インターネット版広報ながのけん6月号 2015年6月発行 特集:信州でのびのび子育て ■1ページ目 豊かな自然環境に恵まれた長野県は、観光だけでなく自然保育の地としても大人気。 幼児期の豊かな体験が知力・体力を高め、情操を育み、子どもの育ちを支える「人生の根っこ」となります。 自然保育の質を高め、子育ての安心をサポートする取り組みをご紹介します。 「自然保育」って?  自然の中で好奇心を目いっぱい膨らませながら思う存分遊びつくす子どもたち。こうした体験を重ねるうちに、自然環境や人間関係などについて自ら発見し学ぶ力が身に付き、身体能力はもちろん自己肯定感やコミュニケーション能力が向上していきます。  長野県は「子育て先進県」として、そうした子どもの力を信じる体験重視の「自然保育」の普及に取り組んでいます。自然保育の実践団体である「森のようちえん」、既存の保育園や幼稚園、みんな一緒になって子どもたちの豊かな成育環境の充実を目指します。 信州型自然保育認定制度  自然保育の質や量に関する独自の基準に基づき、長野県が「自然保育」の活動を認定する制度。  これにより、保育の内容が「見える化」され、保護者が安心して自然保育を選択できるようになります。  6月1日から認定申請の受付を開始しています。 ■2ページ目 ○自然保育の実践事例  山の遊び舎(や)「はらぺこ」は、伊那市にある「森のようちえん」。元気な子どもたちの様子や心掛けていることなどをスタッフの小林成親(なるちか)さんからお伺いしました。 「はらぺこ」になるまで夢中で遊ぼう  今年度の「はらぺこ」は、2歳から6歳までの未就学児28人でスタートを切りました。  園舎のすぐ裏山に設置してある木製遊具や、おさんぽと称する近所の山や川への探検などが園児たちのお気に入り。豊かな自然の中でのさまざまな体験を通じて、この4月に初めて「はらぺこ」の仲間入りをしたお友だちも、日に日に笑顔が増えてきています。28人全員が一緒に行動しているので、年長さんが下の子たちの面倒を見ることが自然と身に付いてくるんです。この子がこんな サポートができるようになったんだと感じることもしばしばです。  ここの大きな魅力のひとつは少人数制だということ。経営的には決して楽ではないのですが、私自身がとても大切にしていることで、「子どもたちとしっかり向き合っていく」ためには、今の規模がちょうど良いと感じています。  保護者の皆さまにも積極的に保育に参加してもらい、今しかない貴重な時間を子どもたちと一緒に大切に過ごしてもらいたいなと思っています。 保護者の声  転勤族で、兄弟をいろんな園に入れてきましたが、ここの環境は私が望んでいたもの。母親仲間で何でも気軽に話し合えるのもいいですね!  ちょっとしたケンカが始まってもすぐに大人が割って入らないのが「はらぺこ」ルール。子どもたち同士での解決を見守ることも時に必要。親も勉強ですね。  小学校入学時に、顔見知りの友達が少ないことへの不安もあったけど、「はらぺこ」に決めました。ここで身に付く「生きる力」は大きな魅力です。 ○「子育て環境」で長野を選ぶ移住者が増えてます  子育ての適地として評価されている理由について、伊那市の移住・定住コーディネーター水口 航(わたる)さんに、お話を伺いました。  移住の相談は、子育て世代とシニア世代の割合がほぼ半々という状況です。相談件数が全体的にも伸びている中で、とりわけ子育て世代を中心に相談が増えている印象です。  通知表がなく総合的な学習に力を入れている伊那小学校や、田舎暮らしモデル地域内にあり、少人数教育の良さを生かす新山小学校への入学を目的とした移住相談も珍しくありません。  また、伊那市では地域の宝である子どもたちを地域全体で育てていこう、という考え方が伝統的にあると感じます。ちなみに、新山小学校は、学区の小学生がいない世帯も含め全戸PTAに加入し、学校行事に積極的に参加されているんですよ。  田舎暮らしの本(2015年2月号、宝島社)  長野県 移住したい都道府県9年連続第1位  伊那市 「子育て世代にぴったりな田舎」第1位 ■3ページ目 さらに安心!皆さんの子育てをしっかりサポート 〜市町村と連携して「子育て安心県」を目指します〜 ○経済的負担の軽減のために・・・  保育料の負担軽減   市町村が行う第3子以降の保育所・幼稚園の保育料の負担軽減を支援    兄姉同時入所要件なし  子どもの福祉医療制度の充実   乳幼児等医療費助成制度における入院の対象範囲の拡大    小学校3年生まで ⇒ 中学校卒業まで   障がい者医療費助成制度の拡充    年度末年齢18歳までの世帯の所得制限を撤廃  その他   子どもが3人以上の世帯の居住環境向上のため、県営住宅に優先枠を設定   買い物などの際にカードを提示すれば、割引などの各種サービスが受けられる「ながの子育て家庭優待パスポート」の対象店舗を拡充 ○仕事との両立支援のために・・・  いざという時の子どもの居場所の充実   病児・病後児保育を県内全ての広域圏で受けられるようにするとともに、より身近な場所で子どもを預けられるよう市町村を支援   必要なときに子どもを預けられるファミリー・サポート・センター事業やNPO等が行う子育て支援事業を全県に拡大   放課後児童クラブや放課後子ども教室の整備・運営を支援  女性の再就職支援   子育てのため一旦離職した女性に対し、就職の不安を解消する託児付きインターンシップや、身近な地域での就職支援セミナーなどを開催   専用サイトによる就職に必要な情報の提供 ○困難を抱える子どもや家庭への支援のために・・・  子ども支援センター   子どもが抱えるいじめ、体罰などの悩みのほか、保護者が抱える育児や子育ての悩みなど、子どもに関するさまざまな悩みに幅広く対応   【設置場所】 県庁県民文化部こども・家庭課内   【電  話】 026-225-9330(大人用)   【対応時間】 月曜から土曜 午前10時から午後6時 ■4ページ目 連載:信州健康長寿のヒ・ミ・ツ ♯2 「減塩と野菜摂取」  (公社)長野県栄養士会 会長 園原 規子 さん(NORIKO SONOHARA)  長野県では、現在、県民一人ひとりが主役の健康づくり県民運動「信州ACE(エース)プロジェクト」を推進中。連載企画「信州 健康長寿のヒ・ミ・ツ」では、さまざまな分野で活躍中の皆さんが、信州の健康長寿について語ります。  第2回は、北信総合病院での勤務を経て、2008年からは長野県栄養士会会長を務める園原規子さん。これまでの「食の取り組み」を振り返りつつ健康長寿を実現するために必要なことについてお伺いしました。 ○食と栄養のスペシャリストとして  私が生まれ育った終戦後の食糧難の時代から飽食と言われる時代を経て、生活習慣病予防・介護予防の観点が問われる時代へと健康課題は大きく様変わりしてきています。しかし、一人ひとりが豊かな人生を全うするためには健康が基盤であり、「食と栄養」がそのために必要不可欠な要素であることに変わりありません。  県民の皆さんの健康支援に関わりの深い専門職として、使命感を感じながら今の仕事に関わっています。 ○男女ともに平均寿命1位を達成  本県は、平成22年に男女ともに平均寿命が1位になりました。これには、さまざまな要因があると言われていますが、私たち長野県栄養士会や長野県食生活改善推進協議会などが積み重ねてきた、県民の健康増進につながる地道な「食の取り組み」が一定の成果を挙げてきたものと自負しています。  県内各地にキッチンカーで出向いて、健康づくりや食生活について考える巡回講習会を開催したり、長野県が昭和56年から3年間実施した県民減塩運動では、普及活動に協働して取り組みました。また、近年では、地域のスーパー等で、「まちかど栄養相談室」「野菜たっぷり、適塩キャンペーン」などを行っています。 ○世界で一番の健康長寿を目指して〜信州ACEプロジェクトの推進〜  しかし、平均寿命第1位を喜んでばかりもいられません。平成25年度の県民健康・栄養調査によると、食塩摂取量は国が示した目標を超えている人が約9割となっています。また、野菜摂取量は、成人1人1日当たり319gで全国1位ですが、20〜49歳の働き盛りの世代では、男女とも約8割の人が目標の350gに満たない状況となっています。  減塩により将来の高血圧を予防できるほか、野菜を多く摂ることで高血圧や肥満、糖尿病、がん予防にも効果がありますので、皆さんもぜひ、「減らそう塩分、増やそう野菜」を実践してもらいたいと思います。 <平成25年度県民健康・栄養調査>  食塩摂取量「国の目標値をオーバーしている人が約9割」   高血圧、脳卒中予防の観点から、国で設定した目標値(男性8g未満、女性7g未満)を超えている人   男性 8g以上・・89.3%、8g未満・・10.7%   女性 7g以上・・88.9%、7g未満・・11.1%  野菜摂取量「若い世代は不足気味」   20歳代・・・男性296g、女性292g   30歳代・・・男性257g、女性274g   40歳代・・・男性301g、女性288g   50歳代・・・男性316g、女性336g   60歳代・・・男性343g、女性379g   70歳以上・・男性325g、女性352g 信州ACE(エース)プロジェクトとは  長野県が展開する健康づくり県民運動の名称です。  ACEは脳卒中等の生活習慣病予防に効果のあるAction(体を動かす)、Check(健診を受ける)、Eat(健康に食べる)を表し、世界で一番(ACE)の健康長寿を目指す想いを込めたものです。 ACEを実践しよう!「信州ACEプロジェクト」♯2 「森林セラピー」  森の中にいると、さわやかな気持ちになったり、心が落ち着いたりすることを、誰もが経験的に知っています。この「森林浴」の効果について、科学的な解明が進められ、森林に代表される地域の自然をココロとカラダの健康づくりに役立てていこうとする「森林セラピー」の取り組みが広がっています。  県内には、全国最多の10カ所の森林セラピー基地等がありますので、心身のリフレッシュにぜひお出掛けください!