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更新日:2021年10月7日
長野県知事 阿部守一
それでは2月5日の会見を始めます。本日は大きく6点お話ししたいと思います。その前に先日、医療非常事態宣言を解除ということでお伝えしましたが、県民の皆さまのご協力の中で解除できたということで御礼を申し上げました。加えてメディアの皆さまにも大変なご支援、ご協力を頂きましたので、改めて各メディアの皆さまにも私からは御礼申し上げたいと思います。さまざまなアラートの発出等をし、医療非常事態宣言、県民の皆さまに報道で分かりやすくお伝えいただいたおかげで、県民の皆さまの行動変容にもつながったと思いますので改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
そういう中で、きょう午前中に部局長会議を開催しました。その中で2月定例県議会に提出します予算案、条例案等について決定しましたので、部局長会議のテーマを中心にきょうは会見でお伝えをしていきたいと思います。まず予算案です。今回、令和3年度当初予算案と、それから令和2年度の2月補正予算案を一体で編成しました。合わせての数字ですけれども、1兆1154億7934万9000円ということで大きな規模になっています。令和3年度当初予算案だけでも1兆円を超える予算ということになっています。県としては県民の皆さまの今のニーズにしっかり応えていく上で、新型コロナウイルス対策、そして防災・減災対策を確実に進めなければいけない、あるいは喫緊の課題として対応しなければいけないということで、新型コロナウイルス感染症対応分で1776億円余、そして「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を活用して、487億4000万円余の予算をこの中に組み入れているところです。必要な課題にはしっかり予算配分をしながらも、片方で持続可能な財政運営にも留意をしたところです。今回のポインは大きく二つですけれども、一つは「しあわせ信州創造プラン2.0」に掲げている政策推進の基本方針に基づいて、こうした状況下ではありますがさまざまな施策を着実に進めていくということ、それからもう1点は、今申し上げたように新型コロナウイルス対応、あるいは度重なる災害から県民の皆さまの命と暮らしを守るための対応と、この大きく2点です。柱立てとしては大きく6本立てています。一つは「大切な命を守り育む」ということで、新型コロナウイルス対策をはじめとする命と健康を守るための取り組み。それから2番目としては、「コロナ禍の暮らしと産業を支え抜く」ということで、県民生活、あるいは地域産業の基礎が脅かされているという状況ですので、そうした県民の暮らし、産業を支えるという予算。さらには3、4、5はどちらかというと未来志向の項目ですけれども、今、コロナ禍で地方回帰の動きが出てきていますので、そうした中で、「人と企業をひきつける」ための取り組み。さらには、大きな4番目としては、DX(デジタルトランスフォーメーション/ITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させること)化、デジタル化が進んでいく中で、県民の皆さまの暮らし、あるいは産業、こうしたものを発展させていく、あるいはより快適なものにしていく上での「デジタル社会の構築」推進。そして「気候危機突破のため率先行動」。昨年、気候危機突破方針を策定しました。一昨年の12月には気候非常事態宣言を長野県として出しましたが、こうした状況の中でゼロカーボンを目指した取り組みを県民の皆さまと一緒に進めていきます。併せてゼロカーボンを実現することにとどまらず、地域の産業の発展や、あるいは県民の皆さまの生活の質の向上、こうしたことも実現していきます。そして最後6点目が「災害に強い地域社会と県土をつくる」ということで、まだ東日本台風災害からの復旧・復興も道半ばです。引き続き被災された皆さまの暮らしの再建、そして公共施設の復旧に力を入れていきますが、加えて災害に強い長野県づくりをさらに推進していきます。
個別の項目については「予算案のポイント(2月5日部局長会議資料/協議資料1-1)」に書いてありますが、2ページの「当初予算の姿」ということです。全体像はこうした数字になっています。特に今回の予算は新型コロナウイルス対応、それから2月補正部分には国の国土強靭化予算をかなり盛り込んでいますので、ベースの数字が分かりにくくなっています。真ん中辺に「うち通常分」ということで記載していますけれども、新型コロナウイルス対策対応分、それから「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」活用分、さらには、令和元年東日本台風災害対応分、この三つを除いた、平常時とは違う対策の部分を除いた数字が「通常分」というところに記載しているものです。令和2年度当初で8637億円、令和3年度当初で8604億円ということで、やや微減という状況ですけれども、基本的には8600億円程度が政策のベースとしてあります。こうしたものに新型コロナウイルス対策対応であったり、「防災・減災、国土強靭化」の加速化対策分が加わっているということでご理解いただければと思います。それから3ページですけれども、上は「実質的な一般財源の見通し」ですが、総務省がだいぶ頑張って、地方財政対策、一般財源総額確保ということで取り組んでもらいましたので、本県においても実質的な一般財源総額については、ほぼ横ばいという状況です。その下、「歳出の構造」ですけれども、令和2年度の当初予算に比べて約1割増加をしているという状況です。先ほど申し上げたように、新型コロナウイルス感染症対応等、当面やらなければいけない部分の予算を計上していることで、こうした状況になっています。それから4ページですけれども、「社会資本の整備」の関係です。帯グラフ、上段、下段と記載していますけれども、今年は大きくいろいろ変わっています。まず右側の「施設整備等」のところについては、県立美術館、あるいは県民文化会館の改修、あるいは学校の空調設備等、こうした大規模事業が終了したということで大きく減少しています。一方で国の加速化対応、「防災・減災、国土強靭化」分については2月補正の中でかなり積極的に計上していますので、そういう意味で左側の「公共事業」については、補正予算を加えると規模が前年に比べるとやや大きくなっているという状況です。それから5ページの「中期財政試算」については、令和3年度当初予算を基礎として、当面厳しい財政状況が続くものと見込んでいます。それから6ページ、「県債残高の見通し」ですけれども、今回、国の「防災・減災、国土強靭化の5か年加速化対策」を積極的に活用していこうということで予算を編成しました。県民の皆さまのニーズが高い、そして安全、安心をしっかり守り抜く上で重要な予算だと考えています。そういう意味で当面、県債残高、普通会計ベースでご覧いただいていますけれども、全体的には増加する形になります。しかしながら、臨時財政対策債、減収補填(ほてん)債、いわゆる財源措置として行われている起債と、それから「防災・減災、県土強靭化」に要する起債の部分を除きますと、毎年、着実に減少する形になっています。7ページですけれども、健全化判断比率については、下に「防災・減災、国土強靭化」の事業イメージが書いてありますけれども、今回、国も防災・減災対策をしっかり進めなければいけないということで、財政的には手厚い措置を講じています。交付税措置率も上がり、初年度は一般財源は要らないという形になっていますので、こうした措置を活用することによって、実質公債費率についても財政再生基準であったり、早期健全化基準という数字から比べると、かなり低い水準で抑えていくことが可能だと考えています。
それから次の資料(2月5日部局長会議資料/協議資料1-2)、「令和3年度当初・令和2年度2月補正予算案における主要施策」。先ほど6本柱をお話をしましたけれども、「大切な命を守り育む」、ここはコロナ対策の「医療・検査提供体制の確保・充実」ということが中心になっていますが、そうしたことに加えまして、自殺予防の取り組み、特に女性に特化した自殺対策を進めていきます。また、国においてもかなり積極的な措置を講じているところですので、不妊治療等への支援の拡充も行っていきます。不妊治療については経済的負担の軽減ということで所得制限を撤廃し、助成額についても拡充します。また、小児・AYA(Adolescent and Young Adult/思春期・若年成人)世代のがん患者等の妊孕(にんよう)性温存治療費の助成も行っていきます。こうしたことで、子どもを産み育てやすい、そうした長野県をつくっていきたいと考えています。それから4ページですが、「コロナ禍の暮らしと産業を支え抜く」ということで、時短要請等にご協力いただいた事業者の皆さまへの協力金であったり、あるいは「特別警報2」を発出した市町村に対する交付金について記載しています。事業者支援については後ほど説明します。それから大きな3番、7ページですけれども、「人と企業をひきつける」ということです。先ほども少し申し上げましたけれども、長野県、東京都との間では昨年、緊急事態宣言後、ずっと転入超過という状況が続いています。全国的にも地方回帰の動きが出てきていると言われていますので、そうした状況を積極的に受け止めて、長野県へ人と企業がしっかり移動してくる、そして長野県に暮らす人たち、あるいは長野県の企業もより定着度を高めていきたい、そうした施策を進めていきたいと考えています。移住関連のサイト、アプリ、こうしたものの強化をしていきますし、また農地付き住宅の提供も行っていきます。また今、東京都との往来がなかなかしづらい環境ですけれども、銀座NAGANOを拡充し、移住、あるいはテレワーク希望者に対する情報提供、相談体制を強化していきます。また、信州リゾートテレワークについてもさらに推進して、長野県の優位性をしっかり発信していきます。それから働き方としては副業を許容する企業も増えてきています。新しい働き方を広めていくという上では、こうした副業人材も県として積極的に活用していきたいと考えています。それから8ページですけれども、中小企業の事業再構築を支援していくということで、コロナ禍で非常に厳しい環境に置かれている産業分野がたくさんあるわけですけれども、その一方で、こうした危機がビジネスチャンスになる部分もあります。そういう意味で、企業のさまざまな事業再構築の取り組みを応援していきます。また、その下に「ポスト5Gに対応した次世代電子部品の開発支援拠点を整備」と書いてありますけれども、県内製造業の発展、特に電子部品においてはポスト5Gをにらんだ研究開発が重要ですので、そうした研究開発を支援する拠点を整備していきます。10ページ以降ですが、「デジタル社会の構築を進める」ということで、まず暮らしにおけるデジタル化の推進です。防災面では信州防災アプリ(仮称)を導入して、ICTを活用して防災力を強化していきます。また、三つ目、婚活にもAIを活用したり、また教育の分野においてもICT教育推進センターを設置して、ICTを活用した教育を長野県から定着、発展させていきたいと考えています。また、不登校の児童生徒をICTを活用して応援していきます。ご高齢の方、障がい者の方が取り残されることがないようにICTのサポートを行っていきます。11ページですけれども、行政においてチャットボット等でAIを活用して、さまざまな相談対応ができるようにしていきたいと考えています。また、非常時の業務継続体制を強化できるように、安全性の高い情報システム整備を行っていきます。それから、さまざまな産業の分野でもDXを進めていきます。AI、IoT等の先端技術の導入促進、あるいはスマート農林業、こうしたものについては取り組みを進めていきます。12ページですけれども、信州ITバレー構想もさらに進めていきます。特にIT企業、IT人材が住み着きたくなる、来たくなるような地域社会をつくっていきたいと考えています。そういう意味で、人材育成、あるいはコンソーシアムを活用したITビジネスの創出、こうしたことに積極的に取り組んでいきます。それから13ページ以降が「気候危機突破のための率先行動」です。分野別に幾つか考えていますけれども、まず交通分野においてはEV、FCVの利用環境を確立していきたいと考えています。こうした電気自動車等については、これから普及の拡大が見込まれるわけです。長野県としては、EV、FCVを活用しやすい、県外からお越しになる、観光でお越しになる方も、EVでお越しになられて観光を楽しめるような環境整備を行っていきたいと考えています。また、新年度に更新する公用車については原則、すべてEV、FCVへ転換をしていきたいと考えています。それから建物分野ですけれども、高断熱でエネルギー消費量が少ない住宅の普及に取り組んでいきます。まず第1弾としては、「信州健康エコ住宅」の普及促進に取り組んでいきます。また、県有施設についてもゼロエネルギー化に向けた取り組みを進めていきます。令和4年度開設予定の御嶽山ビジターセンター(仮称)については、再生可能エネルギー100パーセント化していきたいと考えていますし、県庁の本館についても省エネルギー化改修の可能性調査を行っていきます。それから14ページですが、ゼロカーボン、カーボンニュートラルへの動きを産業の活性化にもつなげていかなければいけないと考えています。そういう意味でグリーンイノベーションの推進ということで、長野県ゼロカーボン基金を創設しまして、産学官による革新的な再生可能エネルギーとグリーンイノベーションの技術開発を推進していきます。また併せて、再生可能エネルギーの普及もこの基金を使って進めていきます。それから再生可能エネルギー分野ですけれども、信州屋根ソーラーポテンシャルマップを活用して、太陽光発電の普及に取り組んでいきます。まず太陽光発電設備、あるいは蓄電池の設備の県民向けの共同購入の仕組みをつくって普及をしていきます。また小水力発電については、ポテンシャルマップを作成すると同時に収益納付型補助金の拡充を行い、小水力発電の加速化を図っていきます。それからエネルギーの地域内経済循環として、例えば県立大学についても購入する電力を県内産の100パーセント再生可能エネルギー由来の電力に切り替えていきたいと考えています。それから15ページですが、吸収、適応分野です。この分野については、森林県ですので、まずは県としてしっかり森林整備を計画的に進めていきたいと考えています。加えて、まちなかの緑地、緑化を進めて、グリーンインフラの整備も推進をしていきます。こうした取り組みを進める上では、多くの県民の皆さまの理解と参加、行動が不可欠ですので、県民運動の推進ということで、ゼロカーボン実現県民会議をスタートさせるとともに、多くの皆さまがお金による投票行動で社会を選び取っていただきたいということで、長野県版エシカル消費をさらに進めていきたいと考えています。そして最後の6点目ですけれども、「災害に強い地域社会と県土をつくる」ということで、ビルド・バック・ベターの観点で引き続き東日本台風災害等からの復旧を進めていきます。また、山あいの地域に暮らす方が多い長野県、そして大規模な河川が多い長野県ですので、この「防災・減災、県土強靭化」、今後5年間、着実に推進していきたいと考えています。17ページですが、その中でも治水対策は極めて重要です。河川整備も進めていきますし、地域からご要望も強い浚渫(しゅんせつ)事業、河川の浚渫(しゅんせつ)も昨年度と同規模で、これまでに比べるとかなり大きな予算を費やして、安全のための浚渫(しゅんせつ)事業を進めていきます。また、危機管理型水位計、あるいは河川監視カメラの設置、浸水想定区域図の作成等により、災害に備えたまちづくりを進めていきます。また、流域対策ということで雨水貯留の取り組みも推進していきます。避難所の環境整備ということで、避難所TKB、トイレ、キッチン、ベッド、関係の皆さまと連携をして環境改善に努めていきます。18ページが火山対策ですが、御嶽山ビジターセンター(仮称)については着実に整備を進めていきますし、引き続き名古屋大学とも連携して火山防災対策を進めていきます。
今回の予算、新型コロナウイルス対応、そして災害、防災対応ということに多くの予算を費やしていますが、その一方で未来に向けた取り組みということで、「人と企業をひきつける」、「信州回帰」プロジェクトであったり、DXの推進、さらには生活の質の向上や地域産業の活性化を視野に入れたゼロカーボンの推進、こうしたことを総合的に進めることによって、県民の皆さまの確かな暮らしを、より確実なものにしていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
そうした中で、新型コロナウイルス感染症で県内経済、あるいは県民の皆さまの暮らしが大きな影響を受けていますので、今回の補正、当初予算でもさまざまな支援策を盛り込んでいます。「新型コロナ対策推進宣言のアップグレード」、20億円というのは次に出てくる応援プロジェクトと合わせての数字ですけれども、新型コロナウイルス感染症がまだ完全に収束していない状況ですので、各事業所における新型コロナウイルス対策をさらに徹底していただくようお願いをしていきたいと思います。個別にお伺いして、対策についてのアドバイス等も行って、より対策を深めていきたいと考えています。それから「スノーリゾート安心確保対策」ということでは、今、白馬村についてスキー場関係者の皆さま、観光関係者の皆さまとも一緒になっていろいろな対策に取り組んでいますが、こうした対策を県内に広めることによって、スノーリゾートの安心度を上げていきたいと考えています。それから中小企業融資制度資金については、貸付けの限度額を6000万円まで引き上げると同時に、融資可能額を全体で1500億円ということで大きな枠を確保します。また、借り換えができる制度もつくりますので積極的にご活用いただきたいと思います。それから「ものづくり・商業・サービス補助金」、あるいは「小規模事業者持続化補助金」、こうしたものについては国の補助に県も上乗せをして、補助率は8割から9割ということで、かなり高い補助率で各事業者を応援していきたいと考えています。今のコロナ対策でさまざまな工夫をされる場合の事業の活用であったり、また新しい事業に踏み出していく場合の支援であったり、そうした事業者のニーズに合わせて補助金をご活用いただきたいと考えています。それから「テイクアウト・デリバリー等支援」については、県としてもしっかりPRを行っていきたいと思いますし、「信州の安心のお店応援キャンペーン」は、先ほど申し上げた新型コロナウイルスの対策推進宣言をしっかりやっていただくということとセットで対応を考えていきたいと思います。飲食店等がしっかり対応を行っていただいているお店に対して、支援する形でクーポン券等の発行で利用促進、需要喚起を図っていきたいと考えています。また、「観光需要の喚起」ということで、既決予算でまだ活用できる分もありますので、引き続きウインターリゾートの支援であったり、あるいは県民の皆さまの宿泊の支援を行っていきます。今回の補正予算においてもさらに20億円、この県民宿泊割等に充てられる予算を確保しています。お店の応援、あるいは観光の支援ということで、20億円ずつ予算計上しているところです。前のページ(会見資料スライド4ページ)の「事業者支援」はどちらかというと感染防止対策も含めて、あるいは事業転換も含めての対策ですが、こちら(会見資料スライド5ページ)の「事業者支援」はどちらかというと需要喚起策になってきますので、県内外の感染状況を見極めて対応していきたいと考えています。
それから暮らしと雇用の支援です。前段のところは事業者の皆さまへの支援策ですけれども、ここからは個人の方に対する支援策です。一つは、「生活福祉資金の特例貸付」ということで、今回、国の制度が総合支援資金についてはさらに拡充されています。今まで120万円が上限でしたが、180万円が上限という形になっています。上限額に達してしまっていた方については、ぜひこの制度の活用をご検討いただければと思います。この生活福祉資金、緊急小口資金と総合支援資金と二通りありますけれども、特に緊急小口資金については一定の要件に該当する方は返済しなくてもいいという形になります。また、国の要件に該当しない方でも、県独自で一部返済しなくていいという制度をつくっていますので、生活資金にお困りの方はこうした制度の活用を検討いただければありがたいと思っています。それから「住居確保給付金」についてですけれども、一度対象から外れた方については再度、3カ月再支給が可能という制度になっています。この生活福祉資金、住居確保給付金を一度活用したけれどもまだ厳しい状況だという方は、もう一度ご相談していただくと活用できる可能性がありますので、ぜひご相談いただければと思います。それから「ひとり親世帯臨時特別給付金」についても、これまでお伝えしてきていますけれども、2月26日までがこの特別給付金の受け付け期間になっていますので、対象になり得る方については早めにご相談をいただければと思います。それから「雇用対策」ですけれども、これまで講じてきたさまざまな就労支援策については、引き続き取り組んでいきます。加えて雇用調整助成金、あるいは休業支援金についても国の制度が拡充されてきていますので、こうした制度も活用いただけるように県としても応援していきたいと思っています。休業支援金等の申請のサポートですけれども、雇用調整助成金をもらった企業が休業手当を支払うということとは別に、本来、休業手当をもらえてもいい方がもらえていない場合については、こうした休業支援金等の制度がありますので、ぜひご活用いただきたいと思います。アルバイト、シフト勤務の方でも、こうした制度が活用可能ですので、ご相談いただきたいと思っています。まだまだ制度が十分知られていなかったり、制度があってもどうやって利用すればいいかお分かりにならない方もいらっしゃるのではないかと思いますので、社会保険労務士の皆さまの協力を頂きながら、できるだけきめ細やかな応援をしたいと考えています。ご自分がこうした休業支援金の対象になるか、ならないか、よく分からないという方もいらっしゃると思いますので、まずは労政事務所にご相談いただければ、できるだけの対応を行っていきたいと思っています。それから生活福祉資金の貸付けについても制度を拡充する形にしています。緊急小口資金、それから総合支援資金、こうした資金があるわけですけれども、総合支援資金については、さらに3カ月分上乗せしてお貸しする形の制度になっていますので、2人以上世帯の場合ですと月20万円掛ける3月ということで60万円、これまでの上限額を上回ってご利用いただける形になっています。それから一定の条件に該当する方については償還が免除されるという制度にもなっていますので、貸付金ということですけれども実質的には補助金という形になる方も、経済的に厳しい方は大勢いらっしゃると思いますので、ぜひご相談をいただければと思います。まずは市町村の社会福祉協議会に相談をいただいて、こうした制度がどう活用できるのか、ご自分が制度の対象になるのか、あるいは償還免除の特例の対象になるのか、こうしたことについてご確認いただき、活用いただければと思います。それから住宅確保給付金については、先ほど申し上げたように3カ月間延長をすることができます。一時収入が増えて支給が終了した方でも、要件を満たす場合には再度支給ができますので、年明け、長野県においても陽性者の数が増え、今でも10都府県で緊急事態宣言が出されている影響を受けていらっしゃる事業者の方も多いと思いますので、そうしたところで影響を受けている個人の方で、住宅家賃について支払いが困難だという方はこうした制度もご利用いただければと思います。
いろいろな相談窓口がありますが、どんなご相談でも、まずはお困りごと相談センターにご連絡をいただければ対処していきたいと思っています。「長野県 コロナ 相談窓口」ということで検索いただければと思います。また、いろいろな生活支援の制度もありますので、これも「長野県 コロナ 生活支援」ということで検索いただければと思います。引き続き県も広報していきたいと思いますし、メディアの皆さまのご協力が非常に重要ですので、さまざまな支援策があります、さまざまな支援策があってもなかなか利用される方に伝わっていなかったり、利用の仕方が分からなかったりすると非常にお困りになられる方が多いと思いますので、ぜひメディアの皆さまにもご協力いただければありがたいと思っています。さまざまな生活支援については、県内24カ所の「まいさぽ」、生活就労支援センターがあります。自分はどうすればいいかよく分からないという方もいらっしゃると思いますので、とにかくご相談いただきたいと思います。
それから緊急事態宣言も出されているさなかですので、引き続き飲食、観光産業にかかわらず、広い産業全般に対して、県としても国に対してさらなる十分な支援を求めていきたいと考えています。大きく三つですけれども、一つは持続化給付金とか家賃支援給付金の再度の支給、要件緩和を引き続き知事会を通じてもお願いをしていきたいと思っています。それから緊急事態宣言対象地域からの直接、間接の影響を受ける事業者に対しての一時金の支給という話が出ていますが、長野県の特に観光関連産業は直接的な影響を受けていると考えていますので、幅広くそうした事業者を対象にするように強く求めていきます。それから最後、「Go To キャンペーン」が停止状況ですけれども、感染が落ち着いている地域にあっては、限定的に適用するというようなことも含めて検討してもらいたいと、こうしたことを国に要請していきます。新型コロナの生活支援、産業支援、本当に昨年から引き続いて取り組んできていますけれども、まだまだ厳しい状況が続いていると考えています。多くの事業者の皆さま、そして県民の皆さまの声にしっかり耳を傾けながら、必要な支援をこれからも講じていきます。
長野県知事 阿部守一
ここからは予算とは離れて組織の話です。4月の組織改正で大きく三つ記載(会見資料スライド15ページ)しています。一番上がDX推進課を設置するものです。これから長野県組織自体のDX、あるいは県内のDXを進めていく上で、これまで情報政策課、先端技術活用推進課、さらには業務改善に関わるものについては総務部が所管をしていましたけれども、そうしたものを一本化してDX推進課を設置して、デジタルインフラを整備する、庁内の新しいシステムの整備等はデジタルインフラ整備室で行っていくという形で、DX推進体制を強化します。それから2点目ですが、今、子どもたち、若者たちが困難に直面していますし、なかなか希望を持ちにくい状況もあります。そういう意味で、子ども・若者支援策を統合的に進めていく上で、「こども若者局」を設置します。それから3番目ですが、「部次長の配置」ということで、今までの長野県の組織は部長の下は課長ということで、シンプルと言えばシンプルな組織でしたけれども、部局横断で取り組まなければいけない課題が増えている、ほとんどの課題が部局横断の課題と言っても過言ではない中で、横断的な課題への対応、あるいは調整、こうしたものを担う「部次長」を配置して、より機動的に、そして新しい課題も積極的に受け止められるような県組織にしていきます。他にもいろいろ改正がありますけれども、大きなものを三つご紹介しました。
長野県知事 阿部守一
それから廃棄物の処理計画ですが、本日の部局長会議で廃棄物処理計画、来年度から5カ年の計画を決定しています。これまでのリデュース、リユース、リサイクルの3Rに加えて、化石燃料由来のプラスチックから代替素材への転換を促すというリプレイスを加えて、4Rの推進ということをうたっていることが一つの特色です。また「つくる責任 つかう責任」(SDGs(エスディージーズ/国連が定めた持続可能な開発目標)のゴール12)を意識することで、SDGsの推進も強く意識した計画にしています。また、食品ロスの削減、あるいはエシカル消費等も盛り込んでいます。5年連続で1人1日当たりのごみ排出量が全国一少ない長野県ですので、今後とも県民の皆さま、事業者、市町村とも連携して廃棄物の削減に取り組んでいきます。
長野県知事 阿部守一
それから流域治水の推進計画ですが、先ほど防災・減災、国土強靭化、あるいは県の予算の中でも災害の話をしましたけれども、流域治水を推進する観点で、このたび長野県流域治水推進計画を策定しました。近年の水害の頻発化、激甚化を踏まえて策定したものですけれども、これまでの河川整備という狭い意味での治水対策にとどまらず、市町村、県民の皆さま、事業者の皆さまのご協力を頂いて、流域全体で治水に取り組んでいく「流域治水」という考え方での計画です。流域における雨水貯留等の取り組み、あるいはまちづくりや避難の取り組み、こうしたことを通じて長野県全体の治水安全度を向上していきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
最後に新和田トンネル有料道路の一般道路化についてです。新和田トンネルについては、これまで料金徴収期間を令和7年3月29日までということにしていたわけですけれども、このたび建設費、あるいは維持管理費等の償還が令和3年度末で完了する見込みとなったことから、有料道路事業を終了し、令和4年4月1日午前0時に一般道路化をしたいと考えています。この議案を2月議会に提出したいと考えています。折しも令和4年は諏訪地域で御柱祭が開催される予定になっていますし、また善光寺の御開帳も予定されているわけですので、何とかコロナを収束させて、新和田トンネルも一般道路化して多くの人たちが行き交う、そうした県になるように取り組んでいきたいと考えています。私からは以上です。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
今回の予算の関係でお伺いします。当初、編成の段階から5パーセントシーリングを一部で求めるなど、非常に厳しい中での補正だったと思います。国の3次補正などもあって最終的には大きな額の予算になったのですが、感染状況も刻一刻と拡大から収束傾向に変わっていって、医療体制であるとか、あとは経済の支援というところで非常に難しかった部分があったと思います。編成作業を終わって知事の率直な思いというものを、どういうものであったかというものをお伺いしたいのですがよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
今回の予算編成自体が新型コロナウイルスと闘いながらの編成という形になりましたので、コロナ対策もしながら予算の議論もしなければいけないということで、内部的な話ですけれども、時間的に検討するのは苦労を要した部分があります。予算の内容としても、新型コロナ対応分と防災・減災の加速化対策分で、かなり多くの予算を活用する形になっていますので、そのこと自体は当面する課題にしっかり向き合うということで必要なことだと考えていますけれども。その一方でその他の本来、未来志向でやっていかなければいけない施策の議論もおろそかにならないようにということで、先ほど申し上げた「信州回帰」だとか、DXだとか、気候変動、こうしたものもしっかりした内容を盛り込めるように努力をしました。財政課をはじめ各部局の努力もあり、いい形の予算、いい形というのは金額的には非常に大きな予算になっていますが、さまざまな財源も有効に活用しながら編成をしましたので、長期的な財政の持続可能性も維持しながら、いい形の予算を組むことができたと考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
長期的な持続可能性を維持しながらというご説明があったのですけれども、部局長会議の中で行財政改革の方針策定というものがありました。このタイミングでこれに取り組むという部分で、予算とは離れてしまうのですが、この趣旨を説明いただいてよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
行政・財政改革については、積極的に投資をしていこうということで、この防災・減災対策を進めていきます。また、その一方で新型コロナ対応についても国の財源を有効に活用しながら対策を進めていきます。先ほどご覧いただいた中期財政試算、毎年今の時期に出していますけれども、基金残高については一定の減少傾向が毎回出ているわけです。県としては社会経済環境が大きく変化をしていく局面です。県の仕事の仕方も、去年から今年にかけてオンラインでいろいろな会議を開いたりとか、イベントを行ったりということも行ってきています。県のシステムも再来年度からは新しいシステムを導入して、より安全性を高めたり、県民の利便性を高めていきたいと思っています。そうしたことと併せて行政の在り方、そして財政の在り方をいま一度しっかり一から見直していくということが必要だと考えていますので、そういう意味で、新しい行政・財政改革方針を作っていくということにしています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
県債の関係で今の財政と絡めてのお話ですが、県債全体は増えていて、一方で有利な財源を使っているので、通常債自体は減額になっていくというお話もありました。知事のおっしゃるように災害対策であるとか、必要な部分というのは、もちろん重要であるとは思うのですが、有利な財源を使ったとしても、どうしても県で持ち出す部分は増えてきてしまうと思います。その辺のバランスというのは、今後非常に難しくなるかと思います。この見通しの中でも通常債、5カ年の加速化対策を活用した部分でもかなり額が大きくなっていくと思います。その辺の将来を見据えた投資というものと県の財政状況をどのように考えて、どういうふうに実施していくか、執行していくかということについてお伺いします。
長野県知事 阿部守一
今回の予算編成で留意したのは、今回、非常に多額の予算になっていますので、直ちに財政の持続可能性を損なうことがないようにということには留意しました。しかしながら一方で、社会経済環境は大きく変わっていく可能性があります。ポジティブな変化もありますし、またこのコロナ禍を過ぎた後、例えば経済がどういう形で、V字回復をしていく形になればそれが一番望ましいと思いますけれども、どういう形で回復してくるかがなかなか見通せないと。また、県も予算編成の場合、国がどういう地方財政対策をするかということでかなり影響を受けるわけですけれども、今年は一般財源総額、かなり総務省も頑張って確保していますけれども、国も財政が厳しい中で次年度以降がどういう対応になるかというのはなかなか見通しにくいところもあります。そういうことを考えると、県としては持続可能性を高めていく上で今後の財政の在り方、そして県民の皆さまの満足度、あるいは職員の満足度を高めていく上での行政の在り方というものをしっかり考えていく。それで今回新たな行政・財政改革方針の策定に取り組んでいこうという考えです。
読売新聞 松本将統 氏
予算ですけれども、これだけ過去最大の規模になったということで、知事の認識としては積極予算とはほど遠いかなという認識でいますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
選択と集中ということで言ってきていますけれども、めりはりを付けた予算編成をしたと思っています。例えば、財政の資料の「令和3年度当初予算の姿」のところをご覧いただくと、かなり三角(▲)が立っているところがあります。総額はかなり大きいですけれども、一方で三角(▲)が立っているところもたくさんあるという状況です。例えば、投資的経費のところも、補正と当初と併せて見ていかなければいけないですけれども、国の財源を活用した公共事業費を増やしていますので、県の単独事業についてはできるだけ抑制しています。そういう意味で、伸ばすところは伸ばしながらも、できるだけ抑えぎみのところは抑えているという形の予算にしています。一方でコロナ対策とか国土強靭化の加速化対策については、しっかりやっていかなければいけないという中で編成をしていますので、積極的に予算計上しているところと、その反面、抑制的に計上しているところが例年以上にめりはりが付いている形にはなっていると思っています。
読売新聞 松本将統 氏
コロナがこれだけ膨張してしまったということで、例えばもうこれ以上削減できなかったという認識ではあるわけですか。
長野県知事 阿部守一
もちろん必要なところにはしっかり予算を付けなければいけないということで取り組んでいますが、先ほどもお話があったように、今回シーリングをかけていますので、そういう意味では、例えば元気づくり支援金であったり、あるいは県単独の公共事業費であったり、そうしたものについては削減をしています。その一方で、今やらなければいけないものについては積極的に予算計上をしていると、そういう状況です。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
引き続き予算編成の関係で質問をさせてください。昨年度予算も台風19号災害でかなり厳しく不要不急の事業の見直しをしたと捉えています。今年度、新型コロナがさらに発生しまして、さらなるめりはりという話も先ほどありましたが、かなり厳しくやったのではないかと思うのですが。縮減させる上で苦労した点、具体的にもしあれば教えていただけますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
苦労した点というか、私としては大枠で要求段階でまず5パーセントシーリングということで、各部局でしっかり見直しすることを考えてもらったというのが一つあります。部局長裁量経費ということで、できるだけ各部局が主体的に編成してもらおうということで取り組んできていますけれども、その部分でかなり抑制をしましたので、各部においてはかなり頭をひねりながら編成をしてもらったものと思っています。加えて、先ほどもオンラインの話等をしましたけれども、このコロナ禍で仕事の仕方もだいぶ変わってきました。例えばペーパーレス化であったり、だんだん部局長会議もペーパーレスでやるようになってきていますが、全体的なペーパーレス化であったり、あるいはウェブ会議の活用であったり、こうしたことを進める中で仕事の仕方を見直しながら経常的な経費もだいぶ抑制をしてきていますので、引き続き来年度以降もポジティブに受け止めて、継続するものは継続していきたいと考えています。そういう意味で、コロナ禍でだいぶ環境が変わり、また、例えば生活支援、産業支援のところはかなり手厚く取り組まなければいけない状況ですので、しっかり予算付けしていますけれども、その反面、内部的な経費等を含めてかなり抑制をしていく中で編成をしたというのが今回の予算の内容になっています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
組み上がった当初予算を見ますと、国からの臨時財政対策が大きく付いて前年度並みの歳入も見込めることとなっています。先ほども国からのこうした措置で頑張っていただいたという発言がありましたが、この国からの措置があったがゆえに減収補填(ほてん)債の発行なども避けることができたという面もあると思います。今回のこの予算編成における、そうした国からの財政支援について思うところをもう少し所感を教えていただければありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
例えば、総務省にも減収補填(ほてん)債の対象経費を拡充してほしいということとか、昨年度予算のときもそうですが、浚渫(しゅんせつ)についても今まで起債対象にならなかったので、一般財源で必要なところを全部やりきるのはかなり財政負担が大きかったところを、浚渫(しゅんせつ)事業債をつくってもらったり、あるいは、今回も例えば地方消費税を減収補填(ほてん)債の対象税目にしてもらうとか、だいぶ制度上の工夫を国にまずしてもらったと思っています。それからもう一つは先ほど申し上げたように、一般財源総額の枠、全体の枠をしっかり確保してもらえたということで、長野県に限らずどこの都道府県、市町村も今年の予算編成、かなり厳しい局面になるということで臨んできていると思いますけれども、一定程度そうした措置を講じていただくことによって何とか予算編成をしっかり行うことができたと思っていますので、そういう意味で国の措置に助けられている部分もあると考えています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
話題は変わりまして、東京五輪の森喜朗組織委員会会長による女性理事に対する発言が批判を浴びています。この問題について知事のご所見をお伺いしてもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
長野県もオリンピック・パラリンピックを開催した地ですけれども、性別であるとか国籍であるとか、そうしたことにかかわらずスポーツを通じて人と人とが交流することがオリンピックの理念として極めて重要だと思います。いろいろ議論がされているわけですけれども、世界に対して日本の考え方、日本が理想とする方向性を今後しっかり発信をしていってもらいたいと思います。
中日新聞 我那覇圭 氏
現在のコロナ禍について、それがあるから今回の大規模予算を編成されたと思うのですけれども、コロナ禍をどういうふうにこう表現、見ていらっしゃるかを教えていただればと思います。人によっては非常時だとか、場合によっては戦時みたいな言葉が出たりもしますけれど、知事はどういうふうにご覧になっていますか。
長野県知事 阿部守一
局面というか、見方の部分であまり単純に言いにくいところもありますけれども、県が政策を進める観点としては災害と同様のスタンスで臨んでいます。それはどういう意味かというと、先ほどの部局長会議でも少し申し上げたと思いますけれども、普通の事態であればやらないようなことまでやらなければいけないというのが今の局面だと思っていますので、そういう観点で言えば災害時と同様のスタンスで対応をしてきていると考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
やらないといけないことまでやらないと、というのはどういう意味ですか。
長野県知事 阿部守一
平常時であれば考えないようなことまで考えなければいけないということで、例えば、昨年から今年にかけて本当にいろいろな産業の支援策を行ってきました。先ほど言わなかったですけれども、今回の予算の中でも、例えばバス事業者、鉄道事業者に対する支援ということも行っていきます。通常時であれば、基本的には自助努力の中で行っていただかなければいけないということが基本ですけれども、コロナ禍の中、さまざまな業種が経営困難に直面しているという状況の中では、平時では行わないような支援も含めて、県としてこれまでも支援策を講じてきましたし、これからもそうした措置が必要だと考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
災害というお言葉がありましたけれども、災害というと、もちろん長期化するような災害もあると思いますけれども、ただ、自然災害だったらある程度の期間というか、限られた一定の期間だと思うのですが、今回のコロナ禍というのは、ワクチン接種が始まりますけれど、まだ先が見通せない状況なのかと理解しています。そういう状況、もしかしたら続くかもしれない中で、今後の予測は難しいと思うのですけれども、これぐらいの予算編成の規模というのは、今後も続いていく可能性があるのかどうか、知事はどういうふうにお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
それはこのコロナ対応がどうなっていくかということに一義的にはよると思います。防災・減災、国土強靭化は、これから5カ年間は着実に進めていかなければいけないと思いますので、ある程度今後、しっかり頑張って取り組んでいきたいと思いますが、新型コロナウイルス対応は感染状況に応じて、全く対応、対策の中身も変わってくると思います。感染が一定程度落ち着いたときには社会経済活動が動く前提での支援策になりますし、そうではないときには、社会経済活動を止める前提での支援ということになりますので、新型コロナウイルスが存在する限りはどういう対策を講じるかというのは、しばらく頭を悩まし続けながら進めなければいけないと思っています。一方で、ワクチン接種も始まってきますので、何とか新型コロナウイルス感染症が収束していく、そういうことにつながる努力もしっかり行っていきたいと考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
あと予算の財源の関係で1点お尋ねしたいのですが、臨時財政対策債についてお尋ねしたいと思います。今回の予算でも寄り掛かっている部分が結構あると思うのですけれども、これまで例えば予算編成方針の中で国に対しては臨時財政対策債に依存しない地方財政制度の確立を強く求めるとおっしゃっていて、なのに使っているというか、要するに依拠しているところ、どういうふうに考えればいいのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
臨時財政対策債については、国の制度としてはなくしていってもらいたいと思っています。その反面、臨時財政対策債は本来県の立場からすると、国から交付税でもらうべき金額ですので、臨時財政対策債という制度に置き換えられている以上は活用していかざるを得ないという状況です。国も非常に財政が厳しい中で、臨時財政対策債、これまで比較的、着実に減少基調に持ってきていると思いますけれども、ただ今回、国全体も非常事態でもあるわけですので、そういう中では一定程度、やむを得ない対策、対応だと考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
今のお話の中で活用していかざるを得ないというのは、そういうことだろうと理解しますけれども。本来、地方交付税としてもらうべきだけれども、臨時財政対策債で対応されているというのは、何で臨時財政対策債が地方交付税に比べて望ましくないのか、端的に言うと借金だからとかですか。
長野県知事 阿部守一
借金だからです。臨時財政対策債の償還財源は全額、交付税で措置されるということが前提ではありますが、ただ、臨時と言われながらも長い間、この臨時の措置が続いてしまっているという状況ですので、臨時というからにはどこかで終わらせないと臨時ではなくて、恒久財政対策債になってしまいますので、そういう意味で収束をさせていく方向性をしっかり見いだしてもらうことが重要だと思っています。交付税制度は財源保障と財政調整と両面あるわけですけれども、分権の議論をずっとしていますけれども、本当に国から義務付けられている仕事が多いわけです。義務付けられている仕事が多いというのは、本来は国がしっかり財政措置をするべきだということがあくまでも大前提ですので、そうした措置をしっかりするために、交付税率の引き上げも含めて、国においてはしっかり考えてもらいたいと思います。逆にそういうことが難しいということであれば、いろいろな義務付けとか仕事、これを全国画一的にすべきだということは、むしろ減らしていってもらわなければいけないのではないかと考えています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
先ほど東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会会長の森喜朗さんの発言についての所感、ご意見を伺ったところですけれども、その最後に、ぜひ世界に対して日本の考え方、理想とする方向性をしっかり発信してもらいたい。これは森喜朗さんに組織委員会会長を続けてもらった上で、ご本人がそういうふうに発信していってほしいという意味でしょうか。
長野県知事 阿部守一
続けてもらいたいとか、続けてもらいたくないということよりは、むしろ日本という国がどういう国かということの発信につながってしまっていると思っていますので、そういう意味で、日本の国としての考え方、あるいは方向性というものを世界に対して、まさにオリンピック開催を控えているわけですので、しっかりとした発信をしていただくことが重要な局面ではないかと考えています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
森喜朗さん個人からかどうかは別として、大会主催者として…
長野県知事 阿部守一
これは組織委員会なり、JOC(日本オリンピック委員会)なり、いろいろなお立場の方がいらっしゃいますけれども、日本としてはどういうオリンピックを目指していくのか、あるいは日本全体の社会として、今も長野県としても男女共同参画を目指していますけれども、どういう社会を目指している国なのかということは、しっかり発信をしていくことが必要だと思います。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
関連する面があると思うのですけれども、先日、県の広報紙で障がいの社会モデルと障がいの個人モデル、医学モデルとも言われますけれども、をテーマにした広告というか、女性のモデルを活用した企画がありまして、分かりにくいという声もあったり、誤解されて理解される方もいらっしゃったということがあります。これについて率直に今回の企画のことを知事としてはどんなふうに思っていらっしゃるか教えてください。
長野県知事 阿部守一
実は私も広報を見て、少し長野県の広報らしくはないなと、行政の広報らしくないなという受け止めをしましたし、少し意味、趣旨が分かりづらいのではないかと率直に感じました。担当者とも話をしましたが、よく考え方は分かりました。よく考え方は分かりましたというのは、いわゆる行政の広報というのはなかなか分かりにくい、関心を持ってもらいにくい、そして伝わりにくい、そういうことが特徴としてありますけれども、まず関心を持ってもらおうと、見てもらえなければ意味がないだろうということで積極的に取り組んだ結果だということが分かりました。そういう意味では、県の広報の在り方をよりよいものにしていこうということについては私は担当職員の取り組みは評価したいと思います。ただその一方で、障がい者の方たちがどう受け止めるか、あるいは広報を読まれる県民の方がどういうふうに受け取るかということについては、行政としてはしっかりそこには思いを致さなければいけないものだと思っています。そういう意味で、この広報については私からは障がい者団体等に対して説明をしていくように、またご意見を伺うようにということも指示しました。また、広報をしっ放しということではいけないと思っています。共生社会づくり条例に向けての問題提起だという趣旨が、あの紙面だけでは十分伝わっていないと思っていますので、私もぜひ参加し、あの広報をきっかけにいろいろ賛否両論出ていますし、実は障がい者の社会モデルということ自体、今までよく分からなかったという方たちの声もありますので、この機会に障がい者の皆さまも含めて、誰でもが生きやすい、暮らしやすい社会をどうつくっていくかということについての県民の皆さまとの対話集会を開いていきたいと思っています。一部の方からは、不快な思いをされたというご意見も頂いているようです。そういう意味では、私からはそうした思いを抱かれた方にはおわびを申し上げます。申し訳ないと思っています。その一方で障がい者の皆さまも含めて、この広報紙が意図したこと、あるいは伝え切れなかったことをどう伝えていくかということをポジティブに生かしていきたいと思っていますので、そういう意味で今後、先ほど申し上げたようなことも含めてしっかり対応を行っていきたいと思っています。障がい者施策の在り方と、広報の在り方と両面ありますけれども、障がい者施策としては、多くの皆さまと対話をしながら、よりよい共生社会づくり条例になるように取り組んでいきたいと思っています。もう一つ、広報の在り方としては、行政側が発信するわけですが、いろいろな受け手の方たちもいらっしゃいますし、県民の皆さまがどういう受け止めをされているのかということも、これまで以上に斬新な広報をやろうとすればするほど、実はフィードバックを受けていくということも大事だと思いますので、そういう意味で、そうしたフィードバックを受ける形についても検討していきたいと考えています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
集会というか対話をする機会で自らも参加されるというお話ですけれども、この社会モデルに関して言うと非常に大事な考え方というか、捉え方であるとともに、なかなかぱっと理解、あ、なるほどそういうことかと思う人もいれば、ピンとこない方も多分いらっしゃると思うのですけれども。伝え続けていくこと、難しさもありますけれども、息長く続けていこうということなのか、それは当然かもしれませんけれども、どんなふうに伝えていこうと、方針として考えていますか。
長野県知事 阿部守一
私たちが目指さなければいけない社会像というのは、いろいろな受け止め方とか考え方があると思います。今回の広報の趣旨としては、県の考え方を押し付けないようにということで行ったわけです。ただ、そのことによって逆にいろいろな受け止め方が出ているというのが現状です。条例という形を作ったり、あるいは県民の皆さまが思いを共有して、誰でもが暮らしやすい社会をつくっていくという上では、投げ掛けたままではいけないと私は思っていますので、これをいい機会にして、県民の皆さまと一緒に、誰もが暮らしやすい、生きやすい、そういう社会というのはどういう社会なのかということを、今回の個人モデル、社会モデル、そうしたことも踏まえながら一緒に考えていきたいと思っています。
読売新聞 松本将統 氏
昨年末に東御市の千曲川の護岸の復旧工事で大量の施工不良が見つかったことに対しての受け止めをお願いします。
長野県知事 阿部守一
これは国の代行でやっている事業で、地域住民の皆さまとしては大変不安をお持ちになり、心配をされている方も大勢いらっしゃると思います。しっかりした事後対応を行っていただくということが大変重要だと考えています。先般、国土交通省の局長とお話ししたときに先方からもそのお話がありましたので、今後、住民の皆さまとも情報共有していただきながら、着実に復旧・復興を進めていただきたいと考えています。
読売新聞 松本将統 氏
施工に当たった大林組が河川の工事経験がある技術者とかをあまり配置していなかったということもあるのですけれども、大林組に対しては何かありますか。
長野県知事 阿部守一
県が直接の契約者ではないので、つまびらかな情報を私が知っているわけではありません。しかしながら、県としても大きな課題だと受け止めていますので、着実な復旧、そして逆にいろいろ不安感が高まってしまったところもありますので、住民の皆さまが安心していただけるような事業を行っていただきたいと強く願っています。
時事通信 芝冴理 氏
来年度の組織改正について伺いたいのですけれども。DX推進課をつくるということで、県が率先してデジタル化を進めていくということですけれども、例えばRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とか、AIとか、そういったデジタル技術を導入することも重要だと思うのですけれども、先ほどおっしゃったように仕事の見直しですとか、根本的な意識の改革も必要だと思います。この1年間、コロナ禍でどのように仕事に対する考え方が変わってきたのか、知事のお考えを伺いたいのと、あと、そういった意識の改革を、県組織全体でどのように進めていきたいのか教えてください。
長野県知事 阿部守一
先ほど言ったように、この1年間で仕事の仕方を積極的に変えたというよりは、もう変えざるを得ないということで、例えば会議もオンライン化したり、イベントもオンライン化したりということで進みましたし、ペーパーレス化もだいぶ進んできていると思っています。そういう意味で、やむを得ざる形として進めたところもありますけれども、今後こうしたものをしっかり定着させていかなければいけないと思っています。それから今後ですけれども、先ほどの行政・財政改革方針、これから策定をしていきますけれども、まさにこの行政・財政改革方針は、単に財政を改革しようということだけではなくて、行政も変えていかなければいけないというのは、県庁の仕事の仕方を変えていこうということを念頭に置いて、こういう方針の名前にしています。そういう意味で、行政手続きのオンライン化であったり、業務プロセスの改善であったり、そうしたことを通じて県民の皆さまのサービス向上にも資するように、そして県職員も定型的な業務をなるべく少なくして、よりクリエーティブな仕事に取り組んでもらえるように、そうした形の改革を進めていきたいと考えています。
共同通信 田中陽平 氏
新和田トンネルの無料化の件でお伺いします。先ほどお話の中で令和4年の4月1日午前0時から一般道路化というお話がありました。確か平成30年の2月定例会の中で、今年の夏頃に一般道路化したい、前倒ししたいというお話もありまして、若干後ろに延びたのかなと思っているのですが、そういうことでいいですかね。
長野県知事 阿部守一
そういうお話をしなくて失礼しました。先に令和3年夏頃ということで県議会等でもお話をしてきました。しかしながら新型コロナウイルスの影響で実は通行料金収入が減少してしまっているという状況の中で、令和3年の夏頃ということで見込んでいました償還の完了が半年程度遅れる見込みになったということで、今回、来年の4月1日から一般道路化するという形にしました。
共同通信 田中陽平 氏
では、純粋に本当に新型コロナによる観光客とかの入り込みが減ったことで通行料金が減ってしまってと、そういう要因でいいのですね。
長野県知事 阿部守一
本来、もう少し早く償還が完了する見通しでしたけれども、だいぶ通行料金収入が減少しているという影響で先延ばしをしていくこととしました。
信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
当初予算案ですけれども、ここまでいろいろ説明していただきましたが、改めて県民に向けて分かりやすく発信するために、今回の予算案の特徴ですとか、込めた思いをキャッチフレーズではないですけれども、「〇〇な予算」という表現をもしするとしたら、どんな予算になるのかというのを県民向けにお話しいただければと思います。お願いします。
長野県知事 阿部守一
「予算案のポイント」にサブタイトルとして「確かな暮らしを守り、より豊かで安全な信州へ」と書いています。さっき言ったことが実はここに込められているのですけれども、もちろんコロナ対策とか災害対策をやっていかなければいけないので、「安全」ということは一つ大きなキーワードです。しかしその一方で、当面の対策だけ行っているわけにはいきませんので、そういう意味で未来を見据えてより豊かな県になるように、そして県民の皆さまの確かな暮らし、これは「しあわせ信州創造プラン2.0」の基本目標でもありますので、確かな暮らしをしっかりと守っていく、そうした予算とご理解いただければと思います。
中日新聞 我那覇圭 氏
財政調整基金の関係でお尋ねします。中期財政試算で改めて今後の見通しとして厳しい状況が示されました。この通りになるかどうか分からないのですけれども、厳しい状況であることは変わりないだろうと。財政調整基金というのは、恐らくこのコロナもそうですけれども、景気の急激な冷え込みとかにも備えて積み立てているということがあるかと思うのですけれども。今後、急激にさらに税収減もあるかもしれない中で、知事はこの見通しについて危機感とか、どういうふうにご覧になっているか教えてください。
長野県知事 阿部守一
私が知事に就任した頃はリーマンショックを受けての後で、財政的にも基金残高も今の水準に比べるとかなり少ない状況からスタートしましたけれども、毎年、着実に基金残高を積み上げてきました。しかしながら災害があり、コロナがあり、ということで取り崩しをしながらの財政運営になっているわけですけれども。ご指摘の通り、財政調整基金等、財政調整のための基金は、ずっとため込むために持っているわけではなくて、必要なときには使っていくということが前提です。そういう意味で、まさに災害対応、コロナ対応で必要なときに対策を講じる上で活用することができたと思っています。ただ、今後は先ほど申し上げたように、例えば景気回復がどうなっていくか、あるいは国の財政、地方財政との関係でどうなっていくかということ、あるいは、社会保障関係費もこれからまだ増加をしていく基調にあると考えていますので、こうしたことを踏まえると楽観視することなく引き続き堅実な財政運営を行っていかなければいけないと考えています。そういう意味で、基金の取り崩しをできるだけ少なくしながら、災害とかコロナのような特に緊急に対応しなければいけない事態がなければ、でき得る限り基金残高が確保できるようにしながら、これからも財政運営を行っていくことが必要だと思っています。今回、当初予算でもだいぶ取り崩しをすることになりますけれども、執行の段階でもできるだけ効率的な予算運営に心掛けて、貴重な財源を有効に活用できるように取り組んでいきたいと考えています。
中日新聞 我那覇圭 氏
これはあえてお尋ねしますけれども、別に悲観はしていないということですか、率直にお尋ねすると。
長野県知事 阿部守一
厳しい状況ではありますけれども、であるから直ちに財政運営ができなくなるというような状況でもないと思っています。そういう意味で、もちろん毎年の地財対策等によって相当影響を受けますけれども、引き続き持続可能な財政運営ということを心掛けながら取り組んでいきます。
ありがとうございました。
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