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更新日:2020年5月29日

環境保全研究所

自然環境部業務紹介

自然環境部のしごと

 長野県は、3000m級の山岳地と8つの水系を有し、県内には多種多様な野生動植物種が生育・生息しています。
 一方、里山管理や山岳域の適正利用、野生鳥獣の保護管理、気候変動対策など、自然環境の保全に関わる多くの課題を抱えています。
 自然環境部は、これらの課題解決に必要な科学的情報を他の研究機関や市民と協力して収集し、県行政へ提供するとともに、学会や情報誌、WEBサイト等で発信しています。

<お問い合わせ先>

長野県環境保全研究所飯綱庁舎 自然環境部

 住所 〒381-0075 長野市北郷2054-120

 電話 026-239-1031 FAX 026-239-2929

 Eメール kanken-shizen<at>pref.nagano.lg.jp(<at>を@に)

調査研究事業

 1.信州の生物多様性の保全および自然資源の価値共有手法の開発(H29(2017)~R3(2021)年度)

 2.侵略的外来種を侵入予防・早期発見・拡大防止する技術開発及び県民と県が協働する体制構築に関する調査研究(R2(2020)~R4(2022)年度)

 3.野生鳥獣の保護管理にむけた生態及び被害対策に関する調査研究(R1(2019)~R5(2023)年度)

 4.高山生態系モニタリングに関する調査研究(R1(2019)~R3(2021)年度)

 5.陸水域における魚類の保全と管理に関する研究(H30(2018)~R2(2020)年度)

 6.長野県内の湖沼とその集水域における土壌環境の中長期的保全・管理に向けた調査研究(R2(2020)~R4(2022)年度)

 7.気候変動適応に必要な基盤情報の整備と情報発信(R2(2020)~R6(2024)年度)

 8.長野県におけるカラマツ林の炭素収支の気候変動応答と森林管理による緩和策の評価(H30(2018)~R2(2020)年度)

 ◎ これまでに取り組んだ調査研究課題

 

信州の生物多様性の保全および自然資源の価値共有手法の開発

 研究期間:H29(2017)~R3(2021)年度

 長野県の生物多様性は、日本でも有数のこの地域の美しい自然環境を特徴づけています。この生物多様性のもたらす恵みを未来の世代に引き継ぐため、「生物多様性ながの県戦略」が平成24年に策定されました。この「戦略」に示された目標と行動計画の達成手段をあきらかにし、その達成に貢献することを目的とした調査研究を行っています。
 特に、信州の山岳高原の生物多様性がもつ地域資源としての価値を、SDGsおよび観光・文化・教育など地域づくりに役立つ分野で活用していただける知識として発信することを目指しています。
 その一環として、情報発信サイト 信州 山岳高原 生物多様性ホットスポットガイド(別ウィンドウで外部サイトが開きます) を平成31年4月に開設し、順次情報を追加しています。

 これまでの研究については「長野県の生物多様性の総合評価と保全に関する調査研究」(H24(2012)~H28(2016)年度)をご覧ください。

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信州の代表的な生物多様性ホットスポットの一つである霧ヶ峰の草原

侵略的外来種を侵入予防・早期発見・拡大防止する技術開発及び県民と県が協働する体制構築に関する調査研究

研究期間:R2(2020)~R4(2022)年度

 外来種(外来生物)の中には、生物多様性、農林水産業や人身への被害などへ影響を及ぼすものがあり「侵略的外来種」と呼んでいます。その影響は多様で、程度もさまざまです。国では、外来生物法、生態系被害防止外来種リスト、外来種被害防止行動計画の枠組みで対策を実施しています。
 侵略的外来種による被害を防止するには、侵入予防・早期発見・拡大防止が重要です。当所では、長野県内の外来種対策のために、生息状況の把握や駆除方法などを検討してきました。
 残念ながら、侵略的外来種の分布拡大や新たな確認は続いており、モニタリングを継続しその生息状況を監視していく必要があります。外来種監視には多くの人たちの協力が必要です。そのため、県内の外来種の影響等の情報を積極的に発信するとともに、多くの方々に情報提供してもらう仕組みを検討していきます。同時に、広域的な観点から防除を計画する考え方の普及や、効果的・効率的な防除技術の研究を進めます。

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県内各地で繁茂する北アメリカ原産のアレチウリ

野生鳥獣の保護管理にむけた生態及び被害対策に関する調査研究

 研究期間:R1(2019)~R5(2023)年度

 野生鳥獣(カモシカ・シカ・イノシシ・クマ・サル・魚食性鳥類など)が県内で分布域を広げ農林業や生活被害が増加して大きな問題になっています。対策が十分に担えない、高齢化が進む中山間地域では、農地の耕作放棄が進むなど、地域社会の維持にとっても大きな課題となっています。
 県では、法に基づき、種ごとに対策計画を策定し、「野生鳥獣被害対策本部」を設置して総合的な被害対策の展開を図っています。当所では、本研究で得られた各種の生態に関する知識や捕獲個体の年齢、シカやイノシシの密度マップ等を対策本部に提供しています。
 これまでの研究については「野生鳥獣の生態と保護管理に関する調査研究及び被害対策の普及啓発」(H22(2010)~H26(2014)年度)をご覧ください。

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ツキノワグマの学習放獣(クマ捕獲用ドラム缶檻)

高山生態系モニタリングに関する調査研究

 研究期間:R1(2019)~R3(2021)年度

 長野県の自然環境を特徴づける高山生態系は今、気候変動やニホンジカの増加による影響を受け始めています。これまでの調査により、ニホンジカが少ないと考えられてきた北アルプス北部の高山でも、ニホンジカが確認されたほか、イノシシによるお花畑の掘り起こしも確認されました。

 高山の自然環境を長期的にモニタリングする取り組みは全国的に少なく、気候変動の影響が顕著かつ深刻な生態系と考えられている高山生態系に関するモニタリングは、長野県の生物多様性保全のほか、気候変動適応の観点からも重要な課題です。

 この研究では、山岳地の気象・残雪・地質に関する調査・観測のほか、ニホンジカをはじめとする高山帯の動物相や植生の変化などについて取り組んでいます。高山生態系のシンボル種であるライチョウについては、登山者にも協力を呼びかけて監視をしていくこと、またその結果からライチョウの生息状況を推定することを計画しています。

 今期(H31~R2)の研究では、高山植物の種多様性が全国的に高い八ヶ岳(八ヶ岳・中信高原国定公園)において、八ヶ岳固有(=長野県固有)の高山植物の存続の危険性がシカ摂食により高まっていることから、緊急的な課題として、八ヶ岳特有の高山植物の生育状況を中心とした現状把握と保全対策の検討に注力します。 

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高山帯における哺乳類相・鳥類相をモニタリングするために設置した赤外線センサーカメラ

陸水域における魚類の保全と管理に関する研究

 研究期間:H30(2018)~R2(2020)年度

 外来魚が日本各地で分布を拡大しています。長野県においても2000年代前半より肉食大型魚コクチバス(北米原産、特定外来生物指定)が増加し、アユやウグイをはじめとする河川の在来魚類等への影響が懸念されています。
 本研究では、県内のコクチバスの分布や個体数動向および影響を把握し、在来魚の保全と外来魚管理のための基礎資料を収集しています。

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県内の湖沼や河川に分布を拡大する北アメリカ原産のコクチバス

長野県内の湖沼とその集水域における土壌環境の中長期的保全・管理に向けた調査研究

  研究期間:R2(2020)~R4(2022)年度

 長野県の湖沼では、水質汚濁や特定生物の大量発生・大量死、湖底の貧・富栄養の拡大といった水質・生態系に関わる問題が度々発生しています。そこには、私たち人間による生活・産業排水や土地利用のほかに、集水域の地質・土壌環境が関与しています。県内湖沼の水質・生態系を持続的に保全していくためには、人間活動、集水域の地質・土壌環境、それらの相互関連の理解が必要です。
 本研究では、現在とは異なる気候条件下にあり、人間による環境への干渉が少なかった地質・先史時代の湖沼環境と集水域の土壌環境の変動履歴を調べることで、現在~将来の湖沼の水質・生態系を決定する環境要素の把握を目指します。

 

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諏訪湖

気候変動適応に必要な基盤情報の整備と情報発信

 研究期間:R2(2020)~R6(2024)年度

 気候変動の影響を抑えるためには、原因となる温室効果ガスの排出を抑制するとともに、既に顕在化している気候変動に適応することが避けられません。長野県は、気候変動に関する情報の収集、分析、発信と、さまざまな主体の適応の取組促進を担う機関として2019年4月1日に「信州気候変動適応センター(当所と環境政策課)」(別ウィンドウで外部サイトが開きます)を設置しました。
 センターでは、県内の気候変動の実態把握や予測を行うとともに、適応する主体が必要とする情報を提供することが求められています。
 本研究では、気候変動に関する基礎的な情報とともに、さまざまな適応主体にとって有用な、ユーザー視点にたった使いやすい情報が何かを明らかにしていきます。

 これまでの研究の詳細については、「長野県における温暖化影響評価及び適応策立案手法の開発に関する研究」(H22(2010)~H26(2014)年度)をご覧ください。

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山岳地において研究所が独自に行う気象観測(木曽駒ケ岳)

長野県におけるカラマツ林の炭素収支の気候変動応答と森林管理による緩和策の評価

 研究期間:H30(2018)~R2(2020)年度

 長野県は全国の都道府県で初めて気候非常事態を宣言して、2050年の二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指しています。これを実現するためには、大気中のCO2を吸収する森林の役割も重要になります。長野県の森林の気候変動応答と間伐等の森林管理が緩和策としてどの程度の効果があるのかを評価することで、将来の森林のCO2吸収量を増やすことができるかも知れません。
 本研究は、長野県の人工林の半分以上を占めるカラマツ林を対象に、森林生態系の炭素収支の将来予測を行うとともに、間伐を行った場合と何もしない場合で将来の炭素収支にどの程度の違いが生じるかを定量的に評価します。

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カラマツの展葉の様子

これまでに取り組んだ調査研究課題

1 生物多様性とその保全 
2 野生鳥獣保護管理
3 地球温暖化の影響とその対策
4 新版長野県地質図の作成
5 冬季五輪の自然環境への影響

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お問い合わせ

所属課室:長野県環境保全研究所 

長野県長野市大字安茂里字米村1978

電話番号:026-239-1031

ファックス番号:026-239-2929

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