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更新日:2017年2月14日
標記フォーラムの様子を紹介します。
市民フォーラム「夫婦で考える不妊のこと~ちゃんと知りたい男性不妊~」(1)日時 平成27年1月17日(土)13:30~16:00 (2)会場 松本市中央公民館(Mウイング)6階ホール (3)参加者 約220人 (4)主催等 ・主催 長野県 ・共催 信濃毎日新聞社 ・後援 公益社団法人 長野県看護協会、一般社団法人 長野県助産師会 (5)プログラム ・トークショー「タネナシのオレが父親になるまで」ダイアモンド✡ユカイ 氏(ロックシンガー) 司会 田中 利彦 氏(FM長野アナウンサー) ・パネルディスカッション ≪パネリスト≫ ダイアモンド✡ユカイ 氏(ロックシンガー) 天野 俊康 氏(長野赤十字病院 第一泌尿器科 部長) 北原 光子 氏(公益社団法人 長野県看護協会 不妊専門相談員) ≪コーディネーター≫ 飯島 裕一(信濃毎日新聞社編集員) |
トークショー「タネナシのオレが父親になるまで」ダイアモンド✡ユカイ 氏(ロックシンガー)司会 田中 利彦 氏(FM長野アナウンサー) ●不妊の検査、治療を受けるまでの経緯は? 再婚した時、オレは40代半ば、妻は30代半ば。二人ともファミリーを持ちたいという希望があったから、年齢も心配して「検査を受けてみたい。」という妻に頼まれ、「オレも大人だし、付き合うか。」という気軽な気持ちで家の近くにある不妊外来のあるクリニックに一緒に行った。検査の結果、妻には異常がないという。医師からはオレも検査を受けるように言われた。「えっ、オレが!?オレはロックシンガーだぜ!?」調べてもらった結果、医師は「精子ゼロです。」と言ったんだ。頭が真っ白になった。男であることを否定されたようで、オレのプライドはボロボロ。だけど、ネットで調べてみたら、どうやら手術で精巣から精子を取り出せる可能性があるらしい。チャンスがあるならやってみようと思い、治療を受けた。 ●治療はやはり大変だったのでしょうか。 精子を取り出す手術は怖かったけど、終わってしまえば「こんなものか。」って感じ。オレの場合、違和感があったのは2~3日だけ。治療で本当に大変なのは妻の方。採卵誘発剤を使って卵子を取り出し、顕微授精してまた体内に戻すわけだからね。見ていて痛々しい。妻は注射によって体も大変だし、精神状態の変化もある。そこを理解してやらないといけない。これだけやったんだから、結果にはどうしても期待してしまう。 ●治療の結果はどうだったのでしょうか。 不妊治療はお金も時間もかかるし、心身の負担も大きい。しかも、治療したからといってうまくいくとは限らない。オレたちも2回失敗した。夫婦関係もギクシャクしてきて、「離婚した方が妻のためではないか。」と思い、離婚寸前になったこともある。 ●治療に失敗して、その後の治療や夫婦生活についてどのように考えたのでしょうか。 「こんなことが続くなら、やめてしまおう。」と思い、治療は諦め、夫婦で楽しく生きていくことにした。だけど、しばらくして妻が「もう一度だけチャレンジさせてください。」と言う。夫婦でよく話し合って、再度治療を受けることにした。 ●再度の治療はどうだったのでしょうか。 病院を変えて、北九州の病院で治療を行った。一度は諦めていたし、「ふたりで温泉旅行にでも行こう。」というリラックスした気持で治療に臨んだ。この治療で長女を授かることができた。ストレスをためずに治療したのが良かったのかもしれない。 ●不妊に悩むご夫婦へのメッセージをお願いします。 治療に失敗すると暗くなりがちだが、なにより夫婦として悔いのない時間を、ユカイな人生を過ごすことが大切だと思う。検査をするのが恥ずかしいという男性が多いが、女性の時間を無駄にしてしまう方が男として恥ずかしい。できるだけ早めに夫婦で検査を受ける必要があることを知ってほしい。 |
パネルディスカッション医療機関からの報告 「男性不妊の現状と治療」 天野 俊康 氏(長野赤十字病院 第一泌尿器科 部長) 不妊とは、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間避妊をせずに性交渉をしても妊娠しない場合」と定義され、妊娠のため医学的な治療を必要とする場合を不妊症と言います。「一定期間」というのは、2年が一般的です。 日本においては子どもを持つことを望むカップルの10~15%が不妊に悩んでいて、その原因が「男性のみにある」、「男女両方にある」場合を合わせると48%にのぼります。つまり、不妊の約半数は男性にも原因があるということです。 男性不妊症の原因には①精子をつくりだす機能の障害、②精子の通り道の障害、③勃起、射精といった性機能の障害があり、それぞれの原因に応じた治療が必要です。ダイアモンド✡ユカイさんの場合は②にあたったわけです。 男性も年齢と不妊は関係があります。年齢が上がると精子がつくられる数が減り、受精の能力が落ちてきます。また、ストレスによって男性ホルモンが下がり、受精能力が低下することもわかっています。 私は泌尿器科の生殖医療専門医として、「男は私にまかせろ。」という気持ちでいます。泌尿器科医師としてはできれば自然妊娠を目指しつつ、夫婦の症状に合った治療方法を提案できます。そのためにも検査は夫婦一緒に、早めに受診してください。1、2年で妊娠しなければ、女性は産婦人科を、男性は泌尿器科を受診することをおすすめします。
相談機関からの報告「夫婦で支えあう不妊治療」 北原 光子 氏(公益社団法人 長野県看護協会 不妊専門相談員) 長野県不妊専門相談センターは、多様化、長期化する不妊の悩みに対応するため2002年に開設されました。毎週火・木曜日に電話、メール、面接(要予約)での相談に応じています。 不妊の原因が自分にあると知った男性は、情けなさ、相手への申し訳なさ、周囲の期待に応えられないつらさなど、大きな悩みを抱えます。また、その姿をそばで見ている妻も、深く心を痛めています。 不妊の悩みはとても複雑です。先にあげた自分の内側から生じる苦しみのほかに、「子どもはまだなの?」といった言葉など、外部の人から受ける苦しみもあります。また、治療を続けるべきか、やめるべきか、費用や仕事の心配など様々な葛藤もあります。 治療にあたっては、まずは夫婦の対話や頑張っている自分たちを認め、夫婦で支えあうことが大切です。ただ、治療がうまくいかないと、落胆や悲しみが重なって、夫婦の心は弱ってしまいます。不妊治療が生活のすべてのようになり、夫婦で支えあう余裕もなくなってきて、お互いを責めたり、嫌悪になってしまうこともあります。その時には夫婦で抱え込まず、距離を置いた人、相談できる人をさがし、つらい気持ちを話してみてください。私たちも力になれます。 「『愛』の対義語は『無関心』(マザーテレサ)」です。男性も無関心にならず、夫婦で手を取り合い、二人の生活を大切にしていただきたいと思います。そうすればその後の人生もきっとうまくいくと思います。
サプライズフォーラムの最後にダイアモンド✡ユカイ様が「ムクロジの木」(NHKみんなの歌)を歌ってくださいました。未来のある子どもたちへ向けたメッセージがとても感動的で、命の貴さ、大切さを改めて感じることができました。
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フォーラムに寄せて(県民の皆様へ)子どもを持つ、持たない、いつ持つかは夫婦が決めることです。そしてどんな選択をするとしてもその意思は尊重されます。ですので、周囲の人が「子どもはまだ?」と尋ねたり、「頑張ってね。」などと励ますことが、夫婦にとっては辛いこともあります。また、不妊は女性だけの問題ではなく、男女双方に原因があることを知ってください。不妊に悩む夫婦がいたら温かく見守ってください。 不妊治療は精神的・経済的・身体的負担が大きいものです。県としても現在行っております特定不妊治療費の助成、不妊専門相談センターにおける相談等により、精神的・経済的な支援を引き続き行うとともに、妊娠・出産に関する正しい知識の普及啓発に一層力を入れてまいります。 今後も県民の皆さまが希望する妊娠・出産ができる環境づくりに努めていきます。 |
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