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更新日:2024年12月13日
松本地域振興局
教育現場で児童・生徒の指導にあたる小・中・高校等の教職員等を対象※とし、地球規模の課題である気候変動問題やその対策である温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするゼロカーボンについて研修会を開催します。
今年度は3回に分けて研修会を開催します。なお、受講者は回ごとに募集します。
※教職員以外の一般の方も受講できます
令和6年度の研修会は終了しました
【研修会の目的】
その他
生徒のプライバシー保護のため、校内の写真撮影はご遠慮ください。
昼食は集合前におとりいただくか、行きのバス車内でおとりください。
(昼食・飲み物は各自でご用意ください。)
災害等により中止になる場合もあります(中止の場合は前日にご連絡します)。
Formsの以下申込ページにアクセスし、必要事項を入力してください。
〇申込ページURL:https://forms.office.com/r/S8VNmqx512
令和6年10月29日(火曜日)正午まで
ただし定員(15名)になり次第締め切ります。
【ミーティングの目的】
乗鞍高原地域の見学と地元関係者の講演を通して地域課題とその取組を参加者が直接体験する。また、参加者同士の対話により思いや動きを共有することで、ゼロカーボン社会の実現に向けた行動につなげていく。
【実施内容】
【主催等】
主催:長野県松本地域振興局
共催:のりくら観光協会、自然エネルギーネットまつもと
後援:松本市
研修資料(講義)「「気候変動とゼロカーボンの基礎」〜タイムリミットは2030年〜」(p.1~p.22(PDF:13,400KB)p.23~p.31(PDF:5,493KB)、p.32~p.46(PDF:8,315KB)、p.47~p.61(PDF:8,470KB))
1.自然エネルギーネットまつもと代表による講義「気候変動とゼロカーボンの基礎〜タイムリミットは2030年〜」
(要約)「気候変動により、祖父母世代が経験したことのない暑さや大雨を、孫世代がこれから経験することになります。この気候変動は、人間の営みが排出する温室効果ガス(GHG)が自然の許容量を超えるために生じます。気候変動の原因が人為的なものであることは、既に科学的に確認され、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が報告しています。「温暖化懐疑論」はもはや「科学の多様性」とは別次元のものといえるでしょう。
気候変動問題への対策としてのゼロカーボン(日本独自の呼称)とは、人為的GHGの排出を実質ゼロにすることを指します。気温上昇を安全な範囲(1.5℃で国際合意)に抑えるためには、2030年までに2010年比で排出量45%削減(長野県の目標は60%削減)、2050年までに実質ゼロにする必要があります。SDGsの本質とは「人権の確立」であり、SDGsから見た気候変動問題は「子どもの人権を守ること」であります。未来世代は気候変動問題に対して責任はないのに、大きな被害を受けます。現在世代には未来世代の生存条件を保証する責任・義務があるはずです。」
2.指導主事による演習「単元づくりについて」
「すごろく」を作りながら、単元づくりについて考える演習を実施しました。「すごろく」作りは、子どもの問い(例えば、「ゼロカーボンを実現するためにどんなことができるだろう」)をスタートにして、「その課題に対する納得解」を導くところまで進めていきます。
演習参加者がスタートからゴールの間のマスを子どもの立場になって作ることを通して、生徒の意識や探究の過程を意識して単元を作成しました。
最後に、マスをどのように作ったか、演習参加者で発表しあい共有しました。
1.白馬高校教師による講義「教室の断熱改修ワークショップ」
(要約)「地域で活動している人、断熱改修の専門家、地元工務店などを生徒が連れてきました。費用を抑えるため、生徒がDIYでやりましたが、断熱材を切ってはめるだけでも素人では精度が出せず、隙間ができてしまいます。下準備や危険な作業など工程の7~8割は、工務店がやってくれました。本来であれば、予算を用意して、プロにやってもらうべきでしょう。
周りを説得するときに、費用の問題は大きいです。この規模の改修では費用対効果は厳しく、何か他の意義を見出していかないと、説得はできません。ワークショップ(WS)を企画した3人の生徒は、スキー・スノボの楽しさを残したい、断熱改修は自分たちでもできるらしいよ、という、「楽しい!!!」を大事に活動していました。教室ひとつを断熱改修したところで、という意見もありますが、生徒たちは、断熱改修のモデルにしたい、いろんな人に見てもらって広めていきたい、と言っています。
授業(総合的な探究の時間)での取組にもつながっています。WSに関わった専門家やアウトドア店などが講師を務めてくれて、調べる・まとめる・発表する、をしています。授業化・単元化のための手法として最近は、PBL(ProjectBasedLearning)でうまくできないか、と考えています。建物の断熱化はなぜ必要か、という「本質的な問い」を立て、エネルギー問題と自然環境の変化など「必要なスキル・能力」を身につけたかどうかを見て、「評価」、「導入・動機付け」につなげる—世の中の役に立つような発表をしていくと、生徒の知的好奇心も高まっていくと思います。」
2.参加者によるグループワーク
冒頭、指導主事から、総合的な学習(探究)の時間の目標(よりよく課題を解決する、自己の生き方を考える)や、教師の幅広いネットワークが活動のよきヒントやアドバイスを得ることにつながっていくこと、この研修会には学校教員のほか趣旨に賛同する多様な立場の人が参加していることの意義、について説明がありました。それらを踏まえ、5~6人ずつの、様々な社会的立場で構成されるグループで、参加者自身が設定した課題などについて討議をしました。
事前に設定したテーマ「参加者自身が設定した課題解決に向けた情報収集」に加え、「子どもたちと学校教育を通して一緒にゼロカーボンに取り組むなら、自分の立場で何ができるか」などについて、授業に環境教育を取り入れることの難しさや、解決への導き方、地域での取組事例など、様々な意見が交わされました。
1.松本市環境・地域エネルギー課による講義「松本市の脱炭素先行地域の取組みについて」
(要約)「乗鞍高原は、ゼロカーボンパーク第1号として環境省に登録されました。国立公園において先行して脱炭素や脱プラスチックを目指し、持続可能な観光地作りを実現していくエリアのことで、単純に脱炭素を進めていくだけではなくて、持続可能な観光地、お客さんにもその自然豊かな観光を楽しんでほしいというようなエリアです。
ゼロカーボンパークに登録されて、その地域の課題や地域でやりたいことを地元の皆さんが地域共通のビジョンとしてまとめたものが「のりくら高原ミライズ」です。(1)地球環境問題の影響により豊かな自然環境が失われてしまう危機、(2)山岳観光地として持続できなくなる危機、(3)人口減少により安心安全な暮らしが失われてしまう危機、という3つの課題・危機感を切り口に策定しました。これを名実ともに具現化していくため、2030年までに地域脱炭素を実現する国のモデル事業である脱炭素先行地域に申請し、第1回に採択されました。
(1)地球環境問題については、地域裨益型(地域にとって利益があるかたち)で再生可能エネルギーを地域に導入するために、小水力発電施設を建設します。地域も発電事業に参画し、その売電収益の一部を地元に還元することで、エネルギー自治を実現させます。(2)観光については、脱プラスチックを進めていくことにより、サステナブルツーリズム・持続可能な観光地を作り、観光もできるし地球に優しい滞在もできる。そこに感化された新たな来訪客層を獲得していきます。(3)暮らしについては、地域活力の好循環・地域人口の社会増を目指すもので、地域内で導入する薪ストーブの燃料となる薪を、地域内で調達し、地域内で供給する「木の駅事業」のような地域のスモールビジネスを作っていくことを考えています。
これらの事業を通じて、乗鞍地域全体の持続可能な地域づくりや地域の発展につながることを期待しています。例えば、小水力発電事業では、いまは地域の皆さんがやっている最寄り駅(新島々駅)への高校生の送迎などに収益の一部を活用することも考えられます。また、「木の駅事業」では、景観を阻害する木を伐採し、活用することで、乗鞍高原の景観を復活させ、観光業への好影響も期待できます。
このように、脱炭素先行地域の取組みを契機に、ゼロカーボンを実現するとともに、地域課題の解決、さらには地域活力の好循環を生み出すような取り組みを進めています。
脱炭素先行地域の枠を使って、3つの取組を実装させていきながら、世界水準のゼロカーボンパーク、滞在型自然共生型のデスティネーション(観光地、目的地)づくりをやっていこうというような取組が目指す全体像です。」
2.参加者によるグループワーク
冒頭、指導主事から、第3回までの研修を通して、この研修のタイトルである「教職員〈等〉を対象とした」の〈等〉に意味があること、様々な立場の人とつながることで、多角的に考えるきっかけにもなることの話がありました。演習では、事例として「ゼロカーボンの実現」を中心にして拡散的に探究する手法(つながれそうな人、機関を書きたしていく)を実施し、その結果を参加者同士で聞きあいました。グループの仲間からの質問をもとに、自分の考えを広げたり深めたりしました。
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