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更新日:2017年2月14日

県民セミナー「私たちのライフデザイン~健やかな妊娠・出産のために~」

標記セミナーの様子を紹介します。

県民セミナー「私たちのライフデザイン~健やかな妊娠・出産のために~」

 「ライフデザイン」とは人生の希望を叶えるためのプランづくり。仕事や結婚、子どもを持つことなど、あなたはどんな未来をデザインしますか?

 妊娠・出産の正しい知識や男性・女性のからだについて知り、今からできる妊娠への備えについて学ぶためのセミナーを開催しました。

(1)日時及び場所 

  ①平成28年1月30日(土) 13:30~16:00 岡谷カノラホール(岡谷市)

  ②平成28年1月31日(日) 13:30~16:00 篠ノ井市民会館(長野市)

(2)参加者

  ①岡谷会場  約200人

  ②長野会場  約270人

(3)主催等

  ・主催 長野県

  ・後援 一般社団法人長野県医師会、公益社団法人長野県看護協会、一般社団法人長野県助産師会

(4)プログラム

  ・トークショー「笑顔のミナモト~支えあい困難を乗り越えた夫婦が描くライフデザイン~」

   魔裟斗さん・矢沢心さんご夫妻       司会 佐藤 栄見子 さん

  ・シンポジウム

   「知っておきたい妊娠のしくみ~医師から伝えたいこと~」

   (1月30日)岡 賢二 さん(信州大学医学部 産科婦人科学教室 助教 附属病院生殖医療センター 副センター長)

   (1月31日)天野 俊康 さん(長野赤十字病院 第一泌尿器科 部長)

   「見つめよう、からだのこと~助産師から伝えたいこと~」

   北原 光子 さん(公益社団法人長野県看護協会 不妊専門相談員)

 ・パネルディスカッション

   「夫婦で考える妊娠・出産」

   パネリスト 魔裟斗さん、矢沢 心さん、岡 賢二 さん(1月30日)、天野 俊康 さん(1月31日)、北原 光子 さん

   コーディネーター 飯島 裕一 さん(信濃毎日新聞社 編集委員)

 トークショー「笑顔のミナモト~支えあい困難を乗り越えた夫婦が描くライフデザイン~」 岡谷会場・長野会場

魔裟斗さん・矢沢心さんご夫妻

司会 佐藤 栄見子 さん

●お二人は結婚や妊娠・出産など、どのようなライフデザインを描いていましたか?2Z6A7749

【魔裟斗】結婚するまでは「とりあえず家を建てたい」と思い、格闘家の仕事を頑張っていました。現役時代の僕はピリピリしていて、彼女は檻の中でライオンと暮らしているようなものだったと思います。彼女は本当に我慢強かったですね。僕が27歳、彼女が25歳のときに結婚したんですが、僕は妊娠や出産についてはあまり考えていなくて、子どもはそのうちできるだろうと思っていました。

【矢沢】私は、主人に赤ちゃんを抱っこしてもらいたいという思いが強くありました。10代から月経不順だったこともあり、若いころからかかりつけの産婦人科があって、結婚を決めたときも早めの検査などが必要だろうと思っていました。

●お子さんを授かるまでに、5年間の不妊治療を経験されたそうですね。

【矢沢】治療がうまくいかないときもありましたが、諦めたことはなく、治療中のつらい経験が私を強くしてくれました。流産したときも、主人は何を言うというわけではないんですが、ずっと隣にいてくれました。主人も残念そうにしている姿を見て、「主人も同じ気持ちなんだ」と思えて、とても安心できましたし、支えになりました。

【魔裟斗】夫婦一緒に頑張ろうというスタンスが必要だと思います。僕も最初は病院に行くのが恥ずかしかったのですが、行き始めると意外と平気でした。病院にいるのは同じような悩みを持つ人ばかりですから。男性も勇気を持って奥さんと一緒に治療に取り組んでほしいです。

●お父さん、お母さんになって変わったことは?

【矢沢】現役時代の主人は仕事に集中していましたから、重い荷物も持ってくれなかったんですが、今はかなり家事を手伝ってくれます。ゴミ捨てをしてくれるだけでも、本当に助かりますよね。

【魔裟斗】子どもが生まれてから僕も変わりました。家事は時間のある方がやればよいと思っています。最近は、公園に子どもを連れて行くようにもなって、今まで話せなかった親御さんたちとも仲良くなってきました。

●これから妊娠・出産を迎える皆さんに伝えたいことは?

【魔裟斗】子どもは本当にかわいいですし、親にものすごい力を与えてくれる存在です。もっと早く子どもができていたら、楽しい経験をもっと早くからできていたんだろう、と思います。子どもが欲しいけれど、授からない場合は、早めに専門家を頼ってほしいです。

【矢沢】子どもが欲しいという気持ちから2人がぶつかりあっていては元も子もありません。夫婦で心を寄り添わせ、支えあいながら、夫婦の時間を笑顔で過ごしていただきたいです。

 シンポジウム① 岡谷会場

【女性編】 「知っておきたい妊娠のしくみ~医師から伝えたいこと~」

 岡 賢二 さん(信州大学医学部産科婦人科学教室 助教   附属病院生殖医療センター 副センター長)

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  月経不順や月経困難症(ひどい生理痛など)、おりものといった症状が現れる女性の病気は、不妊症と密接に関わっています。月経不順は排卵障害、月経困難症は子宮内膜症、おりもの異常や腹痛症状は骨盤内の感染症やクラミジア感染症が疑われます。大切なのは早く受診して適した治療を受けることです。

 不妊治療の最も進んだかたちは体外受精です。日本産婦人科学会のデータによれば、成功率は女性が20代で約20%、30歳~35歳は約18%ですが、40歳以降は急激に下がり、45歳では0.8%となっています。体外受精といえども、決して万能ではないのです。

 女性には妊娠・出産をする権利も、しない権利もありますが、年齢による卵子の質の低下、妊娠率の低下などについて、夫婦で知っておいてください。ライフデザインを考える上でも、不妊治療は時機を逃さずに受けることが極めて大切です。


シンポジウム②  長野会場

【男性編】「知っておきたい妊娠のしくみ~医師から伝えたいこと~」

天野 俊康 さん(長野赤十字病院 第一泌尿器科 部長)IMG090

 年齢によって女性は卵子の質が低下し、実は男性の場合も精子の能力は35歳頃から少しずつ低下すると見られています。 あくまでも生物学的な面だけで見れば、男女とも35歳以下が妊娠・出産には適していることになります。不妊の原因の約半分は男性にあることも分かっています。

 男性不妊症の原因は、精子をつくる造精機能障害が約80%と圧倒的で、精子の通り道の障害が約15%、性機能の障害が3%ほどと言われています。

 診察では、精液検査やホルモン検査のための採血などいろいろな検査を行い、それぞれの原因に応じて治療にあたっています。初めての受診は不安かもしれませんが、不妊ではないかと思ったときには、診察・検査を男女一緒に受けることが大切です。

 


 シンポジウム③ 岡谷会場・長野会場

「見つめよう、体のこと~助産師から伝えたいこと~」

北原 光子 さん(公益社団法人 長野県看護協会 不妊専門相談員)

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  自分の体のことだけではなく、男女がお互いの体のことを知り、理解しあうことが、まず大切です。男性の精子が毎日新しくつくられるのに対し、卵子は女性が生まれるときに身体に持っているもので、年齢を重ねるにつれて減り続けるという違いがあります。妊娠・出産に適した時期はキャリア形成・維持の時期と重なるので、このことを理解し、ライフデザインをすることが、幸せな生涯を送るためにとても大切となります。

 普段の健康づくりでは、男女ともに規則正しい食生活や睡眠、適度な運動を心がけましょう。女性の場合は、卵巣のリズムと働きを知るために、基礎体温を記録することや、定期的な検診をおすすめします。痩せや肥満は月経異常を起こしやすいので注意しましょう。

 妊娠や出産は女性の体に起こることですが、子どもを授かることは夫婦の問題です。夫婦がお互いに相手の気持ちを感じ取り、支えあいましょう。 

 パネルディスカッション

「夫婦で考える妊娠・出産」

パネリスト 魔裟斗さん、矢沢 心さん、岡 賢二 さん(1月30日)、天野 俊康 さん(1月31日)、北原 光子 さん

コーディネーター 飯島 裕一 さん(信濃毎日新聞社 編集委員)

●妊娠や出産にあたって大切にしたいことは?2Z6A7854

【矢沢】食事や普段の健康づくりは大切だと思います。健康づくりという点では、主人がトレーナー代わりでした。不妊治療を行う場合は遠回りをしないために、正しい知識を持ち、夫婦で一緒に取り組むことが大切です。お母さんになりたい方が、みんなお母さんになれますように、と願っています。

●矢沢さんがつらいときに、夫としてどんなことを心がけていましたか?

【魔裟斗】治療の細かな内容までは聞きませんでしたが、期待した結果が出なかったときには一緒に喫茶店に行ったりして、いつも通りそばにいるようにしました。

【矢沢】子どもがいない時期が続くと「お子さんはまだ?」とよく聞かれるようになり、苦しく感じるときもあったのですが、主人がうまく話題を変えてくれて、とても助けられました。周囲の理解も大切だと思います。

●不妊かもしれないと思ったときは、どうすればよいでしょうか?

【天野】以前は、先に女性が検査をするケースがほとんどでしたが、約半数は男性にも原因があるとわかっていますから、妻は産婦人科、夫は泌尿器科と並行して受診してもらうのが一番です。

●受診先を選ぶポイントは?2Z6A7919

【北原】不妊治療は夫婦の意思で選び取る治療です。それを誰に託すか、信頼できる医師と治療に向かい合えるかは、何より重要だと思います。受診したものの、どうもしっくりせず、何かおかしいと思ったときは、転院もひとつの選択肢です。患者の権利ですから、転院する場合は遠慮せずに必ず紹介状を書いてもらいましょう。それによって、検査をやり直す無駄な時間が省けます。

【矢沢】私たちは3か所目のクリニックで子どもを授かることができましたが、病院や医師との相性も大切だと感じました。立地や費用など、いろいろな条件を調べ、できれば医師と話をしてみて、病院を決めるとよいと思います。

●夫婦のあり方も変化しています。

【北原】晩婚化の影響もあり、妊娠・出産や夫婦のかたちは多様化しています。子どもを持ちたいと願っていても、なかなか妊娠しないこともあります。子どもを持つ、持たない、いつ持つかということは夫婦それぞれが決めることです。私たちはそれぞれの多様な価値観、ライフデザインを認めていくことが大切です。

【天野】まずは、夫婦二人の生活が大切です。妊娠のしやすさを考えると、特に女性は年齢が大きく関係しますし、男性も年齢の影響がないわけではありません。このことを知った上で、ライフデザインを描くとよいと思います。

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セミナーに寄せて(県民の皆さまへ)

 長野県では、県民の皆さまに妊娠・出産についての正しい知識を持っていただき、それぞれの人生の希望が実現することを願って本セミナーを企画しました。一人ひとりがライフデザインを描き、それを認め合う温かい輪が長野県中に広がることを願っています。

 また、妊娠に関する相談、不妊や流産を繰り返してしまう不育症などの相談及び治療費の一部助成等の支援を行っていますので、ご利用ください。

 

参加者アンケートから

参加者の皆さまからは、ご好評をいただきました。ありがとうございました。

  • トークショー 

     よかった・だいたいよかった 98.4%(376人/382人)

  • シンポジウム・パネルディスカッション 

     よく理解できた・だいたい理解できた 99.7%(370人/371人)

 


 

お問い合わせ

健康福祉部保健・疾病対策課

電話番号:026-235-7141

ファックス:026-235-7170

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