26ページ。 第3章 重点的に取り組む施策。計画の基本理念及び基本的視点に沿って施策を展開していくなかで、第1章で述べた障がいのある人の現状や障がい者施策の状況、前計画の成果や課題を踏まえ、特に重点的に取り組む施策について、次の柱を立てて推進していきます。 重点施策1。共生社会の実現に向けた取組の強化。共生社会の実現を目指して、全ての県民が障がいに対する理解を深め、障がいのある人の権利を擁護する取組を推進します。重点施策2。地域生活を支えるサービス基盤の充実。自ら選択した地域で安心して暮らし続けられるよう、必要な相談支援体制やサービス基盤の整備等の取組を推進します。重点施策3。出番があり生きがいを感じられる生活の保障。生きがいのある充実した生活を保障するため、就労支援、スポーツや文化芸術活動などの社会参加の支援、情報保障の充実等の取組を推進します。重点施策4。多様な障がいに対する支援の推進。医療的ケア、重症心身障がい、発達障がい、強度行動障がいなどの障がい特性に応じた支援の充実を図ります。 ここから重点施策の内容に入ります。27ページ。重点施策1。共生社会の実現に向けた取組の強化。共生社会の実現を目指して、全ての県民が障がいに対する理解を深め、障がいのある人の権利を擁護する取組を推進します。現状と課題。長野県では、障がいのある人に対する差別をなくし、相互に人格と個性を尊重し合う社会を目指すため、県が取り組むべき基本的施策や、障がいを理由とする差別に関する紛争を解決するための体制整備等を内容とする「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」(以下、「障がい者共生条例」という)を制定し、令和4年4月1日に一部施行、同年10月1日に全部施行しました。障がいの有無にかかわらず、誰もがお互いの人格と個性を尊重し、共に支え合う「共生社会」を実現するためには、全ての県民は基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられること、また「障がい」は個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、その社会的障壁を取り除くのは社会の責務であることを理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことが必要です。しかし、障がい者共生条例制定後も、県の調査結果によると、障がいのある人の約半数が、「生きづらさ」や「障がいに対する理解がない」と感じています。また、障がいのある人に対する差別事案や虐待事案が発生していることから、障がいへの理解を深めるための普及啓発や事業者による合理的配慮の提供の促進、障がい者の権利擁護の各種取組を一層推進する必要があります。 施策の展開と方向性。啓発・広報の実践。障がいのある人への社会的障壁(事物、制度、慣行、観念等)を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」の普及啓発をワークショップの開催や啓発動画等の配信により県民や事業者に行い、障がいのある人に対する差別の解消及び合理的配慮の提供を促進します。 事業所における合理的配慮の提供の促進を図るため、合理的配慮の提供に積極的に取り組む事業所を「ともいきカンパニー」として認定します。障がいのある人へちょっとした配慮、手助けを実践する「信州あいサポート運動」にあわせて、障がいのある人などが必要な配慮を求める「ヘルプマーク」の普及に取り組むことにより、より効果的な啓発と運動の推進を図ります。用語解説があります。信州あいサポート運動とは、誰もが、多様な障がいの特性、障がいのある人への必要な配慮、障がいのうむにかかわらず共に生きる社会のあり方などを理解して、障がいのある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践することにより、障がいのある人が暮らしやすい地域社会(共生社会)をつくる取組。鳥取県が平成21年11月に開始し、本県は平成25年9月からスタート。令和4年6月現在、本県を含む8県16市6町で実施。ヘルプマークとは、義足や人工関節を使用している人、内部障がいや難病の人、妊娠初期の人など、援助や配慮を必要としている人が、周囲に知らせる事ができるマークとして、平成24年に東京都が作成し配布を開始したものです。本県は平成30年7月から配布開始。障がいに対する理解を深める研修会の実践。県民誰もが、多様な障がいの特性を理解し、障がいのある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践する「あいサポーター」となるための研修や、手話やろう者に対する理解を促進するための講座を開催します。 28ページ。 障がいのある人とない人との交流機会の拡大。パラウエーブながのプロジェクトの取組(「パラ学」、「ボッチャ競技大会」等)を通じて、障がいのある人とない人との交流機会の拡大を図り、障がいに対する理解の促進を図ります。用語解説があります。パラウエーブながのプロジェクトとは、本県が公益財団法人 日本財団パラスポーツサポートセンターと協働で開発したスポーツを通じた共生社会実現のための取組。パラ学とは、パラウェーブながのの一環で県内学校にパラスポーツ教育を普及させるプロジェクト。県が独自に開発した体験授業を始めとしたプログラムを県内各地で実施。 長野県障がい者芸術文化活動支援センター(愛称 ザワメキサポートセンター)による障がいのある人の芸術作品の展示や紹介を通じて、障がいのある人とない人との交流機会の拡大を図り、障がいに対する理解の促進を図ります。障がいを理由とする差別解消の推進。障がいを理由とする差別に関する相談窓口に共生社会づくり推進員を配置し、きめ細かな相談対応や関係機関との連絡調整を行います。また、不当な差別的取扱いの防止及び合理的配慮の提供に資するため、県が収集したこれらの事例を分析し、その結果を公表します。障がい者虐待防止対策の推進。県内全ての市町村において設置されている、障がい者虐待に係る通報等の窓口となる「市町村障がい者虐待防止センター」と連携を図りながら、虐待防止や早期発見、早期対応に努めます。 達成目標等。項目、あいサポーター研修受講者数。現状 令和4年度 71,724人。令和11年度 目標 83,000人。項目、体験型教育プラグラム「パラ学」の実施クラス数。現状 令和3年から4年度累計 167クラス。目標 令和3年から11年度累計 690クラス。 29ページ。 重点施策2。地域生活を支えるサービス基盤の充実。自ら選択した場所で安心して暮らし続けられるよう、必要な相談支援体制やサービス基盤の整備等の取組を推進します。 現状と課題。令和6年4月から、地域生活支援拠点等は障害者総合支援法に位置付けられ、その整備は市町村の努力義務となりました(令和6年3月時点で74市町村整備済み)。今後は機能の充実や強化に向け、他分野と連携した重層的な支援体制や緊急時に対応するための体制、地域生活移行に向けた体験の場づくり、地域の様々なニーズに対応できるサービス提供体制の確保が課題となっています。 また、平成24年には、障害者総合支援法において、基幹相談支援センターが地域における相談支援の中核的な機関として位置づけられ、令和6年4月からはその設置が市町村の努力義務となりました。(令和6年3月時点で50市町村設置済み)。基幹相談支援センターには、豊富な経験や技術及び知識を要する個別支援、地域の相談支援従事者に対する助言等の支援者支援、地域の自立支援協議会の運営への関与を通じた地域づくりの機能が求められています。障がいのある人が希望する地域生活を実現及び継続するためには、それぞれの地域において、生活の場となるグループホーム、日中活動の場となる生活介護や就労継続支援などのサービス提供基盤の充実を図ることが必要です。特に重症心身障がい児 者 等が利用する医療型短期入所事業所は、令和5年度末で県内に19箇所と限られているほか、そのほとんどが本体施設の空床を利用する形態であるため、緊急時の対応が困難な場合があります。 各サービス種別の事業所数(共同生活援助のみ住居数)の推移と目標達成状況をグラフで掲載しています。事業所種別、平成28年度の事業所数、現状の令和4年度の事業所数、目標の令和5年度の事業所数、令和4年度の目標達成率の順で、お読みします。生活介護、186事業所、241事業所、230事業所、104.8%。就労継続支援B型、245事業所、321事業所、314事業所、102.2%。短期入所、134事業所、164事業所、172事業所、95.3%。短期入所のうち医療型短期入所、12事業所、18事業所、19事業所、94.7%。共同生活援助、514住居、691住居、722住居、95.7%。 障害福祉サービス等の安定的な提供に向け、施設職員を確保し、その定着を図るため、職場環境の整備・改善や処遇改善等を行う必要があります。 障害福祉サービス等の利用者の多様化や障害福祉サービス等に多様な事業者の参入が進んでいることを踏まえ、利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスを提供する観点から、障害福祉サービス等の質の確保・向上をより一層図っていくことが重要です。 30ページ。 施策の展開と方向性。地域生活支援拠点等の機能強化。地域生活支援拠点等の機能充実のため、市町村、圏域において、コーディネーターの役割を担う者を配置するとともに、必要な機能が適切に発揮されているか定期的に評価を行い、その取組情報の公表を通じて機能の充実と強化が図られるよう、県自立支援協議会等を活用して、地域の現状や課題等の把握、好事例の紹介などにより、市町村、圏域の取組を支援します。用語解説があります。地域生活支援拠点とは、障がいのある人の重度化、高齢化や「親亡き後」に備え、障がい者が、住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、様々な支援を切れ目なく提供し地域全体で支える仕組み。必要な機能として、@ 相談、A 緊急時の受入れ及び対応、B 体験の機会や場、C 専門的人材の確保及び養成、D 地域の体制づくり の5つをすべて備えることとされているが、地域の実情により、どの機能をどの程度整備するかは、市町村、圏域が判断する。基幹相談支援センターの設置促進。地域の相談支援の拠点となる基幹相談支援センターが担うべき役割及び効果や設置済み地域の取組を周知し、基幹相談支援センターの設置促進を図ります。精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築。 精神障がいのある人等が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、計画的な地域の基盤整備とともに、障がい保健福祉圏域や市町村ごとの保健・医療・福祉関係者等による協議の場を通じて、精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、当事者・ピアサポーター、家族、企業・就労支援関係者、居住支援関係者、自治会等との重層的な連携による支援体制の構築に取り組みます。人材の確保・定着とサービスの質の向上。福祉の職場を対象とした職場説明会や求職者と求人事業所との就職面接会の開催、求職者と求人事業所との橋渡しをするキャリア支援専門員の配置などにより、求職と求人のマッチングを推進します。障害福祉サービス等の現場における介護業務の負担軽減や業務の効率化などの労働環境の改善を通じて、安心で安全な質の高いサービスの提供を推進するとともに、人材の確保及び定着を図るため、処遇改善や介護ロボット・ICTの導入を支援します。障害福祉サービス事業所等の従事者の専門性向上を図り、従事者としての自覚と、仕事への誇りと自信を持って取り組めるよう、県や関係団体などが実施する研修の情報提供を行うとともに、研修内容の充実を図ります。適切なサービス提供体制の確保。各施設等において、人員配置や設備及び運営に関する基準が遵守され、施設等の運営管理や利用者へのサービスの提供が適切に行われるよう、障害福祉サービス等を提供する事業者に対して集団指導及び運営指導を徹底します。用語解説があります。集団指導とは、障害福祉サービス等の取扱い、自立支援給付等に係る費用の請求内容、制度改正内容及び過去の指導事例等について、講習方式で行う指導。運営指導とは、施設に出向き、障害福祉サービス等の取扱い、自立支援給付等に係る費用の請求内容等について、関係書類の閲覧や関係者との面談方式で行う指導。 31ページ。 サービス提供基盤の整備促進。市町村の意見を踏まえて事業者の指定を行うとともに、圏域で不足しているサービスについて、十分なサービス量を確保できるよう、サービス提供基盤の整備を計画的に支援します。地域生活の安心を確保するため、レスパイトケアや緊急時の受入れ等を行う短期入所サービスを身近な地域で利用できるよう、事業所の拡充を促進します。特に、医療型短期入所については、重症心身障がい児者等の重度障がい児者が地域で安心して生活できるよう、自立支援協議会や医療的ケア児支援のための協議の場などと連携し、拡充を図ります。用語解説があります。レスパイトケアとは、障がいのある人等を在宅でケアしている家族等が休息をとれるよう、一時的にケアを代替し、リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス。障がい児やその家族への支援の充実が図られるよう、児童発達支援センターの整備を計画的に支援するとともに、児童発達支援センターが地域における中核的役割を果たせるよう支援します。 達成目標等。項目、施設入所者の地域生活移行者数、現状 令和2年から4年度の累計 73人、目標 令和5年から8年度の累計 167人。項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で拠点がカバーしている市町村数、現状 令和4年度 74市町村、目標 令和8年度 77市町村。項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で各圏域または地域のコーディネーターの役割を担う者がカバーしている市町村数、現状 令和4年度 45市町村、目標 令和8年度 77市町村。項目、地域生活支援拠点等の整備の関係で年1回以上の運用状況の検証及び検討をしている市町村数、現状 令和4年度 74市町村、目標 令和8年度 77市町村。 項目、基幹相談支援センターがカバーしている市町村数、現状 令和4年度50市町村、目標 令和8年度 77市町村。項目、短期入所サービスを行う事業所、現状 令和4年度 164箇所、目標 令和8年度 196箇所。 32ページ。 重点施策3。出番があり生きがいを感じられる生活の保障。生きがいのある充実した生活を保障するため、就労支援、スポーツや文化芸術活動などの社会参加の支援、情報保障の充実等の取組を推進します。 現状と課題。県内の民間企業における障がいのある人の実雇用率は、令和5年6月1日現在、2.42%で、全国平均2.33%を上回っていますが、法定雇用率の2.3%に達していない企業が37.7%あり、更なる雇用促進に向けて取り組む必要があります。また、県内の就労継続支援B型事業所で就労している障がいのある人の令和4年度月額平均工賃は16,930円で、障害年金と合わせても8万円程度にとどまり、障がいのある人が地域で自立した生活を営むためには不十分な状況です。 長野県の法定雇用率適用企業で雇用される障がい者数を表で掲載しています。平成30年度 6,589.5人、令和元年度 6,769.0人、令和2年度 7,068.5人、令和3年度 7,264.5人、令和4年度 7,351.0人。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、スポーツや文化芸術等の機会が減少しているため、社会参加の機会の拡大及びその情報提供の取組が必要です。 サンアップル主催のスポーツ教室の延べ参加者数を表で掲載しています。平成30年度 17,039人、令和元年度 14,543人、令和2年度 8,167人、令和3年度 10,024人、令和4年度 13,095人。障がいのある人があらゆる社会活動に参加する上で、情報保障は必須であり、意思疎通支援者の養成など情報・コミュニケーション支援の充実に取り組む必要があります。 33ページ。 令和4年度に、障がい者支援課で実施した障がいのある方の実態調査結果を掲載しています。「社会参加をする上で、妨げになっていること」という設問の結果の内訳ですが、回答数1,058人のうち、「情報がない」が13.4%、「一緒に行く仲間がいない」が13.2%、「経済的理由」が12.9%、「社会参加の機会や場所がない」が11.4%、「まわりの人の障がいのある方に対する理解不足」が8.2%、「介助者がいない」が5.5%、「適切な指導者がいない」が3.8%、「障がいを理由に施設等の利用を拒否される」が0.9%、「その他」が5.3%、「特にない」が41%、無回答が19.4%です。 施策の展開と方向性。かっこ1 就労支援の強化。就労アセスメントの強化。就労支援に当たっては、本人の希望、就労能力、適性等に合った就労選択ができるよう支援するアセスメントが重要であるため、アセスメント支援員による事業者支援の充実など、県内のアセスメント体制の強化を図ります。一般就労の拡大。障がいのある人の就業・生活面の一体的な相談支援を行う障害者就業・生活支援センターによる個別支援を強化し、就労促進及び就労後の職場定着を図ります。企業等での職場実習の場を拡大し、適切な助言指導の下で実習を行うことにより、障がいのある人と企業とのマッチングを支援します。特別支援学校において、一般企業への就労を希望する生徒の進路実現と、企業側の障がいのある人への理解や受け入れに向けた取組を促進するために、就労コーディネーターによる企業への働きかけとマッチング支援、特別支援学校技能検定の実施等を総合的に推進します。工賃アップに向けた取組の強化。事業所単独では受注が難しい大量の作業等の複数の事業所による共同受注や、共同販売会の開催など、事業所間の連携促進と協力体制づくりを支援します。 34ページ。 地域の企業等と事業所間の連携促進等の支援を行うコーディネーターを配置、工賃アップのアドバイス、企業等からの受注、販路の開拓などにより事業所の取組を支援します。のうふく連携・りんぷく連携による障がい者就労の推進。作業を依頼したい農業者と生産活動の充実を図りたい事業所とのマッチング等により、農業に取り組む事業所等への支援を強化します。農業分野での就労には様々な形態があることや、農家の労働力不足解消に繋がることなどを、研修会の開催や資料提供により農業者や市町村、JA等へ広く周知し、地域全体で障がい者の就労を支援していく取組を進めます。農業及び林業分野での就労は、障がい者にとって就労機会の拡大や身体面や精神面に与える好影響、農林業にとっては担い手の確保や荒廃農地・山林の再生等のメリットがあることから、関係部局や諸団体との連携をより一層強化します。 かっこ2 情報保障の推進。意思疎通支援者の養成。情報保障の確保のため、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳、介助員などの養成、派遣を行うともに、その資質の向上を図ります。失語症者の意思疎通を支援するため、意思疎通支援者の養成を行うとともに、派遣事業の実施に向け、関係団体と連携を図りながら取り組みます。点訳 朗読奉仕者の養成。点訳、朗読に必要な技術等の習得支援を行い、これらに従事する奉仕員を養成します。情報提供体制の整備。障がい特性に応じた情報提供のためのツール(UDトーク等)の活用、字幕入りDVDの製作・貸出しや、点字図書、デイジー図書、CD図書、カセットテープ等の貸出しを行います。県ホームページのアクセシビリティの向上、知事会見時における手話通訳の実施及び文字情報の提供、県広報紙の点字版・CD版の作成等、障がい特性に配慮した多様な手段等による情報伝達を行います。 用語解説があります。デイジー図書とは、デイジーという規格を用いたデジタル録音図書。長時間の録音が可能で、章や見出し、ページから読みたい部分を検索できる。専用のプレイヤーや専用の再生ソフトウエアをインストールしたパソコンが必要。UDトークとは、パソコンやスマホ等を使って、内容をリアルタイムに文字化できる音声文字変換システム。 かっこ3 社会活動への参加支援の充実。スポーツに親しむ環境づくりと地域におけるパラスポーツの定着。信州やまなみ全障スポを契機に、一人でも多くの障がいのある人が大会に向けて、また大会後も継続してスポーツに親しむことができる環境づくりを推進します。 35ページ。 障がいのある人がその障がいの程度に応じて楽しめるスポーツが普及し、身近な地域でスポーツを楽しめるよう、パラスポーツ指導員の養成や総合型地域スポーツクラブ等へのパラスポーツの知識と理解の普及を進めます。文化芸術活動の機会の充実。長野県障がい者芸術文化活動支援センター(ザワメキサポートセンター)と信州アーツカウンシルの連携により、障がいのある人の創作活動や発表機会の拡大に取り組みます。用語解説があります。信州アーツカウンシルとは、文化芸術の振興や活用に専門的知見を持つスタッフを配し、行政から一定の距離を置きながら、県民や地域が主体となった文化芸術活動への寄り添い型の支援を通じて、長野県の文化芸術活動の持続的発展に取り組む中間支援組織。長野県立美術館の「インクルーシブ・プロジェクト」により、障がいのうむ等を超えてアートを体験できる機会を提供します。 達成目標等。項目、法定雇用率適用企業で雇用される障がい者数、現状 令和4年度 7,351人、目標 令和9年度 8,455人。項目、月額平均工賃の向上、現状 令和4年度 16,930円、目標 令和11年度 22,000円。 目標項目、就労継続支援B型事業所に対する農業分野の就労支援(農業に取り組む事業所数)、現状 令和4年度 151事業所、目標 令和11年度 180事業所。項目、障がいのある人のスポーツ参加促進(障がいのある人が参加するプログラムを行っている総合型地域スポーツクラブの割合)、現状 令和4年度 31.9%、目標 令和11年度 50%。 36ページ。 重点 施策4。多様な障がいに対する支援の推進。医療的ケア、重症心身障がい、発達障がい、強度行動障がい等の障がい特性に応じた支援の充実を図ります。現状と課題。障がい者支援については、障がい特性、障がいの状態、生活実態等に応じた、障がいのある人の個別的な状況を考慮して行う必要があります。 かっこ1 医療的ケア・重症心身障がい。医療技術の進歩に伴い増加する医療的ケア児等が、その心身の状況に応じて適切な支援を受けられるようにすることが課題となっています。令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」において、国や地方公共団体の責務等が定められ、医療的ケア児の健やかな成長と、その家族の離職の防止を図ることによって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現を目指すこととされています。県では令和4年4月に県庁内に「長野県医療的ケア児等支援センター」を設置し、医療的ケア児や重症心身障がい児(者)とその家族に寄り添った活動を展開しています。地域の課題を地域の多職種連携で解決する体制の中心となる圏域医療的ケア児等コーディネーターの配置を促進する必要があります。医療的ケア児や重症心身障がい児(者)等の重度障がい児(者)が、地域で安心して暮らしていくためには、必要な支援を行うことができる、在宅生活を支える体制(訪問系サービス事業所)や、地域における住まいの場(グループホーム)、障害児通所支援事業所、生活介護事業所などの日中活動の場、就労の機会等の充実が必要です。 医療型短期入所事業所は、令和5年度末現在で県内に19か所と限られているほか、そのほとんどが本体施設の空床を利用する形態であるため、緊急時の対応が困難な場合があります。 かっこ2 発達障がい。医療・教育・福祉の連携を強化するため、令和5年度から発達障がい者支援センターを発達障がい情報・支援センターにかいそし、学術的知見に基づく支援プログラムの開発、情報発信や支援者向けの研修などに取り組んでいます。これまでの取組の結果、思春期以降の発達障がいのある人に対するフォロー体制、支援関係者間の情報共有・引継ぎ、発達障がいに対する理解の促進などが課題となっています。 37ページ。 かっこ3 強度行動障がい。強度行動障がいは、生来的な障がいではなく、周囲の環境や関わりによって、自傷、他害、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている「状態」です。医療、保健、福祉、教育などによる連携や協力の下、個々の特性に応じた関わり方や環境調整など適切な支援の継続的な提供が必要です。県が指定した研修機関において、強度行動障がいのある人に適切な支援を行うことができるよう、訪問系サービスを含む障害福祉サービス事業所や障害者支援施設などの従事者を対象とした人材育成研修を実施していますが、実際に強度行動障がいのある人に適切なサービス等を提供するためには、人員体制や専門性がまだ不十分です。県全体のセーフティネットとしての機能を強化するため、長野県西駒郷において、強度行動障がい者専用棟の令和6年度の供用開始に向けて準備が進められています。 施策の展開と方向性。かっこ1 医療的ケア児・重症心身障がい児(者)に対する支援体制の整備。医療的ケア児等が適切な支援を受けられるよう、保健・医療・障がい福祉・保育・教育等の関係機関の連携のもと、全県的な課題解決に取り組みます。地域の課題を地域の多職種連携で解決する体制を構築するため、圏域等ごとに医療的ケア児等コーディネーターの配置を促進します。 医療的ケア児等のライフステージに応じ、専門的な知識により支援ができる人材を養成し、医療的ケア児等についての理解促進、支援の拡大に取り組みます。医療的ケア児等や重症心身障がい児(者)等の重度障がい児(者)が利用できる、在宅生活を支える体制や住まいの場、日中活動の場の拡充を図るため、必要な予算措置を国に対し要望していくほか、必要な支援を行うことができるグループホームや障害児通所支援事業所、生活介護事業所、医療型短期入所事業所などについて、市町村の意見を踏まえて事業者の指定を行うとともに、それらの整備を計画的に支援します。 かっこ2 発達障がい者支援の充実。発達障がいのある人への切れ目のない一貫した支援の充実。発達障がい者サポーターの更なる増加を図り、発達障がいのある人の身近に理解者が寄り添う社会を目指すとともに、市町村へ個別支援ノートの活用を呼びかけることにより、支援関係者間の情報共有・引継体制を強化し、発達障がいのある人が個々の特性に合った支援を受けられるよう取り組みます。 発達障がい者支援対策協議会の体制を充実させ、各ライフステージで発達障がいの発見と支援が切れ目なく行われるよう、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連分野の連携強化を図ります。 38ページ。 発達障がい診療・支援体制の強化。地域における発達障がい診療・支援体制を強化するため、長野県発達障がい診療医・専門医等の人材育成に取り組みます。発達障がいへの対応力向上や関係機関の連携強化を推進するためのかかりつけ医研修や地域連絡会を開催し、発達障がい診療ネットワークの強化に取り組みます。 かっこ3 強度行動障がいのある人への支援。強度行動障がいに適切に対応できる人材の育成。強度行動障がいのある人に適切なサービスが提供されるよう、訪問系サービスを含む障害福祉サービス事業所や障害者支援施設などの従事者を対象とした研修等により、強度行動障がいに関する専門的な知識や支援技術等を有する人材の育成を行います。長野県西駒郷において、専用棟における支援を通じて蓄積した支援ノウハウを県内の各施設に還元し、支援の質の底上げを図ります。強度行動障がいのある人にサービス提供を行う事業所等の拡大等。障害福祉サービス事業所等において強度行動障がいのある人に適切なサービス等を提供するためには、支援の度合いに応じて求められる、専門的な知識や支援技術等を有する職員の配置や、障がい特性に対応した施設整備などが必要となることから、国に対して実態に即した公定価格(報酬)の見直しや財政支援の拡充の提案を行うなど、サービス提供を行う事業所等の拡大や支援の充実を図ります。  達成目標等。目標項目、医療型短期入所事業所数、現状 令和4年度 18事業所、目標 令和8年度 20事業所。目標項目、発達障がい者支援事業(サポーター養成講座の受講者数)、現状 令和4年度 17,211人、目標 令和11年度 20,000人。目標項目、強度行動障がい支援者養成研修(実践研修修了者累計)、現状 令和4年度 1,047人、目標 令和11年度 2,097人。