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更新日:2022年5月10日
環境保全研究所
<お問い合わせ先> 長野県環境保全研究所飯綱庁舎 自然環境部 住所 〒381-0075 長野市北郷2054-120 電話 026-239-1031 FAX 026-239-2929 Eメール kanken-shizen<at>pref.nagano.lg.jp(<at>を@に) |
長野県の生物多様性は、3000m級の山岳地を有するこの地域の生態系や美しい自然環境を特徴づけています。この生物多様性のもたらす恵みを未来の世代に引き継ぐため、「生物多様性ながの県戦略」がビジョンに掲げる「生命(いのち)にぎわう『人と自然が共生する信州』の実現」を目指して調査研究を行っています。
特に、信州の山岳高原の生物多様性がもつ地域資源としての価値を、SDGs・観光・文化・教育など社会の多分野での取り組みや連携に役立つ形で発信することを目標としています。
その一環として、信州 山岳高原 生物多様性ホットスポットガイド(別ウィンドウで外部サイトが開きます) から情報を発信しています。また、植物標本庫(NAC)では長野県内外の植物標本約20万点を保管し活用しています。
信州の代表的な生物多様性ホットスポットの一つ、霧ヶ峰草原
野生鳥獣(カモシカ・シカ・イノシシ・クマ・サル・魚食性鳥類など)が県内で分布域を広げ農林業や生活被害が増加して大きな問題になっています。高齢化が進む中山間地域では、対策を十分担えず農地の耕作放棄が進むなど、地域社会の維持にとっても大きな課題となっています。
県では、法に基づき、種ごとに対策計画を策定し、「野生鳥獣被害対策本部」を設置して総合的な被害対策の展開を図っています。当所では、本研究で得られた各種の生態に関する知識や捕獲個体の年齢、シカやイノシシの密度マップ等を対策本部に提供しています。
牧場内を移動するニホンジカの群れ
気候変動の影響を抑えるためには、原因となる温室効果ガスの排出を抑制するとともに、既に顕在化している気候変動への適応策をとらなければなりません。長野県は、気候変動に関する情報の収集、分析、発信と、さまざまな主体の適応の取り組みを促進するため、2019年4月1日に「信州気候変動適応センター(当所と環境政策課)」(別ウィンドウで外部サイトが開きます)を設置しました。当センターでは、県内の気候変動の実態把握や予測とともに、さまざまな適応のために必要な情報を提供する取り組みをすすめています。
気候変動の影響が最も懸念される高山帯、南アルプス最南端イザルガ岳
研究期間:R4(2022)~R8(2026)年度
長野県では2014年に生物多様性ながの県戦略を策定し、人と自然が共生する信州の実現に向けてさまざまな施策を展開してきました。しかし、生態系問題の単独解決には限界があり、多くの分野での保全策の実行と連携が不可欠であると指摘されるようになってきました。本研究では、行政をはじめさまざまな社会経済活動において生物多様性を主流化し、持続可能な社会を目指すために必要な情報の整備と発信、その活用事例づくりを行います。
希少な生きものが生息する草地での草刈り作業(木曽町開田高原)
研究期間:R2(2020)~R4(2022)年度
外来種(外来生物)の中には、生物多様性、農林水産業や人身への被害などへ影響を及ぼすものがあり、それら外来種を「侵略的外来種」と呼んでいます。その影響は多様で、程度もさまざまです。国では、外来生物法、生態系被害防止外来種リスト、外来種被害防止行動計画の枠組みで対策を実施しています。
侵略的外来種による被害を防止するには、侵入予防・早期発見・拡大防止が重要です。当所では、長野県内の外来種対策のために、生息状況の把握や駆除方法などを検討します。
南信、東信、中信のいくつかの湖沼に生息するウチダザリガニ
県内各地で繁茂する北アメリカ原産のオオハンゴンソウ
研究期間:R4(2022)~R6(2024)年度
高山生態系は気候変動に脆弱とされ、長野県では近年ニホンジカによる高山植物の採食や高山植生の変化も進行しています。この高山生態系に遺在する生物のなかで、特に絶滅のおそれの高い生物、①高山生態系のシンボル種であるライチョウ、②八ヶ岳固有の高山植物を対象に、その保護回復の取組に不可欠な生態情報の収集と緊急的な保全対策を図ります。
高山帯生態系のシンボル、ライチョウ
研究期間:R1(2019)~R5(2023)年度
野生鳥獣による農林水産物等の被害軽減と、野生鳥獣と地域社会の共存が行政課題となっています。本研究の目的は、本課題に資する科学的情報を提供することです。具体的には、採集試料を用いた生態解明及び基礎資料の蓄積、野外調査による生息および被害状況の把握、統計解析による行動や生息数に関する傾向分析、被害対策に関する知識や技術の普及、です。
千曲川で営巣するカワウ
研究期間:R2(2020)~R6(2024)年度
長野県における気候変動の適応を一層推進するため、気候変動の実態や将来予測等の研究と情報収集・分析を継続しながら、基盤情報の整備と充実を行うとともに、適応策の実施主体の求める情報を把握し、ユーザー視点にたった使いやすい情報の発信をします。
長野県における気温分布の将来予測
研究期間:R4(2022)~R6(2024)年度
長野県内では都市化の進展によりみどりが減少しています。その一方で、ゼロカーボンやコンパクトシティの実現のためには、都市内のみどりの増加とともにそのグリーンインフラとしての役割が重要になっています。しかし、グリーンインフラの効果についてはまだ十分に明らかとなっていません。そこで、本研究では、都市のみどりがもつグリーンインフラとしての環境緩和効果、主に熱環境緩和効果の評価を行うこととしています。
研究期間:R2(2020)~R4(2022)年度
長野県の湖沼では、水質汚濁や特定生物の大量発生・大量死、湖底の貧・富栄養の拡大といった水質・生態系に関わる問題が度々発生しています。そこには、私たち人間による生活・産業排水や土地利用のほかに、集水域の地質・土壌環境が関与しています。県内湖沼の水質・生態系を持続的に保全していくためには、人間活動、集水域の地質・土壌環境、それらの相互関連の理解が必要です。
本研究では、現在とは異なる気候条件下にあり、人間による環境への干渉が少なかった地質・先史時代の湖沼環境と集水域の土壌環境の変動履歴を調べることで、現在~将来の湖沼の水質・生態系を決定する環境要素の把握を目指します。
諏訪盆地で得られたボーリングコア(2.5万年前の地層)
研究期間:R3(2021)~R4(2022)年度
信州の自然環境(生態系・生物多様性)は気候変動などさまざまな危機にさらされています。多くの環境問題は、2030年までに対応しないと取り返しがつかなくなると考えられています。世界規模の環境問題を信州の特性に落とし込んで考え、私たち一人一人が暮らしのなかでどのような行動をとれるのか学ぶ場を作ります。
具体的には、信州の自然環境(生態系・生物多様性)の成り立ち、直面する問題、問題の解決(Why, What, How)をわかり易いストーリーにまとめ、飯綱庁舎のエントランス展示やホームページ等を通じて発信します。
後立山連峰の小蓮華山・雪倉岳方面を望む
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