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更新日:2017年7月13日

知事会見(平成29年(2017年)7月12日(水曜日)11時10分~12時02分 会場:諏訪合同庁舎)

項目

阿部知事からの説明

  1. 「しあわせ信州移動知事室(諏訪地域)」を実施して
  2. 九州北部の大雨災害への義援金について

 

取材者からの質問

  1. 「しあわせ信州移動知事室(諏訪地域)」によるものづくり企業視察、首長からの諏訪湖の環境改善の要望について
  2. 諏訪湖の水質調査の公表の仕方について
  3. 諏訪湖の下段放流について、今井市長(岡谷市)の病院に関する発言について
  4. 医療圏域の問題について
  5. 御嶽山の警戒レベルについて
  6. 「子どもを性被害から守るための条例」について(その1)
  7. 「子どもを性被害から守るための条例」について(その2)
  8. 「子どもを性被害から守るための条例」について(その3)
  9. 諏訪の観光面について

 

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本文

 阿部知事からの説明

1 「しあわせ信州移動知事室(諏訪地域)」を実施して

長野県知事 阿部守一
 
皆さん、こんにちは。今から会見を始めます。よろしくお願いいたします。(手話で表現)
 7月12日の移動知事室における会見となります。本日私の方からは2点お話させていただきたいと思います。その後、皆さんからご質問いただければと思います。まず1点目ですが、「しあわせ信州移動知事室」を一昨日、昨日、今日とさせていただいて、私の受け止め、感想という観点でお話ししたいと思います。諏訪地域に3日間、私は日曜日から来たので日曜日、月曜日、火曜日、水曜日と滞在しましたが、改めて諏訪地域の素晴らしさを実感させていただきましたし、製造業、農業、観光業といった産業振興の可能性、あるいは地域のこれからの目指すべき方向性について多くの皆さま方と意見交換をさせていただく機会を得て、私自身再確認させていただいたこともたくさんありました。これから新しい総合5か年計画を策定していきますので、この「しあわせ信州移動知事室」で私が感じたこと、実感したこと、そして市町村長の皆さまをはじめ多くの県民の皆さまと対話させていただく中でいただいたご意見ご提言をしっかり受け止め、私自身咀嚼(そしゃく)した上で次の政策の展開へとつなげていきたいと思っています。特に、今回は酒井地域振興局長をはじめ地域振興局の方で非常に的確に私のスケジュールを作ってもらい訪問先を選定してもらったので、どこの場所に行っても私自身大変得ることがありました。いくつか申し上げますと、一つは諏訪湖の課題です。今日の朝、一人で諏訪湖の周りを散歩しながら体操してきましたけれど、昨晩もさまざまな分野で諏訪湖に関わっている皆さま方と懇談をさせていただきましたし、初日から諏訪に出て諏訪湖の実態を把握させていただきました。先ほど、観光であるとか農業であるとか産業面でのお話しをさせていただきましたけれども、諏訪地域、とくに諏訪湖周は諏訪湖と共に発展してきた地域です。今、環境問題であったり漁業の問題であったり、いろいろ課題がありますけれども、しっかりとした方向を地域の皆さんと一緒になってとりまとめて、そして実現に向けて協働していきたいという思いを新たにしている所です。この地域にとって諏訪湖の将来というのが、いろいろな意味で重要だと思っています。私は、長野県全体が人と環境が共存する、共生する地域だと思っていますが、その一つのシンボルがこの地域における諏訪湖と共に生きてこられた皆さま方の日々の営みにあるのではないかと思っています。これは県庁のあらゆる部局に関係する話でもありますので、さらにしっかりと取り組んでいきたいと思っています。それから、昨日のユニバーサルツーリズム、トラベルサポーター。私は、誰にでも居場所と出番がある社会を作ろうということで申し上げてきていますし、今の「しあわせ信州創造プラン」の中でも、誰にでも居場所と出番のある信州というものを一つの大きな柱に据えています。そういう中で、昨日、富士見高原リゾートの皆さま方を始め、ユニバーサルツーリズムに取り組んでいらっしゃる皆さま方と懇談させていただき、まさに障がいがある方もお年寄りもすべての人たちが、私たちの素晴らしい観光資源に恵まれた長野県にお越しいただき、満足いただけるような環境を作っていくことが重要だと改めて認識いたしました。これは観光だけではなくて、地域に暮らしている障がい者、高齢者の皆さま方が楽しんでいただける、人生を充実できる地域づくりにつながっていきますし、また、長野県は10年後の国体、あるいは全国障がい者スポーツ大会に立候補している県でもあります。東京オリンピック・パラリンピックもありますので、ぜひこうした機会を通じて長野県全体でスポーツ振興、観光振興に取り組んでいきたいと思っていますが、そうした視点の中にしっかりユニバーサルツーリズム、あるいは障がい者のスポーツを位置付けていきたいと思っています。こういう話をしていると切りがないので、あとは皆さんのほうからご質問いただければお話しさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても諏訪地域の可能性を大きく私自身が実感させていただく有意義な機会とさせていただきました。私が訪問させていただき、あるいは対話をさせていただきました全ての皆さま方、そして今回段取りいただいた関係者の皆さま方、すべての皆さま方に改めて心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。

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2 九州北部の大雨災害への義援金について

 2点目ですけれども、九州北部の大雨災害に対する義援金の募集についてです。今回、私も報道等で拝見していますけれども、極めて甚大な被害が福岡県、大分県で発生しています。お亡くなりになられた皆さま方に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。昨日、長野県内でも大雨で鉄道が止まったり、多くの方々が大雨の影響を受けている状況ですので、決してこうした豪雨災害は人ごとでは済まされないと思っています。われわれ長野県としても、これまで以上にこうした防災面の対応をしっかり行っていかなければいけないと思っています。そうしたことと併せて、今回の豪雨災害に際して義援金の受け付けを県として行わせていただくことにしました。本日から県庁、合同庁舎、そして銀座NAGANOに義援金箱を設置して、ご協力を呼び掛けていますので、ぜひ多くの皆さま方にご支援いただければと思っています。本県においても御嶽山の噴火災害、神城断層地震、あるいは栄村の地震等々で、全国の皆さま方から大変なご支援をいただく中で、復旧復興を行ってきましたので、今回の九州地方における豪雨災害に対してもできる限りのサポートをしていきたいと思っています。なお、職員派遣等の人的・物的支援の必要性については、知事会を通じて被災県に確認させていただいていますが、現時点では支援要請はない状況だと聞いています。ただ、今後は支援要請が出てくる可能性もあるので、そうした場合には長野県としては積極的に対応していきたいと思っています。私からは以上です。よろしくお願いいたします。

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 取材者からの質問

1 「しあわせ信州移動知事室(諏訪地域)」によるものづくり企業視察、首長からの諏訪湖の環境改善の要望について

信濃毎日新聞 百瀬明日香 氏
 2点あります。1点目が移動知事室中のことですが、3日間の日程で、ものづくり企業を2社回られて印象に残ったことについてお願いしたいのと、併せて、初日の戦略会議で首長から諏訪湖の浚渫(しゅんせつ)と釜口水門の下段放流について要望がありましたが、それについて受け止めをお願いします。

長野県知事 阿部守一
 まずは製造業の訪問についてです。株式会社小松精機工作所とファナックパートロニクス株式会社を訪問させていただきました。いずれの企業においても世界的にこれからのニーズが高い分野で大きな役割を占めていらっしゃるということで、改めて諏訪地域のものづくり産業の奥行きの深さを感じました。まず、小松精機工作所ですが、自動車部品のオリフィスプレート製造で世界の大きなシェアを握っていらっしゃるということですけれども、これからまた次の分野への新展開を検討されていかなければいけないという部分もあるので、そうした企業が新しい分野を開拓し、検討されるにあたって、われわれ県としてもできる限りのご協力なり、応援をしていくことが必要だと改めて感じたところです。また、ファナックパートロニクスでは、ロボット関係の極めて重要な機器類を製造されていますが、そうしたものづくりの内容にも感銘を受けたと同時に、女性社員の方たちが非常に多く、そしていきいきと主体性をもって働かれている環境にも、私自身たいへん勉強させられました。長野県、あるいは長野県全体で働き方改革が求められている中で、女性が活躍できるような環境づくり、そして、それぞれの現場が主体的にやる気をもって取り組めるような環境づくり、こうした点について大いに学ぶことがあったと思っています。
 諏訪湖の環境改善、諏訪湖の対策については、昨日もさまざまな分野の関係者、環境保全の関係者であったり、あるいは観光関係の方であったり、あるいは農業・漁業の関係の方だったり、いろいろな皆さま方とざっくばらんに意見交換させていただく中で、今お話しがあったような浚渫(しゅんせつ)の話も含めて、極めて多彩な、さまざまなアプローチや考え方も議論の俎上(そじょう)に載りました。私はやはり県としてはあらゆる手段を講じる、何がこれからの諏訪湖にとって最善なのかということをしっかりと考えていかなければいけないと改めて思っています。ですから、いろいろ出された意見をひとつひとつ考えていかなければいけないと思っています。ただ、昨日も申し上げたのですが、実は利害関係が立場によって少しずつ違う、このやり方ではこっちに影響を受けるとか、いろいろ立場によって必ずしも全く同じ意見の方たちばかりではない、諏訪湖の関係者の皆さま方が一人残らず同じ意見ということはなかなか難しいというのも逆に私が感じたことですので、丁寧な意見交換、丁寧な情報共有、そしてやはり意見集約のやり方もこれまで以上に工夫していくことが必要ではないかというのが、今回私がこの3日間移動知事室で来させていただいて、諏訪湖の関係について感じたことです。先ほどご質問いただいた浚渫(しゅんせつ)もはなからそれはお金がかかるから大変だということではなくて、しっかり議論を俎上(そじょう)に載せた上で、何がベストな方向性なのかということについては、ぜひ関係者の皆さま方と一緒に検討し、具体的な対応が結実できるよう取り組んでいきたいと思っています。

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2 諏訪湖の水質調査の公表の仕方について

信濃毎日新聞 百瀬明日香 氏
 今、知事から情報共有という言葉があったのですが、諏訪湖の水質調査の公表の仕方について、今月は昨年のワカサギ大量死から1年であるとか、数日前から湖面にアメーバとアオコが多くなってきていることもあって、住民の方は、諏訪湖は大丈夫なのかと非常に気になっているところがあると思います。それらを踏まえて、今年度、県で新たに溶存酸素量の常時観測を始めていますが、おそらくこれもまだ公表されていないと思うのですが、例えば1週間に1度でも、できるだけリアルタイムに近い形で公表することはできないでしょうか。

諏訪地域振興局環境課長 仙波道則
 本年度から諏訪湖内の溶存酸素について、ポイントを増やして連続測定しているというのは、ご質問の通りです。できるだけリアルタイムに近い状況で公表してほしいということは、漁協などからも現状を把握するという意味でお願いしたいと要望をいただいており、水大気環境課で測定しているデータになりますので、そちらへ要望し、水大気環境課で検討しているという段階です。月1回、定期的に測定しているデータに関しては、とりまとめたところで速報値という形で出しておりますが、リアルタイムのデータは検証等の作業も必要になってきますので、どういう形でお伝えするのが一番いいのか検討している状況です。データ自体が正確であることが必要なわけで、それをしっかり確認して出すというのが必要になってきますので、そのやり方を検討しているということです。

長野県知事 阿部守一
 情報共有はできるだけきめ細かく丁寧に行うということが、昨日、いろいろな人と話して感じたことです。それぞれ分野が違う方同士の認識の共有も大事だと思いますし、県の考え方というのも必ずしも関係者の皆さまに伝わっていない部分もあると感じましたので、今の話も含めて、もう少し大きく情報共有のあり方をどうするべきか考えていきたいと思います。

信濃毎日新聞 百瀬明日香 氏
 例えば、琵琶湖などでは1週間か2週間に1度、ホームページ上でデータを更新している。お金のこともあるとは思うが、検討していただければと思います。

長野県知事 阿部守一
 諏訪湖はこの地域にとって極めて重要な財産だと思っていますので、しっかり対応するようにしていきたいと思います。

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3 諏訪湖の下段放流について、今井市長(岡谷市)の病院に関する発言について

長野日報 野村知秀 氏
 下段放流についての考えを聞かせていただきたい。それと、地域戦略会議の中で、今井市長(岡谷市)が岡谷市民病院のことを挙げて、病院統合については、機能統合、機能分化等を軽々しく決めないでほしいと語気を強めたところがあったと思います。それは、会議の前にやりとりがあったように感じ、推察すると医療圏構想の関係なのかと思ったのですが、どういう話があってどうしていきたいとお考えか。

長野県知事 阿部守一
 諏訪湖の話は、あらゆる選択肢を排除しないでしっかり考えていきたいというのが私の考えです。昨日、懇談の中でも話が出て、建設事務所長からも地形的な問題などの話もさせていただいていますので、諏訪湖の状況、湖底の地形がどういう形になっているということまで、できるだけ詳細に関係者が共有した上で考えていくことが重要だということが、昨日、多くの人たちと懇談した私の感覚です。ああ、そうだったのかという話も関係者の間でもあり、県がこんな取り組みをやっていたのかなどという話もあるので、そういうところも含めてしっかり情報共有することが認識を統一していく近道だというのが、私の受け止めです。ですから、今の時点で、私はこれはやって、これはやりませんと決めているというよりは、この数日間で分かったのは、意外と諏訪地域の皆さまの情報共有も必ずしも十分ではないし、あるいはそれぞれの分野、環境、漁業、観光、いろいろありますが、そういう関係者の皆さまの中の意見交換というのも、もっとしっかりきめ細かく行った方がいいというのが私の感覚です。そこは、酒井諏訪地域振興局長に考えてもらい、できるだけ具体的にそうした考え方を深められるようにしたいと思います。
 病院関係の今井市長(岡谷市)のご発言については、今井市長(岡谷市)のお立場として地域の医療を責任持って守っていこうということでご苦労されていますので、そういう立場からのご発言だと受け止めています。日曜日に私の後援会の集まりがあって、そこに私も入って諏訪の医療関係者とパネルディスカッションをやったところ、地域の医療について、諏訪圏域からモデルになるような取組をできないかということが多くの人たちの共通認識でした。長野県内を見渡したときに、実はこの諏訪圏域は一定の医療施設がそれぞれの市町村に存在をしている。そういう中で、院長先生方ばっかりだったので、私はちょっと言いづらいところもありましたけれども、これから人口がどんどん減っていく、あるいは患者数が減っていく中で、客観的なデータを踏まえて、私が申し上げたのは、教育と同じで医療の問題もすべての住民の皆さんの関心事でもあるので、医療関係者だけが議論するのではなく、患者あるいは県民の皆さま方の考え方、これもやっぱり情報共有しないと何が望ましいのか出てこないので、こういったことを含めて、これからのあり方を一緒に考えていきたいという話をさせてもらったことが前段にありましたので、そうしたことを踏まえてご発言いただいたのかなと思っています。

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4 医療圏域の問題について

長野日報 野村知秀 氏
 すみません、その医療圏域の問題なのですけれども、諏訪地域は、急性期が非常に充実している反面、回復期、慢性期が不足しているという評価がありました。これを是正していくというか、多い所から少ない所にというような形にしていこうと県がイニシアチブをとっていくのか、現状では病院間で調整してくださいというようなことだと思ったのですが、国からも求めるものもあると思いますし、その辺は今後、どうしていくお考えでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 そうですね、まず、国が言っているような、はじめから何か数合わせありきという立場には長野県は立たないという形でやってきていますので、地域構想の数字がこれが唯一絶対の答えだという形ではなくて、地域の中でしっかりと検討してもらうということが重要だと思っています。
 ただ、先ほど申し上げたように、これから人口構成も変わってきますし、人口がどんどん減少していく中で、20年後、30年後の医療体制はどういう形が望ましいのかということについては、本当に真剣に議論していかないといけない。10年、20年経ったらこんなはずじゃなかったということにならないようにしなければいけない。県としてはそうした地域の皆さん、あるいは医療機関が検討を主体的に行っていただくところに、一緒になって加わって方向を考えていくということが必要だと思っています。

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5 御嶽山の警戒レベルについて

信越放送 山崎裕一 氏
 御嶽山の警戒レベルについてお伺いしたいのですが、昨日、気象庁の方で、調査の結果が公表され、非常に落ち着いた状況が続いているということで、地元を含めて、レベル1への引き下げの期待があるのですが、現在、知事のレベル引き下げへの認識と、あと今後の引き下げに向けてのスケジュール、あるいは県の対応についてお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 御嶽山の大変痛ましい噴火災害から、長い期間が経過していますけれども、いまだ木曽地域の例えば、観光客数の動向等を見ていると、まだまだ噴火前の状況に戻っておらず、まだまだ厳しい状況だという認識です。そういう中で、警戒レベルが緩和されるという方向で検討がされているということは、基本的には望ましい状況だと思っています。ただ、今後、入山規制をどうするかというのは、地元の町村の皆さま方が最終的には判断される話にはなりますけれども、例えば登山道や山に入れるような環境整備ということについても、しっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。私の思いとすれば、噴火警戒レベルが引き下げられれば、出来るだけ早く多くの皆さんに規制が解かれた所に入っていただけるようにすることが大事だと思いますけれども、そのための環境整備が必要になってきますので、しっかり地元の地域振興局も一緒にコミットして、町村の皆さま方と一緒になって早期に環境整備できるように取り組んでいきたいと思っています。まだ、噴火警戒レベルの話については、気象庁として最終的に判断している訳ではないと認識しています。これは地元の自治体等と協議をした上で最終的に判断されることになると思いますので、県も当事者の一人でありますので、そうした今後の気象庁の対応についてはわれわれも一緒になって、受け止めさせていただきながら、特に地元の町村の皆さま方とは思いを共有しながら対応していきたいと思います。

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6 「子どもを性被害から守るための条例」について(その1)

信濃毎日新聞 中村正起 氏
 
先週の知事会見で私の方から知事に「子どもを性被害から守るための条例」について質問いたしまして、その時の発言について真意をお伺いしたいのですけれども、知事が先週の会見の中で一部の報道で個別事案について非常に詳細な報道があることにやや懸念を持っているという発言がございましたが、この部分で具体的にどの報道を指してどの部分に懸念を感じているのかというのをまずお聞きしたい。

長野県知事 阿部守一
 
具体的に、今、新聞記事を持っていないですが、ご想像いただけるのではと思います。われわれ行政もそうですし、メディアの皆さま方もそうなんだと思いますけれども、公益性あるいは社会的に有効・有意義なものと、個々人のプライバシーをどう整理していくかということについては、しっかり考えなければいけないと思っています。そういう意味で、私とすればぜひ各報道機関の皆さま方にもそうした点は、各社でも個人のプライバシーに関わるものをどう取り扱うかというのは、基準とか考え方があるのではと思っていますので、ぜひこれからも、そうしたことを踏まえた対応をしていただきたいと思っています。

信濃毎日新聞 中村正起 氏
 たぶん弊紙のことを念頭に置いておっしゃられているのだと思うのですが、こちら側としても、どうしても真摯な恋愛に介入する危うさが伴うのではないかという問題意識を持って報道しています。事実に基づいて公平に双方のプライバシーには最大限配慮した上で今回書いたつもりです。その上でも条例の運用状況が適正なのかっていうチェック監視していくのもわれわれの役割だと思っているので、報道については後ろめたさは無いのですけれども、結果的に今回立件された方が亡くなられてしまわれた。前回も質問したのですけれども、知事は、条例を運用したことによって死者が出てしまったということについてはどのようにお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 子ども支援委員会のメンバーの方からもそういうプライバシーに関わることについてはいささかの懸念が出ていますし、先ほどたまたま御嶽山の噴火災害の話もありましたし、いろんな災害とか死者が出る際にも、メディアの皆さま方の表現の自由の問題があるので、私はあまり個別具体的には申しませんけれども、ご遺族の方と話したりすると、取材は控えてもらいたいとおっしゃられる方がいらっしゃるのも事実です。そういう意味で、今のご質問というのは個別の案件の話ですし、何度も申し上げているように今回の条例は子どもたちを性被害から守ろうということを目的にしておりますので、そうした観点での検証についてはしっかり行っていきたいと思っています。ただ、犯罪捜査の問題であるとかはちょっと論点が違ってしまう話だと私は思っています。子どもたちを守っていく上での取組というのは、例えば信濃毎日新聞社からの警察官を出席させて検証するべきだという指摘については謙虚に受け止めさせていただき、県警にも参加をしてもらって説明をしてもらうということにしています。対応の仕方については、唯一絶対で誰の言うことも聞かないなんてそんなことではなくて、できる限りしっかり検証を行われるような体制にしていこうということで取り組んでいますので、ぜひこれからも建設的なご意見をいただければわれわれも受け止めさせていただけるところはしっかりと受け止めて対応していきたいと思っています。

信濃毎日新聞 中村正起 氏
 性被害者を出さないとか、被害者に対する支援の必要性というのは、われわれも同じなんだろうと思います。条例ができたことにより、加害者も出てしまうという点がありまして、先週とかぶってしまいますが、今回18条を適用して書類送検されたということ自体は適切なケースだったとお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 
警察は適正な捜査をしたとおっしゃっていますし、今回の条例制定の過程においても相当丁寧な検討をさせてきていただいていると思っています。他県の条例と比較していただければ全く違う条例になっているとすぐお分かりになると思っています。そういう中で、子どもの最善の利益をしっかり念頭に置きながら、適正な運用がなされているということについても、本来は公安委員会や県警の話ですけれども、部局長会議の場等でもさまざまな議論がなされた上で、条例が制定されたということも踏まえて、警察に対しては要請を特にさせていただいていますので、そうした点についてもご理解いただければありがたいです。

信濃毎日新聞 中村正起 氏
 現時点で条例の運用だとか条項自体に問題はないとお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 
前回お答えしたとおりですし、子ども支援委員会において個々のケースを検証していきますので、そういったところでいろいろな議論がでて、もっとこう改善したほうがという意見がでれば、前向きに受け止めて取組みたいと思います。子ども達がどういう状況で今いるのか。どうしてそうした状況に至ってしまったのかなど、幅広く考えていかなければならない。単に表面に表れているところだけで子ども達の気持ちを受け止めることにはならないので、そういったことを含めて、しっかり検証して、条例の運用がいい方向になるように、これからも私は努力していきますので、こども支援委員会はじめ多くの皆さま方からご意見いただきながら対応していきたいと思います。

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7 「子どもを性被害から守るための条例」について(その2)

信濃毎日新聞 植松敬 氏
 
今の「子どもを性被害から守るための条例」の質問が再びになって恐縮ですが、2点ほど聞きたいことがあります。今回初摘発となりました18条の深夜外出の制限についてですが、知事のこれまでの会見等の記録を読ませていただきますと、今回の条例自体は他県と比べて罰則等限定的にされたということですが、今回の18条の深夜外出の制限に関していいますと、条文を見た限りですと、時間的要件を満たせば基本的に摘発することができるということですが、この深夜外出制限という項目に関しても罰則を限定的にしたとお考えなのかということと、今回の初摘発に関し取材させていただきました中で感じたことなのですが、今回のように摘発された対象が加害者と被害者という関係というべきなのか、若しくは恋愛関係というべきなのかという、境目が曖昧で判断も難しいケースが今後も出てくると思いますが、深夜外出の制限ということに関して罰則を設けるということの妥当性について知事の方でどうお考えなのかお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 
深夜外出の制限については、深夜外出自体が、子どもが性被害に巻き込まれる可能性が高いということでこうした規定が入れられています。どうしても家庭にいられない、極端なことを言えば、家庭で虐待されている子ども達が存在する可能性もありますので、そういうことを考えた上で、正当な理由がある場合を除きという形になっています。例えば、「何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他の正当な理由がある場合を除き、深夜に子どもを連れ出し、同伴し、又は子どもの意に反しとどめてはならない」という形で、ここの部分も検討をかなり精緻にしていただいた上で、こうした条文になって、県議会の承認もいただいています。もとより、刑罰法規という事については、当然、抑制的に考えていかなければないというのが基本だと思っています。なんでもかんでも摘発して罰則をつければ世の中よくなるという発想には立っていません。何度も条例の検討過程で御社の質問にも答えてきたつもりです。ですから、他の県にあるような文書の規制みたいな話は、いささか時代遅れでもあり、ましてや表現の自由等の関係で極めて微妙な論点を私は含んでいると思っていますので、そういう意味では抑制的に検討しましょうということで、今の形になっています。最終的になにも罰則規定を設けない方がいいというご意見ももちろん私はまったく否定しません。そういう意見もあり得るだろうと思いますが、ただ、条例が制定された後に信濃毎日新聞が中心になって世論調査協会で調査されていらっしゃると思いますけれども、「子どもを性被害から守るための条例」の成立は、県民の皆さま方の8割が良かったと判断されているように、一定程度こうした条例も、私は求められていたのではないかと思っています。私もこの間、相当、県民の皆さまと意見交換させていただきましたし、もちろん、一部の方は、罰則絶対反対と言う方もいらっしゃいました。ただ、多くの人達は、これだけ環境が変わっている中で、そして、県民運動自体もなかなか難しくなったと、県民運動をやってらっしゃる自体がそういうことをおっしゃっている中で、条例についてかなり積極的に賛成の方達が多かったことも踏まえて、こうした条例制定に至っていますので、ぜひ、そうした経過についても、もう一回、思い起こしていただいて、記事にしていただければありがたいと思います。

信濃毎日新聞 植松敬 氏
 先ほどの話になるのですけれども、条例の全般についての知事のお考えっていうのは、非常によく分かったのですけれど、深夜外出の制限についても、これに関しても知事の中での認識としましては、他県のものと比べても罰則を限定的にしたという認識になりますか。

長野県知事 阿部守一
 深夜外出の禁止自体の比較表を持ってないですけれども、先ほど申し上げたように、例えば今、子どもたちが置かれている環境はさまざまですから、家庭に戻りたくないという子どもが外出していたから、すべて処罰の対象にするということにはなっていません。もちろん人を処罰するということについては、いろいろ議論があって、私はある意味当然だと思いますが、構成要件の明確化という要請もあるので、どこかで明確な線引きをしないと、逆に、全く罰則適用できないことにもなりますので、そこについてやはり民主的なプロセスの中で決めて行く。そして、問題があれば改善していく。そうしたことをしっかり行っていくことが重要だろうと思います。

信濃毎日新聞 植松敬 氏
 先ほど、前の記者の質問で、弊社の報道内容に関しての個人のプライバシーという話があったのですけれども、知事が懸念を示された個人のプライバシーというところなのですけど、恐らく、弊社の以前の紙面のことを指していると思うのですが、その点に関しましては、プライバシーという点でいいますと、加害側の男性のプライバシーという話と、被害側の少女のプライバシーという話があると思うのですけれども、基本的に少女のプライバシーのことを指して、懸念があるとおっしゃられたと認識してよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 基本はそうですね。

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8 「子どもを性被害から守るための条例」について(その3)

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 続けて同じ条例の話で、1点知事の認識をお伺いしたいのですけど。

長野県知事 阿部守一
 信濃毎日新聞は担当がないのですか。

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 流れに応じていろいろ聞かせていただいています。知事の方から先ほど報道機関において、各社そういう基準があるのかというお話があったと思うのですが、うちとしては個人のプライバシーに十分に配慮しながら報道はしているつもりです。そこは、知事がおっしゃったように条例の目的は性被害を防ぐことが目的で、そういう観点での検証をしっかりやって欲しいというお話だったかと思うのです。うちとしても、もちろんそういう視点で検証しているつもりですし、知事の方からも、先ほど運用については、これからも支援委員会の皆さんと一緒によくなるように努力したいとお話がありましたけれど、それはうちの報道機関も同じ認識でして、運用から一年経ちまして、やっぱり条例というのは知事しかつくれない。もちろん議会の同意は必要ですけれど。

長野県知事 阿部守一
 議会の同意ではなくて、議会が決めなければいけません。私は案を出すだけです。そこは間違えないでいただかなければいけないと思います。

信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
 わかりました。それに対してどう運用されていくかチェックしていくのが報道機関の役割だと思っていますが、そうしたことについて、知事はどのようにお考えですか。

長野県知事 阿部守一
 県政については、批判すべきところは批判していただいていつも構わないと申し上げてきていると思いますし、先ほど千野さんからおっしゃっていただいたように、建設的な批判とそうじゃない批判というものがあると思います。何が建設的で、何が建設的ではないっていうのは、私が判断する話ではないと思いますけれども、しかしながらそれがあるだろうなと私は感じることがあります。この条例の運用のあり方について、われわれとしては、決して無謬(むびゅう)のものでもなく、憲法でもないので、不磨の大典にするつもりは全くありませんし、一番重要なことは、子どもたちをどうすれば性被害から守れるかということだと私は思っています。今回の条例を作るにあたっては、子どもに対する性行為のところが一番問題、議論になりましたけれども、これも改めて申し上げますけれども、他県の多くは、誘惑とか、自己の性的欲望の満足のみを目的とした性行為も罰するとなっていますけれども、本県の条例は、そうしたものを罰則の対象にしていないです。自由な恋愛、真摯な恋愛は、なるべく尊重しようという形になっています。であるがゆえに、他の県よりも罰則の対象の範囲が緩い、狭いため、教育であるとか、県民運動もしっかりやっていかなければいけないというのが私の想いでありますし、今現実として、県はそういう方向で動いています。ですから、私はそうしたところが弱いとか、もっとこういう教育が必要だとか、県民運動がおかしいじゃないかとか、もっとこうやるべきじゃないかということが、実は相対として見たときには、この条例を的確に運用していくことに私はつながるのではと思っています。先日ご指摘いただいた、青少年サポーターのあり方等についても、まだまだ私は改善の余地があるなと思っていますので、ぜひそうした積極的なご意見、ご批判いただければ、われわれも真摯に受け止めて、対応していきたいと思っています。

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9 諏訪の観光面について

長野日報 野村知秀 氏
 観光面で一つ、長野県の観光として売っていくにあたって、諏訪はどういったところを発信していきたいと感じましたか。

長野県知事 阿部守一
 「謎の国、諏訪の国。」で諏訪の広域圏の皆さんが取り組んでいらっしゃいますが、私は今回、諏訪湖の重要性のお話をさせていただきましたけれども、私は、他の県内の地域と比べると、まず諏訪湖周は、自然と産業活動が共存している、長野県どころか、日本の中でも、極めて珍しい地域だと思っています。ものづくり産業が、強みを持っている反面で、諏訪湖が真ん中にあり、周りには美しい高原地帯が広がっているということです。また、温泉にも恵まれているなど、そういう部分を売りにしていくことは、十分可能だと思います。そのためにも、諏訪湖の問題にもしっかり目を向けていかなければならないと思います。それから、八ヶ岳山麓の地域、われわれは今、世界水準の山岳高原観光地づくりということで、取り組んでいますけれども、例えば、蓼科高原は昔からの高原リゾートということですし、また、原村、富士見町は都会からも近いということで、これは観光という観点のみならず、移住という観点でも、多くの人たちに注目されている地域でもありますので、諏訪地域全体での発信ということも重要だと思いますが、湖周地域と八ヶ岳周辺地域が、別の強みと特色を持っていると思いますので、そうしたことにも、われわれは意を持ちながら、県としての観光振興、あるいは発信に努めていくことが重要ではないかということが、私の今回訪問させていただいての率直な受け止めです。

長野県知事 阿部守一
 ありがとうございました。

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お問い合わせ

企画振興部広報・共創推進課

電話番号:026-235-7054

ファックス:026-235-7026

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