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更新日:2021年9月8日

知事会見(令和3年(2021年)2月18日(木曜日)15時42分~16時55分 会場:県庁)

項目

阿部知事からの説明

  1. 県議会2月定例会の開会について
  2. 新型コロナウイルス感染症への対応について
  3. 行政手続き等における押印の見直しについて

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取材者からの質問

  1. 新型コロナウイルス感染症への対応について1
  2. 全国二地域居住等促進協議会の設立について
  3. 東京オリンピック聖火リレーについて
  4. 新型コロナウイルス感染症への対応について2
  5. 「脱ダム宣言」について
  6. 県議会2月定例会について

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本文

阿部知事からの説明

 1 県議会2月定例会の開会について

長野県知事 阿部守一
 それでは本日の会見を開きたいと思います。大きく3点です。一つは2月定例県議会が本日開会しましたので、それに関連しての発言と、それから新型コロナウイルス感染症の関係では、第3波の山も越えてきている状況ですので、これまでのデータを整理しましたのでお伝えしていきたいと思っています。加えて、県民の皆さまお一人お一人が感染リスクを減らしていただくための「感染リスク10分の1県民運動」、いよいよスタートしていきたいと思いますので、それについてお話ししたいと思います。それから最後、行政手続き等における押印の見直しということで、これまで検討してきた現時点での結果をお伝えしたいと思います。
 初めに県議会の関係ですけれども、先ほど私から提案説明しました。今回、1兆円を超える予算案を県議会に提出しています。提案説明の冒頭で触れたように、私たち長野県は新型コロナウイルス感染症、それから自然災害、二つの大きな危機に直面をしていると考えています。この危機を何とか県民の皆さまと一緒に乗り越えていきたいと考えています。危機を乗り越え、そしてその先に、より豊かで安心して暮らせる社会をつくっていこうという思いを込めて予算を編成しましたし、本日も提案説明で説明をしました。新型コロナウイルス感染症のマイナス面を乗り越えて、だいぶ社会の状況も変わってきています。DX(デジタルトランスフォーメーション/ITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させること)の推進であったり、ゼロカーボンの推進であったり、さらには地方回帰、信州回帰の動きであったり、こうしたものをプラスに生かして、活力のある長野県につなげていきたいと考えています。これから県議会で議論をいただくわけですので、私としてもしっかりと県議会の皆さまのご質問にお答えして、県議会のご理解を頂く中で、今申し上げた方向性で予算の執行、さらには県政運営に当たっていきたいと考えています。

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2 新型コロナウイルス感染症への対応について

 新型コロナウイルス感染症の関係で、これまで分析してきたデータについてお話をしていきたいと思います。新型コロナウイルス感染症に関するいろいろな報道であったり、情報が出されてきている中で、昨年に比べると多くの皆さまが新型コロナウイルスに対するさまざまな知識をお持ちになられていると考えています。ただ、県民の皆さまから私も言われてきているのが、長野県としては今どういう状況なのか、長野県でどういうことが起きているのかということがなかなか分かりづらいというご意見もありましたので、今の段階で整理をしてお話をしたいと思います。今回こういうデータを整理しましたけれども、医療従事者の皆さま、あるいは保健所の取り組み、そうしたものの成果で取りまとめていますので、改めて関係の皆さまには感謝申し上げたいと思います。
 まず「陽性者の初期症状」です。いろいろな症状を記載(会見資料1/スライド4ページ)しています。一番左の「無症状」から始まって、「発熱」、「咳」、「倦怠感」、「咽頭痛」、「頭痛」等々ということですけれども。縦が10代から90歳以上までの年代別という形になっています。初期症状はすべての年代で「発熱」が最多ということになっています。次いで「咳」、それから「のどの痛み(咽頭痛)」、「倦怠感」ということで、発熱しない方も初期症状としてはあるということです。初期症状は多岐にわたっているということがここでお伝えしたいことでして、初期症状、いわゆる風邪とか季節性インフルエンザの症状に似ていますけれども、しかしながら、必ずしもすべての人に発熱があるということでもないわけですので、風邪っぽいなと、調子が悪いなという場合には、ぜひ早めにかかりつけ医の方に相談いただきたいと。いろいろな初期症状があるということがこのデータです。それから「推定発症日から陽性確定日までの期間」ということです。症状が出て、その後医療機関等にかかられて、最終的に陽性が確定するまでの期間がどれぐらいであったかということです。第1波、第2波、第3波ということで、まだ第3波は中間ですけれども、比較していただければと思います。第1波のときは、推定発症日から陽性確定日までの中央値が発端者で8.5日、そこからさらに感染された接触者が5.0日というのが中央値です。平均ではなくて中間、真ん中の日数が何日かということですけれども。これが第1波ですが、第2波の発端者が4日、それから2次、3次陽性者が3日という形になっています。第1波に比べて、症状がある方が早期に受診いただいた、そしてまた早く検査に結び付いたということが言えると思います。それから第3波ですけれども、第3波については発端者が5日、それから2次、3次感染者が3日という状況になっています。第2波は第1波と比べて、だいぶ発症日から陽性確定日まで短縮されたわけですが、第2波から第3波は、発端者の場合については少し受診までの日数が増えてしまったということです。ここで申し上げたいのは、できるだけ早く陽性の方が検査につながって確定していくということが、感染を広げないためには重要だと思っています。先ほど初期症状の話をしましたけれども、倦怠感があるとか、発熱があるとか、せきが出るとか、そういう方はぜひ早めにかかりつけ医にご相談いただき、万が一、新型コロナウイルスに感染している場合は、早く検査につながるようにご協力いただきたいと考えています。次に感染した方が他の方に「感染させるタイミング(会見資料1/スライド8ページ)」についてです。これについては厚生労働省のクラスター対策班と共同で分析したものですが、全体の分析ではなくて一時期のものだけなので、42ということで少し母数が少なくなっていますので、これだけで全部を評価できないということを前提にご理解いただきたいと思います。濃い色で表現されているところが、発症日、1日前、2日前に接触して陽性になった方の数を示しています。これを見ると発症日、あるいは発症日の1日前、2日前、この時点で他の方に感染させている事例が、母数が小さいですけれども、存在しているということです。これまでも繰り返し申し上げてきていますように、ずっと無症状の方もいらっしゃいますし、さらに発症される方も、発症される前から他の方に感染させてしまう恐れがあるということですので、自分は何の症状もないから大丈夫だということで安心して他の方とマスクを着けずに身近で会話したりとか、近い距離で一緒に飲食するとか、そういうことは控えていただく、気を付けていただくということが重要だと考えています。このデータでは発症日後のデータの母数が少なくて無いですけれども、実際には発症の2日前から、発症後7日から10日間程度は他の方に感染させてしまう可能性があると言われていますので、その点についてもご理解いただきたいと思います。それから「他者への感染状況」ということです。陽性者397名のうち、その方と濃厚接触した方等で陽性となった方が86名いらっしゃいます。約2割の方が、陽性の方と接触して感染しているということが推定されています。全体の陽性者を最初の感染が確認された方と、そこから2次、3次で感染された方を分けてどうなっているかということを見ると、いわゆる2次、3次感染者の方がうつしてしまった人の数が少なくなっているというのが、この24.2パーセントと19.6パーセントということです。県もできるだけ丁寧な調査を行っていますので、1次感染者よりも2次、3次感染者からの感染というのは抑えられている。比較的、そこから先は1次感染者よりも広がりが少なく抑えられていると言えると考えています。そういう意味で、保健所が行う疫学調査等について、感染された方については積極的にご協力いただけるとありがたいと思っています。それから「無症状病原体保有者からの感染状況」ということです。無症状病原体保有者全体で83名いる中で、濃厚接触者で陽性になった方は9名いらっしゃるという状況になっています。そういう意味で、先ほど発症前でも感染させてしまうリスクがあるということを申し上げましたけれども、基本的に無症状病原体保有者である方からも感染する可能性があるということです。もちろん症状がある方はかかりつけ医にご相談いただいて、外出等を控えていただくことが基本ですけれども、症状がない段階でも他者にうつしてしまうということは、ぜひご理解いただきたいと思います。それから「厚生労働省発表資料」、県のデータの数が少ないので少し補足ですけれども。先ほど申し上げたように、新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性、発症の2日前から発症後7日から10日間程度とされているということ。それから新型コロナウイルス感染症と診断された方のうち、どれぐらいの人が他の人に感染させているかということで、他の人に感染させるというのは2割以下ということですが、先ほどの県のデータだと約2割というデータになっています。感染させてしまうリスクが無症状でもあるということ。ただ、その反面、すべての方が濃厚接触者等に感染させてしまっているわけではないということです。それから陽性者と接触した後、どれぐらいの日数で発症されているかというデータです。これも厚生労働省のクラスター対策班との共同分析になっているので母数が少なくなっています。一番多い日数が4日ということで、接触から4日後がデータ上は最も多くなっているということです。ただ、接触から12日経過後に発症した方も確認されているという状況ですので、基本的に濃厚接触者の方については、2週間の外出自粛と健康観察、それから接触者の方にも2週間の健康観察をお願いしていますけれども、接触された方については2週間程度はご自分の状況には十分ご留意いただくことが必要だと考えています。それから「陽性者の最重症時の症状」、これは状況と言った方がいいのかもしれないですけれども、年代別、それから各年代の割合がどうなっているかということです。重症化している事例は本県の場合は50代以上になっています。年代が上がるとともに中等症以上になる方の割合が増えているという状況です。全国的には40代以下でも重症化している事例がありますので、年代にかかわらずご注意いただきたいと思いますけれども、これまでも呼び掛けていますように、特にご高齢の方、基礎疾患がある方は注意が必要と考えています。また、ご高齢の方とか基礎疾患がある方と接する機会がある方は早めの相談、受診をお願いしたいと考えています。補足で厚生労働省の資料ですけれども、「30歳代と比較した場合の各年代の重症化率」ということで、年齢が若ければ重症化率は少ないですけれども、しかしながら、若いから絶対重症化しないということではなくて、相対的にリスクの差があるということでご理解いただければと思います。「無症状病原体保有者の経過の状況」ですけれども、95.2パーセントの方は最初から最後まで症状が出ないで退院、療養を終了しているというのが、本県の11月1日から30日の発生届受理分における状況です。ただ、本県の場合は無症状の方が亡くなられた例はないですけれども、全国的には無症状病原体保有者の方が重症化されたという事例も確認されています。無症状であるから必ずしも重症化リスクが全くないということではありませんので、その点はご留意いただきたいと思います。それから「陽性者の退院までの日数」です。これについては陽性者の入院日数の中央値は9日間、それから最長の入院日数が18日間、これも11月1日から30日の退院者ということです。入院期間は当初の頃に比べると少し短い状況にはなってきています。第3波を越えつつあるので、今入院されている方の数は非常に少なくなっている状況ですけれども、退院基準を満たされた方から感染する可能性というのは極めて低いというのが県の考え方、専門家の皆さまのご意見です。退院された後も差別的な言動を受けられる方もなくはないと思いますので、新型コロナウイルスの陽性になられて宿泊療養施設とか入院後、復帰された方については周囲の皆さまには温かく迎えていただきたいと思います。
 ここから先はどういう場面で感染が起きていたかということを、個人情報に配慮して一般化した形でお伝えしたいと思います。新型コロナウイルス自体は目に見えないわけですので、明確にここでこの人からこの人に感染したということを確定するのはなかなか難しい部分があります。どこで感染したかを一つに絞るということはなかなか難しい状況ですけれども、こうした場面で感染した可能性が高いということをお伝えしたいと思います。基本的には、接触感染、それから飛沫(ひまつ)感染、この二つです。エアロゾル感染も広い意味では飛沫(ひまつ)感染の一つになりますのでご留意いただきたいと思います。この後「感染リスク10分の1県民運動」もありますけれども、新型コロナウイルスにしっかり向き合っていただく、できるだけ正確な知識を持って対応していただくことが個々人の健康と命を守ることにもつながりますし、また社会を守ることにもつながりますので、ぜひご理解、ご協力いただきたいと思います。まず「職場」(会見資料1/スライド18ページ)、「商談」、「体調不良・休憩時」と書いてありますけれども、社内の人たちが感染拡大している地域に出張して、商談を一生懸命行った後、会食しました。出張した方の中で複数の方が発症しているということで、換気が必ずしも十分ではない場所であったこと、それから会食時にはマスクを外す機会が多くて、熱心な話をしたということで感染が広がった事例です。どうしても仕事上の付き合いとか、仕事で熱が入るという場面もあると思いますけれども、新型コロナウイルスが存在しているということを、仕事の場面、あるいは仕事で出張する場面、あるいは取引先の皆さんとお話しする場面でも、しっかり意識していただきたいと思います。それから「体調不良・休憩時」ということで、日本人にはありがちな感じがしますけれども、体調が悪くても出勤してしまうと、休みやすい環境をつくっていかなければいけないわけですけれども、それで同僚に感染させてしまうということ。あるいは昼食を同僚と一緒に取る場合、あるいは休憩時間に一緒に喫煙する場合、そうしたところでの感染事例というものもあります。頑張って働くということはやむを得ざる場合もあると思いますけれども、今こういう状況ですので、職場内で日ごろから話し合っていただいて、体調が悪いときにはどう対応するかということを考えていただきたいと思います。また、同僚と一緒に昼食休憩時に喫煙室で談話したり、あるいは一緒にお弁当を食べたり、ほっとしてどうしても気が緩みがちな場面ですので、ぜひ気を付けていただきたいと思います。それから「施設内」ですけれども、介護施設、医療機関の皆さまは細心の注意を払って対策してきていただいていると受け止めています。ただ、一日中ずっと集団で生活をされているという場面ですので、いったんウイルスが侵入してしまうと、どうしても感染が広がりやすい環境です。介護施設、限られた空間の中で日常生活が送られているということ。それから身体介護等、施設の場合は行わなければいけません。職員の方が本当に大変神経を使いながらサポートいただいているわけですけれども、どうしても人と接触をせざるを得ないという場面があります。また、口すすぎのコップや食器などの共用とか、手すり等、複数の人が触れる箇所が多いという状況の中で感染が広がっている事例がありますので、介護施設の中での対応についてもいろいろ工夫をしていっていただきたいと思っています。それから医療機関も24時間、同じ空間を共用しているわけですので、介護施設と同様のリスクがあります。ただ、いずれの施設も、そこで働いている皆さま、あるいは施設自体はしっかりとした対応を行っていただいている状況ですので、県としても引き続き介護施設や医療機関の取り組みを応援することによって、できるだけ感染リスクを抑えていきたいと考えています。次は「会食」です。会食については、どうしてもマスクをしたまま食事はできないので外さざるを得ない、あるいはお酒等が入ると、どうしても大声になってしまいがちということです。また、夜の飲食店街ではお店相互、従業員の皆さまが複数のお店等を移動されるといったようなケースもあります。まず「大人数での会食」、普段会うことがない親戚等が集まって大いに盛り上がる、これは年末年始等にありがちなことです。平常時であれば非常に温かな、ほほ笑ましい光景ですけれども、先ほど申し上げたように無症状でも他人に感染させるリスクがあるという新型コロナウイルスが存在している状況の中では、非常にリスクが高い場面になってしまいますので、注意していただきたいと思います。また、マスクを外した会食が長時間続いて、お皿とかグラスを共用する、あるいは換気をおろそかにする、こうしたこともないようにしていただきたいと思います。それから「夜のコミュニティ・はしご酒」。複数のお店をご利用される方もいらっしゃいます。場合によっては、そういう方が感染を拡大させてしまうということもありますし、また従業員の方も、複数のお店で働いているといった場合もあったり、あるいは働いているお店とは別のところにお客さんで行かれるといったことで、一定のエリアで人が相互にクロスするというような場面があります。そうした場面も感染を広げてしまうリスクが高い場面だと考えていますので、こうした状況も注意をいただきたいと思います。それから最後4点目、「県外からの来訪」。ずっと感染拡大地域への訪問については控えていただきたい、あるいは注意していただきたいということでお伝えしてきていますが、長野県内が落ち着いている状況でも県外では、例えば今であれば東京等では依然として新規陽性者数が、ひと頃に比べれば少なくなったもののまだ多い状況ですので、県外との往来に関係する部分は気を付けていただきたいと思います。そういう意味で、一つは「職場の寮」ということで、職場の寮で県外から来られた、県外に行かれた、そういう方がいると寮の中、日常生活を共有しているので、感染が広がってしまう可能性が非常に高いと思います。また、県外との往来が関係なくても、どうしても日常生活を多くの人が共にしているということで、食事や入浴、あるいはトイレ、共同する場面ではどうしてもリスクが高くなりますので、注意をいただきたいと思います。それから「帰省」はこれまでも注意喚起をしていますけれども、どうしても一般の旅行と違って親しいご家族の元に戻ってくるという形になります。そういう意味では、どうしてもお互い気が緩みがち、極めて近い関係で接触しがちになりますので、帰省をされる時にはご自分の体調や行動歴、帰る前に注意をしていただき、また接触されるときにもマスクの着用とか、距離を取るとか、親しい関係であってもお互いに注意していただければありがたいと思っています。少し抽象化していますけれども、これまで県内で発生した事例を中心に構成していますので、こうした場面、あるいはこうした行動についてはご注意いただきたいと思います。
 今のようにいろいろ感染リスクが高い場面があるわけですけれども、今回、「感染リスク10分の1県民運動」ということで、お一人お一人が日常生活の中で、ご自分の活動と感染リスクを考えていただき、できるだけリスクを下げる行動につなげていただきたいということで、こうした運動をスタートしていきたいと思っています。きょうはまだお配りできていないですけども、「リスク点検表」というものを作って、場面ごとにご自分の日々の行動をチェックしていただいて、どれぐらいリスクがあるのか、あるいはどれぐらいリスクを下げる余地があるのかということについて、それぞれお考えいただきたいと思っています。今後、新聞紙上への掲載であったり、ホームページへの掲載であったり、また、積極的にご協力いただく市町村が多いようですので、市町村を通じてのチラシ等の配布であったり、あるいはウェブ上で自己点検いただくことも行っていきたいと思っています。今、県内の感染状況は落ち着いていますけれども、まだ散発的に新型コロナウイルスの陽性者が確認されている状況ですので、引き続きリスクの低い行動を選択していっていただきたいと思いますし、そのための参考として「リスク点検表」をお示しして、県民の皆さまお一人お一人が考えていただきたいと思っています。

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3 行政手続き等における押印の見直しについて

 それから「行政手続等における押印の見直し」ということで、これまでコンプライアンス・行政経営課を中心に見直しを行ってきました。今の段階の取りまとめですが、国の法令に基づく許認可申請、届出等の手続きの押印が1700件、それから県の条例、規則等に基づくものは400件、合わせて全部で2100件程度を廃止していこうと考えています。これは県民の皆さまとの関係があるものですけれども、県組織内部でも、例えば宿舎の管理規則等、さまざまな押印もありますので、そうしたものについても700件程度見直していきたいと考えています。また、行政手続きには属さない補助金等の交付手続きについても、交付申請書、あるいは支払請求書の押印を廃止していきたいと考えていまして、原則として今年度内には要綱等の改正を行って無くしていきたいと考えています。押印の見直しは、押印を無くすこと自体が目的であってはいけないと思っています。行政手続きにおける申請される方の負担を軽減する、また行政サービスにおける県民の皆さまの利便性を向上させる、そうしたことにつなげていくということが必要だと考えています。そうした観点で、まず押印の見直しを行いますけれども、今後はそれを受けて書類の簡素化、あるいは行政手続きのオンライン化、こうしたものを進めていきたいと考えています。どうしても押印が求められているものというのは、なかなかオンライン化が進まないといったこともありましたので、まず押印を見直して書類の簡素化、オンライン化等につなげていきたいと考えています。引き続きこうした手続きを見直すことによって、県民の皆さまの利便性が高まるようにしていきたいと考えています。私からは以上です。

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取材者からの質問

 1 新型コロナウイルス感染症への対応について1

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 新型コロナ関係できょう出されたものについてお伺いしたいのですが、このタイミングになったというのは、例えば数値的なものがまとまったのか、それかもうすぐ県内初感染の確認から1年のタイミングになるのですが、そういったものも意識したものだったのか。この時期になったのはなぜなのかというのをお伺いしてもよろしいですか。

長野県知事 阿部守一
 先ほども少し申し上げたように、データが一定程度集積されて、そして専門家懇談会でも見方、考え方を議論いただいた上で取りまとめることができたので、お知らせしているということです。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 もうすぐ県内での感染確認から1年というタイミングになりますが、県が取り組んできた対策であるとか、こうしたものも内容も一定の成果だとは思うのですが、そういったものも含めて、振り返るというのは簡単には難しいかもしれないのですが、知事のお考えをお伺いしたいと思いますがよろしいでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 ちょうど1年前の今ごろは新型コロナウイルスなるものが一体どういうものなのか、よく分からないことが多かった状況ですし、加えて、今434床まで受け入れ可能病床数、医療機関の皆さまのご支援で増やすことができましたけれども、桁違いで少ない感染症指定医療機関中心に対応するという状況でしたので、医療・検査体制であったり、あるいは医療機関における対処の在り方であったり、今、早く、狭く、強く、短くという方針でまん延防止対策を講じていますけれども、1年前はそうしたことも全く手探りの状況でしたので、当時から比べると、きょうお話ししているようなデータも含めて、かなり知見は蓄積されてきていると考えていますし、療養体制であったり、検査体制であったり、あるいは行政としての対応も、当時に比べるとかなり対応力が上がっていると思っています。ただ、新型コロナも変異株の発生等も見られている中で、まだ完全にコントロールしきれているという状況ではありませんので、引き続き注意していかなければいけないと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 今後の課題的な部分で少しお話ししていただいたかと思うのですが、まさにその部分で、ある程度見えてきたものがある一方で、今後、県の対策とするとどういうところが課題になってくるのかというのをお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 医療・検査体制はかなり充実してくることができましたので、当面の課題はワクチン接種をしっかり進めていくことを、市町村、あるいは医師会の皆さまと連携して行っていくことが重要だと思っています。と同時に、きょうの提案説明でも申し上げましたけれども、引き続きそれぞれの地域の感染状況をしっかり見極めた上で必要な対策を速やかに講じていくことが重要だと考えています。

信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
 知事が重ねて何度も訴えていらっしゃる誹謗(ひぼう)中傷というのは、なかなかなくなりづらいかなと思うのですが。その辺について知事の受け止めと、私は少なくても個人的になかなか恐怖心もあったりして変わってないというのが現状かなと思うのですが、そういう医療従事者の方ですとか、感染された家族の方であるとか、そういうのがいまだあるように思えるのですが、その辺についてお伺いします。

長野県知事 阿部守一
 今お話があったように、誹謗(ひぼう)中傷の根底にあるのは、不安、恐れだと思います。そういう意味で、きょうもデータをお示ししましたけれども、正しい情報、正しい知識の下で対応いただくということが不安とか恐れを、もちろん必要な恐れもありますけれども、必要以上に恐れたり、不安を持たれることがないようにしていくためには重要なことだと思っています。転院の目安も専門家懇談会で議論いただいていますけれども、どちらかというと、受け入れていただく医療機関の皆さまが安心して受け入れていただくための考え方ということでお示しいただくわけですので、県もこうした知見が蓄積してきましたので、引き続き分かりやすく県民の皆さまには情報提供し、そうした正しい情報を踏まえた上で対応いただくということが、誹謗(ひぼう)中傷とか差別をなくしていくことにもつながるだろうと考えています。

信越放送(SBC) 宮下滋 氏
 データの件で県の分析ですとか、受け止めとして、厚生労働省の資料等も出していただいていますが、全国に比べて長野県でこういう特徴があったとか、何か長野県として新しい発見といいますか、そういう特徴的なことがあったというような分析がありましたら教えていただきたいのですけれども。

長野県知事 阿部守一
 私の受け止めで申し上げれば、全国と比べてというよりは県としてですけれども、初期症状、さまざまあるというのが改めて分かりました。例えば発熱が多いわけですけれども、必ずしも熱だけが初期症状ではないということがあるので、それ以外のせきだとか倦怠感がある場合も早めに受診いただきたいということは、このデータから言えると思います。それから、発症日から陽性確定日までの期間がどんどん短くなってきて、第2波、第3波は若干、発端者の確定日までの日数が増えてしまっていますけれども、初期段階に比べると短くなっているのは、県民の皆さまのご協力と、それから保健所の努力の合わさった成果だと思います。そういう意味で、第1波に比べると対応がより的確に行われてきていることの一つのデータになり得ると思っています。それからあと、感染の可能性等は全国で言われていることと基本的に同じだと思っています。あと退院日数は第1波、第2波と比べるとデータとしては分かるので、もし可能なら後でまた出してもらえればと思います。私としては大くくりに申し上げると以上のような認識を持っています。

信越放送(SBC) 宮下滋 氏
 「(感染リスク)10分の1県民運動」というのはいつからスタートすることになるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 23日の新聞紙上に掲載しますので、実質的にはそこからスタートという形になります。

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2 全国二地域居住等促進協議会の設立について

中日新聞 我那覇圭 氏
 1月の終わりの報道で、3月に全国の地方自治体と政府ですか、二地域居住等促進協議会というのを立ち上げると。その会長に知事が就任される見通しだと出ているのですが、まだ決まってないかもしれませんが、実際そういうような話が持ち上がっているのかどうかを教えていただけますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 全国二地域居住等促進協議会というものを設立して、二地域居住を広めていくための、定着させていくための取り組みを進めていこうという動きがあります。まだ役員は正式に決まっているわけではありませんけれども、3月9日に協議会が開催されて、そこの設立総会と記念シンポジウムが開催されて、そこで選任される形になると思います。長野県としては大都市部に近接した県として、そしてこれまでもリゾートテレワーク等を積極的に進めてきていますし、二地域居住を行っている方も現実に多い地域ですので、そういう意味でこうした協議会の設立の方向性は大歓迎ですし、私も協議会の中で二地域居住がしっかりと多くの皆さまに定着して、そして地域の活性化、地方創生につながるように努力していきたいと思っています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 二地域居住というもののメリットというか、意義というのを改めてどういうふうにお考えになっているのか教えていただけますか。

長野県知事 阿部守一
 働き方も暮らし方も多様化しているということを、きょうの提案説明でも触れましたけれども、一つの住所地だけで生活したり働くという時代ではもうなくなりつつあると考えています。長野県が進めてきているリゾートテレワークも、長野県のような自然豊かなところでリゾート感覚でくつろいで楽しんでいただきながら、併せて仕事をしてもらうという形で、そういう意味では、定期的に一定の場所をご利用いただければ、いわゆる二地域居住にもなってくると考えています。コロナ禍で都会の密な環境を避けて働く、あるいは暮らす、そうした方が増えてきている状況ですので、まさに今後、このウィズコロナ、ポストコロナの時代における働き方、あるいは暮らし方として注目されるものだと考えています。

中日新聞 我那覇圭 氏
 ただ実際に進めるにはいろいろな課題というのもあろうかと思うのですけれども、主だったものとしてどういうことが挙げられますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 個人的にずっと前から思っているのは、例えば長野県は大都市部に非常に近い県です。現実に通勤されたり、あるいは週末ごとに往来されたりしている方が比較的多い県だと思っています。ただどうしても移動されるときは、移動コストは日本の場合はかなり高い国だと思っていますので、例えばそうした移動コストをいろいろな制度の中で低減させていくようなことを国と一緒に考えていきたいと思いますし、また二地域居住することによって、例えば固定資産税等も2カ所に払ったりしなければいけないことで、移動経費以外にもコストが上がる部分があります。そうしたところも制度的に低減していく、下げていくようなことを検討する場になれば私としてはありがたいと思っています。

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3 東京オリンピック聖火リレーについて

中日新聞 我那覇圭 氏
 五輪の関係で、橋本聖子五輪担当相が森氏の後任の会長に選ばれました。県内でも聖火リレーを控えていますけれども、この受け止めと、注文というか求めることがあれば教えてください。

長野県知事 阿部守一
 もう正式に決まったのですかね。

中日新聞 我那覇圭 氏
 選出したみたいです。

長野県知事 阿部守一
 どなたがなられるにしても非常に大変な重責ですし、オリンピック・パラリンピックの成功に向けて最大限ご努力いただくとありがたいと思っています。長野県も冬季オリンピック・パラリンピックを開催した地でもありますし、新型コロナとの関係で開催に向けてさまざまな課題があると思いますけれども、そうしたものにしっかり向き合って対応いただきたいと思います。多くの県民の皆さま、あるいは国民の皆さまが、このオリンピックに大きな関心を持っているので、情報公開というか、いろいろなプロセスをオープンにしながら取り組みを進めていっていただきたいと思います。

長野朝日放送(abn) 青木智則 氏
 今のオリンピックに絡めてですが、島根県の丸山知事のご発言があったかと思いますが、改めまして阿部知事の考えをお教えいただけますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 何についての。

長野朝日放送(abn) 青木智則 氏
 聖火リレーの中止ということに関して。

長野県知事 阿部守一
 聖火リレーについては本県は今のところ粛々と準備を進めています。丸山知事の発言の背景にあるのはコロナ対策の部分だと受け止めています。オリンピック・パラリンピックを成功させていく上では、新型コロナウイルス対策をどうしていくのかということが非常に重要な課題ですし、そこに多くの皆さまが関心を持っていると思います。そういう意味で、先ほど国民に対しても情報を伝えながらということを新しい会長に期待したいということを申し上げましたけれども、どういう考え方でどう取り組んでいくのかということを多くの皆さまと共有していただきながら対応を進めていただきたいと思っています。

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4 新型コロナウイルス感染症への対応について2

長野朝日放送(abn) 青木智則 氏
 ワクチンの接種の件です。きょうから先行接種でワクチン接種が始まったかと思います。医療従事者への接種が可能な状況となっているとも言えると思いますが、いつ頃をめどに接種を開始していくのか。それと、きょうの接種も届いている本数に対しての接種の人数が足りない感じになっていると思います。余った分に関してどのように対応していくのかを教えてください。

長野県知事 阿部守一
 それはワクチンがいつどれだけ届くかということが分からないと、いつスタートするかというのは確定できない状況です。きのう、河野大臣がテレビに出演されているのを拝見すると、今週中にはお伝えできるようにという趣旨で発言されていたのではないかと受け止めていますけれども、国の方向性を明確にしていただければ、それを踏まえて県としての段取りもできるだけ早く固めたいと思います。

日本経済新聞 畠山周平 氏
 なかなか一般の県民からすると、いつ頃から接種ができるのか分かりづらいという状況になっているかと思うのですけれども。実際、国の方向性が明確になればスムーズに進められるような状況にあるのかどうか、県内の準備を進めている上で見えてきた課題とか、そういったものが何かありましたらお願いします。

長野県知事 阿部守一
 きょうも連絡会議をやって、市町村とか、医師会はじめ医療関係の皆さまと情報共有していますので、そこでいろいろな課題が共有できるものと思っています。

日本経済新聞 畠山周平 氏
 「感染リスク10分の1県民運動」に関して、ここで感染リスク10分の1に関してエビデンスは特に基づいてはいないという話なのですけれども、その中で10分の1というところを選んだというのはどういう趣旨でしょうか。例えばゼロにしてもいいわけですし、半減にしてもいいわけですけれども、10分の1というワードを選んだというのはどの辺りにラインがあるのでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 今お話しいただいたように科学的にリスクが10分の1ということではなくて、できるだけ減らしていくための一つの象徴的な言い方として10分の1という言い方をしています。ゼロということも選択肢としてはあり得なくはないですけれども、この場でも何度も申し上げているように、ゼロリスクというのは、見えないウイルスなのでどこまで感染防止対策をやっても全くもう完全にゼロという状況はなかなか難しいだろうと思っています。かといって、リスクを2分の1減らしましょうということだと、これはまだまだやることがたくさんあるのではないかという状況になるので、そういう意味で10分の1、1割、感覚的にはそうした方向性を共有して取り組んでいただきたいということで10分の1という形にしています。ですから科学的に10分の1に意義があるということではありません。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 先ほど最初に県内で新型コロナの感染者の方が発生してから1年という触れ方をしたと思うのですけれども、同じ関連で質問です。新型コロナ対策をこの1年続けてくる中で一番悩んだところは何だったのかと。余計なことかもしれませんけれど申し上げると、例えば感染予防のためにいろいろ行動抑制を求める一方で、そうすると経済への影響が大きいというジレンマがあったり、あとはコロナ向けの病床を確保するということになると、医療従事者が一般診療に携わる人の確保というところを圧迫する面もある。いろいろなジレンマがあると思います。そうしたことも、余計なことを言いましたが、どんなふうに感じていらっしゃいますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 まさに今おっしゃっていただいたようなところはずっと、日々悩むというか、この新型コロナ対策というのは一つの対応をすれば、それですべていい方向に行くということではない。経済と感染防止の両立というのは、できるだけ両立させたいと思っていますけれども、しかしながら、感染防止を強調すれば、どうしても経済には影響が出てしまうということで、非常に難しい判断を日々迫られてきたというのが正直な思いです。先ほども少し申し上げたように、だいぶいろいろな対応の仕方も経験値が上がってきていると思いますけれども、昨年の緊急事態宣言発出時等は、そうした知見もほとんどなかったという状況ですので、そういう意味では感染を防いで県民の皆さまの命を何とか守り抜かなければいけないという思いと同時に、その中で影響を受ける事業者の皆さまへの支援をどうするかということで、常に頭を悩ませてきたというのが正直な思いです。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 続いて、この1年を振り返るというところの続きで、知事から国の対応についていろいろ注文する場面も多かったと思います。国とのコロナ対策の上での関係といいますか、どんなふうに捉えてきたか、思ってきたかというのをお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 例えば地方創生臨時交付金をはじめとして、包括支援交付金等、地方に対する財政措置としては、かなり手厚く対応してきていると思っています。その点はありがたいことだと思っています。その反面、私がずっと言っていたのが、県境をまたいだ移動については基本的対処方針を改定して方向付けをするべきではないかということを知事会等でも申し上げてきていますけれども、これは国と都道府県がどういう役割分担をしていくかということが、まだ定まりきれてない部分があるのではないかと思っています。今回、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正されて、まん延防止等重点措置ですか、新しい制度ができて、これは国が中心的に行うという形になっていますけれども、片方で新型インフルエンザ等対策特別措置法の第24条第9項に基づくさまざまなお願い、要請をしています。そういう意味で、私としてはそうした制度ができても、できるだけ地方の主体性は尊重して運用していってもらいたいと思っています。

信濃毎日新聞 立松敏也 氏
 「データで見る長野県の感染状況」と、その後の「具体的な感染事例」について、きょう一斉に発表されたのですけれども。こうした分析結果を踏まえて、新たに県としてこういった感染対策を重点的にやらなければいけないと、こう認識して考えている部分というのは何かありますでしょうか。

長野県知事 阿部守一
 これまで県民の皆さまにいろいろな呼び掛けをしてきていますが、このデータの話だけでは必ずしもないのですけれども、先ほどの「感染リスク10分の1県民運動」だとか、それから新型コロナウイルス対策宣言のグレードアップをしていこうと考えています。これまで、いわゆる第1波、第2波、第3波を何とか対応してくる中で、先ほど言ったように行政の経験値も上がってきていますし、1年前と比べると県民の皆さまの行動も確実に変わってきていると思っています。そういう意味で、こうした蓄積とかデータを踏まえて、より的確に、賢く対応すると言うと言い方に語弊があるのかもしれないですけれど、先ほど私の悩みを申し上げましたけれども、的確に行動していくことによって、感染防止と、例えば飲食等の事業活動をできるだけ両立できるようにしていくということを目指していきたい。そのためにいろいろなデータを使うことが可能になってきていると思っています。

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5 「脱ダム宣言」について

信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
 あさって2月20日は田中元知事が「脱ダム宣言」をされてから丸20年になる日ですけれども。この間、いろいろな議論がされて、実際ダムを建設しなくてもダムを建設したときと同じ治水水準の改修ができるようになった河川であったり、利水の問題も解決された河川も結構あるのですけれども、そういったことを踏まえて、改めて「脱ダム宣言」の評価と知事のお考えをお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 私も当時県庁で仕事をしていたのですが、私が直接担当してなかったので直接的に当時のことをコメントしづらいですけれども。今、千曲川の治水対策は流域治水で進めましょうということで国土交通省、市町村、県と一緒に取り組んでいます。県としても、例えば雨水の貯留施設を造って、いわゆる河道内、河川整備以外の対策も含めて行っていきましょうという方向になっています。「脱ダム宣言」自体は非常に唐突な宣言であったし、非常に混乱して、その後、県政全体が混乱するということになってしまったわけですので、私としては必ずしも積極的に評価するわけではありませんけれども。しかしながら、いろいろな手段を組み合わせて治水について考えていく、洪水対策の在り方について考えていく、そうした方向性というのは、着実に進んできているのではないかと思っています。そういう意味で、「でき得る限りコンクリートのダムを造るべきではない」と記載されていると思いますけれども、できる限りなのですよね、本来は。マルかバツかという完全な対立構図になってしまったことは、私は非常に不幸な部分があったと思いますけれども、ダムだけではない、いろいろな選択肢を検討していきましょうということは、今、実際に行われてきているものだと思っています。ですから、「脱ダム宣言」という宣言だけを象徴的、センセーショナルに取り上げるということは、私はあまり適切ではないと思っています。しかしながら、治水対策についてダムだけではない、あるいは河川整備だけではない、さまざまな対策を組み合わせて洪水を防いでいくと、そういう取り組みについては、今、広がりつつあるのではないかと思っています。

信濃毎日新聞 木田祐輔 氏
 ここ直近だと気候変動の影響で水害が頻発、あるいは甚大化して、熊本県では球磨川が氾濫して旧川辺川ダムが復活したという流れもあるのですけれども。知事のお考えとして、県内も含めて、今もダムは治水の選択肢の一つとしてあるのかも含めて、もう一度、治水対策の基本的な考え方をお願いします。

長野県知事 阿部守一
 先ほど申し上げたように、いろいろな方法があって、何を優先して考えるべきかということで、人によって多分、立ち位置が違うのだろうと思います。そういう意味で、単純にダムが要るとか、要らないとかという話ではなくて、当該地域における治水にとって、どういう選択肢が望ましいのかということを冷静に考えるということが重要だと思います。ですから、ダムがあった方がいいとか、ダムがない方がいいとかというのは、それは目的ではないはずで、どうすれば当該河川、あるいは流域の皆さまの安全を守れるかという観点から最善の方策を見いだすというのが望ましい方向だと思います。

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6 県議会2月定例会について

信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
 きょうの県会の開会の関係で、知事の提案説明が約1時間に及びました。説明の表現も、例えば防災・減災対策については不退転の決意で進めるとか、あと脱炭素社会については、従来の延長線にない新たな道を切り開いていくといった力強い言葉が並んでいるように見受けたのですが。来年度当初予算案と一体化して取り組んだ補正予算案などが一緒に大きな議論になっていくと思うのですけれども、この提案説明に込めた思いを含めて、定例会に臨む意気込みを改めてお聞かせください。

長野県知事 阿部守一
 1兆円を超える規模の予算、災害対応であったり、あるいは新型コロナ対応があるという状況はあるにしても、これだけ巨額の予算を編成するのは、私としては非常に責任が重いと思っています。そういう意味では、力を込めて提案説明したところです。お話があったように、まず防災・減災対策はかなり予算を投入して県民の皆さまの暮らしの安全のために取り組んでいきますので、そこは多くの皆さまにご理解いただかなければいけないところですし、加えて新型コロナ対応もこれも引き続き多額の予算を必要としてきますし、総合的に経済、生活への支援も含めてやっていかなければいけないという、通常時とは違う、ある意味非常時の取り組みですので、そこもかなり強い思いで申し上げています。それから未来へ向けては、DXであったり、気候変動であったり、こうした取り組みは、これからの長野県、あるいは将来の世代にとっては極めて重要な取り組みになりますので、かなり思いを込めて提案説明を作らせていただき、きょうはそうした思いを込めて述べたところです。
 ありがとうございました。

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ファックス:026-235-7026

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