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更新日:2022年9月28日
長野県知事 阿部守一
それでは、2月9日の会見を始めたいと思います。本日は大きく5点お話ししたいと思います。まず最初に御嶽海関に県民栄誉賞を贈呈(会見資料2)することとしました。1月23日に千秋楽を迎えた大相撲初場所において、本県上松町出身の御嶽海関が3回目の優勝を果たしました。大変うれしいニュースを届けていただいたわけですが、続けて1月26日に日本相撲協会の臨時理事会において大関昇進が決定しました。長野県出身力士として227年ぶりという快挙です。長野県民に大きな勇気と希望を与えてくれたこと、とてもうれしく感謝をしているところです。こうした素晴らしい御嶽海関の活躍、そして大関昇進という快挙に対して県民栄誉賞を贈呈することにしました。ぜひ、これからもさらなる活躍をしていっていただきたいと思っています。なお表彰の日程については、今後調整をした上で改めてお知らせしていきたいと思っています。御嶽海関のさらなる活躍を県民全体で応援していきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
それから、本日の部局長会議で来年度に向けて予算案等について決定しましたので、ご説明したいと思います。まず予算案です。協議資料1-1(2月9日部局長会議資料)ということでポイントをお配りしています。令和4年度当初予算案「『確かな暮らし』を守り、誰もが活躍できる活力あふれる信州へ」ということで、重点を明確にしながら編成しました。予算の規模は一般会計で1兆848億9600万円余ということで、1兆円を超える大きな規模の予算になっています。コロナ対応分として2000億円以上を計上していますので、その分、通常ベースの予算に比べるとかなり規模が大きくなっているという状況です。ポイントのところに記載していますように、今回の予算編成の考え方としては、一つは現行の県の総合計画、「しあわせ信州創造プラン2.0」が令和4年度が最終年度になりますので、その総仕上げということを意識して編成しました。また県民の皆さまの暮らし、コロナの影響、あるいは災害の影響、こうしたことで確かな暮らしが揺らいでいるという現状がありますので、当面、この喫緊の課題であるコロナ対応、あるいは災害対応にしっかりと予算付けをしたところです。また脱炭素社会の実現をはじめとする中長期的な課題にも、この時代の大きな転換点に当たってしっかりと向き合っていかなければいけないということで、当面する喫緊の課題と、もっと長いスパンで中長期的に取り組んでいくべき課題の両面から予算編成をしたところです。重点テーマとしては予算編成方針のときにすでにお示ししていますが、六つの事項に力点を置いて重点的に予算配分をし、予算全体としてはめりはりのある予算編成としたところです。今申し上げたコロナ対応(「新型コロナから県民の命を守り、暮らしと産業を支える」)、「災害に強い県づくり」、そして3点目が「産業・暮らしのコロナ禍からの復興」ということで、少しコロナ禍での地方回帰の動き等も含めた最近の社会状況の変化も踏まえて、前向きな施策にも取り組んでいきたいと思っています。また「脱炭素社会の実現」、そして障がいがある人もない人も共に生きる長野県づくり条例を今回2月定例県議会に提案します。そうしたことと併せて犯罪被害者等支援条例といった制度面、仕組み面での取り組みと併せて、予算面においても「誰一人取り残さない公正な社会づくり」ということをテーマに編成をしています。また学びの県づくりを掲げていますので、「誰もが主体的に学び続けられる社会づくり」、こうした六つのテーマを重点に置きながら予算編成をしたところです。1枚おめくりいただいて、「令和4年度当初予算の姿」です。今回、コロナ対応、東日本台風災害からの復旧・復興予算も入っていますので、通常ベースの予算に比べるとかなり規模が大きくなっています。そうしたものを除いたものが、「うち通常分」と記載していますけれども、令和4年、今回の当初予算で8559億円という状況です。通常分だけですと、対前年と比べるとマイナス0.5パーセントでほぼ同水準の予算という形になっています。3ぺージのところですけれども、歳出の構造としては人件費、あるいは公債費といった義務的経費については抑制、縮減を図っているところですが、一方で、やはり人口構造がどうしても高齢化が進んでいるというような状況の中で、社会保障関係費については伸びていくという状況です。次のページに社会資本の整備、関連の部分だけ取り出していますけれども、これについても東日本台風災害対応分等を除けば、前年当初予算に比べるとほぼ同額程度の社会資本整備予算を確保しています。トータルで見ますと、災害復旧等が減少しますが、その他の、例えば公共事業の中の東日本台風災害分を除いた1149億円が、今回の令和4年度当初予算では1170億円ということで、ほぼ同程度の予算規模を確保しています。その下に書いていますように、今回1月補正予算はかなり大規模な補正予算を議会で議決いただいていますので、これらを比べるとかなり防災・減災であったり、学校の教育関係の整備であったり、重点的に社会資本の整備、施設整備を進めていく予算になっているという状況です。中期財政試算はご覧の通りです。引き続き持続可能な財政運営ができるように意識をしながら取り組んでいきたいと考えています。6ページのところですが、「県債残高の見通し」、「健全化判断比率の見通し」ということで記載しています。今回5か年加速化対策で防災・減災対策を積極的に進めていこうという意図の下で予算編成をしていますので、一定程度県債残高は増加してきています。しかしながらご覧いただいていますように、5か年加速化対策分については引き続き増加させて、県民の皆さまの命と生活を守るための県土強靱化を進めていきたいと思っていますけれども、それ以外の通常債については着実に減少させていきたいと思っています。左端に平成23年度の県債残高を書いていますが、当時は通常債残高が1兆1000億円を超えている水準でしたし、また、臨時財政対策債も今に比べるとかなりまだウエートが少なかった状況ですが、今はだいぶウエートが高くなっています。国も臨時財政対策債の縮減については一定程度意識して取り組んでいただいていますので、来年度予算においては臨時財政対策債の残高が縮減の見通しでありますし、通常債の残高についても減少させるその一方で、防災・減災、国土強靱化予算を活用した部分については増加させるという形で取り組んでいきます。こうしたことの結果として財政健全化判断比率を下に書いていますけれども、実質公債費比率についてはやや増加をしますけれども、早期健全化基準等に比べればまだまだ健全な水準を維持していくことが今後とも可能だと考えています。その下に事業イメージを書いていますけれども、通常の事業と比べて、この5か年加速化対策を県債を一定程度増やしながらもなぜ進めていくかという話ですが、そこに記載していますように、今回非常に財政的には有利な措置が講じられています。一般財源を足さなくてもいいといったようなこと、それから交付税措置が事業費全体の25パーセント入ると、防災・減災、国土強靱化緊急対策事業債の半分が交付税措置されるといったような形になっていますので、こうした措置があるうちに必要な事業をしっかり進めていきたいと考えています。あと、「令和4年度当初予算案における主要施策」と書きましたけれども、まず、1ページ以下が「(新型)コロナから県民の皆さまの命を守る」という観点です。引き続き命と健康を守るための対策を進めていきますが、併せて事業者支援についても意を用いていきたいと考えています。また雇用の支援、暮らしの支援にも継続的に取り組んでいきます。4ページ以下が「災害に強い県づくり」です。今申し上げたように、防災・減災対策にしっかり取り組んでいきたいと思っていますが、5ページにありますように、「逃げ遅れゼロ」であったり、避難所の環境改善であったり、こうしたことを進めると同時に、6ページにありますように、長野県は御嶽山噴火災害を教訓にしながら御嶽山への対策、そして他の火山への取り組みの展開もしっかり進めていきたいと思っています。それから7ページ以下が「(産業・暮らしの)コロナ禍からの復興」ということで、一つは「信州回帰プロジェクト」で引き続き移住したい県といわれている長野県の優位性を生かしながら、多くの人と企業に選ばれる県づくりに取り組んでいきます。8ページが「信州ITバレー構想」の推進、9ページがDX(デジタルトランスフォーメーション/ITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させること)の推進、10ページも暮らし・行政のDXの推進ということで、引き続きデジタルトランスフォーメーション、暮らしや産業の活性化を支えるためのDX、そして行政の利便性を高める上でのDX、こうしたことにしっかり取り組んでいきたいと思っています。11ページが産業競争力の強化ということで、新しく「長野県産業振興機構(NICE)」を設置しますので、一貫した支援体制をしっかり整えて県内企業の新たな取り組みを応援していきたいと思っています。また引き続き医療機器、航空機産業、あるいは食品産業、成長期待産業への支援ということも力を入れて取り組んでいきます。12ページの観光振興については長い間コロナ禍で観光は非常に大きな影響を受けている状況ですので、今はまだオミクロン株と闘っている状況ですけれども、この波を越せば「信州観光復興元年」という形でしっかりと観光誘客プロモーションに取り組んでいきたいと考えています。14ページ以下は、「脱炭素社会の構築」です。ゼロカーボン戦略を踏まえて着実に脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。交通分野ではEV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)を利用しやすい環境整備を図っていきますし、建物分野においては信州健康ゼロエネ住宅の普及を図っていきます。産業分野においてもグリーンイノベーションの創出、そして事業者のゼロカーボンへの取り組みの支援を行っていきます。16ページ、17ページにかけて再生可能エネルギー分野での取り組み、吸収・適応分野での取り組み、さらには県民の広い皆さまとパートナーシップを組みながら取り組んでいくための「サステナブルNAGANO共創プラットフォーム」の始動をはじめとする学び、行動、こうした予算を盛り込んでいます。18ページには「長野県地球温暖化対策条例の改正案」について記載していますけれども、この予算と相まって取り組みを進めていきます。先ほどEV・FCVの環境整備ということを申し上げましたが、こちらの条例の中でも電気自動車の充電設備の設置にかかる努力義務を創設していきたいと思っていますし、また、信州健康ゼロエネ住宅と併せて建築物の環境エネルギー性能等の検討結果の届け出対象の拡大であったり、あるいは住宅の省エネ性能等に関する情報の報告、公表制度を創設して相まって建築物の脱炭素化、断熱性能の向上を図っていきたいと思っています。19ページ以下が「誰一人取り残さない公正な社会づくり」ということで、先ほど申し上げたように、まず「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」の制定を目指していかなければいけませんが、この条例と相まって障がい者の皆さまが暮らしやすい、そして社会参加しやすい県づくりに取り組んでいきます。20ページには、犯罪被害者等への支援も条例と相まって予算面でも手当をしていきます。不幸にして犯罪の被害者としてお亡くなりになられた方のご遺族に対しての見舞金として60万円を支給する等の対応を予算面でも行っていきます。それから、若者・子育て世代の希望実現ということで、長野県においても日本の社会においても今、若者の数、子どもの数が減ってしまっている。これからの社会をより元気で活力あるものにしていく上でも、やはり若い世代に対してしっかりと応援メッセージを出していくということが極めて重要だと考えています。そういう観点で、まずこの分野については市町村の皆さまとも何度も意見交換をしていますけれども、不妊・不育症に悩む方への支援について、今回保険適用になることと相まってしっかり取り組んでいきたいと思っています。また、子ども・子育て支援ということで、子どもへの医療費助成についても県の通院補助の対象年齢を小学校3年生まで拡充ということにします。また、若者の出会いや結婚の希望を実現ということで、県としてもこれまで以上に結婚支援に取り組んでいきます。市町村からもぜひ広域自治体としてしっかり取り組んでもらいたいというご意見を頂いていますので、異業種間のマッチングといったようなことも促進していきたいと考えています。それから順番が逆になりますが、奨学金の返済支援ということも県として新たに導入していきたいと思っています。実際に支援をするのは令和5年度以降という形になりますが、制度設計をした上で、企業の皆さまと協力しながら奨学金の返済の支援を県として行っていきたいと考えています。21ページの下の方からは看護職員等の方の処遇改善、22ページが困難を抱える方への支援ということで、自殺対策、引きこもりの方への支援ということをしっかり取り組んでいきます。23ページ以降が学びの関係です。まず、子どもたちの学びの環境整備ということでICT教育の推進であったり、養護学校等の環境整備にこれまで以上に重点を置いて取り組みを進めていきます。また、学校の先生方の働き方改革ということにも取り組んでいきますし、また私立学校に対する支援も充実していきます。25ページからが社会人に対するリカレント、リスキリング(働く人の学び直し)、こうした分野にも力を入れていきたいと思っています。26ページ以降は「しあわせ信州創造プラン2.0」の大きな柱ごとに、これまでの主な取り組みと進捗状況、そしてそれと併せた形での令和4年度の予算で計上している主な取り組みを記載しています。これまで取り組んできた成果を踏まえながら、総仕上げの年ということでしっかり取り組みを行っていきたいと考えています。以上が予算の関係です。
続きまして、条例です。条例案については一部改正条例案が21件、新設条例案が3件という状況です。協議事項2(2月9日部局長会議資料)として資料をお配りしていると思います。地球温暖化対策条例の一部改正条例については先ほどお話しした通りです。13ページに「犯罪被害者等支援条例案」を付けています。人権・男女共同参画課をはじめ、私も直接犯罪被害者のご遺族の方ともお話しし率直なご意見を伺いました。その上で、幾つか最終的に変更も加え条例案として取りまとめたところです。ぜひ県議会にご議決をいただき、しっかりこの犯罪被害者の皆さまを支えていくことができるような仕組みづくりも行っていきたいと思っています。15ページが「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案」です。これについてもかなり時間をかけて多くの皆さまと対話を重ねる中で取りまとめてきました。幅広い分野での施策推進が県として必要になってきますので、健康福祉部を中心としながらも、すべての部局に問題意識を持ってもらいながら取り組みを進めていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
それから、組織の関係が協議資料3(2月9日部局長会議資料)にあります。松本空港については県営空港としてより充実した体制で対応していこうということで、これまでの松本空港利活用・国際化推進室から、新たに課という形で松本空港課を設けます。また、政策評価室を総務部に設置して、きょう予算の発表をしていますけれども、着実に効果の検証、事業の評価等を行いながら県民の皆さまの理解を得られるような施策推進を図っていきたい。そのためにこうした室を設けていきたいと考えています。
長野県知事 阿部守一
新型コロナウイルス感染症の関係で食料支援ということで専決処分しました。ご覧(会見資料1/スライド10ページ)いただいていますように、長野県としても応援しながら民間の皆さまの取り組みを支援していこうということで取り組んでいます。今、長引くコロナ禍で暮らしの困難さが増している方もいらっしゃると思いますので、食料がないといったようなことでお困りの方は、ぜひお住まいの地域の「まいさぽ」にお気軽にご相談いただければありがたいと思っています。「まいさぽ」の関係で申し上げれば、緊急フードドライブ統一キャンペーン(会見資料5)というものも行っていきます。2月7日から3月6日まで集中募集期間ということで、缶詰、レトルト食品、カップ麺、菓子類、お米など、広く多くの皆さまに協力をお願いしているところです。裏面にあるように、長野県としても県庁や各合同庁舎で受け付けているところですし、またお住まいの市町村、社会福祉協議会等でも受け付けしていますので支え合い、助け合い、そうした思いを共有し、こうした食料について協力していいよと思っている方はぜひご持参いただければありがたいと考えています。私からは以上です。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
22年度予算の関係でお伺いします。今回、前回の予算から臨財債(臨時財政対策債)が大きく減少しまして、編成する上で難しかった面もあるかと思います。知事は、これまでも臨財債については廃止すべきということはおっしゃっていましたが、こういう状況であると重要度などまた変わるのかと思います。そうした上で、今回の予算編成でどのような工夫、もしくは苦労などがあったかお伺いします。
長野県知事 阿部守一
まず臨時財政対策債の縮減については全体のマクロベースの話になります。地方財政対策を行うに当たって、県の希望としてはまずは地方の一般財源総額をしっかり確保し、その上で臨時財政対策債については縮減、廃止をしてもらいたいと思っていますけれども、今回全体として一般財源総額を確保するに当たって臨時財政対策債を縮減した上でも確保できるということで、国において全体的に縮減するという措置が取られましたので、このことについては望ましい方向性だと思っています。ただ抜本的な改正にはなっていないので、そこはぜひ今後とも検討していただきたいと思いますけれども、国も意識をして縮減していると思いますので、その点は大変ありがたいと思っています。そういう意味で、予算編成をするに当たってはやはり今、平常時と違う状況がある意味続いています。コロナ対応、それから毎年のように災害対応、災害復旧事業も必ずしもすべて完了している状況ではありませんので、特別な支出を片方で行いながらも健全な財政をどう維持していくかということを念頭に置きながら編成しました。加えて、できるだけめりはりのある予算編成ということで、これは予算編成方針のときから先ほどの柱を掲げていますけれども、それを踏まえて各部局において予算の原案、たたき台をつくってもらって、それを基に最終的に取りまとめました。今やらなければいけないこと、中長期的な視点で進めなければいけないことに対してしっかりと予算付けをすることができたのではないか、そういう意味ではめりはりのある予算編成をすることができたと考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
県税収入の部分についてお伺いしたいのですが、今回の予算ではかなり増額していて、たどってみるとリーマンショック前の水準まで伸びているかと思います。一部の製造業などで好調なところがあるというのは説明いただいているのですけれど、肌感覚からいうとやや違うのかなと過大なのかと思う部分もあるのですが、県の自主財源の主要なものになる部分ですので、見積もったよりも少ないと大変な部分もあるかと思いますのでお伺いするのですが、知事はこの数字についてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
県としても歳入予算が確保できないということになると非常に財政運営上困りますので、適切に見込む努力をしています。今の状況は確かに災害があり、コロナ禍がありということではありますけれども、企業によっては業績が好調な企業もあります。そういう意味で、今コロナ禍で非常に厳しい経営環境に置かれている企業と、一方で企業活動自体は好調な企業と、どちらかというと二極化している状況があると思っていますので、県としては税収確保にはしっかり努めながらも、厳しい経営環境に置かれている事業者の皆さまに対する支援については引き続き行っていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
きょうの会見の中で出た話ではないのですがJR大糸線の関係でお伺いします。JRが先日、期成同盟会の中で路線の活性化に向けた議論の場を設けるという発表があると同時に、これは報道ベースの話ではあるのですが、その路線のバス路線への転換、実質的な廃止も含めた報道が出て、それに対して地元の大町市であるとか新潟県糸魚川市の首長たちが反発するということが起きています。24年には敦賀延伸がある中で、県にとっても玄関口になる重要な路線かと思いますし、97年に大雨災害があったときには長野県、新潟県とも多額の支援をして路線の復活に努めたという地域にとって非常に重要な路線でもあるかと思います。この点について知事が今どう考えていらっしゃるかというのをお願いします。
長野県知事 阿部守一
大糸線は今お話があったように、地域における重要な交通手段だと思っていますし、これもご指摘いただいたように、災害復旧にかなり多額の予算を投じる中で支えてきた路線です。そういう意味で、これからも地域の暮らしや産業を支える路線としてしっかりと維持していただくということが重要だと思っています。今、例えば北陸新幹線も期成同盟会で1日も早く関西につないでほしいということをお願いしていますが、東京と関西が北陸新幹線でつながれば、人の移動も非常に変わってくると思います。そうした全体の中でしっかりと大糸線を位置付けていってもらいたいと考えています。
信濃毎日新聞 野口健太郎 氏
補足でお伺いしたいのですけれども、先ほど大町市と糸魚川市の名前を出しましたけれども、首長から反発の声が上がっていて、双方で対話が不足しているのかとかそういう意味で懸念する部分もあるのですが、そういった部分で知事の方から考えていること、もしくはJRに対して要望したいことなどがもしありましたら、お伺いしてもよろしいですか。
長野県知事 阿部守一
JR西日本の皆さまとはこれまでも観光振興も含めていろいろ対話をしてきています。私のところでこの大糸線についてどうこうするという話はJR西日本からは直接話がありませんので、先ほど申し上げたように、県としては大糸線は地域の暮らしにとっても産業にとっても重要な路線だと考えていますので、そうしたことをしっかり認識していただきたい。機会があればまたそういうお話もしたいと思っています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
予算の関係でお聞かせください。新型コロナや災害対策といったものに加えて、障がい者関連や犯罪被害者等支援、さらに4月に発足する産業振興機構、こういったご自身が長年課題や目標に挙げていらっしゃったような施策に関する費用があちこちにちりばめられているかと思っています。今回の予算編成に当たって、そうした知事ご自身の思いというのがどのくらい反映できたのか。阿部県政の色というのがどのぐらい出たのか、そういった点で感想をお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
県職員全体でつくり上げた予算案ではありますけれども、相当私の思いを反映していると思っています。まず、コロナ対応、災害対応は喫緊の課題ですので、何とか全力で対応していかなければいけないと思いますけれども、脱炭素、公正な社会づくり、そして誰もが学び続けられる社会づくり、私としても地球温暖化対策は強い思いを持ってこれまで取り組んできていますし、これからも長野県として率先して進めていきたいと思っています。また、公正な社会づくりというのも私も県知事として仕事をするに当たっては、やはりいろいろな施策がありますが、光が当たりにくいところに光を当てていきたいということをこれまでも申し上げてきていますが、障がい者の方、あるいは犯罪被害者のご家族とお話をさせていただくと、まだまだ行政が取り組んでいくことが多いなと痛感していますので、こうした予算と条例案を県議会にこれから上程するわけですけれども、何とかご理解いただいて実行していきたいと強く考えています。また、学びの県づくりもこれまでも取り組んできましたけれども、今回、例えば特別支援学校の修繕等も含めて、子どもたちが学ぶ環境整備についてもかなりこれまでよりも踏み込んで予算を配分しています。コロナと災害は誰が知事でも大体同じようなことをやるのではないかと思いますが、脱炭素、公正な社会づくり、そして学びの県づくり、ここはかなり私の思いを反映した予算案になっていると思っています。
信濃毎日新聞 熊谷直彦 氏
来年度、総合5か年計画の最終年度というような話もありました。さらにご自身の3期目の任期満了の年でもあります。今回の予算の事業編成を見ると3期目の集大成といった面も少なからずあると推測できるのですが、知事選に向けた現時点でのお考えを踏まえて、この予算をどう位置付けられているのか、その辺りを教えてください。
長野県知事 阿部守一
知事選に向けてという発想は全くないです。まずは県議会にお諮りしてご議決していただかなければいけませんので、それをしっかり全力で行っていきたいと思っています。また今コロナのオミクロン株による第6波もまさに闘いの真っ最中ですので、何とかコロナの抑制にも努めていきたいと思っています。
長野朝日放送(abn) 郷間彩姫 氏
新型コロナ対応の中で特にまん延防止等重点措置について幾つかお聞かせください。先月末から実施された結果、今どのように評価されているのかというのを現在の感染状況についての認識と併せて教えていただければと思います。
長野県知事 阿部守一
まず、まん延防止等重点措置は(2月)20日までということで公示していますけれども、多くの県民、事業者の皆さまに大変ご協力いただいていますことに改めて感謝申し上げたいと思います。そういう中で今の感染状況ですけれども、人口10万人当たりの新規陽性者数で見た場合には、本日の発表数字を加えると直近1週間で193.9(人)というような数字になります。これは先週も190(人)台で、ずっとこの直近1週間の(人口)10万人当たりの新規陽性者数が190(人)台が続いているということで、感染がどんどん右肩上がりで増えていくというような状況から、少し横ばいの状況になりつつあるかと思っています。ただ、まだやや横ばいという状況ですので、ここからさらに増加していくのか、減少していくのか、これはもう少し状況を見極めないと分からないと思っています。ただ、まん延防止等重点措置を講じたとき、例えば1月27日の直近1週間の陽性者が(人口)10万人当たり約180(人)で、その前の週が同曜日で見ますと約108(人)ですので、この頃は毎日どんどん陽性者が増えているという状況でしたので、それから比べると感染拡大のスピード自体はだいぶ落ちていると思っています。これはまん延防止等重点措置の中で多くの皆さまのご協力を頂けているおかげだと思っています。ただまだ予断を許すような状況では全くありませんので、昨日も少し申し上げたのですが、さらにこれから感染が拡大した場合への対応ということもしっかり考えていかなければいけないと思っていますし、逆に感染者が減少してきた場合の対応ということも、県としては県民の皆さまの暮らしと産業を守る上では考えていかなければいけないと思っています。措置が20日までですので、来週、県としても一定程度今後の対応については考えていかなければいけない、またお示ししていかなければいけないと思っていますので、今後の対応について内部的には検討している状況です。
長野朝日放送(abn) 郷間彩姫 氏
それは延長を要請するかどうかの判断を来週以降でするということですか。
長野県知事 阿部守一
まだ20日までが重点措置期間ですし、今申し上げたように、今の状況は感染急拡大でもなければ感染収束の局面でもないという状況ですので、少し状況を見極めた上で判断していきたいと思っています。
長野朝日放送 郷間彩姫 氏
補足でお伺いしたいのですけれど、もし延長することになった場合、どの程度の期間延長することが妥当だとお考えになっていますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まん延防止等重点措置の期間については最終的には政府が決めるという形になります。今までの政府の対応を見ているとどちらかというと比較的3週間程度長めに、長めというのは長野県としては大体これまでレベル5の対応のときは2週間という形でとっていますが、県の対応に比べると比較的長めにとる傾向があるかと思っています。ただ、まん延防止等重点措置の場合は長野県の判断として、全県にするのか、エリアを限定するのかということも選択できますので、まだ全然21日以降の対応については未定ですが、さまざまな選択肢を念頭に起きながら対応を考えていきたいと思っています。
長野朝日放送(abn) 郷間彩姫 氏
そうなると、もし21日以降は適用エリアを絞ったり対策の内容を変える可能性もあるということですか。
長野県知事 阿部守一
例えば、さらにここから感染者が増加していくような状況になればそれに応じた対応をしますし、逆に感染が収束に向かう方向になれば、また県としてはそれに対応した対応をしますので、今後の状況、それからその後の見通しによって対策、対応は変化をさせていかなければいけないと思っています。
市民タイムス 田子元気 氏
組織改正についてお伺いします。新たに松本空港課を新設される実質、課への格上げだと思いますが、このタイミングでこうした組織改正をされる知事の意図について詳しくお伺いできればと思います。
長野県知事 阿部守一
今、松本空港はコロナ禍で非常に旅客数も影響を受けているという状況ではあります。ただ、このコロナもこれから未来永劫(えいごう)続くわけではありませんので、必ずどこかで県としてはそう遠くないうちに収束することを願っていますが、そのときに、これまで長野県として取り組んできたように、まずは国際チャーターを増やして国際定期便を就航させる、それから国内の定期路線も増やしていく、こうした対応を進めてきていますので、アフターコロナも見据えながらより力を入れて取り組んでいきたいと思っています。そういう意味で、今回室から課という形で体制を強化することにしました。
市民タイムス 田子元気 氏
国内路線の拡充をこの中で掲げられていますが、実際に沖縄定期便化に向けての足掛かりになるのか、あと福岡や神戸空港との乗り継ぎというお話もありましたが、課を新設することによって近々実現されるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まだ近々というところまで申し上げにくい状況ですが、なかなかコロナ禍で往来とか交渉がしづらい環境ですが、例えば沖縄との関係では航空路線の話だけではなくて、多角的な多様な分野での交流を進めていますので、そうした延長上にはぜひ沖縄便ということも視野に入れながら進めていきたいと考えています。
朝日新聞 遠藤和希 氏
今回発表された予算の中で中期財政試算を拝見したのですけれども、今回財政調整基金がまた取り崩しになっていまして、2026年に30億円になるとその後は底を突くような見通しが示されています。社会保障関係費が膨らむ中で行財政改革などで対応するということなのですけれども、構造的なこういった社会変化の中で再建の道筋というものをどういうような形で立てていくのか知事のお考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
例えば、財政調整に充てる基金も、私が知事に就任した当初は二百数十億、300億程度のところから少しずつ貯金を増やして、ここしばらく500億円を超える水準を維持しています。これは先ほど申し上げたように、毎年、あるいは毎回予算編成をするたびに財政の持続可能性を念頭に置きながら、例えば県債の発行額をどれぐらいにするかとか、あるいは毎年の実質収支、決算で出たお金をどう処理するかとか、そういうことも含めて毎回毎回詳細な検討を行う中で持続可能な財政ということを念頭に置きながら取り組みを進めてきた結果です。今、災害対応であったり、あるいはコロナ対応ということで少し平時と違う財政モードになっています。県としては緊急事態対応ということでコロナ対応だったり、災害対応はまずしっかり進めていきたいと思っていますが、これを進めるに当たっても、国庫支出金、国からの交付金とか補助金、過疎化対策も交付税措置が通常時に比べると充実していますので、同じ事業をやるにしてもできるだけ有利な財政措置を使って、有利な時期に事業を実施するという観点で取り組んできています。ここは今後ともそうしたスタンスで取り組んでいきたいと思っていますし、また、通常の部分もやはり持続可能性があるものにしていかなければいけないと考えていますので、例えば義務的経費である人件費も確実に抑制させていくということで取り組んできていますので、今後ともそうした方向性はしっかりと堅持していきたいと思っています。ただ、職員の人件費は単なるコストではなくて、しっかり働いていただいて成果を上げてもらっているという部分もありますので、単に人数を切り詰めるということだけではなくて、先ほど申し上げたようなDXみたいな、本来、機械とかAIにやってもらえばいいような事務はそういうところでAI等にやってもらって、本来のクリエーティブな事業に職員が専念できるような体制をつくっていくといったようなことと併せて進めていかなければいけないと思っています。それから、具体的な事業については今回もかなりめりはりをつけています。県の行っている事業は挙げればきりがないほどありますけれども、今回六つの大きな柱に集中しているところですので、これからも選択と集中をしっかり行いながら、めりはりのある予算編成を行うことによって財政の健全性、持続可能な財政を維持していきたいと思っています。
中日新聞 大久保謙司 氏
先ほどの記者の質問と少し関連するのですけれども、中長期的に見ますと人口減少があり、かつ高齢化によって社会保障関連費が増えてくるという中で、試算の上でもどうしても支出が多くなっていく一方で収入が減っていくという状況が続くと思います。その中で、この状況についての今めりはりをつけるというお話がありましたけれども、知事は楽観的に見られるのか、それとも気を引き締めて悲観的に見なければいけないのかというご認識の部分をお伺いしてもよろしいでしょうか。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、例えば今回の予算編成を経て当面どういう見通しかを申し上げれば、実質公債費比率をはじめとする財政指標については健全性を維持できると思っています。ただ毎年税収動向がどうなるかとか、国レベルの地方財政対策の中で交付税総額がどうなるか、あるいは一般財源総額がどうなるかというのはかなり影響を受けます。そういう意味では県でできる取り組みをしっかり行って、持続可能性を意識した財政運営をしていくのと併せて、地方公共団体はかなり国民の暮らしに密着した仕事を行っていますので、引き続き、国に対しては一般財源総額の確保をはじめとして地方税財源の充実ということを強く求めていきたいと思っています。これまでも財政運営に健全性を維持しながら取り組んできていますけれども、今後ともそうした姿勢で取り組んでいきたいと思いますし、ただ今社会の変革が非常に急速です。いつどういう支出が増えてくるか、いつ何時、今回のようなコロナ禍であったり災害が発生するかは分かりませんので、一定程度県としての貯金も維持しながら厳しい財政状況は続くという前提で対応していきたいと思っています。
中日新聞 大久保謙司 氏
脱炭素の関係で、本年度のプラットフォームの開設も含めてソフト面、ハード面とさまざまな事業が脱炭素に関して予定されていますけれども、その中で特に知事が期待しているもの、22年度に成果といいますか、何か望む形を出せればというものがもしありましたらお伺いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
主要事業のところにいろいろ書いていますけれども、まず、「信州健康ゼロエネ住宅」の普及というのは、今の既存の技術でできる限りCO2を減らしていく上では建築物の断熱性能の向上は非常に重要な課題ですので、ぜひここは力を入れて取り組んでいきたいと思っています。それから、今言及いただきましたけれども、「サステナブルNAGANO共創プラットフォーム」はさまざまな主体が協働、共創して新しいプロジェクト、取り組みにチャレンジしていく場をつくっていこうというものですので、これも旧来型の行政の仕事の仕方ではなく、企業、大学、あるいは脱炭素の取り組みを実践している皆さまの中に県の職員が入って、一緒になって進めていけるような体制をつくっていきたいと考えています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
新型コロナウイルス感染症の感染状況が今横ばいの状況ではないかという先ほどのお話に関してです。その横ばい状況が県内のいろいろな分野に与えている影響に関してなのですが、病床使用率がきのうの夜時点で44.4パーセントということで、やはり着実に上がっていて、知事が一般の医療への影響も懸念されるということで避けたいと言っていた50パーセントに近づいているという状況があります。あとは、医療機関の他にもバスの運行ですとか、少しずつ社会機能への影響というところも少し出てきていた部分もあります。この医療の逼迫(ひっぱく)という影響だったり、社会機能が損なわれるという点での影響について知事の現状認識、横ばいの状況が続いていることによる影響について、知事の現状認識や危機感というのはどれぐらいのレベル感にあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、病床使用率についてはご指摘の通り少しずつ増加してきている傾向があります。このことについては、やはり一つの要因はご高齢の方の陽性者が少しずつ増えている。どうしてもご高齢の方が陽性になると全体の中では入院される方が多くなるということで、入院者に占めるご高齢の方の割合は当然のことながら非常に高くなっています。そういう意味で、今ワクチンの追加接種を進めているところですけれども、昨日も市町村長の皆さまにお願いしましたけれども、今の状況に対応するような対策をワクチンの側面でもしていただくことが必要だと思っています。ご高齢の方に対する早期の接種、とりわけ高齢者の施設には県も接種チームをつくって訪問して接種していますけれども、極力早く高齢者施設等の追加接種が行われて、施設内感染等で多くの高齢者がいちどきに感染するようなことができるだけ防げるようにしていきたいと思っています。もう一方で今もお話ありましたが、陽性者が増えるだけではなくて濃厚接触者等も増えています。どうしても日常生活に制約を受けている方が多くなっていますので、社会機能をどう維持していくかも片方で重要な課題だと思っています。そういう意味で県としても今、例えば学校への対策だとか施設への対策だとかということも、要請内容等も含めて強めにお願いしているところですけれども、エッセンシャルワーカーの方は非常に細心の注意を払いながら活動されていますけれども、こうした方に対するワクチン接種も進めていきたいと思いますし、こうした方が事業継続できるような環境もできるだけつくり出していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
ただ、まん延防止等重点措置に関して言うと、折り返しが過ぎて後半に入った段階で意外と早く来たなと個人的には印象に思っているのですけれども、折り返しが過ぎて後半に入る段階で、今この高止まりの状態というのがなかなか厳しいなと思う部分もありまして、高止まりから減少に行くために追加で何か途中から行おうと思っている措置など検討していることはあるのでしょうか。あるいは医療非常事態宣言の発出も選択肢としてはあるかと思うのですけれども、そこも含めて何か検討はありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
医療の話については確保病床使用率が確実に増加している状況ではありますけれども、できるだけ入院の必要がない方については早期に退院いただくような対応もしていきたいと思っています。県の考え方としてはもちろん新型コロナで陽性になって入院治療が必要な方がしっかり入院できる環境は片方で維持しなければいけないと思います。現在の確保病床を上回る病床が仮に必要となるような状況になれば、病床数をあと140床は増やすことができることを医療機関の皆さまと話し合っていますので、こうした緊急確保病床の活用ということも片方では念頭に置いていきたいと思っています。ただもう一面で、病気とかけがで入院される方は新型コロナの方だけではないのでコロナ病床さえあればいいかというと必ずしもそうではないので、そこの状況を見極めながら対応していかなければいけないというのが今の正直な思いです。どうしても報道されるのがコロナの方だけで一般医療の方はあまり報道される機会はないですけれども、一般医療にあまり負荷がかかり過ぎるとこれはまた県民の命と健康を守ることができなくなりますので、両方をにらみながら対応していきたいと思っています。感染状況ですけれども県内全体ではやや頭打ちというか、きょう発表分までの1週間の陽性者数が3972名ですけれども、先週の段階で3998名ですので1(倍)という形です。ただ圏域ごとに見るとかなり状況がばらばらだと思っています。例えば、まだまだ感染拡大が続いている圏域もあれば、逆に1週間当たりの新規陽性者数が減少傾向になっている圏域もありますので、それを考えるとまん延防止等重点措置を講じたときは比較的まだ木曽地域は陽性者が少なかったのですが、その後、急激に増えて全県同時に右肩上がりという状況になっていましたが、今圏域ごとに見ると増加しているところもあれば減少傾向が見られるところもありますので、圏域ごとにきめ細かく見ていくことが必要ではないか、その上で、来週以降の対策を考えていくことが必要ではないかと思っています。
信濃毎日新聞 立松敏也 氏
今回、議会に提出なさる「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」の関係なのですけれども、基本理念の7番目(会見資料3/15ページ)にところに、「全ての県民は、幼児期から障がい等に対する理解を深める機会の拡大が図られること」というものがあって、聞くところによるとこれは長野県の条例で独自に加えた部分だとも聞いていますし、障がい者団体などの当事者の方からも期待する声がこれまでに聞かれていたのですけれども、今回の予算に関する事業の発表の中では、子どもが小さい頃から理解を深める機会の確保というのは私が見た範囲からは見えなかった部分があるのですけれども、この点では今後どういった展開を考えていらっしゃるか、あるいは今回の資料には出ていないけれどもこういうことがあるというのがもし知事の頭の中にでもあれば教えていただきたいと思います。
長野県知事 阿部守一
ご指摘の通り、条例に基づいてさまざまな施策を展開していかなければいけないのですけれども、今回の予算で必ずしもすべてがカバーできているとも思っていません。先ほどの部局長会議でも各部局長にお願いしましたけれども、やはりそれぞれの部局がしっかり取り組んでもらうということが重要だと思っています。例えば、これは予算に出てくるような話ではないですけれども、内部で今検討していることの一つに、障がい者の方と意見交換をする中で強くご要望をいただいているのが駐車場のことです。特に車いすの方が、最近はどこでもパーキングパーミット、障がい者用の駐車場を置いていただいているところが多いわけですけれども、残念ながらほとんど屋根がないということを何度も言われました。県の駐車場も振り返って考えるとなかなかそうしたところがあまりない状況ですので、県庁、合同庁舎であったり、どういう対策が講じられるかということについては今、検討しているところで、こういう形で常にこの条例制定と併せていろいろな場面、いろいろな分野での対策、対応を継続的に考えていきたいと思っています。
長野放送(NBS) 宮入想 氏
ワクチン接種の関係でお伺いします。県も13会場で4万人ということで集団接種の会場を設置していらっしゃいますけれども、ホームページを見るとかなり大幅に予約が空いているような状況で、1万5000人ぐらい単純計算でまだ空いているのかと思うのですけれど、その辺り予約がなかなか入っていないという現状の受け止めと、今後の対応、あるいは県民への呼び掛け等お聞かせいただければと思います。
長野県知事 阿部守一
一つは市町村長の皆さまと意見交換をする中でも、1回目、2回目の接種に比べるとどうも追加接種を希望されるパワーというか、熱量というのが弱いのではないかというご意見をいただいています。そういう意味で県としては追加接種の意義、必要性というものをしっかりお伝えしていくことが必要だと思っています。陽性者全体の数が増えている中で高齢者の方が陽性になる絶対数も多くなっています。そうするとどうしても中等症以上になる方も出てきますので、まずご高齢の方には早めの接種を行っていただきたいと思っています。昨日、市町村長の皆さまにお願いしたのは接種券についてできるだけ早く送付していただいて、県の接種会場だったり、例えば東京に行ったときに大規模接種会場で打つというような方もいると思いますので、早め早めに接種できるような環境をまずつくってもらいたい。そして、できるだけ前倒し接種をしてもらいということでお願いしています。そういう意味で、一つは意義を多くの皆さまと改めてしっかり共有していきたいと思いますし、もう一つは、市町村の皆さまと協力してできるだけ早く打てるような環境、例えば「接種券があれば打ちに来るのに」という方もいると思いますので、そういう環境整備にも取り組んでいきたいと思っています。
長野放送(NBS) 宮入想 氏
今、追加接種を希望する熱量がこれまでと比べて弱いのではというお話がありましたけれども、その弱まっている要因というか考えられるところはどんなところにあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
一つは追加接種の意義です。2回接種して一定程度安心感があると思います。例えば、重症化リスクについては一定程度まだ維持されているともいわれますけれども、ただ、全体としての抗体量は下がりますので、やはり発症予防効果、重症化予防効果は下がりますし、特にご高齢の方がそうした効果がより減少しますので、できるだけご高齢の方にはしっかり打っていただくことが必要だと思います。そうしたことをアピールしていかなければいけないと思っています。
長野放送(NBS) 宮入想 氏
厚生労働省でもお話が出ていますけれども、保育所等での子どものマスク着用等推奨という話もありますけれども、県として基本的な方針というか、現時点でもしあるものがあればお願いしたいと思います。
長野県知事 阿部守一
保育所の皆さまもいろいろ苦労されながら対応してきています。そういう意味で、子どもの状況に合わせた対応ということがやはり必要だと思いますので、同じ年齢の子どもでもなかなかマスクをしたがらない子どもいれば、そうでもない子もいると思いますし、またマスクをすることによって、どうしても小さな子どもだと笑顔が見えなかったりしてコミュニケーションが取りづらいという課題もありますので、そこはやはり現場でケースバイケースで対応していただくのが重要だと思っています。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
犯罪被害者等支援条例案についてお伺いします。経済的負担の軽減をめぐって給付金の支給について計画の方ではなくて条例本文に盛り込んでいると伺っています。これはテクニカルな問題かもしれませんけれども、被害者遺族の思いを酌んだ踏み込んだ対応かと感じています。この点について知事の思いをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
私も直接ご遺族の方ともお話しし、切実な思いを伺いました。そういう中でできるだけ思いに寄り添って対応していきたいと考えました。今手元に最終的な条例案の形になったものがなくて概要しかないのですけれども、今の経済的負担の軽減については給付金の支給を行っていきますし、また、学校における教育ということもご遺族の方とお話しする中で出てきた話です。人権・男女共同参画課にはご遺族の皆さまとよく意思疎通をしながら最終案をまとめてほしいということでお願いしてきましたが、十分ご意向を伺いながら、ただ一方で条例は法令用語で書かなければいけないので、表現的には法令的な表現にならざるを得ないところはありますけれども、できる限りご意見を踏まえた条例案とさせていただけたと思っています。
信濃毎日新聞 井口賢太 氏
付属してですが、部局長会議でもこの条例案については県の独自の内容を盛り込んだと知事がおっしゃっていました。改めて支援の部分でどのような点に力点を置いたのでしょうか。あと、条例に基づく計画は今後どういったものにしていきたいのかお考えを聞かせてください。
長野県知事 阿部守一
私のところでいろいろ考えたことを申し上げれば、一つは相談体制です。どうしても犯罪被害者の方の相談内容は多岐にわたるものになりますので、あちらの窓口、こちらの窓口ということでたらい回しにするようなことがあってはいけないということで、まず相談窓口をしっかり置きたいと思っています。4月になった段階で今も窓口はある形にはなっていますけれども、明確な形で体制も強化して県に相談窓口を置いていきたいと思っています。それから居住の安定については県営住宅の入居への特別な配慮という部分はご遺族の方からも住宅のところについてはご意見をいろいろ頂きました。これは県としても基本的に位置付ける考えでしたけれどもしっかり書いたところです。さらには、先ほどお話のあった経済的負担の軽減ということで、条例上は「給付金の支給」という形で記載しました。それから私の問題意識としては、犯罪被害者になられた方が犯罪による直接的な被害だけではなくて二次被害に遭うことも多いということがありました。そういう意味では、法律の専門家である弁護士への相談もしっかり応援していかなければいけないと考えています。今のような点を中心に、この条例の在り方とか今後の対応の在り方を考えましたけれども今、並行して犯罪被害者等支援に関する計画を策定している状況ですので、その計画の中により具体的な内容をしっかり書いて、その着実な推進を図っていきたいと思っています。
信越放送(SBC) 上原一将 氏
今の犯罪被害者等支援条例についてなのですけれども、現在、坂城町でしか県内で制定されていない中で、他の自治体への働き掛けというのは県として何かやっていく部分はありますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず県が何も条例化していないのに市町村の皆さまにお願いするというのはなかなか難しい状況なので、今回県としてこうした条例案を作って県全体で対応していこうという方向性の枠組みはつくります。この理念の中にも「犯罪被害者等支援は、国、県、市町村、民間支援団体等による相互の連携及び協力の下で行う」ということで書いてありますので、どうしても県だけではできないサービス、特に住民の皆さまに身近なサービスというのは市町村が担っている場合が多いので、市町村の皆さまの協力も今後お願いしていかなければいけないと考えています。
信越放送(SBC) 上原一将 氏
重ねてになるのですけれども、制定後にはその自治体への呼び掛けというのはしていく見通しや予定はありますか。
長野県知事 阿部守一
呼び掛けというのは協力の呼び掛けですか。
信越放送(SBC) 上原一将 氏
そうです。
長野県知事 阿部守一
先ほど申し上げたように、県も例えば県営住宅の入居配慮ということを書いていますけれども、公営住宅は市町村営住宅もありますし、例えば、今回これも長野県として特色ある内容ですけれども、学校における教育ということで、「二次被害の防止の重要性等について理解を深めるための教育等」も行っていきたいと思っていますが、これは小学校、中学校の教育は市町村立学校になりますので、市町村の皆さまにも今回の条例の考え方を丁寧にご説明し、ぜひ積極的に協力いただくようにお願いをしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 岡田理一 氏
学校での臨時休業の対応についてという資料が県と県教委の連名で配布されているので知事に伺うのですが、今回の趣旨というのが、学校で陽性者が確認されてからその陽性者の最終登校日から5日を経過するまで臨時休業ということが基本になっていますが、今まで臨時休校が何校とかいろいろ発表だったりこちらからも伺ったりしてきたのですが、実は感染者が学校で発生した際にどのぐらいの期間臨時休校するかという基準は、県教委の学校運営ガイドラインとかそういったものにも記載されていなかったので今回初めて臨時休業の基準について対応を示したことになるのか、その辺りの認識がこれでよいのか伺いたいのですが。
長野県知事 阿部守一
これは教育委員会と健康福祉部で出した文書ですけれども、今回基本的な考え方を統一するのは初めてという状況です。今回お示しした考え方は別紙に詳細に書いていますけれども、デルタ株までと比べてオミクロン株は感染スピードが速いということで、陽性になった方から次の方に感染するまでが約2日、これまでのデルタ株は5日といわれていますので非常に短くなっています。これまでの多くの学校で保健所の対応で行われているのは、まず濃厚接触者の調査をします。濃厚接触者の調査をするまでは学校はお休みして、濃厚接触者が確定したら、当然陽性者と濃厚接触者はお休みですけれども、それ以外の子どもたちは出てきてもいいという対応をしているケースが多い状況でした。今回はそこにお示ししているように、とはいえ濃厚接触者調査とかやっている間にも、発症前2日からは他の子どもに感染させる可能性があるわけですので、次の子どもに感染するまで5日間が平均的なデルタ株と比べて、悠長な対応をしている間に次の子どもに広がっている可能性があり得るということで、まず一律に学級については閉鎖をするという形にしています。原則5日間、要は陽性者の最終登校日の翌日から数えて5日間はお休みという形にしているのは、これもオミクロン株については暴露してから発症するまで大体95パーセントが5日以内というデータがありますので、5日間お休みするとかなり感染拡大のリスクは防げるのではないかということでこういう形にしています。ただ、もとより学校の状況であったり、子どもたちの接触の状況であったり、画一的ではないケースもありますので、具体的な休業期間については保健所であったり、学校医からの助言、あるいは地域の感染状況を踏まえて決定していくという形にしています。これは県立学校の対応ですけれども、この文書は市町村教育委員会にも出して参考にご対応いただければということでお願いしているところです。
ありがとうございました。
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