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更新日:2021年4月1日

労働相談Q&Aその3 

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 Q30 会社の都合で解雇されたのですが、失業保険の給付について教えてください。

A30
雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、一定期間、雇用保険の被保険者であった人が、離職をし、ハローワークに求職の申し込みを行い、就職したいという積極的意思があり、働くことができる能力があるにもかかわらず、就職できない状態にある場合に給付されます。被保険者期間は、通常、離職前の2年間に通算12ヶ月以上あることが必要ですが、会社都合による解雇の場合は、「特定受給資格者」となり、離職日以前の1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間があれば足ります。
受給日数の上限は、年齢、被保険者期間、離職理由により異なります。会社都合による解雇の場合は、90日から330日の間で決定されます。

従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1)会社から離職票、雇用保険被保険者証をもらい、離職理由等を確認する。
(2)ハローワークで、「求職の申し込み」をする。
(3)「離職票2」の離職者記入欄に必要事項を記入し、ハローワークへ提出する。

雇用保険の基本手当の受給について、もう少し詳しく説明します。
・会社から離職票等が交付されない場合は、ハローワークへ問い合わせてください。
・ハローワークに行くときの持ち物は、離職票1、離職票2、雇用保険被保険者証、本人名義の普通貯金通帳、印鑑、最近の写真2枚と、本人確認のための運転免許証等です。
・受給できる期間は、離職日の翌日から1年間です。1年を過ぎると、失業状態にあり、給付日数が残っていても受給できなくなります。
・実際に基本手当を受給するには、決められた日(原則、4週間に1回)に、ハローワークに出頭し、失業の認定を受けなければなりません。失業の認定ごとに、認定を受けた日数分の基本手当が認定日の数日後にあなたの口座に振込まれます。

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 Q31 会社を辞めさせられたのに、離職票の退職理由が「自己都合」となっています。どうしたらいいでしょうか。

A31
事業主都合による退職(解雇、退職勧奨)なのか、自己都合による退職なのかで、雇用保険の基本手当の受給に大きな差が出ます。記載されている退職理由が事実と異なる場合は、その旨ハローワークに申し出て、調査をしてもらい、退職理由を判定してもらうことが大切です。

従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1) 「離職票2」の離職理由の具体的事情記載欄(離職者用)に、離職理由を記載し、事業主が記載した離職理由に異議のある旨を表記し、署名する。
(2) 事業主都合で退職したことを裏付ける客観的資料を整理する。
(3) 離職票をハローワークに提出する際に、離職理由が間違っていることを伝え、上記資料を提示する。

離職票の退職理由に対する異議について、もう少し詳しく説明します。
・ハローワークは、事業主が作成した離職証明書の離職理由欄で、事業主が主張する離職理由を把握した後、事業主を通じて離職者に「離職票1」「離職票2」を交付します。
・離職者が「離職票2」の離職理由に「異議あり」と書いて、ハローワークへ提出すると、ハローワークは、客観的資料のほか、必要に応じ、双方への事情聴取を行い、離職理由を慎重に判定します。

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 Q32 週25時間程度のパート勤務をしています。うちの会社は正社員でないと雇用保険に加入できないと言われました。

A32
雇用保険は、業種・規模等を問わず、労働者を雇用するすべての事業(農林水産業の一部を除く)に強制的に適用されます。事業主は、正社員のみならず、(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれ、(2)1週間の所定労働時間が20時間以上である、という条件を満たすパートタイム労働者についても雇用保険に加入させなければなりません。
また万が一、加入手続きが遅れてしまった場合も、理由により一定期間遡って雇用保険に加入できることがあります。

従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1)要件を満たしている場合は雇用保険に加入できることを会社に伝え、手続きを求める。
(2)遡って加入が必要な場合は、同時に遡及手続きをしてもらう。※遡及期間中の雇用保険料は、労働者分、事業主分をそれぞれが負担する。
(3)加入の手続きを拒否された場合は、ハローワークに相談する。
※雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)については、Q30に記載してあります。

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 Q33 週35時間程度のパート勤務をしていますが、うちの会社は正社員でないと社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入できないと言われました。

A33
会社が法人(株式会社、有限会社など)の場合は全て、個人経営の場合は非適用業種を除いて、従業員が5人以上いれば「適用事業所」となり、そこで使用される従業員は、常用的な使用関係が認められればすべて社会保険に強制的に加入しなければなりません。
パートタイム労働者であっても、常用的使用関係にあると認められる者については社会保険に加入させる必要があります。
常用的使用関係にあるかどうかは、その事業所の同種の業務に従事する通常の就労者の1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数のおおむね4分の3以上であることを一つの目安にするほか、就労形態、職務内容等を総合的にみて判断されます。
また、万が一加入手続きが遅れてしまった場合、理由により一定期間遡って加入できることがあります。

従って、次のような対応をとることが考えられます。
(1)要件を満たしている場合は、社会保険に加入できることを会社に伝え、手続きを求める。
(2)遡って加入が必要な場合は、同時に遡及手続きをしてもらう。
※遡及期間中の保険料は、労働者分、事業主分をそれぞれが負担する。
(3)加入の手続きを拒否された場合、また労働時間・日数で判断できない場合には、管轄の年金事務所に相談する。

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 Q34 持病のヘルニアの手術のため会社を長期休職することになりました。その間無給になってしまいますが、何か補償はないのでしょうか。

A34
会社で健康保険に加入していれば、傷病手当金を受給することができます。傷病手当金とは、業務外の病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合、かつ、次の要件を満たすときに支給されます。
(1) 療養のため働けないこと。(支給申請書に医師の証明が必要)
(2) 連続3日間の労務不能な日があり、その後も労務不能な日(連続でなくても可)があること。

なお、短時間のパートタイム労働者など、健康保険上ご家族の被扶養者になっている方には傷病手当金制度はありません。また、国民健康保険に加入している方については、傷病手当金がその市区町村ごとの任意制度のため、制度がないことも多く、確認が必要です。

従って、次のような対応が考えられます。
(1) 休職が上記の条件に当てはまり、会社で健康保険に加入している場合は、傷病手当金を申請したいことを会社に伝え、手続きを行う。
(2) 国民健康保険に加入している場合は、お住まいの市区町村に、傷病手当金の制度が条例、規約等で定められているか確認する。

傷病手当金制度についてもう少し詳しく説明します。
傷病手当金は、会社を休んだ日が連続して3日間あった上で、4日目以降休んだ日に対して、1日につき標準報酬日額の3分の2相当額までが支給されます。支給期間は、支給開始日から最長1年6ヶ月までです。なお、任意継続被保険者及び特例退職被保険者の方には、傷病手当金は支給されません。
休職から復帰できず、やむを得ず退職となった場合で、傷病手当金を最長1年6ヶ月まで受給せず退職に至り、その後も働けない状態にある場合は、健康保険の継続給付制度により、退職後も引き続いて残りの期間の受給することができます。ただし、退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者であった人に限ります。

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 Q35 車通勤は認められていないのですが、会社近くのコインパーキングに停めて置けば会社に言わなくても良いでしょうか。また、交通事故にあったときには、労災にはならないのでしょうか。

A35
本来、通勤している間は、使用者の管理・支配下にある時間帯ではないので、どのような方法、経路で通勤するかは、労働者が自由に決められます。
ただし、駐車スペースが無かったり、交通事故を未然に回避したいという意識から、マイカー通勤を認めない事業場もあります。
マイカー通勤を禁止すると就業規則に定められていた場合、法律上有効になるかどうかはやや疑問もありますが、この規則に反して実際にマイカー通勤を行うと就業規則違反としてペナルティが課せられる可能性はあります。できれば車を使わざるを得ない事情を事業場の担当者に話して、理解を求めるのが大切でしょう。
労災保険の通勤災害に関しては、災害時における方法及び経路が合理的なものであったか否か(労働者災害補償保険法第7条2項)が、認定のポイントとなるので、使用者に事前に届け出た、あるいは使用者が認めているかどうかは、労災の補償上全く影響ありません。

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 Q36 仕事中にケガをして病院に行ったら、労災の書類を出すように言われましたが、会社に相談すると、健康保険を使うように言われました。

A36
業務上の事由または通勤による労働者の傷病については、労災保険が適用されます。一方、健康保険は、“業務外の事由”による病気や傷病などに適用されます。
会社や労働者の判断でいずれの保険を使うのか、任意に決めることはできません。特に、本来労災保険で適用すべき傷病について故意に健康保険で受診した場合には、「労災隠し」として厳しい処分が科せられます。
労災に該当するかどうかを判断するのは会社ではなく、被災労働者が請求(労災の請求人は会社ではありません)した各種労災給付について、労働基準監督署が調査・確認の上、決定されます。
要求しても会社が労災の手続きを取らない場合には、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に相談してください。

労災保険(労働者災害補償保険)について、もう少し詳しく説明します。
・労災保険は、雇われて働く人すべてが対象となり、パート・アルバイトにも適用されます。

また、保険料は事業主が負担します。
・業務災害の場合、(1)労働者が使用者の支配下において労働を提供する過程で(業務遂行性)、(2)業務に起因して(業務起因性)、発生した災害が対象となります。

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 Q37 仕事が原因で病気になり休職しています。労災保険を使いたいと会社に申し出ましたが「仕事のせいではないだろう」と言われてしまいました。どうすればよいでしょうか。

A37
労災として認められるには、その疾病が労働基準法施行規則別表第1の2に掲示されたいずれかの疾病に該当しなければなりません。
職業との関連が疑われるような疾病には、認定基準が設けられています。
主だったものを挙げますと、
(1) 上肢作業に基づく疾病の業務上外の認定基準(平成9.2.3基発第65号)
(2) 業務上腰痛の認定基準等について(昭和51年10月16日基発第750号)
(3) 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準(平成13年12月12日基発第1063号)
(4) 心理的負荷による精神障がい等の認定基準について(平成23年12月26日基発1226第1号)
などがあります。

仕事が原因で病気になったと考えるときは、所定の労災給付請求書に必要事項を記入し、会社の証明をもらい、労働基準監督署に提出しましょう。
仕事のせいではないと、請求書の証明を会社が拒んだ場合でも、あなたから労働基準監督署に労災請求することができます。労災であるかどうかは労働基準監督署が認定基準等に則して調査を行い、決定されます。
各認定基準の詳細、請求書の作成要領など不明な点については、所轄の労働基準監督署に相談してください。

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 Q38 仕事中に事故が発生し、労災認定を受けて通院しています。派遣社員ですが、休業補償と、治療が終了した場合の手続きについて教えてください。

A38
休業補償給付は、給付基礎日額の60/100が休業の第4日目から支給されます。併せて休業特別支給金が給付基礎日額の20/100支給されます。
※特別支給金とは、労災保険の保険給付事業と並ぶ労働福祉事業として休業補償給付に上乗せして支給される給付です。
※給付基礎日額とは、労災保険の休業・障がい・遺族補償給付などの基礎となる額であり、算定事由発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額をその間の暦日数で除して算出されます。

休業補償を受給するには、請求書(様式第8号)に医師と会社(派遣元)の証明をもらい請求人欄を記載して、管轄の労働基準監督署に提出します。
治療が終了したことでの労災の手続きは必要ありませんが、治ゆとなった以降に何らかの障がいが残存した場合には、障がい補償給付支給請求書(様式第10号)を労働基準監督署に提出してください。
障がい補償給付は、残存障がいが労災保険法に定める障がい等級表のいずれかに該当したとき、所定の給付が行われます。
なお、労災は労働者を使用する全ての事業に適用されるものであり、派遣社員であっても適用されます。

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 Q39 先輩からいじめを受け休職していますが、会社より「就業規則の休職期間満了時にうつ病が完治していなければ、退職して欲しい」と言われました。会社の方針に従わなくてはなりませんか。

A39
就業規則に規定された休職期間を満了した時点において、働くことができない状態であれば、通常は雇用契約が終了となります。
休職期間満了時に医師が業務に支障がなく復職が可能であると診断すれば、必ずしもうつ病が完治していなくても、会社の方針に従うことはありません。
医師が就業可能と診断し、あなたに退職する意思がないにも関わらず、会社から退職勧奨されたときには、医師の診断書を提出して、辞めるつもりはなく復職したいとはっきり会社に伝えましょう。
それでも会社が雇用契約を打ち切った場合は、解雇となります。会社と話し合っても解雇が撤回されず、解雇の取り消しを求めたいならば、長野県労働委員会による個別労働紛争のあっせんや地方裁判所の労働審判を利用されたらいかがでしょうか。
使用者には、「労働者の生命および健康などを危険から保護するよう配慮しなければならない義務」(労働契約法第5条)があり、いじめ・嫌がらせ等をなくしていくよう配慮する責務があります。
なお、休職期間満了時に働くことができない状態であっても、うつ病が労災として認定されている場合には、療養のために休業する期間とその後30日間、使用者はあなたを解雇することができません。療養開始後3年を経過しても疾病が治らない場合のみ、に平均賃金の1,200日分の打切補償を支払い、はじめて解雇が可能となります。(労働基準法第19条、第81条)

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 Q40 上司との関係で悩んでいます。他の社員には親切なのですが、私にはろくに口もきいてくれずミスとも言えないささいなことで文句を言われます。ストレスで体調も優れないのですが、どうしたら良いのでしょうか。

A40
職場における人間関係でストレスを感じて体調が優れないのであれば、現在どのような身体状態にあるか、まずはご自身で判定してみましょう。
中央労働災害防止協会で作成したツールを紹介します。
労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(別ウィンドウで外部サイトが開きます)(疲労の蓄積度について自分でチェックできるもの)

体調までも崩してしまうような悩みは、一人で抱え込まずに誰かに相談し、問題を解決できるよう、ストレスが少なくなるよう一緒になって考えてもらうことが大切です。
事業場内に衛生委員会などの健康管理部門がある場合は、そこに相談するのがよいでしょう。産業医や保健師、衛生管理者等が、メンタルヘルスも含む健康上の問題の最初の窓口となっていることが多いです。事業場によっては、外部の専門相談窓口と契約をしているケースもあります。専門のスタッフがいないときには、信頼のおける先輩や同僚に話を聞いてもらいアドバイスを受けます。また、長野産業保健推進センターや長野県精神保健福祉センターでは、相談窓口を設けています。
関係がうまくいっていない上司には、率直に自分に何か問題があるのか、どこか直すべき点があるのかを尋ねてみて、至らないところがわかったのであれば、それを改善する姿勢を見せることも必要となるでしょう。
ご自身に特に問題がないにも関わらず、無視されたり言い掛かりをつけられたりすれば、パワーハラスメントになることもあるので、その場合には、上司を管理する立場にある上司に相談してみることです。
事業場内で解決が図られないときには、Q&Aの冒頭に記載した、個別労働紛争のあっせん等の解決手段があります。
不眠が続く、食欲がない、身体がだるいなど体調がかなり思わしくないのであれば、専門医(精神科、心療内科)の診察を受け、適切な療養を行うことが大切です。身体状況が業務に支障がないかどうかを診てもらい、もし休業を要するとの診断であれば、診断書を事業場に提出し、就業規則の規定により休職するなどの対処が必要になるかも知れません。
精神疾患と業務(職場環境を含む)との関連が強いと認められる場合には、労災保険の適用(療養補償、休業補償等)も考えられるので、詳細については事業場の所在地を管轄する労働基準監督署にお問い合わせください。

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 Q41 上司からパワーハラスメントを受けています。同僚からは、あの人の性格だから我慢するよう言われていますが、このままではうつ病になりそうです。

A41
2019年に労働施策総合推進法が改正され、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました(大企業は2020年6月1日、中小企業は2022年4月1日施行)。

職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)とは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした行動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいいます。

※パワハラは、上司から部下への行為に限ったものではなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対してなど、様々な「優位性」に基づき行われるものも含まれます。パワハラの類型などは下記の厚生労働省ホームページ等を参考にしてください。
『みんなで考えよう!職場のパワーハラスメント「あかるい職場応援団(別ウィンドウで外部サイトが開きます)」』

もし、パワハラを受けた場合は、家族や友人に相談して客観的な意見を求めたり、心身に不調がある場合は専門医(精神科医、心療内科医など)に相談し、診断を受けることが考えられます。そのうえで、さらに下記のような対応が考えられます。
(1)上司に口頭または書面で、言動をやめて欲しいと意思表示をする。
(2)録音やメモなどにより言動を記録する。
(3)部門の責任者または人事労務担当者に事実を報告したり、社内の苦情相談窓口に相談するなど会社として改善を図るよう求める。
(4)問題があるのにもかかわらず会社が対応しない場合には、Q&Aの冒頭に記載した、個別労働紛争のあっせん等の手段を検討する。

また、パワハラ防止のために、事業主は以下の措置を必ず講じなければなりません。
(1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
(2)相談(苦情を含む)に応じ適切に対応するために必要な体制の整備
(3)職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
(4)相談者・行為者へのプライバシー保護と相談者への不利益取扱の禁止

会社には労働者に対し健康的で、安全で、働きやすい職場環境を提供し、維持する義務があります(職場環境配慮義務)。パワハラや職場いじめ等の問題は当事者だけの問題ではなく、会社として解決を図らなければなりません。

【参考】
・パワハラの裁判例としては、直接の相手(上司)に損害賠償(民法709条)を求めたり、会社に対し安全配慮義務や、職場環境配慮義務を果たしていない(民法415条)として法的責任を求めたりしたものがあります。
・使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することが出来るよう必要な配慮をするものとされています。(労働契約法第5条)
・事業者は快適な職場環境を形成するよう努めなければなりません。(労働安全衛生法第71条の2)

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 Q42 職場の上司からセクハラを受けています。組合もなく本社にも相談しづらいのですが、どこに相談したら良いでしょうか。

A42
男女雇用機会均等法により、使用者は、職場におけるセクハラ対策として雇用管理上必要な措置を講ずる義務が課せられていますので、会社の相談窓口担当者か、信頼のおける上司に相談し、会社としての対応を求めてみましょう。
また、相手には、あなたの言動が不快であるので、止めてもらいたいとしっかり意思表示します。もし、その後もセクハラとなる言動が続くのであれば、被害にあった日時・場所・状況等を細かく記録し、相手から送られてきた手紙やメールなどがあった場合には、それは捨てずに証拠として保存しておくことです。
会社が対応してくれない場合は、それらの証拠を持参して、長野県男女共同参画センターや長野県女性相談センター、長野労働局雇用環境・均等室などに相談しましょう。

参考として、セクシュアルハラスメントに関し事業主が取るべき措置が、次のように法令で定められています。
・「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の第11条ではセクシュアルハラスメント対策として雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務づけています。
・厚生労働省は、同法第11条第2項に基づき、事業主が講ずべき措置について、指針を定めています。(事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、相談に適切に対応するための体制の整備、セクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応等。)

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 Q43 先月、会社のトラックで自損事故を起こしました。始末書を提出し、事故処理も終わったと思っていたら、今月の給与から修理代15万円が勝手に引かれていました。これでは生活ができません。

A43
まず、労働者の合意なく給与から修理代を控除することは労働基準法の賃金全額払いの原則に違反しますので、未払い分の賃金は請求することができます。
また、労働者が仕事をする上で使用者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負いますが、会社は労働者を使用して利益をあげている以上、ある程度のリスクは負担すべきであるとされています。
労働者の負担割合は、実際の損害額を明らかにした上で、過失の程度、会社側の管理体制(労働者への指導教育が行き届いていたか、勤務体制に無理がなかったか)などを総合的に考慮して決められます。また、車輌に損害保険が掛けられていた場合、補填部分については弁償しなくてよいものと考えられます。

従って、次のように対応することが考えられます。
(1) 合意なく給与から控除をすることはできないことを会社に伝え、未払い賃金を請求する。
(2) 実損害額・保険補填額の明細を会社にきちんと提示してもらい、賠償責任を負う必要があるかどうか、また負担が必要な場合は、負担割合について話し合う。
(3) 負担が必要な場合も、給与控除でなく別途支払うことを会社へ伝える。

損害賠償の負担の目安についてもう少し詳しく説明します。
・日常的に一定確率で発生する軽度の過失(ささいな不注意)によって発生した損害や労働者に過失がない損害ついては、事業活動のコストとして損害賠償の請求はできないとされています。
・軽度の過失を超える中度の過失の場合は、その事案ごとに過失負担割合を判断し、労働者も負担を負うことがあります。
・労働者の故意、犯罪など重大な過失による場合は、全額を負担することもあります。

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 Q44 会社の仕事が減り1週間の自宅待機となりました。その間友人の店舗でアルバイトをしたいのですが、問題ないでしょうか。

A44
まず、会社の就業規則を確認してみましょう。就業規則に兼業禁止の規定があるでしょうか。
本来、労働時間以外の時間をどのように過ごすかは労働者の自由なので、就業規則で兼業を禁止していても、それがそのまま有効となるわけではありませんが、兼業によって会社の企業秩序を乱したり、本来の業務に支障を来たすおそれがある場合には、問題となります。兼業することによって企業秩序の乱れや業務に支障が生じた場合には、懲戒事由に該当することがあります。
判例の傾向によれば、勤務時間外に短時間のアルバイト程度や、会社の企業機密を利用したり、競合他社に利益を与えたりするようなことがなければ、兼業禁止規定に抵触しないと判断されるでしょう。

ご質問の場合は、会社都合による休業期間中での兼業となりますので、休業手当(労働基準法第26条)との兼ね合い(法定額以上の手当のときなど)もあることから、上司等に事情を話した上でアルバイトするのがよいでしょう。
なお、休業手当は、労働者が事業場外からの収入を得ていたとしても、使用者が支払の義務を免れられるわけではないので、法定どおりの金額は払われます。

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 Q45 技術職として8年間働いてきたが、いきなり営業職に配置転換させられ困惑しています。どうしたらよいでしょうか。

A45
配置転換の命令には、(1)労働契約、就業規則、労働協約等に根拠があること、(2)法令違反がないこと、(3)権利の濫用でないことが必要です。
上記を満たす場合には、正当な配置転換の命令と認められますが、命令の真意が業務上の必要性ではなく、退職強要の手段や組合活動の妨害(不当労働行為)、信条等の差別であるなどの場合は、命令は無効となります。
また、配置転換命令も無制限に行使することはできず、労働者が被る不利益の程度が大きいという理由により配置転換命令が無効となる場合もあります。

従って、次のような対応が考えられます。
(1) 個別の労働契約、就業規則、労働協約等で、配置転換の命令の根拠があるか、職務、職種を限定する取り決めがあるかどうか、確認をする。
(2) 権利の濫用でないか確認をする。

例えば、配転の業務上の必要性、人選の理由、配転後の労働条件などについて、会社から詳細な説明を受ける。
(3) 上記で問題があった場合には、会社に配置転換の撤回を求める。
(4) 問題があるのにもかかわらず会社が応じない場合には、Q&Aの冒頭に記載した、個別労働紛争のあっせん等の手段を検討する。

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 Q46 労働組合を作るにはどうしたらよいですか。

A46
労働者が団結し行動する労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)は憲法第28条で保障されていますので、労働者が2人以上集まれば、労働組合をいつでも自由に結成することができます。どこかへ届け出る必要も誰かに承認してもらうというようなことも必要ありませんので、自主的に結成され、民主的な組合規約を備えていればよいとされています。
ただし、会社との交渉を行う上ではなるべく多くの方(できれば労働者の過半数以上)が団結した方が労働組合としての機能が高くなるでしょう。

従って、例えば次のように行動することが考えられます。
(1) 有志により結成の準備をする(関係法律の学習、資料収集など)
(2) 仲間を増やす、組合規約案の作成、会社への要求などの整理
(3) 労働組合の結成大会
(4) 組合結成を会社へ通告、要求の提出、団体交渉

順序に決まりはありませんが、事前に知識を習得しておくことが大切です。
労働組合法、労働基準法、労働関係調整法などは幅広く学習することが望ましいでしょう。
また、不当労働行為の救済制度など、労働組合法上の保護を受けるためには次の条件が必要です。(労働組合法第2条、第5条、第7条)
(1) 労働者が主体となって自主的に組織していること。
(2) 労働条件の維持・改善を主目的とすること。
(3) 使用者側の利益代表者が参加していないこと。
(4) 使用者側から経済的援助を受けていないこと。
(5) 組合規約に労働組合法第5条に規定される9つの取り決めを含むこと。
※不当労働行為については、Q47を参照してください。

なお、労働組合には、一つの企業に所属する労働者で組織する組合だけでなく、職業別、産業別に組織する組合や、誰でも(一人でも)加入できる組合(ユニオン)などもあります。

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 Q47 労働組合の役員をしています。給与条件に納得できないので会社に団体交渉の申入れをしましたが、もう決まったことだから、と断られました。

A47
労働組合は、労働者がその労働条件について交渉を行うことを主な目的としています。給与条件(賃金)は労働条件の中でも最も重要な要素の一つですから、労働組合はこのことについて交渉を行う権利があります。
使用者が、雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことは、不当労働行為に当たります(労働組合法第7条2号)。「決まったこと」というだけでは正当な理由とは言い難いため、会社は団体交渉にきちんと応じ、現在の給与条件に至った経営状況の詳細など、納得のいく説明をする必要があります。

従って、次のような対応が考えられます。
(1) 団体交渉の申し入れを正当な理由がなくて拒むことは不当労働行為に当たることを会社に伝え、再度、団体交渉の申入れをする。
(2) 応じない場合は、不当労働行為として、県の労働委員会に救済を申し立てる。

使用者が次の行為をした場合は不当労働行為とみなされます。
(労働組合法第7条1号~3号)

不利益取扱い 労働組合の組合員であること、労働組合に加入、結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと、不当労働行為の救済の申立てをしたこと、などを理由に解雇その他不利益取扱いをすること
黄犬契約 労働組合に加入しないこと、または労働組合から脱退することを雇用条件にすること
団体交渉拒否 使用者が雇用する労働者の代表と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと
支配介入 労働者が労働組合を結成し、または運営することを支配し、介入すること
経費援助 労働組合の運営のため、経理上の援助を与えること
※一部、認められる例外あり

労働委員会では、申し立てに基づいて審査を行い、不当労働行為があったと認められれば、使用者に対して、正常な団体交渉の実施、解雇・処分の撤回、支配介入の禁止などを命令することができます。なお、申し立てができる期間は、使用者の行為があった日から1年以内です。(労働組合法第27条)

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