ストーカー事案の実態と被害防止対策
はじめに
ストーカー行為とは、悪質なつきまとい等を繰り返す行為をいい、被害者を不安に陥れ、生活の平穏を害するなど、社会問題となっています。
警察では、これらの被害の未然防止や解決を図るために積極的な取組をしていますので、不安を感じていたり、被害にあった場合には、一人で悩まず、警察に相談しましょう。
ストーカー事案の実態
取扱状況
令和4年中のストーカー事案の取扱いは、233件(相談等受理件数)です。
これらの事案に対し、警察では被害防止のための対応策をアドバイスしたり、行為者への指導を行ったりしたほか、警察署長名の文書による警告などの措置をとりました。
警察での対応状況(複数計上)
ストーカー規制法等による対応(198件)の内訳(複数計上)
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ストーカー規制法に基づく警告15件
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被害者への援助172件
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ストーカー規制法に基づく検挙2件
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他法令による検挙6件
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禁止命令(延長を含む)3件
行為の内容(複数計上)
ストーカー規制法で規制している行為内容をみると、合計372件(複数計上)ある行為のうち、「つきまとい、待ち伏せ、押し掛け等」が139件、「面会・交際等の要求」が94件、「無言電話、連続電話、連続メール」が67件で、これら3つの行為の合計が全体の約80%を占めています。
- つきまとい、待ち伏せ、押し掛け等139件
- 行動監視の告知等8件
- 面会・交際等の要求94件
- 粗野・乱暴な言動29件
- 無言電話、連続電話、連続メール67件
- 汚物等の送付等1件
- 名誉を害する事項の告知等7件
- 性的羞恥心を害する事項の告知等20件
被害者と行為者の性別・関係
被害者の性別
女性が206人(約88%)で、大半を占めています。
行為者の性別
男性が177人(約76%)で、大半を占めています。
被害者と行為者の関係
元夫婦や交際歴のある者が87人(約37%)で、約4割を占めています。
被害防止対策
ストーカー対策の基本
一人で悩まない
- ストーカー被害の問題は、1人で解決できるものではありません。
- 警察をはじめ信頼できる人に相談しましょう。
断固拒否の姿勢を示す
- ストーカー行為は執拗に繰り返されます。行為をエスカレートさせないため、はっきりと拒否をすることが大切です。
被害に遭ったら記録を残す
- 送付された手紙、物品については保管し、電話の着信履歴、メールやSNSのメッセージの送受信記録等は消さないように保存しておきましょう。
- 相手の車のナンバーをチェックしたり、ささいなことでもその内容や日時をメモしておきましょう。
個人情報を漏らさない
- 自分の住所、氏名、電話番号、メールアドレスなどが記載された文書などは、細かく破いて処分するなど、個人情報を守りましょう。
こんなときはどうしたら?
つきまといや待ち伏せをされたり、家の周りをうろつかれたりしたら
- 不安な時は一人での行動を避け、タクシーを利用したり防犯ブザーを携行したりしましょう。
- 携帯電話に110番、警察署の電話番号を登録し、いつでも通報できるようにしておきましょう。
- 万一の場合は、警察や近隣の人に助けを求めましょう。
行動を監視されているみたい
- 被害の状況、内容については、記録等があれば、それを持参して警察に相談しましょう。
- 在宅中は、自分が家にいることが外から見えないように、厚手のカーテンを利用するなどの工夫をしましょう。
面会や交際などをしつこく求められたら
- 拒否の意思を相手にはっきり示しましょう。
- どうしても面会して拒否の意思を告げなければならないときは、第三者の立会いを求めましょう。
乱暴なことを言われた場合には
- 危険な時には110番をするとともに、防犯ブザーを鳴らしたり、大声を出して助けを求めましょう。
無言電話、拒否しても電話や電子メール、SNSのメッセージ送信等が頻繁にある
- 迷惑電話・迷惑電子メール対策、着信拒否の設定をしましょう。
- 「警察へ訴えます。」と相手にはっきり伝えましょう。
汚物、動物の死体など不快な物が送られてきた
- 送り主が不明な届物などは、受取りを拒否しましょう。
- 届いた時間と内容を記録して警察に相談しましょう。
名誉を傷つけられた
- 被害状況を記録して、警察に相談しましょう。
- 中傷ビラ、インターネットの書き込みなどは証拠として保存しましょう。
ひわいな写真や画像が送られてきた
- 送りつけられた写真や画像を保管して、警察に相談しましょう。
GPSが取り付けられた
- 取り付けられたGPSには触れずに、警察に相談しましょう。
警察では、行為者を検挙したり警告を実施するほか、被害を防ぐための具体的なアドバイスを行ったり、パトロールを実施するなどして、あなたを被害から守るための対策をします。
困ったことがあったら一人で悩まず、まず相談することが大切です。早めの相談が早期解決につながりますので、少しでも心配ごとがありましたら、最寄りの警察署に相談してください。