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更新日:2017年12月25日
長野県知事 阿部守一
それでは今から会見を開きます。よろしくお願いします。(手話で表現)
私からは先ほど部局長会議で確定させました国民健康保険の運営方針についてお話を申し上げたいと思います。
今回の国民健康保険の運営方針ですけれども、平成30年度から県としても市町村とともに国民健康保険の保険者として国保財政に責任をもって取り組んでいくという形に制度が変わってまいります。このため、市町村と共通認識を持って一体的に国民健康保険の運営に当たっていくために、国民健康保険法に基づいて県として定めていくものです。
この内容につきましては「長野県国民健康保険運営協議会」から11月14日に答申をいただいて、県議会での議論あるいは市町村からの意見、こうしたものも踏まえて最終的に決定をさせていただいたところです。
国の制度改正の狙いとしましては、国民健康保険の財政規模をこれまでの市町村単位から県単位ということで広域化をしていこうというものです。このことによって保険料負担の急激な増加リスクの軽減を図っていくことになります。
また、併せて県民上げての健康作り、あるいは疾病予防等によりまして、医療費の適正化に取り組んでまいります。本県におきましては小規模な町村が多く存在しています。そういう意味で、広域化、都道府県単位化することによるメリットというものは大きいと考えております。
今回の方針のポイントですけれども、まず同じ所得水準の皆さま方は同じ保険料負担にしていくということです。保険料負担の平準化を図りながら将来的には保険料水準の統一を目指していきたいと考えています。
しかしながら、県としては市町村に収めてもらう納付金の算定を行いますけれども、当面各市町村の医療費水準を反映させていくこととしていますし、また保険料負担が急激に増加することの無いよう、激変緩和措置も講じていきたいと思っています。こうしたことによって、保険料負担への影響に対する配慮ということを行っていきたいと思っています。それと並行して保険料水準の統一につきましては、次回の運営方針の改定時までに、3年後を予定していますけれども、市町村の医療費格差など課題の解消の段階的な取り組み、あるいは統一の目標年次を含めたロードマップについて、市町村と意見交換しながら検討していきたいと考えています。
また、県も保険者となりますのでこれまで以上に県民の健康作りに積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
県としての保険事業及び医療費の適正化に向けた取り組み方針、こうしたことについても今後定めていきたいと考えています。
また、今回広域化をするわけですけれども、県と市町村で一定の役割、責任を分担しながら、国保制度を運用していくことになります。そうした観点で、市町村におきましても、加入者の負担増を抑え、特に低所得者への配慮をしていただくよう、市町村ごとの基金の活用ときめ細かな配慮をお願いしているところです。
また、国民健康保険制度は、国民皆保険制度の根幹をなす極めて重要な制度であります。今般の改革は制度を維持していく、堅持していく上で必要な取り組みです。県と市町村でこれから協力し合って、この制度が持続可能なものになるように取り組んでいきたいと思っています。何よりも県民の皆さま方、そして国保加入者の皆さま方のご理解とご協力が不可欠ですので、今後は私どもの方からも改革の制度の趣旨等のアピールを十分に行っていきたいと思っていますので、どうかメディアの皆さま方にも引き続きのご協力をお願い申し上げたいと思います。
私の方からは以上です。よろしくお願いいたします。
日本経済新聞 佐伯遼 氏
来週、リニア中央新幹線事業に関して、市町村とJR東海との意見交換会が開かれると思うのですが、そこで阿部知事が期待されている意見交換の内容があれば教えていただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
私の立場としては地域の、地元の皆さんの思いや声をこれまでもJR東海に伝えてきました。ぜひ直接対話をされる形になっていますので、日ごろ地域の皆さんが感じていらっしゃる課題について、率直にJR東海伝えていただき、前向きな意見交換の場になることを強く期待しているところです。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
国民健康保険の運営方針の関係で、先ほどの部局長会議でも知事の方からわれわれ自体が責任主体となることを前向きに受け止めて、県の役割や発想を根本的に変えるきっかけにしたいというお話があったと思いますが、まだまだ県が果たす役割の認識が全庁的に不十分だというところからのお話だったのですか。
長野県知事 阿部守一
率直に言って不十分というよりは、これからそうしていく必要があるというとことを申し上げたところです。恐らく通常の発想で考えれば、私が言ったようなことは別に言わなくてもいいのだろうと思います。所管部局が国民健康保険の広域化をこれまでも市町村とも十分調整して取り組んできていますので、それだけで別に県としての仕事はできると思います。
ただ、ACE(エース)プロジェクトの推進をはじめとして、長野県としては、一つは健康長寿県、世界一の健康長寿地域を目指して取り組んできていますし、これからも取り組んでいかなければいけない。そうしたことを考えたときには、国民健康保険のみならず医療保険であったり介護保険制度であったり、そうしたものについて、広く各部局がしっかり認識をしてもらう必要がある。先ほどの部局長会議でも申し上げましたが、例えば働き盛りの人の健康づくりというようなものは、これまでの、例えば地域コミュニティにおける取り組みだけではなくて、企業の皆さんの取り組みが非常に重要です。ACEプロジェクトの中でも健康経営という視点を取り入れて進めているわけですけれども、例えば産業労働部であったり、あるいは農政、林務であったり、そうした部局も医療・健康についてまずしっかり問題意識を持ってもらうということが重要だということで、あえて広く理解をして取り組んでいくようにというメッセージを出させていただいたところです。今までわれわれ、特に健康福祉部が中心になって取り組んできたことが、取り立てて他県に比べて問題があるとか遅れているということでは全くなくて、むしろ他の県がやらないような視点で取り組もうということを私の方から発言させてもらいました。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今日、政府の来年度予算案が決定して、地方交付税も景気の回復に伴い税収の増加が見込まれるということで減少されたり、また、知事も常日頃からおっしゃっている臨時財政対策債も、相変わらず穴埋めという形にはなっているのですが、今回の政府予算案の地方への影響の受け止めですとか、他に何か注目している予算があれば教えていただきたいと思うのですが。
長野県知事 阿部守一
政府の予算に対して私どもからもいくつかの点について、提案要請をこれまでも行ってきているところです。詳細の細目まで承知していませんけれども、私の方から特に注目している点を何点か申し上げたいと思います。
まず一つは教育関係です。これは、「幼児教育の段階的無償化」といったようなことが言われている中で、例えば小中学校教育における外部人材の活用ということをわれわれは国に求めてきました。また、英語教育は小学校から課程に取り込まれていくということになっていますので、そうした教員の充実ということについても国に求めてきていますけれども、今回の予算においては、英語教育充実のための教員であったり、あるいは教員に代わって部活動や校内事務等を行う外部人材の配置であったり、「幼児教育の段階的無償化」、さらには「給付型奨学金」、こうしたものの拡充が計上されているところでありまして、今パブリックコメントを行っている新しい総合計画の中でも、「学びの県づくり」を進めていく上ではわれわれの取り組んでいく方向性と合致する部分かなと思っています。できるだけこういう国の予算も、積極的に活用していきたいというのがまず第1点目です。
それから、「地方創生の推進交付金」については、これは前年度と同額が措置されることになっていますので、私どもも、できるだけ積極的に活用して、さらなる地方創生の推進を図っていきたいと思っています。
それから、地方財政全般ですけれども、一般財源総額ベースでは、本年度を上回る金額を確保していただいたこと、それから、まだ抜本的な改革とは言えない状況ですけれども、臨時財政対策債についても、国においては、かなり厳しい国の財政の中で、いろいろやりくりをしていただいた上で、縮減されたという点については、一定の評価ができるものと思っています。
ただ、本来の形からすれば、交付税率の引き上げ等も含めて、抜本的に地方財政のあり方を考えてもらいたいと考えていますので、こうした点については、引き続き国に強く制度改正も含めた取り組みを求めていきたいと思っています。主な点はそういうところです。
日本放送協会(NHK) 小口佳伸 氏
今週、長野市議会で罰則付きの「路上喫煙を防ぐ条例案」が可決されたのですが、罰則付きは一応長野市の一部に限ったものなのですが、路上喫煙に対する県としてどのように考えているかというのが1点。
あと、今日の午後もいらっしゃいますけれども、清泉女学院大学と長野保健医療大学の看護学部の設置の問題です。これも財政支援を盛り込んだ補正予算案が可決されているのですが、県としてのスタンスをお伺いできますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
路上喫煙は、健康づくり等も進めていく上では、受動喫煙の防止であったり、あるいは、生活環境をきれいにしていくといった取り組みの方向性については、私どもも、十分理解しますし、ぜひそういう方向を進めていただけることはありがたいと思っています。
それから、大学の関係はこれから加藤市長がお越しになられますので、また、長野市としての考え方を十分お伺いさせていただいた上で、県としての対応を判断していきたいと思っています。基本的には、先ほども「学びの県づくり」ということで申し上げましたけれども、教育の充実、特に高等教育の充実は、県としてもしっかりこれまでも取り組んできていますので、大きな方向性は共有させていただけているとは思いますけれども、具体的な要請の内容を伺わないと、今の段階でこうだああだと申し上げられませんので、十分お話を伺って判断していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 小口佳伸 氏
飯山市でロケが行われていた「一茶」という映画が制作会社の経営破綻もあり、今、頓挫している状態で、飯山市が市を挙げて宿泊代などを立てかえたりして、地元ではちょっと問題になっているのですが、この状況について知事のご見解があればお聞かせ願いたいのですが。
長野県知事 阿部守一
県があまりコミットしている話ではないので、状況を十分把握していませんけれども、基本は契約の話なのだろうと思いますので、関係者の理解と納得が得られるような方向付けを、しっかり関係者間で行っていってもらいたいと思います。
中日新聞 渡邉陽太郎 氏
国の予算で今回、地方創生で大学を支援する取り組みに100億円ほど出ていますが、来年度に県立大学ができますし、諏訪東京理科大の公立化と、また、今後話し合う看護学部設置を目指す2つの大学と、いろいろと大学に関する動きがあるわけなのですが、この点について、この100億円をどのように生かしていければと思いますか。
長野県知事 阿部守一
地方大学に対する支援の強化、それから東京23区内における定員増の抑制については、私どもも国にお願いしてきた話ですので、ぜひ県内の高等教育機関、県立大学のみならず諏訪東京理科大の公立化等、かなりいろいろな動きが出てきていますので、積極的に国の予算も活用しながら長野県の高等教育が振興できるように取り組んでいきたいと思っています。
それから無利子奨学金の拡充であったり、給付型奨学金の実施に向けた取り組みも今回の予算の中で打ち出されています。私も、教育を受ける機会が経済的な事情によって左右されているというような状況は、なくしていかなければいけないと思っていますので、こうした方向性は私どもとしては大歓迎ですし、県としても、これまでも県独自の取り組みも行ってきていますので、そうしたものとセットで、長野県に暮らす学生たちがしっかりと自分たちの夢を実現できるような環境整備に、これからも取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河田大輔 氏
国民健康保険について、全県的な保険料水準の統一化の部分なのですが、答申段階までの案よりも、大分その統一に向けた意思というか表現を強めたような印象も受けるのですけれども、こういう表現で方針を正式決定させた理由を、改めてお伺いしたい。
長野県知事 阿部守一
答申の考え方は、われわれは尊重させていただいています。ただ、基本的な考え方とか理念のところで、必ずしも答申の中では明確になっていなかったような部分については、私どもの方で内容をできるだけわかりやすく明確にさせている部分もあります。先ほど申し上げたように、国保税あるいは国保料をご負担いただいている皆さま方の負担感もわれわれは十分配慮していかなければいけないと思っています。
その一方で、制度の持続可能性をどう確保していくかということも、非常に重要な課題です。安心して暮らせる地域社会を作っていく上で、今回の国民健康保険の広域化は、われわれ県が、これまで以上に健康づくりであったり、あるいは医療財政について、コミットするきっかけになりますので、積極的に県としては今回の制度改正を受け止めて、長野県がより健康で安心して暮らせる県になるように取り組んでいきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河田大輔 氏
平準化の一方で、これまで市町村独自で保険事業とか、頑張って保険料も含めて、取得をされていたっていうところからすれば、今後の制度に伴って、今まで頑張ってきたのに、全県統一になることで保険料が上がると、ちょっとそれは不公平だなという意見が出てくることもあり得るかと思うのですけれども、そういった市町村の声が出てきた場合、県としては対応というのはどうですか。
長野県知事 阿部守一
市町村の置かれている状況は、必ずしも一様ではないと思っています。われわれは、これから納付金を決定してお願いをしていくことになりますけれども、そもそも市町村全体の所得水準が高いようなところは、広域化することによって納付金額が相対的に高くなっていく。ここは、負担の公平性という観点で、一定のご理解をいただかなければいけないという部分があります。また、少しテクニカルな話になりますけれども、例えば、前期高齢者交付金、これ概算払いされた後に、清算処理というものが行われますけれども、清算するときに返還となる時には、納付金に加算される形になってくるので、そういうテクニカルな要因でちょっと増減するというような自治体、市町村も出てきます。そういう意味で、市町村が置かれている状況はさまざまですので、納付金への反映のされ方についても、これまで以上に市町村と十分連携をとりながら、市町村の皆さま方の理解と納得が得られるような形で進めていきたいと思います。それと同時に、具体的な保険料の算定は、県ではなくて市町村でこれまで同様、行っていただく形になりますので、先ほど申し上げましたけれども、私どもとしても納付金の算定におきまして、いろいろな負担が急激に増加しないような配慮を行わせていただきますので、市町村においても、加入者の負担増、特に低所得者の皆さまへの影響を適切な水準に抑えていただくことができるように、引き続きお願いをすると同時に、市町村と連携をしながら対応していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 河田大輔 氏
市町村の保険料を決める際に、これまで県内でも赤字分を補てんするために一般会計から繰り入れるというところがいくつかあると思うのですが、新制度になってから市町村でそういう判断をする際に、国の方は好ましくないと言っていますけれど、県の方としても基本的にはそういうものは赤字分と考えて解消すべきだという認識で市町村に助言していくおつもりでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは財政の広域化をしていくわけですので、そういう意味で、先ほどこの広域化をしていく必要性として申し上げたのは、例えば小規模な市町村だとお一人に極めて高額な医療費が必要な方が出るとそれだけで保険料水準を上げざるを得ないと。市町村の判断としては、そうした場合に、おそらく保険者の保険料、国保税に跳ね返して負担をしてもらうか、あるいは一般会計で負担するかという判断にどうしてもならざるを得ないというわけですけれども、今回広域化することによって個別の自治体の急激な財政変動というのは抑えられてくるわけですし、一般会計が赤字補てん的に、やらなければいけないというのは、ある意味保険自体が十分機能していないという話になりますので、そういう意味で私どもとしてはやはり保険制度としてしっかり機能していく上での広域化ということを進めていくわけですので、そうした方向性でこれからも市町村と十分協議しながら取り組んでいきます。したがって、制度自体は一般会計が随時負担、赤字補てんをしなければならないような制度とならないことを目指して取り組んでいくということが基本です。ただ、当面、私ども県としても納付金の激変緩和措置を講じていきますし、個々の市町村によって状況がさまざまですので、一律にこうすべき、あるいはこれはしてはいけないということではなく、納付金から先の保険料負担のあり方については、市町村において基金を持っているところもありますので、そうしたものの活用も含めて、きめ細かな対応を検討してもらいたいと思っています。
朝日新聞 鶴信吾 氏
民泊の条例について、伺いたいことがございまして、軽井沢のように全面的に規制したいっていうケースをどのようにされていくのかですとか、国側の法律のたてつけの問題点とかについて知事のお考えを教えていただけないでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね、まだ検討中ですので、私もどういう対応をしていくべきなのかということについては、いろいろ思い悩んでいるというのが正直なところです。片方で長野県内は静かな環境を求めて、例えば別荘を持たれる方とか、移住して来られる方とかがいらっしゃるという実情もあります。他方でその反面、これからの社会、シェアリングエコノミーという形で、今ある資産財産をどう活用していくかということが重要になってきているわけですので、市町村とか地域の声とか考え方も非常にさまざまなものがあるなと受け止めています。そういう中で、国のいわゆる民泊法で県に与えられている、条例で対応できる範囲というのは結構狭いです。狭いというのは、これは国としてはある意味、住宅業、宿泊業という形になりますので、基本的には全国一律というのが原則であるという考え方に立っているのだと思いますが、そういう中で一定程度生活環境に影響がある部分についての営業日数については、限定的に県の条例で対応可能な余地もあるということですので、民泊のあり方全般を検討して、都道府県レベルで自由に決められるというような状況ではありません。そういう意味で、国から授権されているかなり狭い部分をどう活用して地域のさまざまな皆さま方のいろいろな見解がある思いに応えていくかということは非常に難しいものがあるなと思っています。現在検討中ですので、その辺の考え方を十分整理して、できるだけ多くの皆さま方が理解をしていただけるような対応を考えていきたいと思っています。
長野放送(NBS) 勝家慎也 氏
今月15日に発生した中川村の県道での土砂崩落の件についてお伺いしたいのですが、先日JR東海が会見の中でリニア関連のトンネル工事の発破等の振動が繰り返し作用したことにより土砂流入に至ったと考えられるという見方を発表しました。この発表について知事の受け止めをお願いします。
長野県知事 阿部守一
まずはこの(主要地方道)松川インター大鹿線、これは地域の住民の暮らしにとっても、そして観光で当地を訪れる皆さま方にとっても、大変重要な路線だと考えています。そういう意味で、こうした事故が起きたということについては、大変、私どもも重大な問題だと受け止めているところです。JR東海においては地域の皆さま方の思いも十分受け止めていただいた上で、しっかりと対応してもらいたいと思っています。もちろん私ども長野県も道路管理者ですので、まずは一日も早く通行ができるようにしていく、今、迂回路があるわけですけれども、この迂回路の安全性を確保するということと併せて、この道路がしっかりと通行できるようにしていくということが重要だと思っています。そういう中でJR東海が今施工中の四徳渡(しとくわたり)トンネル、これを貫通させて、掘削のための作業坑と本線トンネルを迂回路として利用する方向で考えています。これにつきましては、年内には片側交互通行を確保できるように取り組んでいきたいと思っています。また、それまでの対応といたしましても、迂回路となっております県道松川大鹿線。パトロールあるいは除雪・融雪をしっかりと取り組んで安全確保を図っていきたいと思っています。また、万が一、県道松川大鹿線が通行不能となった場合に備えまして、国土交通省にもご協力いただいて、緊急車両につきましては、小渋ダムの土砂バイパストンネルを通行させていただくこととしています。これは緊急車両が、万が一の時に入っていけないということでは困るわけですので、こうした措置も事前に準備をさせていただいているところです。また、伊那市側に通じています国道152号線、分杭峠につきましては、例年12月25日に、冬季閉鎖等としているところですけれども、今回、トンネル内の迂回路が通行可能となるまで、この冬季閉鎖を延期しています。そして、その間の除雪体制についても、整えているところです。そういう意味で、私どもはできる限りの対応をしっかり行うことによって、地域の皆さま方の暮らしへの影響が最小限になるよう取り組んでいきたいと思っています。以上です。
日本経済新聞 北川開 氏
少し細かい話になってしまうのですけれども、先ほどの国民健康保険の話で、保険料水準の平準化で、3年後の改定時までに統一に向けたロードマップを検討したいということなのですけれども、3年後までに何かロードマップとして県から示されるということでよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、国民健康保険財政については、ある意味、今まで市町村が全責任を負っていらっしゃいましたけれども、今後は、県と市町村が共同で責任を負う形になりますので、まずは市町村の皆さま方と十分意見交換をした上で定めていく必要があると思っています。そういう意味で、県が一方的に検討して、これでやりましょうということではなくて、市町村の皆さんの考え方、そして何よりも市町村が、国民健康保険の加入者の皆さま方と日々、接していらっしゃいますので、そうした皆さま方の感覚も十分踏まえた上で定めていきたいと思っています。
日本経済新聞 北川開 氏
次回の改訂時まで一定の考え方を協議していきたいとか、そういうことを協議したいということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これは私どもが広域的な財政運営を行っていく上でも必要なことだと思っていますし、それと同時に各市町村が保険料を定めて、実際に保険料徴収、あるいは国保税の徴収を行っていただくに当たっても、やはりそうした具体的なロードマップが必要だというご意見も出ていますので、そうした市町村のご意見も踏まえた上で、一緒に考えていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
私もリニアのことで伺いたいのですけれども、松川インター大鹿線の関係で、来週26日に、地元市町村長と、JR東海幹部との意見交換会がありますけれども、その場で県の方からですね、今回の件に関して、JR東海に何か申し入れだとか、要請をするっていうお考えはありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、道路管理者としては、私ども県がしっかり対応していかなければいけない部分もありますし、また、これはJR東海にはしっかりと原因者として対応してもらわなければいけないと思っています。そういう観点で、すでにこれ建設部と飯田建設事務所の方から対応させていただいているところでありまして、JR東海に対しましては、原因者の責任による通行止め箇所の早期復旧、そして、早期に安全な通行を確保していくというようなことについて、要請をしているところですので、JR東海においては十分問題意識を持っていただいているところですけれども、引き続き、真摯な対応をしていっていただきたいと思っています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
もう1点、リニアについてなんですけれども、今、全国のリニア工事で入札を巡って、大手ゼネコンが事前に調整して入札の落札額を決めていたという話で、捜査が進んでいます。今回この件を、知事がどう見ていらっしゃるのかということ、あと、工期への影響というのも懸念されているところだと思うのですけれども、その辺について、知事のお考えを聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
リニア中央新幹線の工事は、これはJR東海が進めている事業ではありますけれども、私どもの地域振興にとっても重要なものでありますし、これは公共性が高い事業だと思っています。そういう意味で、今回の独占禁止法違反容疑で捜査が行われているという状況ですが、これは私どもも、報道されている内容以上の情報は持ち合わせていないというのが現状です。そういう状況の中で、われわれとしてはまずは、捜査の行方を見極めていきたいと思います。また今回のこの状況に対して、JR東海がどのように対応していくかということについても、注視していきたいと考えています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
県の方から、JR東海に今回の事件について問い合わせるとか、そういったことは考えていますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
必要に応じて、われわれももちろんJR東海とは常にコミュニケーションをとっていますので、おそらく、捜査がどうなっていくかみたいな話はJR東海では、今の段階では分からないという状況だろうと思いますので、われわれとしては、今後の推移をしっかりとまずは見極めていきたいと思います。もちろんその上で、必要なことがあれば、JR東海に対しても、われわれからいろいろな確認をするとか、さまざまなことが考えられますけれども、今の段階では、まずは、どういう方向性になっているのかということについて、見極めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 牧野容光 氏
10月の衆議院選挙の10代の投票率が、このほどまとまりまして、18歳が全県平均で55.2パーセント、19歳が30.21パーセントで、全世代の投票率の60パーセントぐらいと比べると、若干低くて、全国の抽出平均と比べると、ちょっといいぐらいなのですが、5か年計画で自治の力を掲げている知事として、将来世代の投票率とか政治参加というものについて、全体の世代と比べると低い状況についてのコメントをいただけませんでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。この間も中信地域の高校生と意見交換させていただいたときに、高校生側からは、県政への関心があるかないかということに対して、関心を持っているという高校生が非常に少ないですよという問題提起がありました。
私としては、やはり高校生がより多く、関心を持ってもらいたいなという話をさせていただくと同時に、ただ、関心がありさえすればいいという話でもないし、関心を持つこと自体はいったいどういう意味があるのでしょうねという投げ掛けを逆にさせていただきました。
若い世代が、投票になかなか行かないということは、これもちろん関心が低いという面もあると思いますけれども、逆に言うと、われわれが声を上げてもなかなか世の中変わらないのではないかという、ある意味、あきらめ感というか、そういうものを持っている若者が多いという部分もあるのではないかなと思います。そういう意味で私もできるだけ今回新しい総合計画をつくるに当たっては、大学生も含めた若い人たちとかなり積極的に意見交換させていただきましたし、若い皆さんの感覚をできるだけ盛り込むように努力してきましたが、これからもやはり若い人たちが何か政治に参加すると、自分たちの思いが具現化できるのだなという思いを、そういう体験を、ぜひ持ってもらえるような工夫を、われわれ、政治とか、行政の側がしっかりしていくことが必要なのではないかと思っています。
そういうことを抜きに、単に関心を持ってないということだけでは、率直に言って、私はそのときにも言いましたけど、私が高校生の頃は、東京に住んでいましたけれど、「都政に関心があるか」と聞かれたら、「全く知らない」とおそらく答えたと思いますので、関心があると答える数字が上がること自体が目的ではなくて、そういう若い世代もやはり一緒になって政治に参加してもらう、あるいは、地域を良くしていく、そうした取り組みを充実することによって、結果的に関心を高めていくということが重要だろうと思っています。そういう投げ掛けは、できるだけわれわれからも、これからもしていきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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