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更新日:2014年6月24日
水産試験場
日本に導入されたシナノユキマスとその仲間たち
これまで日本に導入されたコレゴヌス属魚類は、8種類です。戦前の1926~1930年(昭和元年~5年)にかけては、北米のミシガン湖やエリー湖産の2種類のコレゴヌス(Coregonusu clupeaformisとC. olbus)の発眼卵計604万粒が滋賀県、農林省中央水産試験場木崎湖分場、日光養魚場、東京府吉野養魚場、岐阜県、秋田県等に導入されました。また、ロシアから2種類(C. lavaretus baeri, C. l. maraena)の発眼卵約300万粒が滋賀県、福井県、北海道に導入されました。しかしながら、これらのふ化仔魚は琵琶湖、大沼、洞爺湖等の各湖沼に放流されましたが結局は定着しなかったようです。
1969~1983年(昭和44年から58年)にかけて5種類のコレゴヌスが導入されました。それぞれ学名に因んでオームリ(C. autumnalis migratorius)、ペレッド(C. peled)、マレーナ(C. l. maraena)、ラドガ(C. l. ludoga)、そしてムクスン(C. muksun)と呼ばれています。
バイカル湖産のオームリは青森県が導入しました(本種の選択基準がオームリの呼び名がアオモリに似た発音だったためという逸話も残されています。)が、種苗の量産技術の確立までには至りませんでした。その後、青森県ではペレッドやラドガについて水産庁の委託飼育で成熟魚の生産に成功していますが、本格的な種苗生産はされませんでした。
ムクスン(シベリア地方のコレゴヌスで漁獲量がもっとも多い魚種)は三重県や養殖研究所に導入されましたが、種苗量産化には至りませんでした。
長野県が導入した魚種はペレッドとマレーナ でした。高冷地におけるコイに代わりうる養殖魚種の開発を目的に、1975~1980年(昭和50年~55年))にかけて旧チェコスロバキアから計7回(ペレッド3回60万粒、マレーナ4回160万粒)、旧ソ連から水産庁を通じて1978年(昭和53年)と1983年(昭和58年)にペレッド計3.7万粒を導入しました。
1978年には、導入卵から育てた成魚で初めて採卵(ペレッド280万粒、マレーナ34万粒)に成功し、1980年には両種合わせて423万粒(発眼卵100万粒達成)を採卵できるまでになり、種苗の量産化のメドがたちました。
1983年(昭和58年)には、愛称「シナノユキマス」の名前で民間への稚魚配布に可能になり、いち早く本種の養殖技術指針が配布できるまでになりました。
2000年(平成12年)からは、ふ化管理のしやすいマレーナを主体とする採卵に移行し、現在に至るまで年間採卵量2,100~3,000万粒の実績を上げています。
現在コレゴヌスの仲間は、長野県のシナノユキマスを筆頭に秋田県、山形県でも養殖され、北海道ではキタノユキマス、福島県では会津ユキマス、愛媛県ではヒメノウオという愛称を冠して一般への養殖普及が図られています。なお、これらの県の魚はいずれも長野県産シナノユキマス(ペレッド)の稚魚や発眼卵を飼育試験用として分譲したのが元になっています。
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