労働組合の資格審査
(このページの目次)
1.労働組合資格審査とは
労働組合の資格審査の意義
労働組合は、労働者の自由な意思により結成し、運営するものです。したがって、行政官庁への届出、登録、あるいは行政官庁の許可、認可などは必要ありません。
ただし、労働組合が労働組合法に定める要件を満たしていることを、労働委員会が審査し、証明をすることが必要になる場合があります。この場合に行う労働委員会の審査を「労働組合の資格審査」といいます。
労働組合資格審査が必要な場合
- 不当労働行為の救済を申し立てる場合
- 労働組合を法人として登記する場合
- 労働委員会の労働者委員の候補者を推薦する場合
- 労働協約の地域的拡張適用の申立ての場合
- 労働組合が無料で職業紹介事業や労働者供給事業を行う場合
以上のように、労働組合の資格審査が必要な場合は限定されているので、資格審査を経なければ使用者から労働組合として認められないとか、団体交渉の当事者となる資格がないということはありません。
2.資格審査の項目
自主的な労働組合であること
構成員や活動目的などについて以下の条件をすべて満たさなければなりません。(労働組合法第2条)
- 労働者が主体となって自主的に組織している団体又はその連合団体であること
- 使用者の利益代表者(取締役、人事権を持つ上級管理職、人事・労務担当者等)が加入していないこと
- 使用者から労働組合運営のために経済上の援助を受けていないこと
- 労働条件の維持、改善及び経済的地位の向上を主な目的としていること
- 共済事業その他福利事業のみを活動目的としていないこと
- 政治運動または社会運動を主たる目的としていないこと
単位組合と連合団体
このページでは、複数の労働組合によって構成される労働組合を連合団体、労働者個人を構成員とする労働組合を単位組合と記しています。
民主的な労働組合に必要な規約を備えていること
次のような内容が労働組合の規約に記載されていなければなりません。(労働組合法第5条第2項)
- 労働組合の名称
- 労働組合の主たる事務所の所在地
- 組合員が、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱いを受ける権利を有すること
- 何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと
- 役員の選出方法について、組合員の直接無記名投票により選挙されること(連合団体等の場合には例外があります。)
- 総会は、少なくとも毎年1回開催すること
- すべての財源及び使途、主要な寄付者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による、正確であることの証明書とともに少なくとも毎年1回組合員に公表されること
- 同盟罷業(ストライキ)は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の、直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと
- 規約改正について、組合員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと(連合団体等の場合には例外があります。)
3.申立てに必要な書類等
申立てに必要な添付書類
- 組合規約
- 労働協約(協約がある場合のみ)
- 組合役員名簿
- 事業所の職制及び人員配置図表
- 職務権限規程
- 非組合員の範囲を記載した書類(記載参考例)(PDF:12KB)
- 組合会計関係書類
- 最近の総会関係資料(運動方針や活動の内容が分かるもの)
- 組合組織形態図表
- 加盟組合一覧表(連合団体の場合)
4.資格審査のながれ
申立て
↓
労働組合が事務局に申立書を提出します。
事務局調査
↓
労働組合の自主性や規約に不備がないかどうかを調べます。不備がある場合には、労働組合に是正措置を講じていただく必要があります。
公益委員会議
↓
労働組合が労働組合法の規定に適合するかどうかの決定は公益委員会議において行われます。
交付
労働組合資格証明書又は決定書(写し)を交付します。不適格の決定があったときは、申し立てた労働組合が労働組合法の規定に適合しないこと及びその理由を記載した決定書(写し)が交付されます。
5.申立てに際して
労働組合資格審査の手続等について詳しく知りたい方は、労働委員会事務局にお問い合わせください。