長野県教育委員会におけるコンプライアンスの欠如について
ご意見(2021年5月18日受付:Eメール)
県が定める事務分掌の規程では、「学校生活における相談及び支援に関すること」は心の支援課人権支援係の担当であるとされています。スクールカウンセラー(以下、SC)やスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)に関わる業務がこれに当たることはあらためて言うまでもありません。ところが、心の支援課の施策体系によれば、これらSC事業とSSW活用事業は生徒指導係の担当になっています。
カウンセリングやソーシャルワークは「支援(サポート)」であって「指導」ではない――
心理職や福祉職(相談援助職)は皆、そうした認識の下に業務に従事しています。県が「学校生活における相談及び支援に関すること」の担当を人権支援係と定めたのも、おそらく同様の認識に基いてのことであっただろうと推察します。
それにもかかわらず、現在、SC事業とSSW活用事業を担当しているのは人権支援係ではなく生徒指導係です。どうしてこのような、規程に反する事務分掌が生じ、また続けられているのでしょうか。
(参考)
「長野県教育委員会事務局及び学校以外の教育機関の組織に関する規則」から
第9条心の支援課は、次の各号に掲げる事務をつかさどる。
(1)人権教育に関すること。
(2)学校生活に関する相談及び支援に関すること。
(3)生徒指導に関すること。
「長野県教育委員会事務局の係の名称及び分掌事務に関する規程(別表)」から
心の支援課人権支援係規則第9条第1号及び第2号の事項
生徒指導係規則第9条第3号の事項
対応等
心の支援課の対応等は以下のとおり。
【対応経過】
・5月21日
回答文書を作成したが、文書を相手方へ伝達する過程において、担当者の誤認があり相手方へ回答が送付されていなかった。
・5月27日
相手方から回答未達の旨連絡あり。
同日、回答が遅れた旨をお詫びし、以下のとおり回答した。
【回答文】
長野県教育委員会事務局教育次長尾島信久と申します。
「県民ホットライン」にお寄せいただいた、生徒指導係の事務分掌についてのご意見についてお答えいたします。
この度は、スクールカウンセラー事業及びスクールソーシャルワーカー活用事業の事務分掌について貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。
心の支援課生徒指導係は、主に文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室が所管する業務を担当しており、スクールカウンセラー事業及びスクールソーシャルワーカー活用事業をはじめ不登校支援事業等がこれに該当します。
「生徒指導提要」(平成22年文部科学省発行)では、「生徒指導とは一人一人の児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めることを目指して行われる活動」としており、そのことは「教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに、生徒理解を深め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう」指導・援助することでもある(学習指導要領第1章総則)としており、教育相談は生徒指導の一環として位置づけられ、その中心的な役割を担うものとしています。また、複雑化・多様化する児童生徒の問題行動等を解決するためには、担任をはじめ、教育相談担当教員、養護教諭、生徒指導主事などの教職員や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど外部の専門家等を活用して学校として組織的に対応することが重要であるとしています。
これらのことから、スクールカウンセラー事業及びスクールカウンセラー活用事業につきましては、生徒指導係において担当しておりますが、児童生徒等からの様々な不安や悩み、問題行動等については、人権支援係と生徒指導係をはじめ関係機関が連携して対応に当たることが必要であると認識しております。いずれにいたしましても、児童生徒が安心・安全な学校生活を送ることができるよう努めてまいります。
以上、ご意見への回答とさせていただきますが、ご不明な点がございましたら、心の支援課長滝澤崇、担当:生徒指導係までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
【問合せ先:教育委員会事務局/心の支援課/生徒指導係/電話026-235-7436/メールkokoro(あっとまーく)pref.nagano.lg.jp】
(分野別:教育・文化)(月別:2021年5月)2021000280
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