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更新日:2021年3月31日
令和2年(2020年)11月13日(金)
午後2時から午後3時15分まで
議会棟 404・405号会議室
○議題
議第1号 令和2年11月県議会に提出される予定の議案に対する意見について
議第2号 職員の処分について
議第3号 令和3年度長野県立高等学校生徒募集定員について
○教育長報告事項
(1) 令和3年度長野県公立高等学校入学者選抜における新型コロナウイルス感染症などに係る対応について
(2) 令和2年度発達障がいに関する実態調査の結果について
(3) 令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果について
(4) 令和2年度「スマホ、タブレット、ゲーム機等に関するアンケート」調査結果について
○教育長
原山隆一
○委員
教育長職務代理者 伏木久始
委員 矢島宏美
委員 荻原健司
委員 塚田裕一
委員 中澤眞弓
○その他
尾島教育次長、塩野教育次長、内堀高校改革推進役、早川教育政策課長、
桂本参事兼義務教育課長、井村参事兼高校教育課長、駒瀬参事兼高校再編推進室長、
坪井特別支援教育課長、曽根原参事兼学びの改革支援課長、松村参事兼心の支援課長、
小林文化財・生涯学習課長、宇都宮保健厚生課長、北島スポーツ課長、滝沢国体準備室長
原山教育長
ただ今から、第1070回「教育委員会定例会」を開会いたします。
本日の審議事項中、議第1号「令和2年11月県議会に提出される予定の議案に対する意見について」は、成案となる前の内容について審議・検討する案件、また、議第2号「職員処分について」は、特定の個人に関する情報が含まれている案件です。つきましては、議第1号、議第2号を非公開とすることが適当と思われますが、ご異議ございませんか。
全委員
異議なし。
原山教育長
ご異議ございませんので、非公開とすることに決定しました。なお、この案件につきましては、本日の最後に審議することといたします。
それでは、議題に入ります。議題3号「令和3年度長野県高等学校生徒募集定員について」、井村高校教育課長から説明をお願いいたします。
井村高校教育課長
(資料説明)
原山教育長
ただ今の説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、議第3号を原案どおり決定したいと思いますが、ご異議ございませんか。
全委員
異議なし。
原山教育長
ご異議ございませんので、原案どおりといたします。
続いて、教育長報告事項に入ります。
報告事項(1)「令和3年度長野県公立高等学校入学者選抜における新型コロナウイルス感染症などに係る対応について」、井村高校教課長から説明をお願いいたします。
井村高校教課長
(資料説明)
原山教育長
それでは、ただ今の説明につきまして、ご意見、ご質問があればお願いします。よろしいでしょうか。
以上で、教育長報告事項(1)を終了いたします。
次に、報告事項(2)「令和2年度発達障がいに関する実態調査の結果について」、坪井特別支援教育課長から説明をお願いします。
坪井特別支援教育課長
(資料説明)
原山教育長
ただ今の説明につきまして、ご意見、ご質問があればお願いします。
矢島委員。
矢島委員
お願いします。ありがとうございました。2点あります。
1点は、3ページの高校における発達障害の見解についてですが、年々増加していく状況になっています。
実際に、私が高校生と話しをする中で、小中学校は支援級で小規模で刺激がなく個別対応もしてもらって、高校に上がったら40人学級でとても多く、40人いればかなり賑やかになったりざわついたりして、自分の落ち着く場所がないということでどうしようもないという声を聞きました。先生に相談したけれど、どうしようもないというふうに言われたと。
先ほどの6ページのところに、さまざまな配慮を書いているかと思うんですが、小中学校できめ細やかな対応をしていって、高校に上がったときの音の刺激に弱い生徒さんについて、高校での対応はどのようになっているのかというのが1点です。
もう1点は、先ほどの適切な学びの場のガイドラインを拝見したんですが、本当に素晴らしい内容になっていると思います。全教員の方、教員だけにかかわらず、今後の活用というところでさまざまな周知の方法があるかと思うんですが、学校関係者だけに留めておくのはとてももったいない内容になっていると思います。これを学校外、例えば福祉行政の中や不登校の支援をしていらっしゃる方ですとか、もっと広い活用と認識を共有していただきたいと思います。
ぜひ、学校関係者のみにかかわらず、広くこのガイドラインを徹底してもらいたいという要望があります。
以上です。
坪井特別支援教育課長
ありがとうございます。
1点目はおっしゃるとおりで、今まで特別支援学級やさまざま配慮をいただいていた児童生徒さんたちが高校へ行くと、委員ご指摘のような状況があるということを認識しております。高校におきます配慮や実例を見てみますと、別室を用意するですとか、配席の配慮ですとか、音の刺激というところに対しての配慮は今後ともしていかなければいけないと考えております。今お配りしましたガイドラインにつきましては、高校の現場にもきちんと研修等で周知しまして、きめ細やかな配慮をするように徹底していきたいと考えています。
また、2点目のお話でございますが、こちらもそのようにしていきたいと考えておりまして、ホームページのアップ等もしているところですので、そういったものを活用しながら、福祉や関係機関と共有しながら意見交換をしていきたいと思っています。
以上です。
原山教育長
他にいかがですか。
伏木教育長職務代理者
ご説明ありがとうございます。私も関連して同様のことについてです。
まず、6ページにある高校における配慮の実例というのは、実際に現場から出てきた実例ですよね。特別支援学校の高等部ということではなく、県立学校のことですよね。大変いい実例でびっくりするぐらいです。こういうものをもっと公表してほしいと思いますし、私も仕事柄いろいろな現場に行くんですが、あまりこういう事例は見たことがないです。
そこで、差し支えがなければ具体的にどこどこ高校ということをリアルに紹介していただいて、その高校が元気になるような紹介の仕方もいいかなと思いました。こういう高校の姿が、長野県中に広まっていくことを大変期待しています。
戻って5ページの「適切な学びの場ガイドライン」について、矢島委員と同様、私も積極的に広報していただきたいと思っています。
一方で、長野県の特別支援学級、特別支援学校の児童生徒の対象児が非常に増えている。こんなに子どもの数が減っているのに、なぜこういうことになるのだろうということも、同時に心配をしています。
つまり、一人ひとりの発達障害のあるお子さんたちに対する適切なケアは必要だけれど、それをインクルーシブという理念、そういう発想と齟齬がないように、「分けてしまう、そういう子どもを特別扱いする、区別していく」ということにならないようなガイドラインの使い方ということを強く意識して、どの教室でもこういう発想が必要なんだという方向でのアナウンスと言いますか、そういう指導が求められると感じていますので、付け加えさせていただきます。
坪井特別支援教育課長
ありがとうございます。1点目について、非常に貴重なご意見、ご指導をいただきました。各高校と相談をしながら、可能な範囲内でより臨場感のあるような表現で共有等をしていきたいと考えております。
2点目のお話でございますけれども、今回このガイドラインを各学校、全教員に配布させていただきましたが、早速、感想等が寄せられています。生の声を聞きますと、特に指導が難しくなると特別支援学級でという雰囲気があったという話の中で、やはり見直すべき項目やチェックポイントが安易な判断へのブレーキになったというような話もありますし、今までを振り返るのに有効な内容だという話も聞かれております。
ですので、委員ご指摘のとおり、まずは多様性を協調し合う学級づくりに力を入れていきたいと考えております。
以上です。
原山教育長
他にいかがですか。
中澤委員
お願いします。まず、その子の特性を支援しながら多様性を包み込む学習づくりがベースというところが、本当に良かったと思っています。
特性のある子どもたちが、バランスは悪いけれど本当に得意なものをしっかり持っている子たちが多いので、その辺りが一緒にいる中で、他の子どもたちがそこに注目したり聞いたり、その子自身が生かされることがすごく多いと感じています。
実際に小学校をいくつか見せていただいたときにも、随分支援がいる子どもの安心や親の安心も含めて、支援がいる子どもたちのことを第一に考えつつ、その子を巻き込むようなクラスづくりが始まっているところも出てきているなという印象を持っています。
この適切な学びの場のガイドラインがすごく良くできているなと思っていますので、ぜひここを大事に生かしてほしいなと思いました。ありがとうございます。
坪井特別支援教育課長
ありがとうございます。私自身もいろいろな学校へ見学等に行かせていただいていますが、年々変わってきているなと、きめ細やかな対応ができていると感じはしています。
そういった各学校の頑張り、先生方の努力を応援するような形で有効に活用していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
原山教育長
他によろしいでしょうか。
以上で、報告事項(2)を終了します。
報告事項(3)、「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果について、松村心の支援課長から説明をお願いします。
松村心の支援課長
(資料説明)
原山教育長
ただ今の説明につきまして、ご質問、ご意見ありますでしょうか。
矢島委員
ありがとうございました。何点かお願いします。
まず5ページのところで、暴力行為がこれだけ発生しているということはとても憂慮すべきことだと思います。
感情の扱いがうまくできなくて暴力まで至ってしまう子どもは、本当にかわいそうだとな思います。この子どもがいけないということではなくて、感情をどのようにうまく解消して、また話を聞いてもらって、そのことができていない。子どもたちも、暴力を振るいたくて振るっている子はいないと思うんですね。その中で、繰り返ししてしまうというのは、本当に残念だと思いました。
とにかく、連鎖を止めたいというところがあります。なんとか連鎖を止める方法はないかということと、先生に対しての暴力がかなり多くなっていたり、また生徒間暴力も多くなっているというところで、先生も暴力を受けていいはずはないと思うんですね。ダメージを受けた先生方がどのような気持ちになっているのか。子どもだから仕方がないといって、暴力を先生も引き受けることはないと思うんですね。やはり先生の人権も保障してあげたいというふうに思います。
そのところで、つい暴力を振るわれると腹が立ったり怒鳴りたくなったりすることもあるかと思うんですけれど、それをしてしまうと周りの子が大きい声に慣れていなかったり、私が不登校の子どもたちと話しをしていく中で、やはり学校は安心安全がないという声が多いんですね。この数字を見ても、学校で暴力が起こっていれば、安心でない、安全でないというところで、大きい声や何か物が壊れる音や怒鳴り声が聞こえたりすれば、自分が受けていなくても、その場にいるだけで怖くて行けないという児童生徒さんが多いんですね。
ですから、なんとかこの学校で起こる暴力を力で抑えるのではなくて、これから先のことを考えて、連鎖を止めるために子どもが暴力を振るわないような。学校だけでは、たぶん無理だと思います。この暴力の怒りがどこからきているのかと考えると、身近な大人から暴力を振るわれている可能性もあると思いますので、学校だけで対応するのではなくて、、もっと早い段階から家庭支援が必要となってくると思います。この不登校の増加と学校での暴力行為の増加というのはなんらかの関連があるかなと思いました。
それから不登校の原因で、昨年度は長野県独自で不登校の当事者に、なぜ不登校になったのかというアンケートを取られたかと思います。
やはり一番は、当事者に話を聞くと、なぜ学校に行けないのか行きたくないのか、独自の違う学びを選んでいるのかというところで、もちろん学びで主体的に選択していればいいんですが、近くても行けない状況であれば、やはりそこは解決していかなければいけない課題だと思います。
ぜひ、当事者の声を多く聞いていただいて、そしてその中から見えてくる課題に対して、至急対応をしていただきたいと思います。
もう一つ、最後の9ページのSOSの出し方ということで、該当しているところが高等学校に対してのSOSの出し方や感度の向上支援ということで行っているんですけれど、この暴力の数字を見ると、小学校・中学校がとても多いですので、SOSの出し方や感度の向上というところを、小中学校でももっとできたらいいなと思いました。
以上です。
松村心の支援課長
3点ほど貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。
暴力がこれだけ増えている要因の背景は、委員さんがおっしゃるとおり、キレやすいといった特性を持っている子が繰り返しやったということ、そういう子が増えている。そういう子にどういうふうに対応をしていくかということについては、先ほど特別支援教育課で発達障害の話がありました。特別支援教育課が行っている、特別支援教育の視点が生徒指導にも重要であり、個別対応をきちんとしていくということが今後の解決になってくるのではないかと考えています。
いじめでも不登校でも暴力でもそうだと思いますが、表面的なものを見るというよりもその裏にある背景が何なのかということがとても大事ですし、2点目の不登校についても、当事者の声を聞くことで、先生方が見て捉えたことと当事者の子どもたちが言っていることとの誤差が見えてきます。
このことをきちんと捉えて、不登校の当事者の子たちの声をしっかり聞いて施策に反映させていこうと考えているところでございます。
いずれにしても、根っこにある背景は何なのかというところを見ていくことはとても大事で、委員さんがおっしゃるとおり、家庭的な背景があることが多いと思います。やはりスクールソーシャルワーカーの活用を、早期に始めていくという対応が必要になってくるのではないかと思います。
SOSの出し方に関する教育については、小・中・高と全ての校種で取り組んでいるところです。高校だけではなく、特に中学校のうちからSOSを出すことは大事なことであるということを教えていくこと。高校ではもう遅くて、小さいことから教えることが大事であると考えているところです。ありがとうございます。
原山教育長
他にいかがでしょうか。
中澤委員。
中澤委員
お願いします。周りにも不登校の子どもたちが何人かおります。5、6年生になってしまうと、卒園した幼稚園という場からのサポートはなかなかできなくて、いじめのきっかけだったり先生の怒る声が嫌で行けなくなったとか、いろいろな事情をみんな持ってはいるんですね。
ただ、1、2年生ぐらいだとお母さんもご相談に来られたりする中で、保護者の方がそれだけ不登校が続いていると自分自身がその子に手を上げてしまいそうになるとか、親自身が手詰まりになってしまっている場合がとても多いと感じていて、親のサポートが要るなと思っています。
卒園して1、2年なので、定期的に校長先生とスクールカウンセラーの方と、今この子にとってどんな対応をしていくのがいいんだろうかという話し合いを進めて行く中で、まずはお母さん自身がすごく不安を持っていらっしゃって、スクールカウンセラーの方が学校でその子に対するやり方と、幼稚園で子どもスタッフとして来てもらったりしているんですが、私たちのその子に対するやり方を見ながら、お母さん自身が、そうやってこの子に言えばいいのねというようなモデルみたいな機会が必要なんだろうなということを感じています。
それと、校長先生も居場所という意味からいって、慌てずに幼稚園という安心する場所を生かして、子どもスタッフをやりながら、宿題をやりながら、学校生活をやっていこうと話し合いができていて、子どもスタッフで来てくださっているのを見ると、見事に小さい子どもたちに丁寧な関わりをしてくれているんですね。そういう中でだんだんその子も少しずつ学校のことを客観視することができるようになってきて、一緒に話していく中でなんで学校に行けないのと話をすると、行きたいと思ったんだけど学校の校門まで行くと足が入らなくなっちゃうんだよねと言い出したり、いろいろなことを語れるようになってきていてます。
サポートの場所として、卒園したや幼稚園や保育園というのも1、2年生ぐらいには有効なんじゃないかなと感じています。
一人ひとりの子どもが安心して学校に行けるような状況は、一人ひとり全然ケースが違うだろうなと思っているので、いろいろな方法を試しながら、いろいろなところが協力しながらやれたらいいなと思っています。難しい問題だなと思っています。
松村心の支援課長
貴重なご意見ありがとうございます。不登校の子を抱える親へのサポートというお話をいただきまして、こんな事例がございます。
ある小学校で、同じような事例があったときに、校長先生が、不登校経験をした、いわゆる不登校児童を支える支援者の団体につなげて、同じ気持ちを共有したということで、不登校の子を抱える親が少し気が楽になったという。これも一つの大事なサポートの仕方かなと思っています。
委員さんがおっしゃるとおり、一人ひとり違う中で、小学校1、2年生の子が幼稚園、保育園に戻ってみてという、そういうこともできるんだなということで参考にさせていただいて、今後考えていきたいと思います。
小学生と高校生とか、小学生と大学生とか離れた異年齢交流も、とても効果があるという話も聞いたことがありますので、参考にしていきたいと思います。ありがとうございます。
伏木教育長職務代理者
私のほうからは、心の支援課松村課長のみならず義務教育課の桂本課長にも伺いたいと思っています。
明らかに小学生のいじめ、暴力行為の増加が非常に顕著に出ていますよね。中学校でも小学校でも、現場では、いじめ対応についても先生方が丁寧に指導されていて、決して手は抜いていない。それは前から、ずっと変わらず現場では努力されているんですよね。でもこの5年ぐらいで、急激に数が伸びているように思うんです。
これは、何かが起きているというふうに考えたほうがいいのではないかと思っていて、いじめと暴力行為と不登校は別のものですけれども、これは関連して相関が高いのではないかと思いますし、一体何が起きているのか、学校現場の先生たちはどういう環境に置かれているのか。決して単純に答えは出てこないんだけれども、先生方や行政の立場で多くの現場の声をお聞きになっている中で、現場に起きていそうなこと、先生たちが苦しんでいること、あるいは子どもたちにのしかかっていること、何かお考えがありましたらぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
松村心の支援課長
ありがとうございます。昨年度、不登校の当事者の子どもたちに話を聞いた中に出てきた話ですが、我々が普通に感じている学校のカリキュラムというか時間の流れが苦手な子がいるんです。例えば、朝そこに行けないとか。
一斉に授業をやっていく仕組みがあります。日本はそれでずっと発展してきたわけですけれど、そのことが苦手な子が出てきています。
過去には、もしそういうことがあったとしても、我慢を強いられるというか、周りがきちんとやっているから自分は我慢しなくてはと思っていたのか。自分たちの世代というのは、今のような形になっていることはなかったと思います。それが今、出てきているというのは、社会の状況が変わってきていることもあるかもしれませんし、家庭的な状況も変わってきていることもあるかもしれませんし、複合的な要因があるのではないかと私は考えております。
桂本義務教育課長
今、伏木先生が言われたことは大事な点だと思います。いじめと暴力行為、不登校の3つの相関関係に着目したことはないですが、もしあるとすれば、いろいろな心の闇というかそういうものが何か見えてくるのか、その背景にあるのは、家庭状況であったり人間関係づくりの部分があるかと思います。
先ほど、特別支援教育課のほうで話が出た発達障害の子どもたちが非常に増えてきたということがありましたが、特別な支援を要する子どもの多様性に対応しきれない教師が増えていることもあるかと思います。また、アンガーマネジメントができにくくなっていたり、セルフコントロールも難しくなっていたりする子どもたちも一定数いるんだろうなと思います。それは本来、多くの友達の同士の関わり合いの中で学んでいく部分は多々あると思いますが、その辺が今、希薄になってきているのかもしれないなとも思います。
学びの改革ということで、県でも授業改善を進めているわけですが、その学び方についても子どもたちのほうが、多様なあるいは個性的な子どもたちの中で、その子にあった学び方というものがあるにもかかわらず、一様な学び方を強いられているところである程度限界を感じる子たちが出てきているのかなと思います。
それから生活そのものも、昔ながらのこうでなければならない、こうあらねばならないという学校の文化といいますかそういうものの中で、社会的に価値が多様化すればするほど、閉塞感を子どもたちが感じてしまうところもあるのかもしれないと思います。
よい学級といいますか、開かれた学級の中では、こういうことは起こらないということは確実に言えると思いますし、授業でも子どもたちが一人ひとり自分の考えを表現できたり、認め合えたりということで自己肯定感が高まっていれば、こういう問題はないのではないかと思います。対先生への暴力というのは、先生から子どもへの一方通行により起こってきている反応ではないかと感じています。
伏木教育長職務代理者
ありがとうございました。私自身も考えていきたいなと思っています。
近年保護者が、結果を早急に求めていたり、寛容さを失っていたりという面もあると思います。その保護者も、企業や役所の中で忙しい日常になっているんじゃないかと思うし、もしかしたら子どもたちも学校生活にゆとりを失っているのかもしれない。
もっと言うと、今の学びの改革は望ましい方向だと思いますし、今年から小学校は、新しい学習指導要領が始まっていますけれど、これも望ましい方法だと思います。しかし、外国語が入り、道徳が教科になり、プログラミングが入り、いろいろなことが学校現場に要求される中で、先生たちがもういっぱいいっぱいになっているのではないかという気もして、応援しなければいけない路線なんだけれども、私たちがちょっとかじ取りを間違えると、先生たちの余裕をもっと失わせてしまって、教室の中にこういう行為やいじめだとかそういうものを誘発してしまうような環境を招きかねないという心配をしています。今、教育委員会が向かっている方向自体は望ましいと思うのですが、それを運用していくときに現場の先生たちのゆとりを大事に考えながら、じっくり進めていきたいなと改めて感じたところです。どうぞよろしくお願いいたします。
桂本義務教育課長
一つ一緒に考えたいと思ったのは、5ページの表の2の校種別・内容別発生件数のところで、小学校でたくさん出ていて中学校で半分ぐらいになって、高校になると3分の1ぐらいに減っていくと。
成長の過程の中で、だいぶ大人になっていくと減るのかなと思いつつ、昔はこれが、中学校が飛び抜けていたとき、高校が飛び抜けていたときがあったと思いますが、今は小学校教育、初等教育の在り方がすごく大事で、今、伏木先生が言われた先生方がいろいろなものを背負っているということがあるかと思いますが、ここをなんとかしなければいけないと思いました。
原山教育長
他にいかがでしょうか。
矢島委員。
矢島委員
一連の中で引っ掛かったことがあるので、私の考え方を述べさせていただたいと思います。
発達障害自体はその子の個性で、全く関係ないということだと思います。いじめだとか暴力だとか不登校と、発達障害とその子自体は全く関係がないというところを押さえておかなければ、発達障害だから感情がうまくコントロールできないとかそういう社会の間違った認識によって、さらに発達障害の子どもたちは苦しい思いをしているかなというふうに思います。
なぜ、発達障害の子どもたちが暴力を振るわなければいけないのかといいますと、まずみんなと同じことができない、そのことに対しての排除、人と違っていることをしているとか、ちょっと特性がある行動とか考え方についての理解をしてもらえない、分かってもらえない、うまく言葉がでない、そういうことに対しての周りへの対応ができないことへのいら立ちや分かってもらえない怒り、感情であって、そのことによって人と違うことへの差別、排除によって、また分かってもらえないという二次障害による暴力的な行動がもしあるとすれば、二次障害によるものであってその子どもが全く悪くないというところは、共通して押さえておかなければいけないことかなというふうに思います。
つまり、それは個人の問題であるというよりは社会の問題であって、例えば家庭で暴力を受けている子どもが、学校で暴力をしてしまうことは多々あるかと思います。
ただ、家庭だけの責任にすると、また排除になってしまうと思いますので、どうして家庭で暴力を振るわなければならない保護者の方がいるか、それは社会からの取り残され感であったり貧困であったり、さまざまなことがあるかと思いますので、もちろん個人の問題をフォーカスしつつ社会の問題として取り組んでいかなければ、この問題はいろいろ終わらないかなというふうに感じました。
以上です。
原山教育長
おっしゃるとおりだと思っています。環境要因というものが非常に大きいと思っています。私どもがそれに対して、きちんと働きかけることが重要だと思っています。
他にいかがでしょうか。
中澤委員
いろいろなところでたくさん出ていますが、クラスの人数が一番大きいと思っていて、幼稚園と小学校、中学校とはまた違うんでしょうけれど、実際私自身が29人が限度だったなという気がしていて、30人を超えると見えない子どもが数人、何をしていたのかは分かるんですけれど、丁寧に見られないというのがすごくあって、いろいろ難しい問題はあるんでしょうけれど、何とかしてクラスの人数を抑えられればと思います。
今、ある小学校の1年生が35人クラスというクラスがあって、保護者の方たちが授業参観に行って、35人だと絶対見れていないよねという不満を持っていらっしゃる場合もあるので、ぜひそこは難しい問題はあるんでしょうけれど、人数をなんとか減らしてもらいたいと思っています。
原山教育長
少人数学級について、今、国のほうでもさまざまな検討がなされていると私どもも承知しておりますので、しっかりその辺を注視しながら、考えていきたいというふうに思っています。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次に、報告事項(4)「令和2年度 『スマホ、タブレット、ゲーム機等に関するアンケート』調査結果について」、松村心の支援課長から、説明をお願いします。
松村心の支援課長
(資料説明)
原山教育長
それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見ありましたらお願いします。
伏木教育長職務代理者
ご説明ありがとうございました。こういう調査の結果から示唆されている大事なことに、私たちは十分対応していく必要があると思っています。ただし、私たちは、別の観点からも考えることが必要だと思っています。
例えば、現在ウィズコロナの状況の中で、大学の研究者や全国の先生たちが集まっているウェブサイトがあるんですが、そこで大学のオンライン授業中に学生はビデオを止めて裏側でYouTubeを見ているんだとか、違うことをやっているんだということを怒っている教員たちがいます。それに対して、「そっちの面白さに負けているんだから、YouTubeに負けないくらい子どもたちが興味をもてる内容を授業でやるべきなんだ」という声が出始まっています。
今こういう時代に、インターネットに接続すると目が悪くなるとか、ネット依存症になるという心配が本当に妥当なのか。子どもたちの未来の教育の中で何を優先すべきなのか。
OECD加盟国の中で、日本の子どもたちが最もキーボードを使えないという実態調査があります。ソーシャルネットワークサービスは頻繁に使うのですが、スマホをいじるという使い方が、日本では圧倒的に多いんです。
例えば、フィンランドでは両親が働きに出ていることもあって、子どもたちは1年生からスマートフォンを持っています。でも、依存していないんです。
つまり、学校教育の中でICT活用が遅れていた、日常的に機能していなかった。だから、子どもたちはもっと面白いサブカルチャーに流れていく、当然だと思います。これからGIGAスクールで、もっともっと学校がICTを有効活用して、もっと授業が面白くなり、世の中のことや自然科学や社会科学などをもっと面白く学べるようになったときに、子どもたちの使い方が変わるんじゃないかなと期待する声もあります。一方で、ネット利用の何が危険でどういう心配があるかということを、私たちは同時に学ばなければいけないし、セキュリティーのあり方を考えなければなりません。
最近、PTA講演会を頼まれるたびに、前半はスマホの危険さみたいな話があってから、後半は私に「どう未来を描けるか」というような演題を依頼されることが多いものですから話がずれるのです。私たちはいろいろな角度からこういう調査をどういうふうに生かすかという観点に立って、世論をリードしていきたいと考えています。
以上です。
原山教育長
社会のデジタル化は、否応なく進んでいく中で、子どもたちも私たちもそうですが、デジタルという環境がリアルの環境の中に融合されている時代になっていく中で、子どもたちが今までのように、スマホやタブレット、ゲームがいけないんだというだけの発想ではたち行かない話だと思います。
GIGAスクールで1人1台の環境で、このタブレットを家に持ち帰って使うというふうになったときの使い方も含めて、両方の側面からこの問題は捉えていかないと、これからのデジタル社会に対して対応できないことだと思います。
この問題設定は重要ですが、もう一つ違う問題設定をして分析していくことがたぶん必要になってくるだろうと思いますが、まだそこまでの問題設定ができていませんけれど、問題意識は私もそこにあると思っています。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
以上で、教育長報告事項(4)を終了します。
それでは以上で、公開による審議を終了します。
これから非公開の審議に入りたいと思いますので、恐れ入りますが、傍聴人の方は退室をお願いします。
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