第3章重点的に取り組む施策26ページ 計画の基本理念及び基本的視点に沿って施策を展開していく中で、第1章で述べた障がいのある人の現状や障がい者施策の状況、前計画の成果や課題を踏まえ、特に重点的に取り組む施策について、次の柱を立てて推進していきます。 重点施策1 共生社会の実現に向けた取組の強化 共生社会の実現を目指して、全ての県民が障がいに対する理解を深め、障がいのある人の権利を擁護する取組を推進します。 重点施策2 地域生活を支えるサービス基盤の充実 自ら選択した地域で安心して暮らし続けられるよう、必要な相談支援体制やサービス基盤の整備等の取組を推進します。 重点施策3 出番があり生きがいを感じられる生活の保障 生きがいのある充実した生活を保障するため、就労支援、スポーツや文化芸術活動などの社会参加の支援、情報保障の充実等の取組を推進します。 重点施策4 多様な障がいに対する支援の推進 医療的ケア、重症心身障がい、発達障がい、強度行動障がいなどの障がい特性に応じた支援の充実を図ります。 ここから内容に入ります。 重点施策1 共生社会の実現に向けた取組の強化 共生社会の実現を目指して、全ての県民が障がいに対する理解を深め、障がいのある人の権利を擁護する取組を推進します。 現状と課題 ○長野県では、障がいのある人に対する差別をなくし、相互に人格と個性を尊重し合う社会を目指すため、県が取り組むべき基本的施策や、障がいを理由とする差別に関する紛争を解決するための体制整備等を内容とする「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」(以下、「障がい者共生条例」という)を制定し、令和4年4月1日に一部施行、同年10月1日に全部施行しました。 ○障がいの有無にかかわらず、誰もがお互いの人格と個性を尊重し、共に支え合う「共生社会」を実現するためには、全ての県民は基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられること、また「障がい」は個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、その社会的障壁を取り除くのは社会の責務であることを理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことが必要です。 ○しかし、障がい者共生条例制定後も、県の調査結果によると、障がいのある人の約半数が、「生きづらさ」や「障がいに対する理解がない」と感じています。また、障がいのある人に対する差別事案や虐待事案の発生していることから、障がいへの理解を深めるための普及啓発や事業者による合理的配慮の提供の促進、障がい者の権利擁護の各種取組を一層推進する必要があります。 施策の展開・方向性 〇啓発・広報の実践 ・障がいのある人への社会的障壁(事物、制度、慣行、観念等)を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」の普及啓発をワークショップや啓発動画等の配信により県民や事業者に行い、障がいのある人に対する差別の解消及び合理的配慮の提供を促進します。 ・事業所における合理的配慮の提供の促進を図るため、合理的配慮の提供に取り組む事業所を「ともいきカンパニー」として認定します。 ・障がいのある人へちょっとした配慮、手助けを実践する「信州あいサポート運動」にあわせて、障がいのある人などが必要な配慮を求める「ヘルプマーク」の普及に取り組むことにより、より効果的な啓発と運動の推進を図ります。 用語解説があります。 信州あいサポート運動とは、誰もが、多様な障がいの特性、障がいのある人への必要な配慮、障がいの有無にかかわらず共に生きる社会のあり方などを理解して、障がいのある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践することにより、障がいのある人が暮らしやすい地域社会(共生社会)をつくる取組。鳥取県が平成21年11月に開始し、本県は平成25年9月からスタート。現在、本県を含む8県16市6町で実施。(令和4年6月現在) ヘルプマークとは、義足や人工関節を使用している人、内部障がいや難病の人、妊娠初期の人など、援助や配慮を必要としている人が、周囲に知らせる事ができるマークとして、平成24年に東京都が作成し配布を開始したものです。本県は、平成30年7月から配布開始。 〇障がいに対する理解を深める研修会の実践 ・県民誰もが、多様な障がいの特性を理解し、障がいのある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践する「あいサポーター」となるための研修や、手話やろう者に対する理解を促進するための講座を開催します。    〇障がいのある人とない人との交流機会の拡大 ・パラウエーブNAGANOプロジェクトの取組(「パラ学」、「ボッチャ競技大会」等)を通じて、障がいのある人とない人との交流機会の拡大を図り、障がいに対する理解の促進を図ります。 ・長野県障がい者芸術文化活動支援センター(ザワメキサポートセンター)によ る障がいのある人の芸術作品の展示・紹介を通じて、障がいのある人とない人との交流機会の拡大を図り、障がいに対する理解の促進を図ります。 〇障がいを理由とする差別解消の推進 ・障がいを理由とする差別に関する相談窓口に共生社会づくり推進員を配置し、きめ細かな相談対応や関係機関との連絡調整を行います。また、不当な差別的取扱いの防止及び合理的配慮の提供に資するため、県が収集したこれらの事例を分析し、その結果を公表します。 〇障がい者虐待防止対策の推進 ・県内全ての市町村において設置されている、障がい者虐待に係る通報等の窓口となる「市町村障がい者虐待防止センター」と連携を図りながら、虐待防止や早期発見、早期対応に努めます。 達成目標等 目標項目、あいサポーター研修受講者数、現状令和4年度71,724人、目標令和11年度83,000人 目標項目、体験型教育プログラム「パラ学」の実施クラス数(累計)、現状令和元年度から4年度の累計167クラス、目標元年から令和11年度の累計690クラス 重点施策2 地域生活を支えるサービス基盤の充実 自ら選択した地域で安心して暮らし続けられるよう、必要な相談支援体制やサービス基盤の整備等の取組を推進します。 現状と課題 〇令和6年4月から、地域生活支援拠点等は障害者総合支援法に位置付けられ、その整備は市町村の努力義務となりました(令和6年3月74市町村整備済)。今後は機能の充実・強化に向け、他分野と連携した重層的な支援体制や緊急時に対応するための体制、地域生活移行に向けた体験の場づくり、地域の様々なニーズに対応できるサービス提供体制の確保が課題となっています。また、平成24年には、障害者総合支援法において、基幹相談支援センターが地域における相談支援の中核的な機関として位置づけられ、令和6年4月からはその設置が市町村の努力義務となりました(R6.3:49市町村設置済)。基幹相談支援センターには、豊富な経験や技術・知識を要する個別支援、地域の相談支援従事者に対する助言等の支援者支援、地域の自立支援協議会の運営への関与を通じた地域づくりの機能が求められています。 〇障がいのある人が希望する地域生活を実現・継続するためには、それぞれの地域において、生活の場となるグループホーム、日中活動の場となる生活介護や就労継続支援などのサービス提供基盤の充実を図ることが必要です。特に重症心身障がい児(者)等が利用する医療型短期入所事業所は、令和5年度末で県内に19箇所と限られているほか、そのほとんどが本体施設の空床を利用する形態であるため、緊急時の対応が困難な場合があります。 各サービス種別の事業所数(共同生活援助のみ住居数)の推移と目標達成状況をグラフで掲載しています。 生活介護、平成28年度186事業所、現状令和4年度241事業所、目標令和5年度230事業所、令和4年度の達成割合104.8% 就労継続支援B型、平成28年度245事業所、現状令和4年度321事業所、目標令和5年度314事業所、令和4年度の達成割合102.2% 短期入所、平成28年度134事業所、現状令和4年度164事業所、目標令和5年度172事業所、令和4年度の達成割合95.3% 短期入所のうち医療型短期入所、平成28年度12事業所、現状令和4年度18事業所、目標令和5年度19事業所、令和4年度の達成割合94.7% 共同生活援助、平成28年度514住居、現状令和4年度691住居、目標令和5年度722住居、令和4年度の達成割合95.7%    〇障害福祉サービス等の安定的な提供に向け、施設職員を確保し、その定着を図るため、職場環境の整備・改善や処遇改善等を行う必要があります。 〇障害福祉サービス等の利用者の多様化や障害福祉サービス等に多様な事業者の参入が進んでいることを踏まえ、利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスを提供する観点から、障害福祉サービス等の質の確保・向上をより一層図っていくことが重要となっています。 施策の展開・方向性 〇地域生活支援拠点等の機能強化 ・地域生活支援拠点等の機能充実のため、市町村(圏域)において、コーディネーターの役割を担う者を配置するとともに、必要な機能が適切に発揮されているか定期的に評価を行い、その取組情報の公表を通じて機能の充実・強化が図られるよう、県自立支援協議会等を活用して、地域の現状や課題等の把握、好事例の紹介などにより、市町村(圏域)の取組を支援します。                                       〇基幹相談支援センターの設置促進  ・地域の相談支援の拠点となる基幹相談支援センターが担うべき役割・効果や設置済み地域の取組を周知し、基幹相談支援センターの設置促進を図ります。 〇精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築 ・精神障がいのある人が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、当事者の意見を聞きながら障がい保健福祉圏域ごとに設置する保健・医療・福祉関係者等による協議の場を通じて、精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を強化します。   〇人材の確保・定着とサービスの質の向上  ・福祉の職場を対象とした職場説明会や求職者と求人事業所との就職面接会の開催、求職者と求人事業所との橋渡しをするキャリア支援専門員の配置などにより、求職と求人のマッチングを推進します。 ・障害福祉サービス等の現場における介護業務の負担軽減や業務の効率化などの労働環境の改善を通じて、安心・安全な質の高いサービスの提供を推進するとともに、人材の確保・定着を図るため、介護ロボットやICTの導入を支援します。 ・障害福祉サービス事業所等の従事者の専門性向上を図り、仕事に誇りと自信を持って取り組めるよう、県や関係団体などが実施する研修の情報提供を行うとともに、研修内容の充実を図ります。 〇適切なサービス提供体制の確保 ・各施設等において、人員配置や設備・運営に関する基準が遵守され、施設等の運営管理や利用者へのサービスの提供が適切に行われるよう、障害福祉サービス等を提供する事業者に対して集団指導及び実地指導を徹底します。 〇サービス提供基盤の整備促進 ・市町村の意見を踏まえて事業者の指定を行うとともに、圏域で不足しているサービスについて、十分なサービス量を確保できるよう、サービス提供基盤の整備を計画的に支援します。 ・地域生活の安心を確保するため、レスパイトケアや緊急時の受入れ等を行う短期入所サービスを身近な地域で利用できるよう、事業所の拡充を促進します。特に、医療型短期入所については、重症心身障がい児(者)等の重度障がい児(者)が地域で安心して生活できるよう、自立支援協議会や医療的ケア児支援のための協議の場などと連携し、拡充を図ります。 ・障がい児やその家族への支援の充実が図られるよう、児童発達支援センターの整備を計画的に支援するとともに、児童発達支援センターが地域における中核的役割を果たせるよう支援します。    用語解説があります レスパイトケア:障がいのある人等を在宅でケアしている家族等が休息をとれるよう、一時的にケアを代替し、リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス。 達成目標等 目標項目、施設入所者の地域生活移行者数(令和5から8年度)、現状令和2から4年度の累計73人、目標令和5年から8年度の累計166人 目標項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で拠点がカバーしている市町村数、現状令和4年度74市町村、目標令和8年度77市町村 目標項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で各圏域(地域)のコーディネーターの役割を担う者がカバーしている市町村数、現状令和4年度45市町村、目標令和8年度77市町村 目標項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で年1回以上の運用状況の検証・検討をしている市町村数、現状令和4年度77市町村、目標令和8年度77市町村 目標項目、基幹相談支援センターがカバーしている市町村数、現状令和4年度50市町村、目標令和8年度77市町村 目標項目、短期入所サービスを行う事業所、現状令和4年度164箇所、目標令和8年度196箇所 重点施策3 出番があり生きがいを感じられる生活の保障 生きがいのある充実した生活を保障するため、就労支援、スポーツや文化芸術活動などの社会参加の支援、情報保障の充実等の取組を推進します。 現状と課題 ○県内の民間企業における障がいのある人の実雇用率は、令和5年6月1日現在、2.42%で、全国平均2.33%を上回っていますが、法定雇用率(2.3%)に達していない企業が37.7%あり、更なる雇用促進に向けて取り組む必要があります。また、県内の就労継続支援B型事業所で就労している障がいのある人の令和4年度月額平均工賃は16,930円で、障害年金と合わせても8万円程度にとどまり、障がいのある人が地域で自立した生活を営むためには不十分な状況です。 長野県の法定雇用率適用企業で雇用される障がい者数をグラフで掲載しています。 平成30年度6,589.5人、令和元年度6,769.0人、令和2年度7,068.5人、令和3年度7,264.5人、令和4年度7,351.0人。 ○新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、スポーツや文化芸術等の機会が減少しているため、社会参加の機会の拡大及びその情報提供の取組が必要です。 サンアップル主催のスポーツ教室の延べ参加者数をグラフで掲載しています。 平成30年度17,039人、令和元年度14,543人、令和2年度8,167人、令和3年度10,024人、令和4年度13,095人。 ○障がいのある人があらゆる社会活動に参加する上で、情報保障は必須であり、意思疎通支援者の養成など情報・コミュニケーション支援の充実に取り組む必要があります。 令和4年度に、障がい者支援課で実施した障がいのある方の実態調査結果を掲載しています。 「社会参加をする上で、妨げになっていること」という設問で、令和4年度に実施した結果と前回調査の平成29年度に実施した結果を掲載しております。 令和4年度の結果の内訳ですが、回答数1,058人のうち、「情報がない」が13.4%、「一緒に行く仲間がいない」が13.2%、「経済的理由」が12.9%、「社会参加の機会や場所がない」が11.4%、「まわりの人の障がいのある方に対する理解不足」が8.2%、「介助者がいない」が5.5%、「適切な指導者がいない」が3.8%、「障がいを理由に施設等の利用を拒否される」が0.9%、「その他」が5.3%、「特にない」が41%、無回答が19.4%です。 平成29年度の結果の内訳ですが、回答数968人のうち、「情報がない」が9.9%、「一緒に行く仲間がいない」が13.7%、「経済的理由」が13.3%、「社会参加の機会や場所がない」が7.9%、「まわりの人の障がいのある方に対する理解不足」が9.8%、「介助者がいない」が6.1%、「適切な指導者がいない」が5.4%、「障がいを理由に施設等の利用を拒否される」が0.3%、「その他」が7%、「特にない」が28.9%、無回答が31.7%です。 施策の展開・方向性 (1)就労支援の強化 〇就労アセスメントの強化 ・就労支援に当たっては、本人の希望、就労能力、適性等に合った就労選択ができるよう支援するアセスメントが重要であるため、アセスメント支援員の配置による事業者支援の充実など、県内のアセスメント体制の強化を図ります。 〇一般就労の拡大 ・障がいのある人の就業・生活面の一体的な相談支援を行う障害者就業・生活支援センターによる個別支援を強化し、就労促進及び就労後の職場定着を図ります。 ・企業等での職場実習の場を拡大し、適切な助言指導の下で実習を行うことにより、障がいのある人と企業とのマッチングを支援します。 ・特別支援学校において、一般企業への就労を希望する生徒の進路実現と、企業側の障がいのある人への理解や受け入れに向けた取組を促進するために、就労コーディネーターによる企業への働きかけとマッチング支援、特別支援学校技能検定の実施等を総合的に推進します。 〇工賃アップに向けた取組の強化 ・事業所単独では受注が難しい大量の作業等の複数の事業所による共同受注や、共同販売会の開催など、事業所間の連携促進と協力体制づくりを支援します。 ・地域の企業等と事業所間の連携促進等の支援を行うコーディネーターを配置し、工賃アップのためのアドバイス、企業等からの受注、販路の開拓などにより事業所の取組を支援します。    ○農福連携・林福連携による障がい者就労の推進 ・農福連携サポーターによる農業者と事業所とのマッチング、農作業現場での作業補助を行う農業就労チャレンジサポーターの派遣により、農業に取り組む事業所等への支援を強化します。  ・農業分野での就労には様々な形態があることや、農家の労働力不足の解消に繋がることなどを、研修会の開催や資料提供により農業者や市町村、JA等へ広く周知し、地域全体で障がいのある人の就労を支援していく取組を進めます。 ・農業及び林業分野での就労は、障がいのある人にとって就労機会の拡大や身体面や精神面に与える好影響、農林業にとっては担い手の確保や荒廃農地・山林の再生等のメリットがあることから、関係部局・諸団体との連携をより一層強化します。     (2)情報保障の推進 〇意思疎通支援者の養成 ・情報保障の確保のため、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳・介助員などの養成、派遣を行うともに、その資質の向上を図ります。 ・失語症者の意思疎通を支援するため、意思疎通支援者の養成を行うとともに、派遣事業の実施に向け、関係団体と連携を図りながら取り組みます。    〇点訳・朗読奉仕者の養成 ・点訳、朗読に必要な技術等の習得支援を行い、これらに従事する奉仕員を養成します。     〇情報提供体制の整備 ・障がい特性に応じた情報提供のためのツール(UDトーク等)の活用、字幕入りDVDの製作・貸出しや、点字図書、デイジー図書※、CD図書、カセットテープ等の貸出しを行います。 ・県ホームページのアクセシビリティの向上、知事会見時における手話通訳の実施及び文字情報の提供、県広報紙の点字版・CD版の作成等、障がい特性に配慮した多様な手段や方法による情報伝達を行います。 (3)社会活動への参加支援の充実 〇スポーツに親しむ環境づくりと地域におけるパラスポーツの定着 ・信州やまなみ全障スポを契機に、一人でも多くの障がいのある人が大会に向けて、また大会後も継続してスポーツに親しむことができる環境づくりを推進します。 ・障がいのある人がその障がいの程度に応じて楽しめるスポーツが普及し、身近な地域でスポーツを楽しめるよう、パラスポーツ指導員の養成や総合型地域スポーツクラブ等へのパラスポーツの知識と理解の普及を進めます。 〇文化芸術活動の機会の充実 ・長野県障がい者芸術文化活動支援センター(ザワメキサポートセンター)と信州アーツカウンシルの連携により、障がいのある人の創作活動や発表機会の拡大に取り組みます。 ・長野県立美術館の「インクルーシブ・プロジェクト」により、障がいの有無等を超えてアートを体験できる機会を提供します。    達成目標等 目標項目、法定雇用率適用企業で雇用される障がい者数、現状令和4年度7,351人、目標令和9年度8,455人 目標項目、福祉就労強化(月額平均工賃の向上)、現状令和4年度16,930円、目標令和11年度22,000円 目標項目、就労継続支援事業所等に対する農業分野における就労支援(農業に取り組む事業所数)、現状令和4年度151事業所、目標令和11年度180事業所 目標項目、障がいのある人のスポーツ参加促進(障がいのある人が参加するプログラムを行っている総合型地域スポーツクラブの割合)、現状令和4年度31.9%、目標令和11年度50% 重点施策4 多様な障がいに対する支援の推進 医療的ケア、重症心身障がい、発達障がい、強度行動障がいなどの障がい特性に応じた支援の充実を図ります。 現状と課題 〇障がい者支援については、障がい特性、障がいの状態、生活実態等に応じた、障がいのある人の個別的な状況を考慮して行う必要があります。   (1)医療的ケア・重症心身障がい ア医療的ケア ・医療技術の進歩に伴い増加する医療的ケア児等が、その心身の状況に応じて適切な支援を受けられるようにすることが課題となっています。令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」において、国や地方公共団体の責務等が定められ、医療的ケア児の健やかな成長と、その家族の離職の防止を図ることによって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現を目指すこととされています。 ・県では令和4年4月に県庁内に「長野県医療的ケア児等支援センター」を設置し、医療的ケア児等とその家族に寄り添った活動を展開しています。 ・地域の課題を地域の多職種連携で解決する体制の中心となる圏域コーディネーターの配置を促進する必要があります。    イ重症心身障がい ・重症心身障がい児(者)等の重度障がい児(者)が、地域で安心して暮らしていくためには、重度障がい児(者)に必要な支援を行うことができる、地域における住まいの場(グループホーム)や、障害児通所支援事業所、生活介護事業所などの日中活動の場の充実が必要です。 ・重症心身障がい児(者)等が利用できる、医療型短期入所事業所は、令和5年度末現在で県内に19か所と限られているほか、そのほとんどが本体施設の空床を利用する形態であるため、緊急時の対応が困難な場合があります。 (2)発達障がい ・医療・教育・福祉の連携を強化するため、令和5年度から発達障がい者支援センターを「発達障がい情報・支援センター」に改組し、学術的知見に基づく支援プログラムの開発、情報発信や支援者向けの研修などに取り組んでいます。 ・これまでの取組の結果、思春期以降の発達障がいのある人に対するフォロー体制、支援関係者間の情報共有・引継ぎ、発達障がいに対する理解の促進などが課題となっています。 (3)強度行動障がい ・強度行動障がいは、生来的な障がいではなく、周囲の環境や関わりによって、自傷、他害、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている「状態」です。医療、保健、福祉、教育などによる連携や協力の下、個々の特性に応じた関わり方や環境調整など適切な支援の継続的な提供が必要です。 ・県が指定した研修機関において、強度行動障がいのある人に適切な支援を行うことができるよう、施設職員を対象とした人材育成研修を実施していますが、実際に強度行動障がいのある人を受け入れ、適切に支援するためには、人員体制や専門性がまだ不十分です。 ・県全体のセーフティネットとしての機能を強化するため、長野県西駒郷において、強度行動障がい者専用棟の令和6年度の供用開始に向けて準備が進められています。       施策の展開・方向性 (1)医療的ケア児等に対する支援体制の整備 ア医療的ケア児(者) ・医療的ケア児等が適切な支援を受けられるよう、保健・医療・障がい福祉・保育・教育等の関係機関の連携のもと、全県的な課題解決に取り組みます。 ・地域の課題を地域の多職種連携で解決する体制を構築するため、圏域等ごとに医療的ケア児等コーディネーターの配置を促進します。 ・医療的ケア児等のライフステージに応じ、専門的な知識により支援ができる人材を養成します。 イ重度障がい児(者)  ・重症心身障がい児(者)等の重度障がい児(者)が利用できる住まいの場や日中活動の場の拡充を図るため、必要な予算措置を国に対し要望していくほか、重度障がい児(者)に必要な支援を行うことができるグループホームや障害児通所支援事業所、生活介護事業所などについて、市町村の意見を踏まえて事業者の指定を行うとともに、それらの整備を計画的に支援します。 (2)発達障がい者支援の充実 〇発達障がいのある人への切れ目のない一貫した支援の充実 ・発達障がい者サポーターの更なる増加を図り、発達障がいのある人の身近に理解者が寄り添う社会を目指すとともに、市町村へ個別支援ノートの活用を呼びかけることにより、支援関係者間の情報共有・引継体制を強化し、発達障がいのある人が個々の特性に合った支援を受けられるよう取り組みます。 ・発達障がい者支援対策協議会の体制を充実させ、各ライフステージで発達障がいの発見と支援が切れ目なく行われるよう、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連分野の連携強化を図ります。 〇発達障がい診療・支援体制の強化 ・地域における発達障がい診療・支援体制を強化するため、長野県発達障がい診療医・専門医等の人材育成に取り組みます。 ・発達障がいへの対応力向上や関係機関の連携強化を推進するためのかかりつけ医研修や地域連絡会を開催し、発達障がい診療ネットワークの強化に取り組みます。     (3)強度行動障がいのある人への支援 〇強度行動障がいに適切に対応できる人材の育成 ・強度行動障がいのある人に適切なサービスが提供されるよう、福祉施設職員を対象とした研修等により、強度行動障がいに関する専門的な知識や支援技術等を有する人材の育成を行います。 ・長野県西駒郷において、専用棟における支援を通じて蓄積した支援ノウハウを県内の各施設に還元し、支援の質の底上げを図ります。 〇強度行動障がいのある人の受け入れ先の拡充 ・障害福祉サービス事業所等において強度行動障がいのある人を受け入れるためには、支援の度合いに応じて求められる、専門的な知識や支援技術等を有する職員の配置や、障がい特性に対応した施設整備などが必要となることから、国に対して実態に即した公定価格(報酬)の見直しや財政支援の拡充の提案を行うなど、受入れ拡大や支援の充実を図ります。    達成目標等 目標項目、医療型短期入所事業所、現状令和4年度18事業所、目標令和8年度20事業所 目標項目、発達障がい者支援事業(サポーター養成講座の受講者)、現状令和4年度17,211人、目標令和11年度20,000人 目標項目、強度行動障がい支援者養成研修(実践研修修了者累計)、現状令和4年度1,047人、目標令和11年度2,097人