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更新日:2023年8月4日
長野県知事 阿部守一
それでは、本日の会見を始めます。きょうから、県議会6月定例会が開会しました。提案説明で申し上げた通り、予算では価格高騰緊急対策、新型コロナに関わる予算、今の厳しい経済状況の中で生活者、事業者の皆さまをできるだけ応援しようという予算を組み立てています。十分ご説明してしっかりご議決いただけるように取り組んでいきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
まず、クールシェアスポットの登録について(会見資料1)お知らせです。私もきょうは上着なしで会見に臨んでいます。非常に暑い、どちらかというと蒸し暑い日々が最近多くなっています。そういう中で、県民の皆さまが気軽に集まって涼むことができるクールシェアスポットを増やしていきたいと思っています。公共施設はもとより民間の施設も含めて、ぜひ多くの皆さまにクールシェアスポットへ登録していただいて、暑い時期に県民の皆さまがそうした涼しい場所で時間を過ごすことができるようにご協力を頂ければありがたいと思っています。県としても、県有施設をクールシェアスポットとして登録しているところですし、関係の皆さまにも呼び掛けていきたいと思っています。県内のクールシェアスポットのご紹介ということで、幾つか代表的な例を付けています(会見資料1の別紙)。こうした場所を県内にどんどん増やしていくことによって、熱中症等になられる方が少なくなるように、また、個別のご家庭で冷房器具等を使うよりは、皆さまに集まっていただく方が温室効果ガスの排出面でも少なくて済みますので、ぜひクールシェアスポットを広げていきたいと思っています。一方で、あまり無理をしてご家庭でのエアコンの使用を控えて熱中症になるということがないように、ご自身の健康面には、ぜひ気を配ってください。今年度に入ってからは、今までのところ昨年度以上に熱中症で救急搬送される方が多くなっています。命に関わる場合もあります。今、エネルギー価格が高騰している中で、どうしても使用を控えようという方もいらっしゃると思いますが、あまり無理をしないで、ご自身の健康についてもぜひ十分ご配慮ください。クールシェアスポットを県として広げていきますので、こうした場所のご活用もご検討ください。また、エアコンを使うだけではなく、日中はカーテンで日差しを遮ったり、あるいは電気代を節約する上ではエアコンと扇風機やサーキュレーターを併用するといった工夫も有効だと思いますので、ご自身の健康面を最優先に考えつつ、節電等にもご配慮いただければと思っています。
また、県としては「信州省エネ家電購入応援キャンペーン」を今も続けています。エアコンの購入についてもポイントを付与します。環境性能の高いエアコンについては、最高で4万ポイントを付与します。今、省エネ家電をご購入いただくとお得な時期ですので、ぜひこうした省エネと併せて、家電製品のご購入もご検討ください。
長野県知事 阿部守一
次に、「長野県大学生等奨学金~夢に挑戦!信濃の学生応援奨学金~」について(会見資料2)のお知らせです。子育て支援、子ども支援については、国全体でいろいろ取り組みを充実していこうという動きになっていますけれども、本県もこれまでも取り組んできましたし、これからもさらに踏み込んだ支援策を検討していきたいと思っています。その中で、今年度予算で計上している新たな奨学金ですが、具体的な制度設計をしましたのでお伝えします。大学等で修学する意欲をお持ちになっている方を、単に所得の多寡だけではなく、学生の皆さまの夢への挑戦を応援する観点で奨学金を設けるものです。応募資格のところ、二つに大きく分けていますけれども、(1)はスポーツ、文化芸術活動、学術活動、いろいろな分野で、これまでも顕著な活動実績があり、そうした実績を活かしてさらに挑戦していこうという方を応援するものです。(2)は、さまざまな分野に挑戦しようという意思は同じですけれども、この後ヤングケアラーの話もしますけれども、ヤングケアラーとか不登校であったり、いろいろな困難な環境の中で夢に向かって取り組んできて、さらに次なる挑戦へ向かう人たちを応援するものです。国公立大学については月3万円、私立大学においては月5万円を県から支給します。いろいろな挑戦をしていきたいと思われている学生の皆さまには、ぜひ積極的に応募いただきたいと思っています。また、選定された皆さまには、これまでの体験とかいろいろなチャレンジの体験とか、そうしたものを次に続く若い世代にぜひ共有していってもらいたいと思っています。また、県のモニター事業等にも協力してもらいたいと思っています。いずれにしても、将来に夢を持って挑戦していこうという若い人たちを、県としてもしっかり応援していきたいと考えています。全体で40名になっていますので、なかなかすべての皆さまを応援するわけにはいかない状況ではありますけれども、できるだけ確固たる方向性をお持ちの皆さまをしっかり応援していきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。特に、今年度以降はこれから大学等に行かれる方を募集する形になりますが、今回は既に大学等に行かれている方を対象にします。学校側から伝えていくのがなかなか難しいので、ぜひメディアの皆さまにも積極的にお知らせいただければありがたいと思っていますので、よろしくお願いします。
長野県知事 阿部守一
それからもう1点。ヤングケアラーについて(会見資料3)です。今回、ヤングケアラー専用相談窓口を開設します。いろいろな悩み、課題が多いと思いますが、ヤングケアラーの皆さまにはぜひ積極的にこの相談窓口を活用してもらいたいと思っています。背景としては、これまで教育委員会と一緒に若い世代、小学生、中学生、高校生、大学生に調査してきました結果を見ると、本来、大人が担う家事や家族の世話を日常的にしていると感じている小学生が約1割強、中学生が6パーセント、高校生が2パーセントといった状況です。一定程度、家事や家族の世話を日常的に行っている子どもたちが存在しています。こういう子どもたちは、例えば、勉強する時間がなかなか取れない、友達と遊ぶ時間が少ない、周りと交流せずに孤独になりがち、さらには、子どもとしてのいろいろな権利が制約されているというさまざまな課題があり得るわけです。県としては、こうした子どもたちを早く発見して、適切な支援につなげていきたいと思っています。そういう観点で、ヤングケアラー・コーディネーターを2名、県社会福祉協議会に配置し、きょうから専用の相談窓口で相談を受け付けています。24時間、Webのフォームで相談を受け付ける形をとりますし、今後はLINEなどSNSを活用した受け付けも検討していきたいと思っています。コーディネーターの皆さまが、市町村や学校、スクールソーシャルワーカー、こうした支援機関と連携しながら、個々の相談案件に応じて適切な支援をコーディネートしていきたいと思っています。なかなかこうした子どもたちは、今まで直接相談できる環境になかった状況ですので、ヤングケアラー専用相談窓口をぜひ積極的にご利用いただきたいと思います。Web、電話、いずれでも相談対応します。相談方法についても、先ほど申し上げたように、今後とも拡充・充実を図って、より便利なものにしていきたいと考えています。このことについても、家族のお世話等を行っている子どもたち、若者たちに伝わらなければいけないので、ぜひ積極的に報道していただければありがたいと思っています。私の方からは以上です。よろしくお願いします。
信濃毎日新聞 野口 氏
きょうの定例会見の議案説明の中から関連して質問します。まず一つ目ですが、観光財源の在り方について、今回の補正予算でも計上していますし、知事自身も公約の部分で掲げられていたかと思います。これは今後、全体像として、どういったものを目指して、どういった議論を進めて、着地点としてどういったところを目指しているのか、その部分についてお伺いします。
長野県知事 阿部守一
これから具体的な検討をしますので、まだ明確にこういうものだということでお示しできる段階ではありませんけれども、私の思いをお伝えすれば、一つは、やはり観光立県として多くの観光客をお迎えしてきている長野県です。さらにインバウンド誘客も含めて、観光施策を充実していくことが必要だと思っています。もちろん、観光振興は地域の活性化につながるわけですが、その一方で、観光サービスを充実させると、受益される方は、県民よりはお越しいただく観光客の皆さまの方がウエート的には高くなります。そういうことを考えると、お越しいただく方々から観光振興のために一定のご負担を頂けないだろうかというのが私のそもそもの発想です。全国的に見ても、観光振興のための税が導入される都道府県、市町村も少しずつ出てきていますし、また海外等の世界的な観光地でも、こうした財源がかなり多くの地域で導入されてきています。長野県としても、より今の課題をしっかり解決して、さらにその先の世界水準の山岳高原観光地をつくっていく上では取り組むべきことが幾つもあります。これからの議論としては、どういう部分を県の観光政策として力を入れていくのか、そのときに、どういう財源がどれぐらい必要になってくるのか。そうした中で、県の一般財源で対応していかなければいけない部分と、先ほど申し上げたように、観光でお越しいただく皆さまに一定の負担を求めた方がいいものと、どう考えるのかということを有識者の皆さまと一緒に検討していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口 氏
今の回答に対する補足ですけれども、知事から今、課題という言葉がありましたが、現時点の課題をどういうふうに考えていらっしゃるか。この前、阿智村の方でそういった税の検討の話がありましたし、白馬村では頓挫した経過があります。なかなか実現に向けてハードルは高いと思うのですが、そのへんについての今のお考えと、あと、これは基本的には県独自のものになるのでしょうか。それとも、市町村も含めた研究的なもので、ある程度県がモデルになって、そうした考え方ですとかスキームを市町村に波及するみたいな狙いもあるのでしょうか。その点をお伺いします。
長野県知事 阿部守一
まだつくると決めたわけではないので、あまり先走った話はしづらいですけれど、私が課題として考えているのは、例えば、先ほどのインバウンドのことを考えれば、世界水準を目指していきたいと思っています。そのときには、長野県は、冬の観光、スキー場、ウインターリゾート、これはもう完全に世界のウインターリゾートとの競争になりますので、そうした他の国にも負けないようなプロモーションをしっかりしていくことが課題だと思っています。また、県内に観光でお越しいただいた方たちにご満足いただけるような、来てよかったな、また来たいなと思っていただけるようにするための改善点も幾つかあると思っています。例えば、交通の問題であったり、キャッシュレス化の推進であったり、お越しになった方たちに快適に過ごしていただけるような環境をつくるための課題ということもあると思います。もちろん、県が今ある財源で対応していかなければいけない部分もあると思いますけれども、その反面、お越しいただく皆さまにどういうものを負担していただくかということも、多くの観光客をお迎えして、さらに水準の高い観光地域づくりを進めるためには検討していくことが不可避だと思っています。それから、市町村との関係は、市町村ともよく相談する必要があるのではないかと思っています。市町村ももちろん観光振興をしているので、例えば市町村でそういうことを検討するのであれば、県と市町村を並列させるというのもなくはないと思います。その一方で、観光でお越しいただく方、どういう制度設計をして誰にどう負担をしていただくかにもよりますが、税を負担していただく方々から見て分かりにくいような構図になってしまってもいけないと思います。また、税をつくるとなれば、徴収コスト、税を集めるのにお金も掛かります。そういうことを考えれば、県と市町村とでよく意思疎通して、県が制度を作って、一定程度市町村に交付するとかいろいろな関係性のつくりかたはあろうかと思いますので、まずは観光振興に関しての税について、検討していこうと取り組み始めている、あるいは考えている、そういう市町村の皆さまとまずはよく意思疎通を図っていきたいと思います。
信濃毎日新聞 野口 氏
別の点になるのですけれども、当初予算にあったかと思うのですけれども、少子化・人口減少対策戦略検討会議についてお伺いします。これも同様に、今、あいさつの中でも少し触れられたと思いますが、どういった目的を持って、期間も含めてどれぐらいのスケジュール感で、どういったゴールを目指していくか、そこにどんな狙いや思いがあるか、その点についてお伺いします。
長野県知事 阿部守一
まず、提案説明でも申し上げたように、今、長野県はいろいろな課題があります。その中でも最も重要かつ深刻な課題が少子化・人口減少の問題だと思っています。子どもの数が減るということだけではなくて、社会保障の根幹を揺るがすような事態にもなりかねません。また、各産業分野の皆さまとお話をしていて共通して出てくるのは、もう人手が足りないという話です。少子化・人口減少にしっかり向き合うことなしに、豊かな社会づくり、長野県の総合計画が目指している方向性は実現できないと思っています。有識者の皆さまとこの検討会議を立ち上げて、いろいろな英知を結集しながら取り組むべき方策を固めて実行していきたいと思っています。地道に制度設計をしなければいけないテーマと、できるだけ早く制度化して効果を出さなければいけないようなテーマと、両方あると思っています。できることについては速やかに実行していきたいと思います。一定程度時間をかけてじっくり考えるべきテーマについては、腰を据えて取り組んでいきたいと考えています。
信濃毎日新聞 野口 氏
あと、「この夏に」と書いてあるのですが、取りようによっては今は夏かと思うのですが、大体どのぐらいですか。
長野県知事 阿部守一
8月までには開催したいと思っています。
信濃毎日新聞 野口 氏
しなの鉄道の関係で、きょうのあいさつの中でも安全確保のための取り組みを県としても支援していくと言及なさっていましたが、しなの鉄道としますと、財政支援を含めた支援を県だけではなく国にも求めていく考えのようですが、現時点で県として、しなの鉄道の事故再発防止、もしくは再開に向けてどのような支援をしていこうと考えていますか。
長野県知事 阿部守一
まず、しなの鉄道においても原因究明に取り組むとされていますので、これはしなの鉄道が中心になって取り組む話ではありますけれども、県としても協力できる部分があればしっかり協力していきたいと思っています。何が原因かによって、その後の対応が変わってくると思いますけれども、提案説明で申し上げた、原因究明の前ではありますけれども、鉄道輸送、これは公共交通全般そうですけれども、私は最も優先されるべきは安全だと思います。そういう意味では、今回の事故を契機として、しなの鉄道の皆さまとは、より幅広く問題意識を共有しながら、しなの鉄道の課題、問題をぜひ一緒になって解決できるように協力していきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口 氏
そういった協議の場を近々持つご予定はあるのでしょうか。もしくは、具体的な施策として、何か支援的なもので考えているものがもしあれば、お伺いします。
長野県知事 阿部守一
今申し上げたように、まず原因究明をしなの鉄道として取り組まれるということなので、その原因究明に当たって協力できることがあれば協力したいと思います。その上で、改善すべき事柄が出てくる、あるいは先ほど申し上げたように公共交通は安全が第一ですので、より安全性を高める上でいろいろな取り組みが考えられるということであれば、県としても沿線市町村の皆さまとも一緒に、しなの鉄道の問題意識を共有して、安全性の向上に向けた取り組みについては積極的に協力、支援をしていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 野口 氏
最後に1点だけ。現時点で協議というか、しなの鉄道と知事、もしくは県の部局で協議する予定は入っていますか。
長野県知事 阿部守一
事務的には日常的にコミュニケーションを取っていかなければいけないですし、これまでも取っていますので、しっかり意思疎通していきたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
今の観光に絡んでです。先日、観光機構の総会を取材していたら、やはりスノーリゾートとサイクルツーリズムということで、特にスノーリゾートは、志賀高原とか白馬とか、もう成功しているところは、知事がおっしゃるように、そのまま世界と戦って進めていく、一方で、木曽とか松本とか伊那の方とか、あまり今まで実績のないところも、例えば東南アジアの人は雪を見るだけで喜ぶのだから、欧米に限らずインバウンドを進めていけば、そういうところも活性化できるのではないかというお話があったのですが、県として、世界と戦うという一方で、そういった今まで実績のないところも機構では支援しなければというお話があったのですけれども、そこらへんの県としての見方というか、お考えをお聞かせください。
長野県知事 阿部守一
今回の税の話とは別の次元で、スキー場の在り方については、県としてもしっかり考えなければいけないと思っています。お話があったように、一口でスキー場といっても、世界中からお客さまをお迎えしているところと、逆に、比較的お客さまのエリアが狭いところとあります。また、経営形態もさまざまで、完全な民間の事業所のところから公営のスキー場まであります。そういうスキー場が観光客、スキー客をお迎えして元気になっていくということが一番重要なことだと思います。その一方で、経営上の課題もいろいろあります。装置産業ですので、リフトやゴンドラの架け替え等については非常に多額の経費が掛かります。しかしながら、そうした設備投資を行わないとなかなか世界と競争しづらいということもありますので、そうしたことも含めて、どういう形でスキー場を維持、発展していくことができるのか。県としてもいろいろなスキー場があるので全体をまとめてこうだということはなかなか取り組みづらいところがありますけれども、例えば公設民営とか、公営でやっているところのスキー場にもう少し、例えば地方財政上の手厚い措置を国において講じてもらうことはできないかとか、そういうことも含めて幅広く、スキー場の在り方とか、国や県における支援の考え方とかを整理していきたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
今おっしゃったように、今までインバウンドで実績のないところも、見方を広げればインバウンド対応をしていけるのではないかと、やはりそこらへんは県としても踏み込んでいける部分だと思われますか。
長野県知事 阿部守一
もちろん、インバウンドについては先ほど申し上げたように、まだまだこれから伸びる余地が大きいと思いますし、伸ばしていかなければいけないと思います。そうしたときに、今までお越しいただいている地域とか目的地だけではなくて、もっと広いところにお越しいただけるようにしていくことも県の役割ですので、スキー場にも多くの皆さまにお越しいただけるようにしていきたいと思っています。そういう取り組みと、一方で、経営の在り方も含めて考えていきたいと思っています。
市民タイムス 萩原 氏
もう1点、コロナの関係ですが、本県は落ち着いてきていると思うのですけれども、全国(の陽性者数)は上がっていて、特に沖縄とか北海道とか観光地が上がり始めています。観光でいくと、本県も夏場は稼ぎ時と言ったらあれですけれども、多くの観光客がいらっしゃいますが、もう本当に経済を回していかなければという部分もありますし、コロナと観光の面で、県民の皆さん、観光客の皆さんへの呼び掛けというかメッセージみたいなものをお願いします。
長野県知事 阿部守一
今お話があったように、全国の定点観測上の陽性者数は少し増加傾向にありますが、本県はむしろ減少してきています。そういう意味では、直ちに私の方から何か気を付けてくださいというようなメッセージを発するような状況ではないと思っています。一方で、提案説明でも述べましたが、ワクチン接種も本県は比較的順調に進んできています。ワクチン接種が進んでいるということは、重症化リスクが高い方に受けていただいている、今はご高齢の方や基礎疾患がある方に接種いただいていますので、そういう意味では、陽性になる方が出ても、今までと同じようなウイルスの性格であれば、重症化する方や入院する方は相当抑えられてくると思っています。今の時点では、こうした重症化リスクの高い方々にはワクチン接種の検討をお願いしたいと思いますし、また今後、感染状況をしっかり把握して、必要な注意喚起をしていきますので、今後の状況に応じて県が出すメッセージに対して、ぜひご協力を頂きたいと思っています。
信濃毎日新聞 井口 氏
県大学生等奨学金の関係ですが、よく耳にするのは、成績要件だとか所得要件を設けるというのがあるのかと思うのですが、今回示された奨学金では、学習意欲を前面に、重視してというのが特色かと思っています。知事のそのへんに懸ける思いを教えてください。
長野県知事 阿部守一
奨学金の作り方は、お話があったように、成績が良い人たちを支援する、いわゆるメリット的な奨学金と、家計が比較的困難な人たちを応援する奨学金と、大きく両方の考え方があると思います。家計収入の比較的少ない方々への支援は、これまで国全体の就学金制度の見直しの中で、日本学生支援機構の中で給付型の対象であったり貸与型の対象であったりと拡大してきています。県が限られた予算で皆さまに対応していくというのは、なかなか十分な効果が得られないと思っています。逆にもう一つ、成績を見るというやり方もあるのですが、もちろん学業成績は重要な視点だと思いますけれども、それだと学校の成績がいい子どもだけを応援する形になってしまいます。私が県民の皆さまとの対話集会をする中でますます確信しているのは、やはり学校の在り方というのはそろそろ見直さなければいけない時期に来ているということです。学校の勉強の平均点が高いことを評価するということではなくて、これからは、例えば社会での特定の分野でも飛び抜けた能力があるような子どもたちをもっともっとサポートして応援していかなければいけないと思っています。そういう意味で、今回の奨学金は大きく分けて二つのカテゴリーがありますけれども、一つ目は、どちらかというと特定の分野で実績もあり、これからも頑張っていこうという人たちを応援するものです。もう一つの方は、どちらかというと、いろいろな困難を乗り越えながらも夢を持ち続けている若者を応援しようということで、少し家計支援的なものであったり、平均点が良いというような視点とはだいぶ異なる奨学金にしています。何千人というレベルの奨学金であれば、もう少し違った考え方もあると思いますけれども、限られた財源をどう使うかということで考えたときには、この二つのカテゴリーの若い人たちをぜひ応援していきたいということで、今回、制度設計しました。
信濃毎日新聞 井口 氏
もう1点、ヤングケアラーの専用相談窓口ですが、県ヤングケアラー・コーディネーターを2人配置ということですが、このコーディネーターさんはどんな属性といいますか、専門知識を持っていらっしゃるのか、どういった方なのかということと、子どもたちには、こういった窓口ができたよということを学校を通じて知らせるとか、そういったようなお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
ヤングケアラー・コーディネーターのお二方は、いずれも社会福祉士の資格をお持ちの方です。利用してもらわなければいけないので、これから学校を通じて、しっかりこの相談窓口が必要な子どもたちに伝わるようにPRしていきたいと思っています。
信越放送(SBC) 湯本 氏
先ほどのしなの鉄道の関連で伺います。土屋社長が、会社単独で安全対策を講じる体力がないというようなお話をしていまして、電気代の高騰で運賃値上げ等もしているような状況で、環境がだいぶ厳しいことが予想されるところですけれども、先ほど事故原因を究明してから対応を考えていきたいという考え方を知事は示されましたけれども、しな鉄の経営面に対する知事の認識や、そのあたりの支援の必要性を現段階でどんなふうに考えておられるか伺えればと思います。
長野県知事 阿部守一
今回の補正予算の中でも公共交通事業者に対する支援を盛り込んでいますが、しなの鉄道は私もだいぶ昔に取締役を仰せつかっていたこともありますが、日本最初の第三セクター、並行在来線の三セク鉄道としてスタートを切って、非常に厳しい経営環境の中で、利用者の足をしっかり確保する役割を果たしてきていると思っています。これまでも、県としても必要な支援を行ってきましたし、先ほど申し上げたように、安全の確保というのは公共交通における最も大切なことだと思っていますので、しなの鉄道の考え方、問題意識を今回の事故を契機としていろいろ共有させていただく中で、県としても必要な支援はしっかり行っていきたいと思っています。県としなの鉄道は出資をしている関係ですので、私としてはできるだけの応援をしていきたいと思っています。とはいえ一方で、独立した事業者でもありますので、適切な負担の在り方ということも考えつつ、しっかり応援していきたいと思っています。
読売新聞 三浦 氏
先ほどの議会の説明の中で、冒頭、中野市の事件のことを触れられていましたけれども、その中で、県として警察葬を開催するというお考えを示されていましたが、時期的なものについて、決まっていることがあるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
警察本部の方で中心になって実施していただく予定にしていますので、できれば警察の方にお問い合わせいただくとありがたいと思っています。
日本経済新聞 臼井 氏
ヤングケアラーの件でお尋ねしたいです。昨年、県で実態調査をして、小学生で家族の世話をしている方の割合が多分10パーセント少しあって、厚生労働省がやっている数字よりも少し高いのかなという感じもしていて。そのあたりの実態調査の受け止めを改めて教えていただきたいのと、先ほど今後はLINEとかでも相談できるようにというお話だったのですけれども、今後、県としてさらに何か考えていらっしゃるのかということを教えていただきたいです。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございます。まず受け止めとしては、本当に多くの子どもたちが日常生活の中で家族の世話等を行っている状況が把握できました。こうした子どもたちに対してしっかりとしたサポートを行っていく必要があるという認識です。ただ、ヤングケアラーと一言で言っても、さまざまな環境の子どもたちがいますので、一律にこうすれば問題が解消するということにはなかなかなりにくいと思っています。今回、この相談窓口を設けて、個々の相談に対応して必要な支援につなげていきたいと思っていますが、そうした中で、より踏み込んだ課題が見えてくると思います。コーディネーターのお二方には、そうした課題をぜひ整理していただいて、また県とも共有してもらって、そこから見えてきた課題に対する対応、対策ということもしっかり行えるようにしていきたいと思っています。
日本経済新聞 臼井 氏
結構、県内で中野市とか既に市のレベルで相談窓口があるところもあるかと思うのですが、県として新たに設置した狙いや意義みたいなことをお聞きしたいです。
長野県知事 阿部守一
こういう子どもの支援のところは、県でやるのか市町村でやるのかがいろいろな場面で議論になりますけれども、必ずしも今、全県でサポート体制が十分できているわけではないので、まずは、県としてこういう窓口を作ることによって、もちろん支援をするときは、地元の市町村の理解と協力がなければなかなか進めませんので、市町村とも連携しながら対応していきたいと思っています。私の立場としては、まずは県から率先して取り組みを進めていきたいと思っています。
日本経済新聞 臼井 氏
最後に事務的なことですが、以前、この相談窓口の受託事業者を募集というのも出ていた気がするのですが、こちらは結局どこが受託してやっていますか。
長野県知事 阿部守一
募集をして社会福祉協議会になっているということです。
日本放送協会(NHK) 高田 氏
引き続きヤングケアラーの相談窓口の件で教えていただきたいです。先ほど、学校を通じて子どもたちにもPRするということでした。ヤングケアラーの当事者は、私も取材をしたことがあるのですが、やはり周りの大人がいかに気付いてあげるかという視点も重要かと思っていまして、相談する側とすると、もちろん話を聞いてもらえてすっきりしたという方も中にはいるかもしれないのですけれども、相談をした上で、その先の支援にちゃんとつなげてもらえるのかどうかというところが、一つ、この相談窓口を設置する中で重要なところかと思っています。先ほどの質問でも少し知事がおっしゃっていたかと思うのですけれども、改めて、この相談窓口を通じて受けた相談というのをどういうふうにその後の支援につなげていくのか。いろいろな関係機関が関わってきたり、そのあたりの連携体制も重要になってくるかと思うのですけれども、そこを改めて、県としてどういうふうに整備を進めていくのかを教えていただけますか。
長野県知事 阿部守一
もちろん、今ご質問のあったように、コーディネーターの方が聞いているだけでは改善にはつながりませんので、まさに先ほど申し上げたように、市町村であったり学校であったり、あるいはスクールソーシャルワーカーであったり、こうした子どもたちを比較的身近な立場で支える方々としっかり連携しながら必要な支援を行っていきたいと思っています。また、具体的にそういう対応をする中で課題も見えてくると思いますので、そうした部分を、市町村、関係機関とも一緒に改善していきたいと思っています。
日本放送協会(NHK) 高田 氏
もうすぐ、中野で起きた殺人事件から1カ月が経つところですけれども、昨年、県としても(犯罪被害者等)支援条例を制定し、今回制定後としては初めてのといいますか、全国的にも大きな衝撃を与えたような事件が起きて、支援体制を整えている県がその事件を踏まえてどういった支援をするのか気になるところではあると思います。これまでの知事会見でも、見舞金の申請書をご遺族にお渡ししているとか、そういったところの支援をしているのは分かったのですが、例えば今後申請があって、そういった見舞金を給付したとか、代表的にはそんなところですが、そういった具体的に県として行った支援も、今後、行ったタイミングで公表していただけるのかどうか、知事としてお考えはいかがでしょうか。
長野県知事 阿部守一
いろいろな支援の仕方があって、住宅のあっせん みたいな支援もありますし、法律的な相談への対応を支援するということもありますので、支援をするたび に、こういう支援をしていますという公表は、プライバシーの問題もありますのでなかなか難しいのではないかというのが、今ご質問を伺った限りでは率直に感じます。
日本放送協会(NHK) 高田 氏
分かりました。そういった見舞金の給付とかも、その条例を踏まえてもし申請があれば、今回が制定後初めての給付になるかとは思うのですが、そのあたりも、もし実際に申請があったとしても、県としては公表は難しいかなというところでしょうか。
長野県知事 阿部守一
私のところで、今、別に積極的に公表するかしないかは考えてはいないので、直ちにお答えしづらいですけれども、一般的に考えれば、犯罪被害者等支援条例の議論の中でも、被害を受けた方がそっとしておいてほしいと思われる部分も実はあります。そういうことを考えると、こういう支援をしていますとか、こんなことをやっていますというのを、行政側から逐一お示しするというのは、条例の趣旨からすると少し違うのではないかと感じています。ただ、もちろん犯罪被害者になられた方に対する支援というのはしっかり行っていくことが必要だと思いますので、個々のプライバシーを侵害しないような形で、県としてはこういうことをやっているというのは、まとまった形でお示しするということはあり得るかと思います。今は深く考えてお話はしていないですが、お話いただいた趣旨を考えれば、私の感覚としてはそういう対応をしていかざるを得ないかと思います。
日本放送協会(NHK) 高田 氏
もう1点、全国的にも今いろいろトラブルが報告されているマイナンバーカードの件です。静岡県とかでは、障がい者手帳が誤ってひも付けされていたりとか、いろいろなトラブルが報告されていることについて、現時点での知事の受け止めといいますか、どのように今の状況を見ていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
情報化社会、DXを進めていく上では、マイナンバーカードを普及することは私は必要であり、重要だと思っています。ただ一方で、いろいろな課題やミスが出てきていることについては、制度の信頼を損ないかねない問題だと思いますので、国においても問題意識を持ってしっかり対応していく方向性になっているので、情報化の推進に水を差すことがないように、しっかり国において対応していってもらいたいと思います。
日本放送協会(NHK) 高田 氏
市町村の方が市民の実際の手続きをしていると思いますが、今後県として、例えば市町村の意見や要望を吸い上げて国に要望するとか、現時点で考えられていることは何かありますか。
長野県知事 阿部守一
現時点ではないですが、私も、市町村長の皆さまとできるだけ意思疎通するようにしていますし、市長会、町村会の皆さまとも問題意識を共有していきたいと思います。そういう中では、特に私に対してマイナンバーカードについてのご要望は最近出てはいないですけれども、これは県全体の市町村共通の課題でもありますので、そうした問題意識があれば、一緒に取り組むことも今後考えたいと思います。
どうもありがとうございました。
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