども、刑法のいわゆる強姦(ごうかん)罪とか強制わいせつとか、あるいは児童福祉法違反とか児童買春、児童ポルノとか、そういうもの全体を性被害と言っています。こういう性被害をなくすための教育だったり、あるいはこういう性被害を受けてしまった人たちの支援だったり、そうしたことをこの条例は定めていまして、その中にこうした既存の刑法等では処罰規定対象になり得ないようなところについては規制と、その中でも規制したものの一部に罰則規定を設けているという構成になっていますので、この条例全体が17条、18条の、あるいは17、18、19で罰則規定、規制と罰則を掛けていますけど、この17、18が基本で、どうも議論が罰則のところだけになってしまっているのでそういう受け止めになっている。ここが中心で後が何か刺身のつまみたいな話のものでは全くなくて、子どもを性被害から守るための全体的な条例の中で予防とか被害者支援とか県民運動があって、そうしたもので受け切れていないようなところについての規制と罰則になっていますので、そこはぜひちゃんとご理解いただければと思います。

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 11 大北森林組合補助金不適正受給について(3)

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 あと大北森林組合の方なんですが、先ほども須田さんからもあったんですが、ちょっともう1度この県議会の議論聞いていてもやっぱり県議会始まる前からの説明で、この県議会通じてもいまいちすとんと落ちないところがあって、お考えになるんですが、採用抑制だとか超過勤務の抑制で捻出するっていうのはこれ知事にとってもかなり最終手段の捻出方法という認識なんですかね。

長野県知事 阿部守一
 最終手段という意味もちょっとよく分からないんですけれども。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 というのは、知事ずっと県として受け止めて、県全体の責任だということでこういう方法取るって仰っているんですが、結局やっぱり採用抑制で痛み被るのはこれから入ってくる、県庁目指して県職員として働きたいっていう学生なり、それ以下の人だと思うんで、何かこう、先ほどの県職員の、関係ない職員の給料を削るのかっていうお話もあったんですが、そもそも、これから入っていく人っていうのは全く、入りたいと思っている人は全くこの不祥事に全く関わりのない人ですよね。そこら辺どういうふうに考えていらっしゃるのかということです。

長野県知事 阿部守一
 どういうふうにこの県組織というものを捉えるかということによっても多分見方とか考え方が違ってくるのではないかと思いますけども、私は基本的には県という組織は県民のためにもちろん仕事しているわけです。県という組織自体が県民からの信頼と理解を得られなくなれば、それは行政体としての県組織は、私はもう機能しなくなってしまうのではないかと思っています。今回の問題、例えば加算金3億5,400万円で極めて多額です。3億5,400万円どうするのかと。これは最も無責任な対応をすれば個々の職員が悪いわけではないです。間接的には職員の行為が起因していると思いますけれども、個々の職員に具体的な因果関係を持って立証できるような金額ではない、数字ではないわけでありますので、そういう意味では、「申し訳ありませんでした。3億5,400万円を国へは返還します。」という対応をするということも場合によってはあり得るかなと思っています。だけど、私はやはり県民の皆さま方の理解をしっかり得ていくという上では、やっぱり県庁全体で今回の問題を重く受け止めて、それに対して県として対応していこうと。そのためには超過勤務手当の削減と、職員の採用抑制で人件費、人件費というのは県民サービスを低下させることがないようにと、事業費を削ればそれはいろいろな事業があるわけでありますけど、そうではなくて、われわれの人件費、それから不用萌芽とか指導監督のところは事務的経費の削減でも対応していこうとしているわけでまして、これは、まずわれわれが県民の皆さま方に対してしっかり姿勢を示さなければいけないと、具体的に財源を捻出する努力をわれわれ県職員はしなければいけないという思いであります。これから入ってくる職員は関係ないということは、ここは捉え方なのだろうと私は思いますけれども、これから県に潜在的に職員としてなる人たちもやはり、長野県という組織を一つの共同体として捉えれば、やはり私はこうした事案と無関係では私はないんだろう思っています。コンプライアンスの推進を今、長野県取り組んでいます。来年入ってくる職員は今までのこととは関係ないからコンプライアンスの推進は君たちは関係ないということは全くあり得ない話でありまして、そういう意味では、私としては、県民の皆さま方に理解をしていただくための方向として、こうした対応を行っていくということは、これは県として通っていかなければいけない道だろうと思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 いや、これから入ってくる人は当然、これから県の組織でやっていくんで関係ないわけはないんですけども、そもそも採用抑制するんで、入りたい、これまでだったら採用される枠内の人が入れないわけですね。そうすると、この人は県職員になれないわけなんで、これまたちょっと捉え方違うんじゃないですかね。

長野県知事 阿部守一
 例えば大北森林組合の問題がなくて、長野県が別の観点で行革努力しますと、職員定数を例えば1%減少させますと言ったときに、人口が減少している中で採用抑制して若い人たちの方向性をふさぐのはけしからんという議論に対して県民の皆さま方の多くはどう考えるかとかいうことを考えれば、すごく次元が違う話じゃないかと私は感じているんですけども。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 ちょっとその考えのところをずっと議論してもあれだと思います。まあ人口減少ともまた、あれは違うし、あと超過勤務にしても当然無駄な超過勤務をなくすっていうのは不祥事全く関係なく努力して捻出していかなきゃならないことですし、必要な超過勤務は当然やらなきゃならないし、逆にそれを、必要な超過勤務をせずにやらなければこれ県民へのサービスにも。

長野県知事 阿部守一
 考え方のやりとりをしていてもエンドレスなんで、例えばどういう形ならいいということですか。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 少なくとももう少し分かりやすい、結局先ほどの話になっちゃうんですが、現世代のこの県庁職員に対してもう少しこう痛み分け合うような。

長野県知事 阿部守一
 例えばどういうことですか。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 それこそそうですね、給料の抑制だとかですね。

長野県知事 阿部守一
 採用抑制に慎重な皆さんが県職員の給料の一律カットみたいなことに対して賛成をするような考え方であるとはなかなか私は思えないんですが。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 いや、その賛成、反対っていうよりもですね、まあこの考えも堂々巡りになっちゃうんですが、少なくともこの現世代のツケを後に持ってくるっていうよりはやはり現世代のツケは現世代で何とかしなきゃならんかなとは思うんですよね。

長野県知事 阿部守一
 この問題は極めて多額のお金を長期にわたって不適正に支出していました。われわれは組合からの返還も長期にわたって返還請求し続けなければいけないだろうと思っています。そういうことを考えたときに、ただ一時点だけを捉えて対応していくということではなくて、やはり県組織としてしっかり全体的に重く受け止めて、これはもう二度とこういうことを起こさないんだということは県職員全体が共有していくということが極めて重要ではないかと私は思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 最後に、これもちょっとお考えになってしまうんですが、今回県議会でもきっちり事実を解明した上でっていうところを強調されてる議員の方もいらっしゃったんですが、改めてこれ知事はもう、いろいろ新しい事実、先ほどの質問の中でも新しい事実が出たわけではないとおっしゃったんですが、もうこれ調査検証ですべてやり尽くして事実はすべて出し尽くしたという認識はありますかね。

長野県知事 阿部守一
 何度もここで同じような話をさせていただいていると思いますけれども、先ほど信州・新風・みらいの皆さんにも申し上げましたけれど、この事案というのは県と組合の関係だけにとどまらないで、組合に渡ったお金を元専務なりが使ってしまったのではないかですとか、あるいは全然違うことに費消されていたのではないかということも疑われているわけです。そこから先のところについて、今まさに刑事裁判でどういう事実認定がされるかと、要するに私的に利用していたのかどうかというところは、まさに刑事の場で明らかにされようとしているわけですから、われわれそこの部分については注視をしていかなければいけないと思っています。ですから、何でもかんでもすべて明らかになっているということで申し上げているわけではないわけですけども、しかしながら、例えば県と組合との間の補助金のやりとりでどの補助金について不適正なのかと、大北森林組合との間だけでも数百件に上るわけです。その1件1件、確認をしてきているわけでありますので、そういう中で、今回国への返還が必要であろうというふうに考えられるものについては確定させていただいた上で予算計上させていただいたところであります。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 先ほどその、そこから先って、使途ですね、補助金の不正に受給された補助金の使途のところは注視していかなきゃならないとおっしゃっていた。県職員の行為については、もうすでに明らかになってるんで、例えば裁判。

長野県知事 阿部守一
 県職員の行為については処分させていただいているわけです。どういう考え方で、どういう処分をさせていただいているかというのは既に公表させていただいていますけれども、万が一にも新しい事実が出てくれば、それは処分量定を考え直すということはあり得ると思いますけども、今の時点で先ほども、闇何とかという、ああいう言葉が出てきますけど、別にわれわれが把握しているものとは違うものではないと思っていますので、現時点ではわれわれ、処分について変更する理由はないだろうと思っています。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 これ本当最後です。これ闇繰越、闇繰と、先ほど期ずれと同じ意味で未完了とか、何とか申請とかってあったと思うんですが、これこの前の裁判で報道されて知事はそのとき初めてお聞きになった言葉ですか。

長野県知事 阿部守一
 そういう言い方は、です。期ずれの容認だということはずっと私は認識していたし聞いていますけども、闇繰越、闇繰越というような用語は、その段階で初めて聞きましたけれども、言葉としては新しいですけれども、われわれとして把握しているものとは別段違いはないという認識です。

朝日新聞 小松隆次郎 氏
 実際、県の調査の中でも職員の方こういう言葉使ってたと思うんですが、知事この前その裁判で報道されて聞いたときも、別に何でそういう言葉自体が、期ずれっていうのは同じ意味だと理解したとしても、そういう言葉が実際調査で出ていて、検証委員会でも出てたか分からないですけど、出ていたってことをなぜもっと早く言わないんだっていうふうには思わなかったですか、特には。

長野県知事 阿部守一
 闇繰越、今までと違うことなのかどうかというのは確認しましたけども、それはそうじゃないという認識ですから、そうかということです。全く用語が違うので、今までと違うことが判明したかのように報道されているんですけども、全然われわれの受け止めは全くそういう受け止めではないわけであります。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございます。

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