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更新日:2015年2月23日
地域の景観育成活動に助言が欲しいときなど、要請により景観の専門家 (景観デザイナー)を派遣します。
「木曽町景観形成まちづくり連絡協議会」では集落協定代表者、自治会代表及び専門家が集まり、景観に配慮した修景事業等に対する町補助事業の採択を行っています。このたび、集落協定の推進や町の修景事業等の参考とするため、研修の講師を依頼されました。
私は小諸市で本町などの修理・修景事業に関わった。小諸市は元々城下町だが残っているものが少なく、修理・修景の進め方が難しい。「ほんまち町屋館」の場所は当初、市で駐車場にしようと計画していた。しかし、地元・NPOから猛反発が起きた。市で計画を見直し、味噌・醤油の醸造蔵を活かした地区のコミュニティ施設にしている。「与良町屋館」は当初、建物がかなり傷んでいてて、壊すかどうかでもめた。しかし、地元自治会で管理するからなんとか残してくれと強い要望があった。市がその熱意に押された。ほとんど解体修理に近い形だった。
修理・修景事業を行ってから街に来る人が増えた。今までほとんど車が通るだけだった通りに歩いて来る人が増えた。
まちづくりは行政だけが旗を振ってもうまくいかない。地元の人の熱意が必要。地元は市とけんかして自分たちの要望を通したんだから自分たちで管理して、人を集めるんだという気持ちになる。民間だけでもだめ、行政だけでもだめ。連携が必要。
木祖村では、木曽川源流の里にふさわしい統一感のある景観形成を進めていくため「木祖村景観形成基本計画」を策定する予定です。そこで、専門家から見た源流の里にふさわしい景観形成とはどのようなものかについてなど、アドバイザーの派遣を依頼されました。
まず、木祖村観光開発審議会の委員の方々とともに村内の景観踏査を行いました。その上で木祖村の景観の現状や今後の進め方などについて意見交換を行いました。
山田先生からの助言:人を迎えようという気持ちで、道の分岐点などに花やモミジ、ハナモモ等が植えられていたのが印象的。木曽の川はごつごつした岩の合間に流れる清流が特徴的で他の地域とは違った印象がある。今日、村を一周してみたが、地区ごとにいろんなシーンがあり、それぞれにふさわしい景観づくりをする必要があるのでは。谷の上から見る屋根の色も木曽の特徴。それを活かした景観づくりも考えられる。
住民との合意形成では、様々な立場の人に集まってもらい意見を出し合いワークショップを行うことも一つの手。また、マイクロバスで村一周ツアーをやるなど、まずは村民が村の現状を知る機会が必要では。
千曲市稲荷山地区は旧善光寺街道の宿場町として栄え、その後県内有数の商業地域として繁栄し、現在でも多くの商家・土蔵群が残っています。一方で、近年、老朽化や建て替え等が進んでいます。稲荷山街並み委員会で連続講座として街並みや周辺環境について広く検討する機会を持ち、稲荷山の街並み保存につなげたいと考えており、今回、講座の一つとして「色彩」をテーマとする講演を要望されました。
講演に先立ち、稲荷山のまち歩き行いました。
地域には地域の色がある。稲荷山には稲荷山の色がある。稲荷山の写真を撮影し、彩度分布を見てみたが、ほとんど低彩度に集まっていた。日本の伝統的な色は派手なものがほとんどない。稲荷山は魅力的な路地がさくさんある。良い街並みも残っている。もう少し全体のまとまりがあれば、もっと良くなる。
地域の伝統色は、地元で産出する木材、石材、萱などの色。外国の街並みはカラフルなものも多いが、日本では四季折々の色の変化があり、緑、水、空、花など自然との関係性が重要。そういったものが目立つように街並みは隠れている。さみしいと感じるかもしれないが、お祭りの山車や衣装等の鮮やかな色の背景にもなる。外国と日本では文化の違いがある。まちの色は長い時間をかけて地域が育てた文化である。
街中では色が氾濫している。色が過剰すぎると逆に色を感じなくなる。しかし、色それぞれに良し悪しはない。関係性が整った時に色は美しく見える。建物の色彩は個人の趣味ではなく、周辺にあるものとの関係性に配慮して決めなければならない。構造物など静的で大きなものは低彩度が望ましい。動植物など動的で小さなものは、高彩度で映える。
地域における色のあり方は考えるばかりでなく、活動を起こして実感することが大切である。あまりお金をかけなくてもちょっとした工夫でできることはたくさんある。
派遣を希望するときは、先ず、下記「お問い合わせ先」までご連絡ください。なお派遣希望日の3週間前までに「景観デザイナー派遣申請書」の提出してください。(24年度から講師の謝金・旅費は申請者負担となりました。)
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