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更新日:2024年1月11日

松本養護学校・若槻養護学校施設整備事業 基本計画最終レビューを開催しました

review 令和5年12月3日(日)、松本養護学校・若槻養護学校施設整備事業基本計画策定支援業務委託プロポーザル審査委員会において選考された両校の設計者が、同審査委員会に対し、長野県庁において、作成した成果物の最終レビューを行いました。
委員長をはじめ審査委員の皆様から、今後の施設整備に向け様々な御助言をいただきました。

 

 

審査委員長や審査委員からいただいた主な御意見

松本養護学校の基本計画について

・建物の気積が大きいと窓が少なくなり閉じた建築になることがあるが、明るい空間になっていてよい。
・特別支援学校の校庭に求められる大きさ、地面の仕上げは通常の学校と異なると思われるので、児童生徒にとって屋外のよい居場所となるような配慮があるとよい。「教室は家のように」「ラーニングストリートは街のように」という方針のように、屋外空間にも通常の学校にはない方針が示されるとよい。
・校内でカフェを運営するだけでなく、他校の文化祭に出店するなどして、人間関係を広げるような機会とするのもよい。
・学校の様々な場所を子どもが居場所として選択できることが大切。ラーニングストリートのような賑やかな場所やクールダウンできる部屋、1人で勉強できる部屋などを自己選択・自己決定をしていけると自信に繋がる。
・プロポーザル時点でも非常に深い洞察をもとにした、細やかな配慮と全体性をしっかりと兼ね備えた明解な提案がなされていたが、方針の軸があることで様々な議論を経ても全体性を保持したまま細やかな配慮の行き届いた基本計画になっている。

若槻養護学校の基本計画について

・森のテラスを上履きのままで出られるウッドデッキの床としたり、特別教室の一部として機能する空間にしたりするとよい。
・地域連携の具体化に向け、創作テラスの活用方法などを考えていけるとよい。
・のぞみ部の子ども達が移動する際に外の風景を見られたり、病弱の子ども達が休める部屋を教室の近くに配置したりする等の工夫がよい。
・図書スペースは、図書機能以外にも1人で勉強したい時や、ペアで勉強したい時に活用できる学習スペースとしても有効。
・プロポーザルの時点でも、丁寧なプロセスを経て、生き生きとしていながらも穏やかな場所となっており、森や山といった自然環境の中に滑り込む佇まいのヒューマンなスケールの提案となっている点が非常に印象的であったが、それを踏襲した計画となっていてよい。

全体協議

テーマ1 予算等に限りがある中、特別支援学校の施設整備において何を一番大事に考えるか。

若槻養護学校
・健康面は、本校児童生徒の安全安心の一丁目一番地である。心臓機能に障がいがある児童生徒の中には、室温が下がると登校できない子どももいるため、室温が一定に保たれるような配慮が重要。
・心の病気を抱える子どもが、安心して学校に来られるケーブやハットなどの施設設備が大事になる。
・学習の空白や未履修の状況が子どもによって全く異なるため、個別指導も重要。
株式会社COA
・プロポーザル時では半屋外テラスを計画していたが、学校と検討を重ねる中でテラスを集約化する方向に変更してきた。温度差の問題があり限られてしまうが、季節がよい時には半屋外空間を有効に使えるよう建具等を工夫していきたい。温度差のあまりない空間を作るとともに屋外と繋がりやすい場所作りも考えていきたい。
松本養護学校
・一番大事にしたいことは、学校目標の実現に繋がる学習環境。「わたしらしく、わたしから、せいいっぱい」「あなたはあなたのままでいい」という思いが実現する環境であってほしい。そのためには、子どもにとって安全で安心でき、心地よく、多様で最適な学びの実現するような環境でありたい。
・共生社会という考え方を交流の充実によって地域に発信したり、職員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を作ったりしたい。
SALHAUS・仲建築設計スタジオ共同企業体
・多様な子ども達一人一人が生活しやすい空間をいかに作れるかが一番重要。そのためには空間に包容力と柔軟性を持たせ整備していきたい。
・松本養護学校を卒業した後、社会にどのように接続していくかを考えることも重要。そのために学校の中に小さな街のようなものを作り、地域社会にグラデーションのように繋げていく仕掛けを建築側からサポートしたい。
・先日、学校祭の様子を拝見した折、卒業生が再会を喜んでいる場面を目にした。卒業生が母校を訪れた時に心の拠り所になるような学校を作りたい。

テーマ2 学校の個性、長野にしかない学校についてどう考えるか

SALHAUS・仲建築設計スタジオ共同企業体
・松本養護学校は児童生徒一人ひとりを大切にしてきた。サイズや雰囲気の面で多様な空間をあちこちに用意するような空間的な支援は、松本養護学校らしさをさらに充実させていくと思う。
・特別教室では、部分的にフレキシブルなスペースを残しながら機能空間とフレキシブル空間に分けながら使っていくという提案をしているが、人数が少ない特別支援学校だからこそフレキシブルな使い方ができる。このような柔軟性、包容力といったものが長野らしさの1つではないかと思う。
株式会社COA
・若槻養護学校は図工美術に非常に力を入れており、毎年展覧会も行われている。新校舎では、なるべく共用部に作品を展示できるギャラリーを作りたい。
・森に囲まれた静かな環境は大きな特徴であるため、屋外と内部の活動の連動性を生かしていきたい。
・新校舎では共用部の中に1人になれる場所など様々な空間を設けようとしており、人との距離感を掴むことやコミュニケーションが苦手な子ども達の環境が改善されるきっかけとなる空間の工夫をしていきたい。

審査委員長による総評

・プロポーザルで選ばれたパートナーとして、関係者のみなさんとこれだけしっかりした議論を経て基本計画をまとめていただいたのは非常によかった。
・特別支援学校の校舎を考えることは、特別支援学校のみならず、校舎とはどうあるべきかという普遍的な問いに行き着く。松本養護学校、若槻養護学校の事例を長野県内だけの先行事例として留めておくのではなく、日本全国に発信し、これからの教育の在り方について投げかけるプロジェクトになっていくことに期待したい。
・従来、教育と校舎とは切り分けて考えられ、教師はできた校舎の中で何をするかを考えてきた。今回、ソフトとハードが一体になり初めて学びが生まれるということを長野県が先陣を切って進めていこうとされていることに敬意を表したい。
・これから基本設計に入っていく中、設計者、県、地域、学校が一体となって取り組んでいくと同時に基礎自治体との連携も図っていくことが重要である。
・これまで設計者は、建物が竣工するとともに役割を終えていたが、竣工後も設計者がフォローアップしていけるよう、設計者の立場のあり方について、今後も議論していってほしい。

 

お問い合わせ

教育委員会事務局特別支援教育課

電話番号:026-235-7432

ファックス:026-235-7459

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