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更新日:2021年6月29日

知事会見(令和3年(2021年)1月14日(木曜日)17時05分~19時07分 会場:県庁)

医療非常事態宣言の発出について 項目

阿部知事・長野県医師会 関会長・松本市立病院 中村院長からの説明

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

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取材者からの質問

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

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知事会見 項目

阿部知事からの説明

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

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取材者からの質問

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について

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医療非常事態宣言の発出について 本文

阿部知事・長野県医師会関会長・松本市立病院中村院長からの説明

 1 新型コロナウイルス感染症への対応について

長野県知事 阿部守一 
 本日、県内の医療の逼迫(ひっぱく)状況に鑑み、県として医療非常事態宣言を発出しました。そのことについて皆さまにお伝えをしたいと思います。本日は大変お忙しい中、長野県医師会の関会長、そして飯塚常務理事、さらには松本市立病院の中村院長にご出席、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。また中村院長には先日、病院を訪問した時には、現場の実情を大変詳しくお教えいただきまして誠にありがとうございました。きょうもよろしくお願いします。
 それでは私からパワーポイントを使ってご説明したいと思います。毎回ご覧いただいています療養者数の推移です。12月の中旬から下旬にかけて、本県の新規陽性者数は比較的落ち着いた状況でしたけれども、年末年始を挟んで急増ということで、1週間当たり400名を超えるという水準にまで新規陽性者数が増加しました。その結果として、療養者の数も年明け以降、急増してきています。直近のデータでの入院者数が213名ということで、実質病床利用率が53パーセントという状況です。また重症者の数が7名、重症者用病床利用率が14パーセントということで、この病床利用率については、国が定めているステージ、国は4段階ありますけれども、今、全国的に緊急事態宣言が発出されている状況ですけれども、ここだけ取るとステージ4に該当する形になります。そうした中で、本県として何とかこの感染拡大を食い止めなければいけないと強く決意をしています。現場の医療関係者の皆さまには、改めて心から敬意を表したいと思います。常に感染リスクと向き合いながら新型コロナウイルスの患者の皆さまへの対応、そして医療は新型コロナウイルス対応だけ行っているわけではありません。日々、県民の皆さまの命を守るために奮闘いただいている医療関係者の皆さまには、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今回の宣言の発出理由を幾つか書きましたけれども、一つは医療アラートの中で、医療非常事態宣言を発出する基準に該当していると。そして先日、飯塚先生にもご参加をいただいていますけれども、懇談会の場で医療非常事態宣言を発出すべきだというご意見を頂きました。しかも速やかにというご意見を頂きましたので、私としては専門家のご意見も踏まえて発出を決断しました。病床利用率は先ほど申し上げたように、国のレベルでいきますとステージ4相当ということで、一番高いレベルに該当する状況になっています。また本県は非常に県土面積が広い県です。一つの都市に医療機関とか人口が集中しているという県ではありません。そういう中で、お住まいの医療圏では受け入れられない患者の数が現時点で33名ということで、二次医療圏ごとに見たときに他の医療圏の病院に入院をしている方が33名という状況になっています。広域的な入院調整も非常に厳しい状況になっていますし、またできるだけ早く入院をしていただくということが重要ですけれども、陽性判明の翌々日に入院になられるという方も出ている状況になっています。また中等症とご高齢の方の入院患者が多いわけです。各医療機関としては中等症の方、あるいはご高齢の方が増加していくと、それだけ医療スタッフの手間がかかる、人手が取られるという状況にもなってきています。また今回の第3波は非常に長い間継続してきています。常に緊張感を持って医療現場の皆さまには対応いただいているわけですけれども、疲弊をされてきている。そして地域医療も、例えば医療従事者からも陽性者、患者の方が出ているという状況になっていますので、地域医療の機能が平常時に比べると弱くなっている。こうした状況を踏まえて今回、医療非常事態宣言を発出することにしました。長野県の医療、本当に危機に直面している状況です。これ以上医療の負荷が増えていく、そして陽性者がさらに増えていくということになると、非常に深刻な事態になってしまうと考えています。そういう観点で何とか早期に新規陽性者数を減少に転じさせていきたいと考えています。そういうことをしなければ、当初からずっと申し上げてきていますけれども、県が目指しているのは、救える命が救えない状況にならないようにということです。そうした観点で今回、感染を早期に収束させなければいけないということで医療非常事態宣言を発出し、県としての対策強化、そして県民の皆さまへの呼び掛け、要請を行っていきたいと考えています。こうしたことを通じて2月の上旬までには全県の感染警戒レベルを3以下、1週間当たりの陽性者でいくと人口10万人当たり5を下回る水準に何とか持っていきたいと考えていますし、また受け入れ可能病床数に対する入院者の割合も25パーセント未満を目指して、県民の皆さまと一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
 県として強化する対策です。まず保健所体制を強化します。積極的疫学調査、先ほども県の本部会議で、現場の保健所の職員が大変頑張っている状況で私からもお礼を申し上げましたけれども、この感染を拡大させないという観点では、徹底的に感染経路を追いかけていく、そして濃厚接触者の方には検査を受けていただく、あるいは自宅待機をしっかり行っていただくと、こうしたことを丁寧に行っていくということが極めて重要だと思っています。そういう観点で保健所体制をさらに強化していきたいと考えています。それから療養体制の強化ということで、確保病床数350床ということでお話をしていますけれども、現時点でも臨時的に運用してご協力を頂いている医療機関が複数あります。そういう中で、この病床数は臨時的な運用も含めて、さらに50床程度増やしていきたいと考えています。また併せて広域的な受け入れ調整をしっかり行っていきたいと考えています。加えて、これはこの場でもこれまでも申し上げてきていますけれども、宿泊療養施設をさらに増設していきたいと考えています。自宅で療養されている方も増えてきているという状況になっていますので、そうした方に対する支援、健康観察、生活支援をしっかり行って安心な環境の中で療養いただけるようにしていきたいと考えています。ワクチン接種は市町村が実施主体になりますが、県としても広域的な観点から調整をしていかなければいけないわけですので、速やかに体制を強化して、ワクチン接種が円滑かつ速やかに行える体制を構築していきたいと考えています。一番重要なのは、お一人お一人の県民の皆さまがこうした状況を理解していただき、その理解していただいたことを行動につなげていただくことだと考えています。そういう意味で県として県民の皆さま、事業者の皆さまに要請、協力を、あらゆる手段を講じながら行っていきたいと考えています。
 今回、県民の皆さまへのお願いについては大きく3点強調したいと思っています。一つは人との接触機会を極力減らしてくださいということです。この場でも何度か申し上げましたけれども、感染症は別に一人で歩いていくわけではありません。人と人とが接触するところで、物を経由しての場合もありますけれども、感染が拡大することになりますので、そういう意味ではできるだけ人との接触機会を減らしていただきたいということを県民の皆さまには強くお願いをしていきたいと思っています。ご高齢の方、そして基礎疾患がおありになる方については大変不自由な思いをさせるところもありますが、ぜひ不要不急の外出を行わないよう控えていただきたいと思っています。医療非常事態宣言は本日から2月3日までの3週間を予定していますが、県民の皆さま、そしてご高齢の皆さま、基礎疾患をお持ちの方には、こうした私どもからのお願い、趣旨をご理解いただいて、このお願いに沿った行動をしていただきたいと考えています。それから2点目ですけれども、感染拡大地域への訪問は極力控えていただきたいと考えています。今11の都府県において、緊急事態宣言が発出されているという状況です。また本県をはじめとして、この新型コロナウイルスの陽性者の数が増加している都道府県があります。そういう意味で、これまでも注意喚起をしてきましたけれども、この時期、感染拡大地域への訪問は避けていただきたい、控えていただきたいと思っています。ただ受験等の時期でもありますので、そうした場合は、致し方ないと思います。そうした場合でも、万全の感染防止対策を講じて行っていただきたいと考えています。それから3点目ですが、大人数、長時間など感染リスクの高い会食、これについては控えていただきたいと考えています。どうしても食事の場面、お茶飲み話もそうですけれども、マスクを取ってということになります。マスクを取って比較的近い距離で会話をすることは、極めて感染リスクが高い行動になってしまいます。そういう意味で、大人数、長時間など感染リスクの高い会食は控えていただきたいと考えています。特に今回、括弧書きで「自宅、職場等も含む」ということを書きました。飲食関係の皆さまからは、何で飲食店だけ悪者にされるんだという声も伺います。ここでは何回も申し上げていますけれども、別に飲食店が悪いわけでは決してありません。その場面がリスクが高いということです。従って、ここに書いている、県民の皆さまにお願いをしているように例えばご自宅で多くの人を集めてパーティーをやるということは、これは控えていただきたいと思います。また職場の中で、みんなで集って飲食をすることも控えていただきたいと考えています。この会食の場面、感染リスクがどうしても高くなる場面ですので、県民の皆さまにはこうした状況をご理解いただいて対応いただきたいと考えています。そういう中で、行政としてはこの宣言に伴う県としての対応をしっかり行っていきます。そして県民の皆さまには今申し上げた3点を中心に呼び掛けて、徹底的な感染拡大の封じ込めを図っていきたいと思っています。それと併せて、ご高齢の方等については外出を控えていただく、そしてすべての県民の皆さまには人との接触機会を極力減らしていただくと、こういうお願いをするわけですので、どうしてもいろいろな事業者の皆さまには影響が出てくると考えています。これまでも多くの事業者の皆さまには大変なご負担を掛けながら、そのたびにご協力いただき、また県としてもいろいろな支援策を講じてきたところです。ここから3週間、まさに県民の皆さまと一緒になって取り組まなければいけない局面だと考えています。そういう意味で、県としても飲食店等の応援を行っていきたいと考えています。一つは、市町村や関係団体の皆さまと一緒に各地域でテイクアウト、あるいは宅配等に取り組まれている事業者を支援していきたいと考えています。これまで生産性向上事業等で、そうした仕組みを構築することについて、県からも補助金を出して応援をしてきています。まさにそうした形の新しい取り組みをもう一回動かしていただく状況になってきていますので、そうした観点で応援を行っていきたいと考えています。それからもう一つ、市町村と連携して利用拡大、県民の皆さまに頑張っている飲食店を利用してくださいと、飲食店を使ってはいけないということを言っているわけではなくて、感染リスクが高い場面でぜひ注意してくださいと、大人数、長時間は控えてもらいたいということを申し上げているわけですので、例えばテイクアウトを積極的に活用して応援いただくということは、県からもいろいろな皆さまに呼び掛けていきたいと考えています。それから、私は今、マスクを外して話していますが、アクリル板を挟んで皆さまと対面しているからです。飲食店の皆さまの中には、もうすでにアクリル板を設置して十分な対応をお取りいただいている方が大勢いらっしゃいますが、そうした対応はこれからだという方に対しては、このアクリル板の設置を応援していきたいと考えています。それから引き続きの支援ということで「テレワーク・キャッシュレス等の推進」、これまでも取り組んできていますし、「融資制度資金」、「持続化補助金」、あるいは「雇用調整助成金」、こうした支援が現時点でもご利用いただけますので、こうしたことで飲食を中心とする影響を受ける事業者の皆さまを応援していきたいと考えています。ぜひ産業・雇用総合サポートセンターにご相談、お問い合わせをいただければと考えています。
 それから、全国的に新型コロナウイルス感染症の陽性者が増えているという中で、県としても責任を持って対応していかなければいけないわけですが、その反面、国全体の課題ですので、政府に対してもさまざまな要請を行っていきたいと考えています。一つ目に書いていますのは、緊急事態宣言が各地で出される中で、例えば外出自粛等で影響を受ける事業者に対する支援ということが経済産業省から打ち出されています。まだ、どこまでが支援の対象範囲になるのか、必ずしも判然としないところはありますが、長野県にとっては、1都3県の、あるいは愛知県、岐阜県の緊急事態宣言は直接的に影響を受けます。首都圏からの観光客が長野県の観光客の約4割という状況ですから、そこで緊急事態宣言が出されているという状況は、私は率直に言って直接影響を受けているのが長野県の観光関連事業者だと考えています。そういう意味では、この支援は長野県の事業者に対しても行っていただく必要があると思います。そういう要請をまず行っていきたいと思います。また、これまで知事会等を通じてお願いしてきていることも含まれていますけれども、経営的に非常に厳しい事業者が多くなっています。持続化給付金の再度の支給であったり、あるいは雇用調整助成金の特例措置の延長であったり、さまざまな支援策を、全国でこれだけ感染者が増えている状況であれば、いま一度、政府として強力な対策を講じていただくということが重要だと考えています。こうした県としての取り組み、そして国に対する強い要請を行っていきますので、今回の対応で影響を受ける事業者の皆さまも大勢いらっしゃると思いますけれども、ぜひご協力いただき何とかこの難局を乗り切っていきたいと考えています。
 それから最後ですけれども、私からは、第一線で新型コロナウイルスとの闘いに臨んでいただいている医療従事者の皆さまに、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。また先ほど申し上げた飲食、観光、あるいは交通をはじめとして、多くの事業者の皆さまが昨年から本当に長期間にわたって、なかなか先が見通せない状況の中で事業活動、マイナスの影響を受け、しかしながらそういう中でも休業要請、営業時間の短縮、県からのさまざまな呼び掛けにご協力を頂いてきました。これまで一定程度、感染拡大に歯止めをかけてこられたのも多くの事業者、そしてすべての県民の皆さまのご協力があったからだと考えています。改めて心から感謝を申し上げます。この医療現場の危機的な状況です。そして、感染爆発を何とか防いでいかなければ県民の皆さまの命と暮らしを守ることが難しくなりかねない局面になっています。すべての県民の皆さまには、新型コロナウイルス感染症を何とか抑圧して、感染者数を減少に持っていって、そして社会活動や経済活動を一日も早く元に戻すことができるようにご協力を頂きたいと考えています。県としても、県の組織を挙げて、全力で新型コロナウイルス対策に取り組んでまいります。県民の皆さまにも、一層のご協力とご支援を賜りますよう心からお願いを申し上げます。私からは以上です。どうぞよろしくお願いします。

長野県医師会会長 関隆教 氏
 
この新型コロナウイルス感染症は、かれこれ1年たちました。これは世界中に広がっています。また、百年に一度と言われるような世界中に広がっている一種の大災害と考えています。そういう中で私どもとしましても、この感染症と何とか対峙すべく懸命の努力をしてまいりました。医療従事者としての誇りをかけて真剣に闘ってまいりました。まだまだ先は長いと思いますけれども、これからも私どもも闘ってまいりますので、どうぞよろしくご支援のほどお願いします。先ほど知事から医療非常事態宣言ということが発出されました。この言葉というものは、私どもとしては賛成です。まず一つには、ネーミングという点からいいと思います。それからもう一つには、この時期としてのタイミングもいいのではないかと考えています。この感染症の場合には昨年の4月ですか、国から緊急事態宣言が発令されました。それから1年近くたっていますが、その間にコロナというものがだいぶ分かってきました。それと同時に、特に若い方は無症状とか軽く済むのではないかと、こういう考えをだいぶお持ちのようでして、従って若い方をはじめとして全世代の方もそうですが、コロナ疲れといいますか、コロナ慣れといいますか、そういうものが出てきた感じでして、今回、第2回目の宣言が国から発令されたわけですが、第1回目と比べるとなかなか人出が減ってこない。少しずつは減ってきているのですが、なかなか減ってきていないと、こういう状況があります。特に若い方は、俺たちは若いから症状がない、あっても軽く済むと、こんな考えをお持ちの方が結構いらっしゃるようで、そういう意味で元気に外へ出て活躍されるということがあります。そうしますと、無症状の状況が多いので、症状が出る2日ぐらい前からウイルスがかなり出ます。ですから、本人も気付かないうちにウイルスをまき散らすと言ったら失礼ですが、拡散させてしまうということがあります。そして、職場や友達関係、それからまたお宅に帰られて兄弟や、それからお父さん、お母さん、そして一番困るのはお年寄りです。おじいちゃん、おばあちゃんにうつされるのが一番困るわけです。特に高齢者の方は基礎疾患をお持ちなものですから、たやすく感染しやすい。感染すると非常に重症化しやすいし、亡くなる方も増えてきています。きのうの全国の統計でも97名の方が亡くなられたという状況がありますので、非常にそこら辺のことのタイミングを心配していますので、ですから、内面から見てもガツっと来るものがいい。そういう意味でこの「非常事態宣言」という名前が私はいいと思います。緩い言い方では分からないと思います。ですから、そういう意味で医療における非常事態宣言、こういう名前が私は非常にいいのではないかと思っています。それからこの時期としては、タイミングとしては非常にいいのではないかと思います。昨日も私どもの日本医師会の中川会長が記者会見で申していました。一つには、いろいろなデータがそろって、そろったからその上でガツっと網をかぶせると、そういうことではもう遅い。先手先手を打って、先、先と手を打っていかなければ、とても間に合わない。この感染症というのは、ことに第3波は非常に感染のスピードが速いのが特徴ですから、そういう点では間に合わないと言っていました。それからもう一つは、国内ではすでに医療崩壊が進行していると言っていました。この医療崩壊の件について恐らくこの後、中村院長先生からお話が出ると思います。こういう2点について、中川会長からもお話がございました。われわれは日常生活の上でどうしたらいいのかということを考えてみますと、このウイルスというものは、ウイルスそのものは生きていくことはできないです。ですから、目とか鼻、口から人間の体に入りまして、そして人間の細胞に寄生する。そういうことで初めて生きていける、そして悪さをするわけです。こういうことがありますので、人が動くということは、ウイルスも一緒に動くわけです。ですから、この感染症を止めるには、人に対して人の流れを止める、動くなということです。基本的なことは、動くなということです。これがまず感染症の予防に対する第一歩だと思います。そして、その次には、知事から言われました時短です。夜の8時まではいいと、ではアルコールは夜の7時まではいいと、そういう話になってまいりまして、それなら昼間出ればいいではないか、こういう話になってきますので、そういうことでは困るということで、とにかく動くなということが大前提にあるわけです。そういうことをまず基本に持っていただきたいと思います。それから、まず日常の生活としては、私ども基本的な動作を地道にやっていくより仕方ない。「3密」を避ける、マスクをする、それからよく手洗いをする、手の指をよく消毒する。それからソーシャルディスタンスで1メートル、2メートルぐらいの距離は少なくとも取る。こういうことを心がけていくことが大事かと思います。これはそんなにお金のかかることではありませんので、誰でもできることです。こういうことを地道にやっていくより、これは仕方がないと思っています。こういうことで、私ども、これからも精いっぱい頑張るつもりでいますし、また阿部知事をはじめとして、行政の皆さまとも手を取り合いまして、私ども医療関係者も行政の皆さまと一体になりまして、今年も県民の皆さまの健康と命を守るために必死に頑張るつもりでいますので、どうぞよろしくお願いします。きょうはどうもありがとうございました

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 
現在、長野県内は、どこの医療機関も大変厳しい状況が続いています。警戒レベル5が発出されている松本広域医療圏の現状と、当院の発熱外来、そして入院の状況、今後の課題の4点についてご報告をしたいと思います。松本広域医療圏の概況ですが、松本医療圏は、昨年の12月20日までは比較的小康状態を保っていました。1日の発生が2人から3人という状態でしたが、年末年始から、もはや流行というのではなくて、爆発、まさに感染爆発と言えるほど患者が一気に急増しました。これについては三つ要因を考えているのですが、複数のクラスターが同時に発生したということ、それから複数の高齢者施設で集団発生が起きたこと、市内の病院で院内感染が発生したこと、これらすべてが懸念していた事態が重なって起きてしまったということが原因だと考えています。この根本にあるのは、クリスマスシーズンから年末にかけて会食や忘年会が続いたこと、また帰省される方や観光目的の移動が増えたことで、人と人とが接触する機会が格段に増えたということが根本的な原因だと考えています。資料でもあるのですが、1日の新規感染者が10人を超えることが連日続いています。当院でも12月30日に受け入れベッドを16床から25床に増やしましたが、1週間以内に満床になるという状況でした。松本は広域医療圏で、連携する五つの病院で受け入れ数を増やしたり、それから新規受け入れを開始する病院があったりして、何とかこの危機的状況を克服すべく、懸命な努力が続けられているところです。続いて、当院の発熱外来の状況です。発熱外来は現在もスタッフを増員していますが、多いときで1日に50人近くの来院があります。もちろん一般の患者とは動線を完全に分けて別の所で診察をしているのですけれども、発熱の他に脱水症状や下痢の症状も伴ったりとか、かなり症状が重い方が多いのが現状です。その50名近く来る方のうち十数名の方がコロナの感染者になります。感染者に対しては、その後、胸部のCT、検査を行ったりとか、あと採血を行って、この方が入院する必要があるのか、それとも施設療養が可能なのかということを判断します。私たち重症度判定と呼んでいるんですけれども、この重症度判定がかなり時間がかかります。そんなこともあって発熱外来が終わるのが大体夕方の7時くらいに終わります。その後、受け入れ先の病院の調整などが行われるので、入院が本当に夜間に及ぶということもあります。続いて入院ですけれども、当院は先ほどお話ししたように25人受け入れる体制になっています。25人の内訳は感染者が21人で、どうしても疑似症の方、疑いの患者さんが出ます。疑いの患者さんも感染者と同じ扱いになりますので、その方用のベッドを四つの25床を準備して運営しているところです。けさの時点で23名の感染者の入院があります。疑似症の方が3名いらっしゃるので、計26名ということで25名を超える、いわゆるオーバーフローの状態が続いています。さらに、ここに来て複数の高齢者施設で発生がありました。そのため高齢者が非常に増えています。先ほどの23人の感染者のうち11名、約半数が70歳以上の高齢者です。高齢者は認知機能が落ちていたりとか、それから入院という環境の変化によって、せん妄状態を起こすことが多いです。そのために指示がなかなか通じなくて徘徊、部屋から出てきてしまったり、あと排泄する場所を間違えてしまったり、それから点滴を抜いてしまうことがあったりして、本当に観察は目が離せない状態の毎日が続いています。看護師は本来の看護の他に、こういった日常生活の食事の介助とか、寝たきりに近い方もいらっしゃるので、おむつの交換などをしなければなりません。非常に負担が増しています。現在、こういった認知症状が強くて食事の介助とか、おむつの交換が必要な方が23人のうち5名いらっしゃいます。実はこの方たちも入院する前はお元気なのです。日常生活は自立しているのですけれども、10日とか2週間近く肺炎で入院している間にADL(日常生活動作)が落ちてしまって、寝たきり、いわゆる廃用症候群になる方が増えてきています。高齢者が多いということが一つの問題、もう一つは重症者が多いです。23人入院されているうちの12名、半数以上は、私たち「中等症2」と呼ぶのですけれども、酸素吸入の必要な患者です。この「中等症2」というのは非常に危ない状態で、次が重症ということになりますから人工呼吸器が必要になる状況、いわゆるぎりぎりの患者さんが非常に増えている。思い返すと第1波、第2波の頃は酸素吸入が必要な方は2割程度でした。明らかにこういった酸素吸入、酸素投与が必要な「中等症2」以上の患者が増えているという現状があります。続いて現在、懸念していることですが三つあります。一つは、入院に必要なベッドが本当に足りないということです。先ほどもご説明しましたが、連携する五つの病院で入院の患者の数を増やしたり、ベッドを増やしたりとか、新規受け入れを開始するなど懸命な対応が行われています。また入院ではなく、なるべく軽症の方はホテルで宿泊療養をお願いしています。また、保健所の方が非常に大変な毎日で、ご苦労いただいて圏域外にも依頼をすることをしていただいています。それでも足りない状況が続いています。そんなこともあり当院は25人の受け入れ体制になっているのですけれども、これをあしたから37人に増やす。一つの急性期病棟を完全に閉鎖して受け入れるという体制にする予定でいます。このことは、実はもう去年の4月から想定していたことで、発生する患者さんの、いわゆるまん延度に応じてベッド数を増やしていこうということで、最終形が37床という体制になります。ですので、これをファイナルステージという形で、ここで何としてもとどめないといけないという覚悟で職員は仕事をしています。ベッドのことで一つ懸念されるのは、コロナから回復された高齢者のリハビリ、それから退院後の受け入れ先がなかなかないのです。先ほどお話ししたように、施設に入っている方はお元気な方もいらっしゃいます。自立していた方が廃用状態になってしまいます。そうすると元の施設へ戻れるかというと、そこはもう閉鎖されているのです。それから、なかなか病院でもコロナにかかった方をすぐ受け入れるというのは無理なところがある。自宅というのも無理ですよね。そのようなことで出口が見つからないのです。そこが一つのネックになっているというところもあり、そういったコロナから回復された高齢者がたくさん増えてきているという現状もあります。ですから回復期のリハビリの機能を持つ病院へと、コロナの対応病院ではなくてもいいわけなので、転院とかそういった手段ができるといいかと考えています。それから入院に関してはもう一つ宿泊施設ですけれども、宿泊施設というと非常に軽症の方が入るというイメージがあるのですけれども、状態が悪くなって再入院される方も非常に多いです。看護師は不安です。コロナというのは急変もあるということを言われているので、一つ一つがすごく心配だと。コロナ以外の例えば頭痛があったり、熱が続いたり、腰が痛くなったりとか、10日間近く入院していますから寝られなくなったりとか、結構、便秘というのも多いです。今は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の制限があって、病院から処方ができないという制限があります。市販薬を使ってということを何とか工夫してやっているのですけれども。例えば私たち、もう少しマンパワーがあれば、毎日、定期的にその現場に伺って、オンライン診察でもいいので、患者さんの顔を見ながら診察をして薬を出すということをぜひ松本でも広げていきたいという、診療体制の強化ということになるのですけれども。このことは、医師会の先生方が考えていただいて話が進んでいるところでもあります。それから、重症の患者さんを受け入れる体制は昼間ならいいのですけれども、夜間の受け入れ体制というものをここでもう一回、再検討する必要があるのかなと感じています。懸念の二つ目はスタッフ不足です。特に看護師の不足は深刻な状態です。先ほどもご説明しましたように、看護業務は非常に多岐にわたる。それに加えて、さらに介護をしなければならない。非常に過酷な状況が続いています。コロナの感染症を担当するには、それなりのトレーニングが必要ですし、また、本人にはその気があっても家族とか、例えばPCR検査を看護師さんが受けたというと、ご主人の勤務先が会社へ来るのは少し控えてくださいとか、子どもさんが幼稚園へ来るのを控えてくださいということが実際はあります。そんなことがあって、なかなかチームに入れないという状況もあって、看護師の確保が本当に困難な状況になっています。コロナ患者を受け入れる目的ではなくて、看護師を確保することを目的に一般病棟を閉じなければいけないという受け入れ病院が出てきていることも事実です。一つの病棟を閉鎖することによって、そこに勤務していた看護師さんをコロナの病棟に充てるということが本当に現実に行われて、これが起きると一般医療に影響が起きてくるわけです。そんなことが実際行われていますし、当院も、もしこのまま看護師の確保が困難になれば、もう一つの別の病棟も閉鎖をしなければいけないのかなということも考えています。それから、三つ目は、一般診療に対する影響です。当院は27の診療科を持つ総合病院です。ですが、知事が言われるように、2月の上旬ぐらいまでには、ここ3週間、遅くとも1カ月以内には、コロナを早期に収束させる。そのためには、当院はコロナ診療に専念する必要があると感じています。そういうこともあって、あしたから37人受け入れ体制に移行するわけですが、それに当たっては、一般診療、緊急の手術はもちろん受けるのですけれども、緊急性のない手術とか、あと検査、検診、ドックも延期、または中止をせざるを得ない。そうなると周辺の医療機関にも非常にご負担を掛けるということにもつながってくるわけです。すでにそういった一般診療の制限が起きているという状態があります。幸い、松本医療圏は、医師会が中心になっていただいて救急医療の体制の調整をしていただいたりとか、先ほどお話ししたように市内の五つの病院、非常に連携が取れています。ですので、こういったチーム、チーム一体となって何とかこのコロナを克服していきたいと考えています。最後に、ワクチンが普及するまでの間、いかにして重症化を防ぎ、死者を出さないかというのが課題になると思います。しばらくの間、感染対策を徹底することはもちろんですが、会食を控えること、そして移動の制限などをぜひお願いしたいと考えています。都会と違ってデータで見ても感染ルート不明の方は2割に満たないくらいです。ということは残り8割は予防することが可能です。なので、皆さまお一人お一人が人と人との接触の機会を減らすために何ができるのかということをいま一度考えていただいて、それを行動変容につなげていただきたいと考えています。以上です。

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取材者からの質問

 1 新型コロナウイルス感染症への対応について

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 阿部知事にお伺いします。医療非常事態宣言の中で、今回記載されている三つの対策ですが、これまでも県で出していた対策と大きな意味では変わらなかったと思います。一般県民への自粛とか、そういったことももしかしたら選択肢の中にはあったかもしれないのですけれども、この範囲の中に収めた理由という部分をお伺いしてもよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 感染警戒レベルを長野県として定めている中で、レベル5の地域においては高齢者、基礎疾患のある方に対する不要不急の外出は控えてくださいということを言っています。例えば松本市であったり、あるいは小諸市であったり、そうしたレベル5の市町村に対して要請していることを全県に広げていくという形です。先ほど関会長、あるいは中村院長からもお話がありましたけれども、人との接触機会を極力減らしていただくということが、基本的な感染防止対策としては最も重要です。県としては、先ほど申し上げたように徹底していくということが一番重要だと考えていますので、さまざまな機会、さまざまなメディア、きょうお集まりの皆さまにもご協力いただきながら、しっかり呼び掛けを行っていきますし、徹底をしていきたいと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 県としてはこれまでも呼び掛けというのはやっていますし、またメディアなどで、こういった対策というのは周知されている部分は十分にあると思います。ただ、そういった中で帰省など年末年始、人の流れを十分に止めきれなかったことなどによって感染が増えたというお話が今もありましたけれども、なかなか理解につながりにくいというのが現状だと思います。知事はいろいろな機会を利用してとおっしゃっていたのですけれども、改めてお伺いするのですけれども、これまで以上に一歩進めて、そういった呼び掛けを徹底していくということに対しては、どういったものが必要と考えていらっしゃいますか。

長野県知事 阿部守一
 関会長もおっしゃっていただいたように、感染防止というのはいろいろな手法があるわけではなくて、人と人とが接することによって人から人に感染してしまうわけですので、唯一絶対、感染経路を断つということが基本です。例えば全国的には営業時間の短縮ということで、非常に幅広いエリアでの営業時間の短縮が行われています。県の手法は、局地的に抑え込むということで、小諸市の特定の地域に対しては営業時間の短縮を行っています。今回の医療非常事態宣言というのは全県にかけます。ただその一方で、これまで取ってきている対策は、しっかり状況を判断しながら局地的には行っていきます。ですから、例えば今後、一定のエリアの飲食店で複数感染が発生する例があれば、速やかにそこの地域に対する対策、これまでも行ってきましたけれども、例えばPCR検査を行うとか、あるいは営業時間の短縮をかけるとか、そうしたことで抑え込んでいきます。長野県はそれぞれの地域、これまで皆さまもご存じの通り、例えば一時期は長野市で非常に陽性者が増えました。あるいは一時期は上田市で陽性者が増えました。また一時期は中野市、山ノ内町、こうしたところで陽性者が増えました。その都度、保健所が積極的に濃厚接触者等の調査をして、そしてその地域に対しては強い対策、要請をして、これまでも抑え込んできました。これからも県民の皆さまの協力を頂きながら、そうした対策はしっかり行っていきます。こうした対策で、2月の上旬までに何とかレベル3以下に戻していくということが目標ですし、私は県民の皆さまの行動は信頼しています。先ほど申し上げたように県民の皆さまは、これまでの要請にも本当に真摯(しんし)に応えていただいていると思います。そういう意味で結果を出すということが可能だと思っています。

市民タイムス 田子元気 氏
 療養体制の強化で病床数を350床から400床にするということなのですが、コロナ専門病院化について検討される考えはおありかということと、病床数を増やしていく中で、どの程度まで今後、増やしていくことが可能であるのかということを伺えればと思います。

長野県知事 阿部守一
 専門病院をつくるということが可能かどうかというのは、私からも内部的に事務的には投げ掛けています。ただ、先ほども中村院長からもありましたが、長野県内の医療スタッフは別に無尽蔵にいらっしゃるわけではなくて有限です。そういう意味では、今この医療の逼迫(ひっぱく)の問題をお伝えしているわけですけれども、新型コロナウイルスが仮に存在しなくても医療現場の方は日常的に多忙な状況です。そこに新型コロナウイルスが加わっていますので、もともと最初からプラスアルファの要因になっているということがまず前提ですので、そういう意味で、もう一つのご質問の、県としては医療機関の皆さまに、先ほど申し上げたように、さらなる病床、臨時的な確保も含めてですけれども、病床確保をお願いしています。そして、真摯(しんし)にご検討いただいている状況ですけれども。ただコロナ病床が増えて、実際にそこに感染者の方を受け入れるということになると、中村院長のお話にもありましたように他の医療は削減しなければいけないという状況になりますので、私としては、どんどんコロナ病床を増やすということは、現実的にはなかなか難しいということもありますし、現場の感覚を共有すれば、それを安易にどんどん増やすということは、なかなか言えないというのが実情だと思います。そういう意味で、先ほどから申し上げているように、まさに長野県の医療の危機ですから、県民の皆さまお一人お一人に感染リスクが少ない行動、今回は三つの点を中心に呼び掛けて要請しますけれども、基本的なマスクの着用とか、手洗いの徹底とか、もちろん前提としてありますけれど、ぜひ感染リスクが少ない行動を選択していっていただきたいと思っています。

市民タイムス 田子元気 氏
 臨時的運用で50床確保される場所というのは、感染拡大されている圏域の医療機関ということでよろしいですか。松本圏域が大変な状況であるので、松本圏域の中でそのような対応を取られるのであれば教えていただきたいと思います。

長野県知事 阿部守一
 これはもう全県に呼び掛けています。

市民タイムス 田子元気 氏
 特にこの50床というのはどこでというところは明らかにはしないと。

長野県知事 阿部守一
 先ほども申し上げたように、全県で入院調整をしている状況ですので、陽性者が増えている地域だけ対応すればいいという状況ではありません。

読売新聞 松本将統 氏
 阿部知事に伺います。今回の医療非常事態宣言の発出は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を政府に要請するステップになる可能性はあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 県としては、感染拡大防止のための手段というのは常に持って考えています。先ほど申し上げたように、病床利用率だけから見ると国のステージ4に該当する形になりますけれども、その他の指標としては、緊急事態宣言が出されている地域と比べると、まだ違う状況が多いというのが長野県の状況です。例えば重症者の受け入れ可能病床数、国のステージ4というのは最大確保病床数の50パーセント以上ですが、本県は10パーセント台ですし、人口10万人当たりの療養者数はステージ4の場合25人以上ですが、だいぶ近づきつつありますけれども、まだ25人未満という状況です。実際1週間当たりの陽性者数を見ても、本県より多いところがまだ緊急事態宣言の対象になっていません。県としては、この医療非常事態宣言、それから地域的な対策をしっかり講じることで感染抑制を図っていきたいと思っています。その成果が出ることを願っていますし、そのために県民の皆さまのご協力をいただきたいと思いますけれども、そうした状況の中で歯止めがかからないということであれば、緊急事態宣言の発出を今回、福岡県は福岡県が要請しなくても政府がされているので、それは基本的にはそういう話だと私は思いますけれども。必要があれば、西村大臣とも話してお願いをすることもあると思いますけれども、今の状況では医療非常事態宣言で、ぜひ県民の皆さまにはご協力を頂き、感染拡大に何とかこの時点で歯止めをかけていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 中村先生に伺いたいのですけれども、松本広域圏では、350床の中で割り当てられている受け入れ可能な病床数、これを超えてすでに入院患者さんを受け入れているという状況なのでしょうか。

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 当院の37床というのは、昨年の4月に松本広域医療圏の連携体制の中で、すでにコロナのパターンA・B・Cということで設定がしてあって、想定された範囲です。実は松本市内は、多分もう新聞にも出ていますので名前を言っていいと思うのですが、松本医療センターさんが本来、重症者を受け入れる病院だったのです。重症の方を8名ぐらい受け入れるというのが松本医療センターの役割だったのですけれども、今回の爆発的な患者さんの急増ということで、急遽、医療センターではベッド数を増やして15人受け入れています。重症の方だけではなくて中等症の方、それから高齢の方も受け入れているということで、そういう意味では、医療センターさんは8床の予定だったのが15床受け入れていますので、その枠を超えて増やしたということになると思います。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 知事に伺いたいのですが、知事会見の資料の最初のページの方を拝見しますと、実質病床利用率53.1パーセントということで、この数字はずっと継続して紹介されているのですけれども、東京だったり、大阪だったり、神奈川だったり、そういったところに比べると県民から見てまだ低いと見えるのが実情だと実際思います。ただ松本市立病院の中村先生のお話などを伺いますと、もっとローカルな単位で言いますと、全然そんなどころではないという状況が分かってくると思います。そういう点で、広域圏単位などで病床の逼迫(ひっぱく)状況というのを数字で明示していくということが必要なのではないかと。全県的に調整するとは言いつつも、お話の中では高齢者の方など、なかなか遠くに搬送しづらいという話も聞いています。そういうことも踏まえますと、以前から申し上げていますけれども、うちの地元ではこれだけ大変なんだということを知らせていく必要もあるのではないかと思うのですが、その辺り知事はどのように必要性を感じていらっしゃるか、どのようにできるか。

長野県知事 阿部守一
 数字の問題ではなくて、この53.1パーセントをどう見るかという話をお伝えしたいと思いますけれども。実質病床利用率ということで言っています。350が分母、これはずっとそういう形でお話をしてきています。皆さんご承知の通り48床、重症者病床ということを申し上げてきています。今、重症者7名ですから、この350の中には48重症者用病床があり、しかしそこはまだ40とか使っている水準ではありませんので、350から引くと、いわゆる中等症以下の方は約300床というのがまずベースです。また先ほど中村院長からのお話もありましたように、また私も先ほどご説明したように、例えば中等症とかご高齢の入院患者、先ほど中村院長から丁寧にご説明いただいたのでよくお分かりいただけたと思いますけれども、中等症とご高齢の入院患者が多くなっています。そうすると軽症者の方を受け入れている、あるいはご高齢でない方を受け入れているというような、同じ1人、どうも世の中的には人数だけでカウントし過ぎだと私は思っていますのであえて強調しますけれども、同じ1人でも、その方がどういう症状なのか、どういう方なのかによって、医療スタッフがどれぐらい必要かというのは変わってきます。ですから、今の状況は中等症とかご高齢の方が非常に多くなっているということで、県全体で想定しているより人手が必要になっているという状況です。それから確保病床数の中には、例えば精神疾患の方とか、小児とか、そういう個別に対応していかなければいけない医療機関もあります。そういう病床もあるので、そうしたことをすべて勘案すると、50パーセントを超えているというのは医療現場の皆さまの実感からすると非常に多いと。私、あえて強調しますけれども、単に50だからまだ半分だということではなくて、もう50だということはぜひ理解していただきたいと思いますし、だからこそステージ4の水準がそういう設定をされているのだと考えています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 地域ごとの病床数とか逼迫(ひっぱく)度を出すということは考えていますか。

長野県知事 阿部守一
 それは前から言われているので、できるだけいろいろな状況は共有したいと思っていますが、例えば先ほどもお話があったように、いわゆる今の分母、分子に入っていなくても頑張って受け入れていらっしゃる医療機関とか、あるいは同じ数でも、例えば予定病床数が仮に10だとしても実際のスタッフの状況とか考えれば8でもう目いっぱいだという医療機関だってあるわけですので、そういう意味で逆に数字だけ一人歩きするのは、かえってミスリードしてしまう可能性もあり得ると思っています。できるだけ丁寧に説明はしていきたいと思いますが、単に数字だけの比較ということではなくて総合的に見ていただきたいと思いますし、きょう関会長、中村院長からも現場のお話をいただいたので、ぜひそういう実態を伝えていただければありがたいと思います。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 私どもとしても努力しますが、県民もどうやれば感染が減るのかは多分、去年の緊急事態宣言の時にやっているので、知らないわけではないと思うので。どれだけ逼迫(ひっぱく)度が理解してもらえるかというのが大事だと思いますので、先ほど申し上げた点も県の方にもお願いしたいとは思っています。

長野県知事 阿部守一
 実質病床利用率ということで、数字だけ見ると少なそうに見えてしまうのですが、実際は先ほどから申し上げている状況です。コロナ対策というのは、いつも言いますけれど、ゼロか100かとかいう数字でロジカルに割り切れる話ではなくて、どれだけリスクを下げられるかという話であったり、あるいは医療も人と人との対話の場面ですから、単に数字が1だから大丈夫だとか100だから大変だとかということだけではない苦労があるということは、ぜひご理解いただきたいと思います。

朝日新聞 田中奏子 氏
 松本市立病院の中村先生にお伺いしたいのですけれども。先ほど現場のそういう緊迫した状況をお伝えいただいたのですけれども、知事からも病床使用率50パーセントを超えているというものは現場からすると非常に多いと、長野の医療が危機的な状況だという話がありましたが、現場から見て医療の状況というのは、どういうふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 私も病床利用率の50パーセントというのは非常に高いと感じています。というのは、日本は非常に個室が少ないです。全部個室であれば1人ずつ入れるので計算は非常に楽なのです。ところが、例えば2人部屋とか、うちの病院でも4人部屋を広さを確保するために3人で使ったりとかしています。ではそこに3人入るかというと無理ですよね、女性と男性との関係があったりとか。あと、入院されている患者さんは非常に精神的に不安定になります。自身が加害者でもあり、被害者でもあるということで、うつ状態になる方が多いです。そうすると眠れなかったりとか、人のことが気になって個室にしてくださいという方も結構います。そうすると3人の部屋を1人で使わないといけないということになるので、そういったことも考えると100パーセントというのはなかなか難しい数字で、多分松本は今80パーセントくらいだと思うのですけれど、これでもうオーバーフローと私も表現しているのですけれど、50パーセントというのはかなり病床としてはもういっぱいになってきているという感覚です。

朝日新聞 田中奏子 氏
 知事にお伺いしたいのですけれども、広域的な調整という話があって、最近、困難になってきているという発言もあったのですが、それは一つの圏域では受け入れられなくて、広域的な調整を今までしてきたのだけれども、それもさらに難しくなってきているという状況ということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まだ、もちろん入院していただく形にはしていますけれど、一つは広域的な入院調整で、基本的には圏域内であれば当日入院していただくという形でやってきていますけれども、入院される前にCTを撮る場合等あるので、そうすると陽性が判明された方についても、翌日だけではなくて翌々日に入院しているケースもあります。また非常に医療が逼迫(ひっぱく)している状況ですので、原則としてこういう方は入院というルールが法令で決められていますけれども、逼迫(ひっぱく)しているときは医師の判断で入院しなくてもいいという運用ができる形になっていますけれども、一部の地域ではそういう運用も行っているという状況です。そういう意味では医療の受け入れ、入院の受け入れについては厳しくなっているというのが実態です。

朝日新聞 田中奏子 氏
 その陽性判明日の翌々日に入院するケースもというのは、入院が必要な人でも2日間待機せざるを得なくなっているということでよろしいのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 もちろん県も調整していますし、あとCTを撮ったり、医師に判断をしてもらう期間も必要になりますので、陽性になったらすぐどこかに入ってもらうということではなくて、どうしてもワンクッション置くので一定の期間はかからざるを得ないところがあります。しかしながら、従前であれば当日であったり、翌日には対応できていたのが、陽性者の数が非常に増えてきていますので、そういう意味では翌々日になってしまうというケースも出てきているということをお伝えしているところです。

中日新聞 城石愛麻 氏
 知事に伺いたいのですが、松本市立病院の先生から松本圏域の実情のご説明がありましたが、このタイミングで医療非常事態宣言を全県に出されるというのは、松本圏域と同じ状況が他でも今現在、見られているということでしょうか。例えば一般病床、病棟ごと閉鎖しなければならないですとか、看護師さんの負担が相当に大きくなっているというのは、松本だけではなくて他でも起きていることですか。

長野県知事 阿部守一
 長野県の場合、陽性者の発生状況も地域によって非常にばらつきがありますので、全県一律という状況では必ずしもありません。ただ、この医療の受け入れについては、二次医療圏で受け入れていただくことを原則にはしていますけれども、そうではなくて広域で調整せざるを得ないというのが今の状況だということは、先ほどからご説明している通りです。局地的に例えばうんと陽性者数、入院者数が少ない状況であれば、松本広域で陽性者が増えてくれば、松本広域にお住まいの人たちに強力なアラートを発して行動を変えてもらうということで対応が済むわけですけれども、広域調整をやってもなお、中村院長からお話しいただいた状況になっている圏域があります。従って、どこの地域ということではなくて、全県民にこれ以上感染させないように協力を頂きたいというのが今回の医療非常事態宣言の趣旨です。そういう意味で圏域単位で抑え込むという手法は取りますけれども今、長野県全体の医療が厳しい状況だということ、危機的状況だということをぜひご理解いただきたいと思っています。例えば松本はもう目いっぱいと、目いっぱい以上に受け入れていただいているという中村院長のお話がありました。他の圏域も非常に厳しい状況になっていますが、例えば圏域ごとにその地域の陽性者も受け入れなければいけないという部分もありますので、そういうことを考えれば全県的にはかなり厳しい状況と。ただ数字的にどうかと言えば、それは陽性者の数が多い圏域が最も逼迫(ひっぱく)していますが、全県でカバーしているというのが今の状況です。

中日新聞 城石愛麻 氏
 レベル5が発出されている地域、先ほど圏域ごとの逼迫(ひっぱく)状況は具体的な数字が一人歩きすると問題があるのでというお話でしたけれども。これは松本だけの状況ではなくて、他でも同じことになっている圏域はあると、それは言っても間違いないですか。

長野県知事 阿部守一
 佐久広域のレベル上げの時は8割以上という言い方をしていたかと思いますけれども、佐久広域であったり松本広域はかなり厳しい状況だと考えています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 松本市立病院の中村先生に2点お尋ねしたいと思います。先ほどお話の中で25人受け入れ可能とおっしゃっていたのですけれども、現時点で疑似症を含めて26人いらっしゃると、それでオーバーフローだと言っているのですが。この1人というのはどういう状況で受け入れていらっしゃるのでしょうか。

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 実は病室を一つ、トイレ・シャワー専用室というのをつくってありまして、そこに患者さんが利用していただく部屋があるのです。そこにベッドを入れて患者さんに入っていただいています。ですから、申し訳ないのですがトイレを利用する患者さんが入ってくるわけです。非常にご迷惑を掛けていると思うのですが、やむを得ないのでそういった利用の仕方もしています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 非常に厳しい中で皆さん、医療従事者の方が奮闘されているのを見て非常に頭が下がる思いをしました。その上でせっかくの機会なのでお尋ねしたいのですけれども、答えにくいのかもしれませんが、きょう医療非常事態宣言の発出に併せて、先ほど知事からご説明があったように、県が幾つかの措置を講じています。医療現場を預かるお立場から見て、今回のこの措置というのが十分なのかどうか、率直に伺ってみたいと思います。

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 今の状況は先ほど知事も述べられているように、10ある圏域を越えてお互いの広域医療圏同士が連携をしないといけないという状況だと考えています。ですから、それぞれの圏域の中でまず自己完結できるように、軽症、中等症、重症を診ることができる体制をしっかり作っておく。それでも重症が発生した場合には、信州大学もありますし、ECMO(エクモ/体外式模型人工肺)を持っている病院もあります。ですから、そこまでは各圏域が責任を持ってやって、それでも無理なところは今度、圏域を越えて10ある医療圏が協力し合う。各医療機関が英知を持ち寄って、それぞれが持てる能力を最大限発揮すれば、年末年始に移動した方が2週間たってちょうどピークを迎えている。今が本当に瀬戸際、正念場だと思うのです。ここを何とか乗り越えることができれば、今回の非常事態宣言が非常に有効で2月の上旬ぐらい、3週間後、1カ月後には何とか克服できるのではないか、またそうしなければいけないと考えています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 さらに何か現状で求めたいことというのはありますか。

松本市立病院院長 中村雅彦 氏
 私、課題の中でお話ししたのですけれど、高齢者が増えてくるということになると、高齢の方でコロナを克服されたお年寄りの受け入れ病院がなかなかないのです。ですから、コロナの指定病院でなくても、もうすでに感染の危険はないわけですから、リハビリのできるような、回復期のリハビリの機能を持つ病院とか、包括ケア病棟という機能を持っている病院がありますので、そういうところで積極的に患者さんを受け入れていただきたいと思っています。

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知事会見 本文

阿部知事からの説明

1 新型コロナウイルス感染症への対応について

長野県知事 阿部守一
 それでは第2部という形で、引き続き新型コロナウイルス対策です。まずは南信州圏域の「特別警報1」の発出についてです。南信州圏域全体をレベル4に上げて、「特別警報1」を発出して対策を講じていきます。直近1週間の新規陽性者の状況ですけれども、急速に南信州圏域が増加をしてきています。10を超え、すぐ20を超えてきているという状況ですので、きょうレベル4に上げて「特別警報1」ということで対策を講じていきます。今、医療非常事態宣言を出しましたが、基本的にはそれと同様の対策になります。事業者の皆さまには感染拡大予防ガイドラインの遵守について協力を要請して、県としてもしっかり徹底を図っていきますし、また職場における感染防止対策の徹底、クラスター対策の徹底を行っていきます。先ほど申し上げたように、医療非常事態宣言が出されていますけれども、地域に着目した対策は引き続ききめ細かくやっていきます。必要があればクラスター対策チームも派遣して感染拡大防止に努めていきますし、また特定のエリアで陽性者が多いという場合にはPCR検査を地域限定でも行っていきますし、場合によっては営業時間の短縮要請等を行うということも視野に入れて対応していきたいと考えています。今、佐久、松本、上田、諏訪、こうした地域が要注意の地域だと考えていますが、それに加えて南信州圏域についてもしっかりウォッチをしながら対応していきたいと考えています。圏域ごとの今の状況ですが、長野県それぞれの地域で全く陽性者の出方、数が違っていますので、引き続きそれぞれの地域の実情をしっかり見極めながら適切な対策を講じて、まずはその地域の中でしっかり封じ込められるように全力を挙げてまいります。
 それから応援職員派遣の話ですけれども、松本圏域においては福祉施設の従事者の皆さまに対するPCR検査を行っていくことにしました。その際、私が福祉施設関係の方から質問をされたのですけれども、検査をやってもらうのはいいことだけれども、検査をやって陽性者が出たときは、施設として運営が非常に難しくなるけれども、どうすればいいのだというお話がありました。高齢者福祉施設等で感染が発生したときには、関連の施設から応援を出してもらい、そしてさらにそこに応援に入るという仕組みをすでに構築しているところです。応援職員の派遣に登録いただいている、要は協力してもいいと言っていただいている施設が347施設、556名の方に、いざという時は応援するということで登録をいただいています。また、こうした皆さまは感染症の専門家というわけではありませんので、応援される職員に対して研修もこれまで行ってきているところです。幾つかの県でも同じような仕組みを取っていますけれども、県が把握している限りでは、これだけ多くの施設が協力いただいて、そしてこれだけ多くの従事者の方が、いざとなったら応援すると言っていただいているのは、長野県が最も多いのではないかと考えています。先ほど県民の皆さまを信頼しているということで申し上げましたけれども、これまでの対策も多くの皆さまのご協力を頂きましたし、今回この福祉施設に対しての支援についても多くの皆さまにご協力を頂けるという体制になっています。実際、松本圏域の施設に対してもすでに派遣をしているところです。今後、先ほども中村院長がおっしゃっていましたけれども、何とかこうした施設での陽性者が出ないようにしていきたいと思っていますけれども、いざ発生してしまったときにはこうした形で十分な支援が行えるように体制を取っています。関係の皆さまのご協力に改めて感謝申し上げたいと思います。
 それからもう1点、資料が無いですけれども、「高齢者施設等における自主検査の費用を助成」ということで、高齢者施設の応援の話をしましたが、もう1点、新型コロナウイルス感染症で重症化しやすい高齢者の方を守るために、高齢者施設等を運営している事業者の方に、従事者の方等がPCR検査を受けられるときに費用を助成する制度を新たに設けていきたいと考えています。検査の在り方についてはいろいろ議論がありますけれども、ここでも何度か申し上げたと思いますけれども、一定の検査前確率が高い集団、あるいは地域でやっていくということが有効だと考えていますので、そういう意味で県の感染警戒レベルの5以上が発出されている地域に所在する高齢者施設、あるいは障がい者施設等で働いている方を対象としてPCR検査を行った場合には、費用を補助していきたいと考えています。こうした取り組みで感染拡大を未然に防いでいきたいと考えています。私からは以上です。よろしくお願いします。

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取材者からの質問

1 新型コロナウイルス感染症への対応について

中日新聞 我那覇圭 氏
 医療非常事態宣言の関係で、3日までという設定というのはどういう理由からでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 3週間です、専門家懇談会でのご意見も頂いて3週間。基本的に対策の効果が現れてくるまで一定の期間がかかってきます。それを見極めた上で、その後の対応をどうするかということを考えていくことを考慮すると、3週間が適当だと考えています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 では専門家懇談会の意見を踏まえて、こういう設定をしたということですね。

長野県知事 阿部守一
 そうです。

中日新聞 我那覇圭 氏
 という話があったと思いますが、先ほどの対策本部会議の話で恐縮ですけれども、リモートとかの関係で職員の5割削減、そこら辺が聞き取りづらかったので、もう一度ご説明を。担当の方でもいいですが、教えていただけれればと思いますが。

長野県知事 阿部守一
 それは何を聞きたいですか。

中日新聞 我那覇圭 氏
 いつからどういう形で行うか。

長野県知事 阿部守一
 それは担当課から説明させます。

中日新聞 我那覇圭 氏
 ではあとで結構です。
あと知事がおっしゃっていた中で、国に対する要望、直接的、間接的、観光事業者の文脈の中でおっしゃっていた、今後、具体的な運びをどういうふうに考えていらっしゃるのか教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 本県単独で行っていくことをまず実施していきたいと思います。あと先ほど申し上げたように、例えば緊急事態宣言は発出されていないけれども、先ほど本県の観光の話をしましたけれども、緊急事態宣言の発出に伴って、直接的に影響を受けている事業者がいる都道府県はあると思いますし、あるいは本県もそうですけれども、緊急事態宣言は出されていないけれども、本県も営業時間の短縮をかけていますし、他県でも、緊急事態宣言を出されていないけれども、営業時間の短縮等の要請を行っているところがありますので、そうしたところと連携して国に要請していくということも考えたいと思っています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 いつとか時期はありますか、どういう形ですか。

長野県知事 阿部守一
 それは、もうできるだけ早くです。

中日新聞 我那覇圭 氏
 何か文書とか、直接行くとか、直接というのは今は難しいかもしれませんが。

長野県知事 阿部守一
 今はなかなか直接行きづらい状況ですので、東京事務所を通じて行う、あるいはリモートで行うという形になると思います。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 病床利用率の件で伺いたいのですけれども、1月1日は30パーセントの頭ぐらいだったのですけれど、この2週間ほどで50パーセント以上という右肩上がりで、先ほどの会見の中でも中等症の方とか高齢者の方が増えているというお話もありましたが、この2週間ぐらいでぐぐっと上がっているところの分析というものは、どういうものを考えていらっしゃいますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 分析というのは要因ですか。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 要因です。

長野県知事 阿部守一
 先ほど中村院長もおっしゃっていましたし、私も少し申し上げたことがあると思いますけれども、12月までと1月以降は全く局面が変わっています。関会長が先ほどおっしゃっていたように、非常に感染拡大が急速になっています。要因として考えているのは、一つは年末年始、人の動きが変わったということで、例えば今回、緊急事態宣言が出されている地域に行かれたり、あるいはそうした地域から帰省をされる方、そうした方から感染が広がっているというケースがまず一つあります。それからもう一つは、どうしても年末年始は親しい人同士、特に親族とか集まって会食する機会が増えてしまうわけですので、そうした親しい人同士の会食を通じて感染が拡大していると、こういうふうに考えています。従って、医療非常事態宣言の中でも、そうした部分については特に強調して呼び掛けをしています。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 年末年始のそういう人の動きが変わって急増しているという話は以前から伺っていたのですけれども、宿泊療養施設だったりとか、自宅療養という選択肢もある中で、この病床利用率が上がっているというのはどういう理由なのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 そういう意味ですか。ご覧いただく(会見資料1/スライド「療養者数の推移」)とお分かりになると思いますけれども、実は全体の療養者に占める入院者の割合というのは、かつてに比べると減っています。ここ最近の陽性者の方を見ますと、働き盛り世代とか、若者世代が多いということで、療養者の割合からすると入院患者の数はそこまで増えていないというのが現状です。そういう意味では、まだ感染者の数の割には何とか助けられているという状況ですけれども、これが先ほどから申し上げているように、基礎疾患がある方とか、あるいはご高齢の方が陽性者の中で増えてくると、一気に入院患者の数が増えていかざるを得ないという状況になります。同じ陽性者の数でも、先ほど同じ1でも、ただの1ではなくて、人の存在だということで申し上げましたけれども、全く状況が変わってくるだろうと考えています。そういう意味で、先ほどの呼び掛けの中でも、特にご高齢の方、基礎疾患がある方は不要不急の外出は控えてくださいということでお願いしています。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 では、現在こう上がっているのは、感染者が増加しているのに併せて上がってはいるけれども、高齢者とか基礎疾患がある人というのはそんなに多くなくて、比較すれば順当な上がり方だということでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 私も毎日、症例報告を受けていますけれども、新年になってからの陽性者は比較的若い世代の方が多い状況です。しかしながら、いつご高齢の方とか基礎疾患がある方の割合が増えてくるか分かりませんので、そういう意味でもそこは重要な部分だと思っています。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 病床利用率を計算する上で、今マックス350床ということですけれども、先ほど先生方のお話の中でも、申請の上では10床といっているけれども、スタッフの人数が足りなくて8床しか使えないということがあるとおっしゃっていました。そういうことを考えると、今350床というのをベースにしていますが、それよりももっと逼迫(ひっぱく)した状態になっているのではないかと思うのですが、その辺の計算の仕方というのはいかがでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 その通りです。だから先ほど申し上げたように、単に数字だけで判断されてはいけないだろうと思っています。中村院長もおっしゃっていましたけれども、例えば同じ3人、入院されているという状況があっても、ご高齢の方で、例えば認知機能に課題がある方がいらっしゃれば、それは非常に医療スタッフの手が取られるという状況になります。ですから数字だけの問題ではなくて、その時その時の状況によって医療の側の負担というのは相当程度変わってしまうと。中村院長もおっしゃっていたように、松本市立病院は350床のアッパーの運用をする方向で取り組んでいただいていますけれども、それ以前の段階でもかなり厳しい状況だというのは、先ほどご説明があった通りです。

日本放送協会(NHK) 西澤文香 氏
 そういう難しい部分を加味しての病床利用率というものですか。単純に数字だけではなくて、例えば重症者の方に関する、掛ける何パーセントみたいな、加算方式みたいなのでやったりとか、数値の考え方を見直すことというのはあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 県としても、できるだけ状況を分かりやすくお伝えしていきたいと思っています。ただ、全国的に何かそういう補正をして数字を出しているかというと、どこもそんなことはやっていないので、かえって分かりづらくなるという部分もなくはないので。実態をどう説明していくか、あるいは数字としてどういう数字が適当かというのは、常に考えていかなければいけないと思います。

人事課長 出川広昭
 職員の5割(執務室における従事職員数を通常時のおおむね5割減)の関係のご質問を頂きました。そもそも5割やるという理由については、県の職員が業務に従事する中で、感染が広がって業務を継続できないということがないようしっかりやっていこうという内容です。まず本日それぞれの所属に5割で取り組むんだという通知を発出してあります。速やかに所属においては準備してやっていくということになります。具体的な5割削減の方法ですが、大きく四つぐらいあるのかと思います。一つは在宅勤務、リモートワークをしっかり活用してやりましょうということ。それから勤務時間を変えていくということもあります。例えば土日に勤務してみたり、それから朝早く、今はちょっと寒いですが早く行ったり、少し夕方にシフトするとか、そういった時間を柔軟にやると。それからなかなか厳しい部分はありますが、お休みを取れる人は休暇も取っていきましょうと。それから会議室、それぞれ庁内に持っています。会議室を有効に使ってなるべく人が密集しない環境をつくっていくこと。こんな具体的な方法で5割削減ということをしっかりやっていきたいと思っています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 医療非常事態宣言の関係で2点質問させてください。県民への呼び掛けの関係で、人との接触機会を減らすというのが、この1年のコロナの経験の中で分かるようで何となく実際のところは分かりづらい面もあると思うのです。どういったことが県の考えている接触に当たるのか、基本かもしれませんけれども、そういったところを教えていただけますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 去年の緊急事態宣言の時は8割以上の接触機会削減ということは政府も呼び掛けたと思います。そういう意味で人との接触機会は極力は減らしてもらいたいということで、もちろん仕事等で出掛けるということで、やむを得ざる人との接触はたくさんあると思いますけれども、例えば県も率先しなければいけないということで在宅勤務を増やしたりとか、いろいろな工夫をしながら、人との接触の場面というのを減らしていってもらいたいと思いますし、そういう呼び掛けを強力に行っていきたいと考えています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 あともう1点。今回掲げた高齢者や基礎疾患のある方に対する不要不急の外出だったりとか、今の接触の関係も、これまで県として呼び掛けてきた対策であるといった質問がありました。先ほど県医師会の関会長も発言されていましたけれども、政府の緊急事態宣言が先行して発令されている1都3県についても人の外出がなかなか減らなかったと。感染症対策に住民の自粛疲れとか、気の緩みといったものが指摘されているという発言がありました。そうした一段強い要請をしている都道府県でさえ、他県の事例ですけれども、行動変容が起きなかった。その中で、今回の宣言で県民の行動変容の効果がどうなのかというところが不安というか疑問点が少しありまして。その辺り知事の効果の見通しについて教えてください。

長野県知事 阿部守一
 私のところには、陽性者が出たという報道がなされるだけでお客さんが来ませんという飲食店の方からも、いっぱい手紙を頂いたりメールをもらったりしています。確かに都会の状況を見ていると、緊急事態宣言、8時以降の外出自粛ということが当初強く言われたので、日中はいいですよ、という逆のメッセージに伝わってしまっている感じがありますが、県としては全然そんなことは言っていません。夜だろうが昼だろうが全く同じです。特にご高齢の方は、夜も昼もかかわらず不要不急の外出は控えてもらいたい。先ほど申し上げたように、ご高齢の方とか基礎疾患のある方は重症化リスクが高くて、本当に命に直結する問題ですから、そこはぜひご理解いただきたいと思いますし、これまでも周囲の方にも注意してくださいという呼び掛けをしています。それに加えて若い人たちも含めて人との接触機会を極力減らしていただくということをお願いしていこうというものです。緊急事態宣言の話が皆さんの頭に色濃く入っているのだと思いますけれども、ワンパターンだと私は思っています。ワンパターンというのは、政府が決めているのでみんな同じようなメッセージになっています。だけど県は県独自の医療非常事態宣言ですから、われわれのやり方でやっていくと。そして先ほどから申し上げているように、これまでもいろいろな地域で陽性者が増える傾向にありました。そのたびに抑え込んできています。今回も抑え込んでいかなければいけないと思っていますので、こうしたことをしっかり県民の皆さまにご理解いただきたいと思いますし、そのためには、メディアの皆さまにも、こうしたことをお伝えいただければありがたいと。特に、これは人から言われたことをそのまま考えているのではなくて、私はもうずっと考えています。高齢者は守らなければいけないと、先ほどからお話が出ているように、重症化リスクが高い方が入院されるということがあると、ご本人にとっても不幸なことですし、社会全体としても負担が大きくなるということは、ぜひ皆さまに理解していただきたいと思います。それからどうしても人から人に感染して拡大するわけですので、もちろん今の県内も12月以前に比べるとリスクは高いと思っています。だから人との接触機会を極力減らしてもらいたいと言っていますし、もう一つは、緊急事態宣言が出されている地域は長野県よりももっとリスクが高い地域だと考えています。長野県は陽性者の中でも濃厚接触者等のウエイトがまだ高い。感染経路が追えていない方もいますけれども、ある程度追えています。ただ東京の場合、例えば感染経路不明の方とかが多いわけですので、感染拡大地域への訪問は極力控えてくださいと。そして最後の会食のところは、どうしてもマスクを外して会話をするので、リスクが高いような会食はぜひ控えてもらいたいと思っています。緊急事態宣言が出されているところの何となく誤解感があるのは、何か飲食店が悪いと。ここで私、何度も申し上げていますけれども、別に飲食店が感染リスクの高い場所だということではなくて、会食がリスクが高いのです。だから自宅や職場、本県の事例でもこういう例があるから言っているのです。だから、これら三つをしっかり県民の皆さまにお伝えして、理解して守っていただくことができれば、感染を抑制することはできると考えています。

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 県内の感染事例に照らし合わせて考えられる県独自の対策としてはこれが上限というか、アッパーというか、そういった対策を組んだということですか。

長野県知事 阿部守一
 いや、全然上限だとは言っていないので。先ほども説明しましたけれども、例えば今、小諸の一定の地域の飲食店の皆さまには、大変申し訳ないけれども営業時間の短縮の要請をしています。東京都とかがやっていることと同じことをやっているわけでして、先ほど来ご覧いただいているように地域によって全然状況が違いますから、その地域の状況を見て、必要があればより強力な措置も講じることによって徹底的に、局地的に封じ込めていきたいと考えています。

市民タイムス 田子元気 氏
 国の緊急事態宣言に係る県の対応についてお伺いします。昨日7府県が追加されたことを受けて、県としては基本的に往来を自粛するという対応を取られました。先ほど1都3県のときは観光などで直接影響するというお話がありましたが、今回の追加によって隣接する県、岐阜や愛知が加わりまして、特に生活圏で一緒になっている方たちから一体どうしたらいいんだという声が、特に極力控えることが職場などでできない方もいらっしゃいます。そういった方に対して、非常事態宣言を出されたことについて、どのように対応すればいいのかというメッセージをお願いしたいのですが。

長野県知事 阿部守一
 以前の緊急事態宣言の時にも、例えば岐阜と木曽地域は人の交流があって、日常生活圏域は一体だというお話があって、どうすればいいのですかというお話がありました。基本は接触機会を減らしてもらいたいと思っています。例えばどうしても仕事で県境をまたいでいらっしゃる方とか、あるいは当時も言われましたけれども、医療で県境をまたがなければいけないと、そこはもう仕方ないというか、そこまで制約をかけているわけではありません。ただ行動においては十分気を付けていただきたいと思います。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 南信州の関係でお伺いします。今回のレベルの引き上げですけれども、南信州の傾向であるとか、今までも知事のお話の中で帰省であるとか、年末年始の関係で増えているというような見解でしたけれども、これも基本的にはそういうことで増えているということでよろしいでしょうか。さらにその中で地域的な特色、感染が広がっているような傾向があればお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 飯田圏域の今の状況は、特に飯田市で陽性者が多いという状況です。その中で一つは会食による感染事例、先ほどお伝えしている会食による感染事例が、1月13日までの直近1週間のデータですけれども約3割。そして家族内、知人間で感染が広がっている事例が約4割という状況です。ただ単発、要はリンクが追えない、どこから感染されたか分からないという方が約2割いらっしゃるという状況ですので、そういう意味では十分警戒しなければいけないと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 直近1週間が20人ですと、単純にこの数だけで言えばレベル5相当なのかなと思うのですが。もちろんこれだけで判断しているわけではないと思いますので、4であることの判断理由というのをお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 レベル4である判断理由は、一義的には基準の数字を上回ってきているということです。他の圏域でも、例えば圏域の中で特に陽性者数が突出して多いような場合には、レベル5上げということも市町村ごとに行っていますので、南信州の状況については、日々状況をしっかり見極めながら対応を行っていきたいと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 知事の説明の中で飯田市で多い状況ということでしたので、県が従来行っているような局所的な対応というのがこれまで同様、飯田市で強めに取られるという、そういう理解でよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 またきょうもこの後状況を報告してもらって、いろいろ検討していきたいと思いますけれども。私としては何ら予断を持って見ているわけではなくて、ニュートラルに推移を見て、必要な判断は速やかに行っていきたいと考えています。
 ありがとうございました。

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