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更新日:2017年2月8日
長野県知事 阿部守一
皆さんこんにちは。
今から会見を開きます。よろしくお願い致します。(手話で表現)
それでは、私の方から先ほどの部局長会議で決定した2月定例県議会に提出する予算案と、それから4月からの組織改正、この二つについてご説明申し上げます。
まず、先ほどの部局長会議において予算案、条例案を決定させていただきました。平成29年度当初予算案は「しあわせ信州創造プラン」の総仕上げという観点で編成させていただきました。当初予算の規模は8,625億9,848万5,000円で、対前年当初比1.5%減、約131億円の減です。減ではありますが、後ほどご説明しますけれども、政策的な経費については減にはなっていないということでご理解いただきたいと思います。予算編成に当たりましては予算編成方針を示し、財政課にも指示をして最終年度を迎える「しあわせ信州創造プラン」の目標達成に向けてこだわりを持って予算編成をしてくれということで編成してもらいました。そういう意味で今回の予算、最終的にしっかりと成果をあげていくべく、全庁挙げて取り組んでいきたいと思っています。知事査定においてもそうした方向性について各部局との間で議論を行ってまいりました。また、今回の予算編成に当たり、あらかじめ予算編成方針で五つの観点から施策展開の方向性を定めました。各部局が目標をあらかじめ共有することによって、施策を構築することができたと思っています。これまではどちらかというと個々の施策を組み立てて、それからパッケージ化しているというやり方でしたが、今、ポイントでお示ししているように「人口減少対策」、「地域経済の活性化」、「多様な働き方・暮らし方の創造」、「個性豊かな地域づくり」、そして「安全安心な社会の実現」ということで柱立てを先に想定しながら、予算を編成したことで、効果的な、効率的な予算編成になったのではないかと思っています。その中で、「しあわせ信州創造プラン」については九つの主要プロジェクトがあるわけですけれども、全43指標のうち25の指標が目標達成見込みという形になっています。引き続き、先ほど部局長会議でも各部局長に指示させていただきましたけれども、予算が成立した以降の「しあわせ信州創造プラン」の最終年度ということをしっかり意識して、その着実な推進に努めていきたいと思っています。
ポイントの2枚目、当初予算の姿です。左端に書いてありますように、全体の予算は先ほど申し上げたように1.5%減です。ただ、義務的経費、その他の経費と別れておりますけれども、義務的経費のところ、社会保障関係費は、本県も全国的な動向と同じように、年々社会保障関係経費が増大しています。他方で、公債費、人件費が縮減傾向で、義務的経費については社会保障関係費が増加して、公債費、人件費、扶助費、こうしたところが減少しているという状況です。それから、その他の経費でありますが、県税交付金等、これは税収に応じて市町村に交付する交付金等ですが、それと中小企業融資制度資金、これは実態に合わせた減と、さらには投資的経費の災害復旧、これは神城断層地震等に対応する災害復旧事業等が縮減してきたというところで、こうした部分は減少ですが、その他の投資的経費、それから補助費、物件費等、こうした部分については微増ということで、冒頭申し上げたようにトータルの予算としては減少予算にはなっておりますけれども、減少しているのは公債費や人件費、県税交付金等、災害復旧などですので、そういう意味で政策的な経費については総体としてみれば縮減ではないということでご覧いただければと思います。
社会資本の重点的な整備ということで、公共事業、それから施設整備に大きく分けておりますけれども、全体としてほぼ横ばい、プラス2億円0.1%増という形です。内容をご覧いただきますと、だんだん新設から維持管理の時代に来ているということで、引き続き公共事業の修繕事業については増加させてまいります。他方で、施設整備については経済対策基金を活用した事業がなくなってくる関係で、こちらについては全体としてはマイナスになりますが、経済対策基金の事業を除けばプラスということで、こちらについても全体的には必要な予算、事業量については確保させていただいております。右側の社会資本整備事業のポイントで、施設整備、公共事業、いくつか観点を書いていますけれども、特に予算的に来年度新しい県立4年制大学の建設経費が増えてまいります。また、県営住宅の建て替えの促進、あるいは特別支援学校の再編、こうした関係の施設整備予算が増加いたします。また、学校校舎の維持修繕については引き続き、これは県民の皆さま方からのご要請も強い分野ですので、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。それから公共事業の方ですけれども、高速交通ネットワークを生かした地域活力の増進、あるいは観光地域づくりの推進という観点での予算を増やしております他、無電柱化の推進もこれまで以上に重点的に予算配分させていただいています。あとは防災・減災対策の充実、あるいは農林業生産基盤整備、こうした分野に予算を配分して、トータルと致しましては全体として、公共事業等経費についてはやや増という状況です。
4ページですけれども、財政の全体像ですが、主要一般財源の見通しにつきましては県税収入はやや増加ですが、他方で地方交付税は減少見込み、そして私どもとしては廃止を求めてきている臨時財政対策債は残念ながら増加ということです。交付税が大きく減少見通しになっていますので、総体として一般財源総額についてはやや減少するのではないかという見通しです。そうした中で、県債発行額については、通常債の発行額については前年比26億円増という形にしております。また臨時財政対策債については、先ほど申し上げたように、24億円増ということで、トータルで50億円、発行が増加致します。今日、皆さんにお配りしていると思いますけれども、新しく行政経営方針に定めて、これまでの行政・財政改革方針に引き続いて、行政経営の改革に取り組んでいこうと思っておりますけれども、その中で、元金ベースのプライマリーバランスを財政指標の一つとして位置付けていこうと思っています。今の県債発行額の右側のところに、小さな字で少し見にくくて恐縮ですけれども、要は借金の返済と新たな借金との差額がいわゆるプライマリーバランスで、国が言うプライマリーバランスは利子分も含めていますけれども、本県は元金ベースでのプライマリーバランスを指標にしようと考えています。その方がより厳しい指標という形になります。利子分が入らないので。プライマリーバランスの黒字が平成29年は271億円ということでございます。この黒字は将来的にも維持していけるように取り組んでいきたいと思っています。その下の県債残高については臨時財政対策債の多額な発行が続いている。県としてはいかんともしがたい地方財政対策で、交付税ではなくて臨時財政対策債でとりあえず借金せよということにされてしまっているので、多額の臨時財政対策債を発行しているという環境下では、県債残高の合計が急激に縮小するというような環境ではありませんが、しかしながら平成25年度末をピークに少しずつ、臨時財政対策債を含めても縮減の方向にはなっています。通常債については確実に減少基調です。見掛けの県債残高が高止まりの状況ではありますが、臨時財政対策債の制度の趣旨を国がしっかり貫徹してもらえれば、見掛けと実態は相当乖離(かいり)してきていると思っています。そういう意味で、5ページのところに健全化判断比率の見通しと書いてありますけれども、実質公債比率については引き続き、着実に縮小する、低下する見込みです。平成27年度決算で12.7%、平成28年見込みが12.1%、平成29年見込みが11.7%ということで、将来負担比率も減少基調にありますし、実質公債比率も減少させてきているということで、県債負担についてはひと頃、長野県は極めて重い状況でしたけれども、相当改善してきていると思っています。それから基金残高の見通しを記載しています。平成22年以降、毎年増加させてきて、平成28年度見込み平成29年度見込みが減少ということで、当初予算でも97億円の取り崩しでございます。平成28年度当初予算で88億円の取り崩しの予算を計上していましたけれども、今回、約40億円の取り崩しに抑制する見込みにしています。まだ平成28年度は年度継続中ですので、さらにこれを縮減できるように、なるべく貯金を取り崩す金額が少なくなるように工夫して、努力していきたいと思っています。
歳入の確保、歳出の削減については、その下の方に書いてありますが、歳入確保につきましては、電気事業会計は電気事業を一時、中部電力に売却という方針でしたが、その方針を私が変えさせていただいて、企業局の電気事業がだいぶ収益を上げてきていることをうれしく思っています。電気事業会計からの繰り入れ、あるいは「ふるさと信州給付金」も、昨年度に比べて平成28年度はほぼ倍増というような状況で、こちらも好調で増えております。こうした歳入確保の取り組みに加えて、歳出削減についても、地域密着型の施設の市町村移管であったり、あるいは情報処理システムの見直しであったり、いろいろ工夫しながら縮減に努めて、歳出削減面では約31億円の減少とさせていただいております。
次の6ページからが今回、柱立てした政策ごとの予算項目です。大きくは五つの観点で今回、予算編成させていただきました。「人口減少対策」、それから「地域経済の活性化」、さらには「多様な働き方・暮らし方の創造」、「個性豊かな地域づくり」、「安全安心な社会の実現」の5点です。部局長会議でも申し上げましたが、今回の予算は、私の思いとしては新しいことを次々やってこうということではなくて、むしろ着手したことをしっかりやっていくということに、もちろん新規事業もありますけれども、比較的新しい玉出しではなくて、やり始めたことにしっかり成果をあげていくことに力点を置いて編成させていただきました。そういう意味で、例えば7ページに人口減少対策の大きく3本柱を掲げていますけれども、こうした柱立ても平成28年度予算の書き方をかなり踏襲しています。「郷学郷就(きょうがくきょうしゅう)県づくり」も平成28年度予算で出しましたが、あまり奇をてらって毎年変えるのではなくて、29年度予算も郷学郷就県づくりをしっかりやっていこうと、安定的、継続的な政策の運営実行に力点を置いて編成をいたしました。
私の観点でポイントだけお話ししてまいりますが、まず「人口減少対策」、これは信州創生、地方創生の観点で平成29年度も引き続き重要なテーマだと思っています。特に「郷学郷就県づくり」ということで、長野県の人口動態をご覧いただければ一目瞭然ですけれど、高校を出てみんな都会へ行ってしまい、そして少しずつそこから戻ってくるのが長野県の大きな社会増減の姿です。やはり若い人たちが働ける場、あるいは学べる場、こうしたことを充実していくことが極めて重要だと思っております。そういう意味で、高等教育、県立大学の整備促進、あるいは高等教育機関の魅力発信、これは県内高等教育機関が一緒になって取り組んでいくことが重要だと思っています。そのような観点での高等教育の充実、それから多様な学びの場の創出支援ということで、「信州やまほいく」では100の幼稚園・保育園を認定させていただいていますけれども、その中には認可されていない施設もあります。そうしたところは経営がなかなか厳しいということもあります。「信州やまほいく」を充実してもらいたいという思いもあります。そうした中で助成制度を新たに創設したいと思っています。それから、子どもの希望を実現できる学びの場の提供ということで、ICT教育の充実を選挙の公約に掲げていたわけですけれども、県立高校にICT機器を整備するとともに、教員のICT活用能力の向上を目指していきたいと思っています。また、デュアルシステムあるいはインターンシップの支援、こうしたことを通じて、県内の若者が県内で働く場を見つけやすくするような支援も行っていきたいと思っています。
それから「結婚・子育て支援」、婚活パーティ「県庁101com.(イチマルイチコン)」は私も参加して先般講堂で行いましたが、結婚支援を引き続き行ってまいります。加えて子育て支援では、保育士の人材バンクの構築であったり、あるいは「こどもカフェ」、いわゆるこども食堂的な動きが県内に広がっています。こうした動きを促進する観点で地域のプラットフォームを構築していきたいと思っています。また、子どもを性被害から守るための条例を昨年成立させていただきました。引き続き、性暴力被害者支援センター「りんどうハートながの」の運営、そして性被害防止教育キャラバン隊の派遣充実、こうしたことを行って、子どもたち、若者たちが被害者にならないように取り組んでいきたいと思っています。
「移住・二地域居住の推進」では、引き続き移住したい県ナンバーワンというメリットを生かした取り組みを強化したいと思っています。移住者と、それから有効求人倍率が1.5を超えて、業種によってはかなり人手不足感も出ていますので、働くことと暮らすことを一体的に考えていただくということで、「信州で働くフェア」、こうしたものも開催してまいります。また、県営住宅は今まで居住地要件がついていました。県内在住者が原則ということでしたが、これを見直して広く他の県からいらっしゃる方々も受け入れる環境にしていきたいと思っています。また、相談窓口の充実や「楽園信州応援企業」の拡大、そうした移住促進のための政策については引き続き力を入れてまいります。
それから12ページ、「地域経済の活性化」です。人口を定着させていく上でも、そして確かな暮らしをより確実なものにしていく上でも、経済の活性化、産業の活性化が不可欠だと思っています。そういう観点で、産業イノべーションの推進、グローバル経済への対応、地消地産の推進、この三つを柱にさまざまな取り組みを進めていきたいと思っています。特に次世代産業の育成では航空機システムの拠点をつくろうということで、信州大学の研究講座開設による高度人材の育成、それから国内唯一の防爆支援施設の整備支援、こうしたことで航空機システムの拠点づくりをさらに進めたいと思っています。それから、農業林業の分野でも生産性の向上が不可欠だと考えております。農業分野では、トヨタ式カイゼン手法の導入、あるいは林業の分野では、高度情報化を活用したスマート林業の推進、こうした取り組みを進めて農業・林業の生産性がさらに高まるような取り組みをしていきたいと思っています。また、日本酒・ワイン振興室をつくっていろいろな取り組みを行っておりますけれども、さらに、日本酒のアピール、それからワインについてはブドウの苗木が確保しづらいという声がかなり出ていますので、そうした苗木確保のための取り組み、さらには、信州ブランドの一環としてNAGANO WINEのブランド力を向上する観点での国際ワインコンクールへの出品支援、こうしたことを新たに行ってまいります。
「グローバル経済への対応」といたしましては、農産物のさらなる輸出促進という観点で、香港に輸出支援員を配置してまいります。また、インバウンドの取り込み、おかげさまで昨年の外国人宿泊者数が延べ100万人を突破という状況ですので、引き続きこの流れを確実なものにするために、市場特性に応じたプロモーションをしっかり行っていきたいと思っています。また、海外との連携、オーストリアとの関係では林業、それから南チロル、イタリアとの間ではシナノゴールドの世界的ブランド化、中国との関係ではホストタウンとして東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みの充実、さらにはドイツの自治体等と環境エネルギー分野での交流を進めるなどして、世界の中で長野県の存在感が発揮できるような取り組みを進めたいと考えています。
他方で「地消地産の推進」ということで、足元の地域経済、経済循環を強化していくということも重要だと思っています。「しあわせバイ信州運動」もしっかりと改めてスタートしていきたいと思っておりますし、環境エネルギー分野においても、環境部を中心としながらも、企業の皆さんとも一緒に産業化に向けた研究を行ってまいりたいと考えています。また農業の分野でも地消地産を意識した取り組み、例えばホテルや給食における信州産食材への置き換え、こうしたものをさらに進めていきたいと考えています。
17ページ、三つ目の柱「多様な働き方暮らし方の創造」です。先般、ライフスタイルデザイン国際会議を開催し、多くの皆さまにお越しいただきました。これから人生100年時代と言われる中で、世界で最も長寿な地域の長野県から新しい働き方のみならず、暮らし方も発信していかなければいけないと思っています。そういう意味で、次の総合計画に向けてもそうした視点をしっかり持って取り組んでいきたいと思っておりますけれども、今回の予算の中でも、「働き方改革」、「暮らし方改革」、こうしたものを意識して予算編成しました。「働き方改革」につきましてはITの活用によるさまざまな働き方を普及しようということで、ITスキル修得セミナー、あるいはテレワーカーへの業務発注方法の普及、こうしたことに取り組んでまいります。また「一人多役」型の新しい働き方・暮らし方を普及させていくための研究会を開催してまいります。また女性の活躍が、これからの長野県にとっても日本にとっても極めて重要ですので、そういう観点で女性リーダーの育成等を行うため、ウィメンズカレッジ事業、あるいは、女性活躍推進セミナー、こうしたことに取り組んでまいります。
また、「高齢者・障がい者の活躍」ということで、引き続き長寿社会開発センターと連携して、「人生二毛作社会」の実現を進めてまいります。そういう意味でシニア活動推進コーディネーターには引き続き地域の中でシニアの活躍の場が広がるように取り組んでもらいたいと思っています。障がい者の活躍という観点では、特別支援学校技能検定を教育委員会で導入したいと思っています。なかなか特別支援学校の子どもたち、仕事に向けて自分たちの能力を磨き上げる、あるいは自己肯定感を持ちやすい環境というのはなかなか作りづらい部分がありますけれども、こうした検定を通じて就労意欲を高めてもらう、そして、スキルの向上を図ってもらう、こうしたことで特別支援学校を卒業する若者が、社会の中で活躍できるように支援していきたいと思っています。
「文化芸術振興」では、新たに文化芸術振興ビジョンを策定していきたいと思っておりますし、また文化振興事業団の取り組みをさらに充実させるという観点で専門スタッフの配置についても県として支援をしていきたいと思っています。信濃美術館については改築準備を進めてまいります。
22ページ、「個性豊かな地域づくり」です。4月から地域振興局を設置します。地域振興局を核にして、もう一度、長野県政の地域重視、現場重視、こうした方向性をしっかりと出していきたいと思っています。地域振興局を核とした地域の振興では、まず地域振興推進費、これは1億円を地域振興局長が自分で考えて執行してもらう予算ということで計上させていただいております。元気づくり支援金については、引き続き8億5,000万円を確保していますので、こうした財源を有効に活用していただいて、地域の個性が光る取り組みを進めていってもらいたいと思っています。
「暮らしの基盤の維持」というところで、中山間地の訪問系介護サービスの提供体制の確保、移動コストあるいは職員移動手当を支援していこうという取り組みを新たにスタートさせます。また企業局が天龍村の簡易水道の事務代行ということで、全国的にも非常に先進的な取り組みですけれども、小さな町や村が多い長野県としては、こうした村と県との連携事業というものも今後増やしていきたいと思いますが、天竜村の簡易水道事業は先駆け的な位置付けでしっかり取り組んでいきたいと思っています。
それから「交通ネットワークの充実」です。交通ネットワークの関係については観光面それから地域の足の確保という観点で、まずしっかりとあり方を考える年にしていきたいと思っておりますが、それと並行してまず松本空港では国際チャーター便の就航を目指して、引き続き取り組んでいきたいと思っています。また高速ネットワークを充実するという観点でのリニア関連道路の整備、あるいは中部横断道、中部縦貫道、三遠南信道の整備、こうした整備の促進も図っていきたいと考えています。
「観光地域づくり」ですけれども、観光分野については極めて追い風の状況だと思っています。外国からの宿泊者数も先ほど申し上げたように100万人を突破です。11月までの数字を見ると、長野県は対前年比約25%増ですけれども、全国的には1割に満たない増にとどまっている中で、本県を目指してお越しいただく皆さんが増えているという状況です。こうした流れをしっかりとつかんでいかなければいけないと思っています。今年は7、8、9月と大型観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン(信州DC)」がございますので、信州DCを核に観光地域づくりをしっかり進めていきたいと考えています。それと同時に地域振興局を作ります。観光機構あるいは地域振興局、こうしたところがしっかり連携して、地域のDMOや市町村とも連携する中で、新たな視点での観光施策の方向付けをしていきたいと、また、観光を進めていく上での方針というものも近々まとめていきたいと思っています。観光地域づくりについては、長野県は観光戦略推進本部を作っていますので、ご覧いただいて、下のインフラのところに書いてありますように、例えば建設部においては歩道・サイクリングロードの整備、あるいは環境部においては登山道や環境配慮型トイレの整備、あるいは農政部においては信州の釣りの魅力の県外への発信ということで、観光部を中心としながらも、他の部局もかなり積極的にこの観光施策を予算化してもらっています。まだ取り組みはスタートしたばかりですけれども、こうした観点で全庁挙げての観光地域づくりをしっかりと進めていきたいと思います。
5番目、「安全安心な社会の実現」ということで、県民が安全安心に確かな暮らしを営める社会を実現したいということで、「県土強靱(きょうじん)化」、「健康長寿県づくり」、「自殺貧困対策」。これらにしっかり取り組んでいきたいと思います。特に「県土強靭化」については、これは市町村等からもかねてから要望がありました住宅の耐震化助成、この補助上限額はこれまで60万円でしたが、100万円まで引き上げます。ぜひ、われわれもアピールしますので、住宅所有者の皆さんにアピールして活用してもらわなければ意味がないので、メディアの皆さんにも、この住宅耐震化促進については、協力いただければありがたいと思っています。それから、火山の関係では名古屋大学御嶽山研究施設の設置支援等を行う中で、火山防災についてはさらに充実していきたいと思いますし、また広域受援計画の策定にも着手してまいります。
「健康長寿県づくり」。今日から(県庁の)階段にも「『信州ACE(エース)プロジェクト』やっていますよ」、「ワンフロア上がると5キロカロリー消費ですよ」と書いてもらっていますけれども、引き続き「信州ACEプロジェクト」については、これも全庁を挙げて推進していきたいと思っています。そうした取り組みをベースとして、特定健診データの市町村別分析等を行って、県民の健康状態・課題の見える化を行っていきたいと考えています。また、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を活用した情報発信や、「減塩コンシェルジュ」による普及・啓発にも努めていきたいと思っています。それから、医療・介護人材の確保や地域包括ケア体制の構築整備については引き続き力を入れて取り組んでまいります。
また、「自殺・貧困対策」ですが、今、日本財団と協働してモデルとなる自殺対策計画の策定に着手していますので、他の都道府県の模範となるような取り組みをしっかり行っていきたいと思っています。貧困対策は先ほど「こどもカフェ」設置のためのプラットフォーム作りの話をしましたが、そうしたものに加えて、新たに学習支援等の充実を図っていきたいと思っています。また、私立の小中学校に在籍する児童生徒の授業料負担の軽減、あるいは、スクールソーシャルワーカーの増員ということで、これらはどちらかというと悩みを抱える子どもたちが少なくなるように取り組んでいきたいと思っています。
「しあわせ信州創造プラン」に即した整理と、最後の42ページ、「行政経営改革」についてです。昨年、コンプライアンスの推進に取り組んできましたが、引き続き県民の期待に応えられる県組織を作っていくという意味で、行政経営改革に真剣に取り組んでいきたいと思っています。行政経営方針については今日からパブリックコメントを出させていただくことになっています。皆さんのところにも、お配りさせていただいているかと思いますけれども、今回、県職員の意見も入れながら行政経営理念の見直しを行ってきました。これはまだ案の段階ですけれども、バリューとしては、挑戦・迅速・責任、この三つを掲げてはどうかと思っています。それと合わせて、組織としてはこの行政経営方針ということで、県民の信頼と期待に応える組織づくりということで、コンプライアンスの推進を中心に、さまざまな意識改革、組織風土改革を行っていきたいと思いますし、また、共感と対話の県政の推進ということで、さまざまな主体との協働の推進、あるいは対話型の行政運営を強化していきたいと思っています。そして行政サービスを支える基盤づくりということで職員の育成・適正配置、ファシリティマネジメント、あるいは持続可能な財政運営、そして情報の観点では情報資産の活用と保全。こうした部分を軸にして行政経営改革を進めていきたいとに思っています。42ページに書いてあることを、平成29年度において着実に具体化させていきたいと考えています。
あと、中期財政試算、資料1-3でお付けさせていただいているかと思いますが、県立4年制大学に加えて、大規模な建設事業として信濃美術館、それから武道館についても資産の中に加えて、試算を立てさせていただいております。県債残高については2ページに記載している通り、引き続き減少基調の見通しです。ただ、一般財源は平成29年度も97億円の不足という状況であり、平成30年以降も社会保障関係費の増加等が見込まれる中で、引き続き厳しい財政運営が続く見通しになっています。今後とも、事業の見直し等を徹底してまいりますが、併せて予算執行段階における歳入の確保、そして歳出の削減、こうしたことも不要不急の事業がないように予算編成しておりますけれども、事業執行するに当たっても予算があるから使い切るというような発想ではない財政運営をしていきたいと思っています。
長野県知事 阿部守一
組織改正についてです。組織改正については先ほどの部長局長会議において決定しました。地域課題に対応するための地域振興局の設置、併せて地方事務所の廃止、そして県税事務所の設置、さらには地方事務所の建築部門の移管ということです。これについてはこれまでもご説明してきておりましたので、詳細なご説明は省略いたしますが、今回の現地機関の見直しは、私はまだ地域課題を地域で解決するための入り口だと思っております。引き続き県と市町村との関係の見直しであったり、あるいは現地機関の中でも、これからの産業振興にとって重要な試験研究機関のあり方の見直しなどについては今後引き続き行ってまいりたいと考えております。
コンプライアンス推進体制の強化、しごと改革関連業務の一元化という観点で、コンプライアンス・行政経営課を新たに設置いたします。コンプライアンス推進室と行政改革課は廃止しますが、ここが司令塔になって、先ほど申し上げた行政経営方針の具現化を図っていきたいと思っております。また、全国植樹祭推進室は廃止し、他方で平成31年度に開催予定の「全国都市緑化信州フェア」の準備を進めていくために、全国都市緑化信州フェア推進室を設置していきたいと考えています。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今のご説明でもありましたけど、今回の来年度の予算案の関係は新しいことを次々にやっていくのではなく、着手したこと、やり始めたことをしっかりやっていく、それで成果をあげることに力点を置いたというご説明がありましたが、それは5か年計画の総仕上げという観点でと理解してよいわけですか。
長野県知事 阿部守一
そうです。今、長野県は二つ大きな戦略目標があって、一つは「しあわせ信州創造プラン」、そしてもう一つは「信州創生戦略」、二つありますけれども、「信州創生戦略」とそれから「しあわせ信州創造プラン」、二つ大きな戦略目標があるわけですけれども、まず、平成29年度は「しあわせ信州創造プラン」の最終年度ということで、これはしっかり達成をしていくということを念頭に置いて予算編成するようにということで財政課にも指示しています。先ほどの部局長会議でもご紹介しましたが、総仕上げだからということを意識して各部と予算折衝してもらいました。私からも、各部局にはそういう指示をして取り組んできたわけですので、先ほど言ったように、人口減少対策と「信州創生戦略」も引き続き進めていきますが、「しあわせ信州創造プラン」の実行に、比較的軸足を置いた予算にさせてもらっています。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今回の予算は九つのプロジェクトの関連事業が310億円ということで、前年度に比べると59億円増えていると伺っているのですが、その中身を見させていただくと、新県立大の建設費がちょうどピークを迎えて、それで59億円増えているということで、トータルするとそんなに変わらなくなってしまったのかなと思って、その辺、なかなか財政状況も厳しい中で思い切った、そのプロジェクトの仕上げに向けて、ちょっと思い切った配分ができたかとか、そういうメリハリをつけることができたかどうか知事はどのようにお感じになっていますか。
長野県知事 阿部守一
予算の額だけが仕事の質ではないと思っているところがまず一つありますし、それから県立大学自体も人と知の基盤づくりということで極めて重要なプロジェクトです。予算総体として見ると、県立大学を除くとほぼ横ばいだというご指摘ですけれども、少し中身を申し上げると、例えば先ほど申し上げたように25指標については達成見込みとなっていますけれども、まだもうちょっと努力を要するという指標もあります。そうしたものも何とか目標に近づけようと予算を組み立てています。いくつか例を申し上げれば、例えば、若い世代やシニア、障がい者の雇用促進で、就業率が今2位。1位を取ること自体が目的化していいかというと議論がありますけれども、「しあわせ信州創造プラン」では、目標1位になっているので、2位をもうちょっと上げなければいけないと、例えばジョブカフェ信州の就労支援体制強化ということで、銀座、あるいは上田、こうした所にサテライトをつくる経費、これはかなり金額的にジョブカフェ関係の予算を増額しています。また、先ほども申し上げましたけれども、障がい者の就労をもっともっと支援しようということで特別支援学校に就労コーディネーターの配置をしていきたいと思っています。それから、これも努力を要するとされているものの中に、文化芸術活動に参加する人の割合、これが未達成ですけれども、芸術監督団の設置をして、いろいろな取り組みを進めていただこうとしていますけれども、やっぱり、いろいろな施策を進めるスタッフが今、文化振興事業団、手薄だということで、そうした部分のスタッフについても、県として応援して文化振興の取り組みを進めていこうと思っています。また、学校満足度は教育関係の指標に入っているのですが、これは小学校も中学校も「まだ努力を要する」という評価になっています。こうしたものを何とか改善したいということで、今回、スクールソーシャルワーカーを大幅に増員させていただいて、子どもたちの悩みにしっかりと寄り添って、学校に対しての満足度を上げていけるようにしていきたいと思っています。
それから信州ブランドの確立ということで取り組んでいますけれども、実はブランドランキング10位以内に入るようにしようと、当初指標を作った時の指標が今とられてないので、今、別の指標で代替して、それだと8位ということにはなっていますが、まだまだ十分ではないということで、例えば、銀座NAGANOを通じたブランド発信ということで、しあわせ信州コンシェルジュの配置とか、あるいは、NAGANOWINEの国際ワインコンクールへの出展支援とか、そうしたことで長野ブランドの一層の発信を支援していこうというような部分、今申し上げたようなことは、未達の目標に対して、そうしたものを一歩でも進めようと意識して予算編成させていただいている例ですので、そうしたことを財政課と各部がかなりやりとりをしながら、今回組み上げてまいりました。
信濃毎日新聞 千野雅樹 氏
今、(「しあわせ信州創造プラン」の)43指標のうち25指標が達成できそうだと。6割弱なのですか。その辺の進捗(しんちょく)度合いは、個別の事業で一歩でも進めようというものをご紹介いただきましたけど、全体としてみると、この進捗状況というのは、知事はどのように認識されていらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
これはいろいろな見方があり得ると思いますけれども、私としては、かなり進捗させてこられているのではないかなと思っています。例えば、先ほど言ったように、就業率1位、2位というのは、うちの県が改善されても、他の県がもっと改善されれば順位は下がるので、その指標の立て方として適切だったのかどうかという反省点も、正直いくつかあり得るなと思っていますが、大きな方向性としては、掲げた目標に向けて進めてくることができたのではないかと思っています。例えば、観光消費額も目標値の3,300億円を達成することができましたし、農業総生産額も順調に拡大をしてきているということ、あるいは、日本一創業しやすい長野県づくりということで、創業支援資金の利用件数も、着実に毎年増加して目標はほぼ達成できるだろうと思っていますし、エネルギー自給率についても、これは一度途中で上方修正していますが、上方修正する前の目標はもう達成していますし、上方修正した目標に向けても、着実に進めていますので、そういう意味で、相当程度の部分はいい方向に来てるなと、あと、移住者の数とかですね。ただ、他方で、なかなか数値化しづらい、さきほどの文化芸術活動の参加とか、自分の地域への誇りだとか、そういう部分については、統計調査のあり方等も工夫改善しなければいけない部分もあると思いますけれども、まだまだ達成しきれていないということで、そういう部分については、これから政策の推進と同時に目標の立て方とか、さらなる工夫改善が必要な部分もあるかなと思っています。ただ、全体としてはかなりの項目については、着実に進んできていのではないかと思っています。
日本経済新聞 白岩ひおな 氏
重点的に掲げられた項目の中で2点ほどお伺いしたいのですが、まず、県立大の関係ですが、今回、増額分の目立っているところとして県立大の建設費用があるかと思うのですが、費用だけではなくて、建設だけではなくて、再来年度の開学に向けて、どうやって協約内容を作っていくかというところの設立準備が本格化するかと思うのですが、今回、予算の中で、創業支援のプラットフォームを作るというような内容も入っていて、起業家の県立大のコースですとか、ソーシャルイノベーションセンター等のこうした起業支援の部分で、産学官でどう連携していくかということが、焦点になってくるかと思うのですが、来年度はどういった形で取り組んでいきたいかということを、伺えますでしょうか。
長野県知事 阿部守一
これからの長野県にとって、今、ご質問いただいた点は大変重要だと思っています。私は県立大学設置構想の段階から、単に県立大学は、学生の教育の場だけではなくて、地域を発展させていく上で不可欠なものだと申し上げてきていますけれども、新しい県立大学も、地域にイノベーションを起こしてもらう、ソーシャルイノベーションを担う役割を果たしてもらいたいと思っています。そのような中で、例えば産業労働部では、日本一創業しやすい長野県づくりを進めています。あるいは、教育委員会では、県立図書館の平賀館長が中心になって図書館改革を進めています。こうした取り組みはいずれもイノベーティブな長野県をつくっていこうという方向性においては一致していますので、私からはそれぞれの分野が協力・連携できるように、大学の設立・開設は来年ですので、それに向けてしっかり問題意識を共有して、方向を共有して、一緒に考えて欲しいと頼んでいます。ですから、県立大学が開学した後、本当のイノベーション拠点になり得るように、まだ1年間ありますので、関係者の皆さんと一緒に検討して、開学当初から地域の発展にしっかり貢献できるようにしていきたいと思っています。
日本経済新聞 白岩ひおな 氏
来年度のプラットフォームの設立及びそういった場の設置というのはどのような時期的なものを見てらっしゃいますか。
長野県知事 阿部守一
時期というか、私が今言ったような話はもう既にやってくださいと言っているので、昨年コロラドに行って、ガルバナイズという組織も見て、そこはインキュベーター機能があり、人材育成機能があり、いろいろな人が寄り集まって起業する人を応援するという場になっているので、長野県においても地域、ビジネスもリノベーションも大事ですし、もう一つ地域のイノベーション、ソーシャルイノベーションも大事なので、その両者が長野県立大学を知の拠点としながら、いろいろな機関が連携して取り組めるように、形式的な会議を重ねるだけではなくて、むしろ関係者が顔の見える関係をつくることによって、進めていくようにしたいと思っています。
日本経済新聞 白岩ひおな 氏
グローバル経済の対応という項目の部分ですが、アメリカのトランプ大統領の方で、TPPの離脱の大統領令の署名がございまして、他県の例ですと伝統工芸品の輸出拡大をしようとしていた自治体が冷や水を浴びせられたような形になっていたり、いろいろ問題も出ているようですけれども、長野県の農産品などの輸出戦略に対して、今の国際的な環境がどのように影響するかということについて、どう見てらっしゃるか伺えますか。
長野県知事 阿部守一
まず製造業の分野においてはTPPが成立しないのは極めて大きな影響があり得るだろうと思っています。また、トランプ大統領の就任前後から為替レートや株価も、かなり変動が激しいと思っていますので、そういう意味で、トランプ大統領の発言や行動であったり、アメリカ経済の動向であったり、これまで以上に注視しなければいけない状況だと思っています。農業の分野においては、長野県は比較的海外に対する輸出は後発組だと思っています。今必死に販路開拓、関係の皆さんと一緒に取り組みを始めていますが、もちろんグローバル経済の中での影響はあり得ると思いますけれども、それ以上にわれわれ自身の努力がまだまだ必要な分野だと思っています。他の県と例えばTPPの問題や、国際的な環境は裏を返せば国内間の地域間同士が同じ環境ですから、他の地域に負けないように、あるいは他の地域と連携してしっかりと販売促進、輸出促進を図っていけるように取り組みたいと思っています。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
大北森林組合の事件に関連することですが、この当初予算で造林関係の国庫補助金を使った予算も盛られていて、担当課の方に聞きますと、停止している大北森林組合への補助金分は算出上は入っていないけれども、今後、どの事業体に配分するかという箇所付けを行う際に、その段階において、大北森林組合への補助金交付が再開していたと、再開の判断をしていたら、その場合においては組合への交付が可能性としてはあり得ると聞いているのですが、組合から新しい補助金の返還計画が1月末に県の方にも提出されて、その中では、来年度からの補助金再開を織り込んで作ってあるということなのですが、知事とすると、現段階でどのくらい言えるのか分からないのですが、来年度の補助金再開についてはどのようなお考えを持ってらっしゃるのかをお伺いしたいです。
長野県知事 阿部守一
今ご質問いただいたように当初予算案については、事業主体から要望があったものを念頭に置きながら事業量を積算しているわけですけれど、大北森林組合に対して補助金の交付を再開するかどうかということは、今回のような不適正な事業が長年行われていたことに鑑みれば、組合内部の管理体制が本当にしっかり再構築されているのかということも含めて、われわれとしては十分確認しなければいけないと思っています。事業経営計画、それから補助金等返還計画も組合から提出していただいていますので、こうした内容を精査すると同時に、組合の現状、取組状況、こうしたことも確認しながら、この補助事業をどうするか考えていかなければいけないと思っています。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
ここに盛られている予算からも、再開を判断した場合は、組合に対して交付可能であるという担当課の説明は知事もご認識とすると同じですか。
長野県知事 阿部守一
公共事業の予算は枠で確保して、実際に事業の執行の段階で箇所付けを考えていく形になっていますので、今の予算の案の中で、仮にそうした形で事業再開になれば、まずは対応を考えることになると思いますけれども、予算は別に硬直的な話ではないので、予算が変動すれば増額したり補正減したり、いろいろなことがあるので、今の段階では、これは担当課から説明していると思いますけれど、事業主体から出た要望を踏まえて積算しているけれども、大北からの要望量については含んでいないということです。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
知事からも今お話がありましたけれども、組合の状況をしっかり確認するというお話があって、担当課からの方からも、再開の是非を判断する材料としては組合が適正に補助事業を実行できる体制が確認できるということになると聞いているのですが、具体的にどのような点をチェックして、再開の是非を判断するのかを取材にお伺いしたところ、非常にたくさんあるので答えられないと、たくさんありすぎて答えられないと、繰り返し何回も訪ねても、非常に漠としたお答えだったのですが、知事としてはこのような説明で十分だと思いますか。
長野県知事 阿部守一
担当を誰に問い合わせしてもらったのか分からないですけれど、責任を持って回答できるまで整備されてない状況だからそのようなお答えをしたのかと思いますので、われわれとしては判断していく上で、視点を持って判断しないといけないと思いますので、そこはちゃんと整理をしてお伝えできるようにしたいと思います。
信濃毎日新聞 須田充登 氏
確認が終わった後であれば説明をしろと言われればするけれどもという話もあって、今どういう点を精査するのかが決まっていないから話せないのか、あるいはおっしゃるようにたくさんありすぎて、説明できないということなのかよく分からなかったのですけれども、知事とすると、確認をする前からどういう視点でどういうところを具体的に確認するかを県民に向けてちゃんと説明する必要はあるとお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
県民に向けてポジティブに説明を、例えば私がここでこれとこれやりますとやるところまでが必要かというと、多分そこまでやらないと思いますけれども、そのようなご質問が出たときには答えるべきものだろうと思いますので、誰に、いつ、どんな問い合わせをされたのかが分からないので、抽象的なやりとりになってしまいますけれども、私も林務部がどのような対応をしたかを確認した上で、われわれとしてはこの問題は県民の理解、しかも林務行政に対する信頼も私は重要なポイントだと思っていますので、できる限りの対応をするように考えていきたいと思います。
信濃毎日新聞 渡辺秀樹 氏
今の大北森林組合の関係ですが、一つは県の不正分に対して、国の加算金が3億5,000万円余発生していて、これを納めたのを採用の抑制と、それから超勤手当の削減で賄う方針だと聞いています。これは取材によると、今回の予算では人件費をトータルで1億7,000万円縮減することになっていますけれども、こういう問題はやはり予算の説明書の中に入れて、県民の理解を求めるべきではないのかというのが1点。それから、この問題については罪のない人たちに責任を負わせるのではなくて、関係した職員が賠償すべきだということで住民監査請求が起こされていて、今月20日にその結論が出るということになっています。その結論によっては人件費の縮減というのは見直すことがあるのかどうか。以上2点です。
長野県知事 阿部守一
前段の話はまったくご指摘の通りだと思っています。われわれが9月12日付で補助金返還の対応ということでペーパーをお配りして、メディアの皆さんにもお配りしていると思いますけれども、その対応の中で一番最後のところに今後の取り組み方針とを書かせていただいていますけれども、まず、今回の問題は職員自らの問題と捉えます。それから県組織全体として業務の進め方やルールの見直しを通じた人件費削減など、徹底した仕事改革を断行し、行政コストを削減するとともに職員の努力による収入の確保に取り組み、その結果を公表しますと記載しています。公表するという前提です。ですから、まだ予算の段階ですので、例えば28年度の超過勤務の実績がどうなっているのかは、まだ現在進行形ですので、そういう意味でしかるべき時期にまとめて公表する形になるかと思います。それから2点目ですが、住民監査請求の取り扱いについてどうなるのかは、私は全く関与していませんので、現時点で、もしこうならこうということで対応をしかねるというか、コメントできかねるのでご理解いただければと思います。
読売新聞 丸山修 氏
今回の予算編成におきまして、知事査定のプロセスでは知事ご自身がどのような事業の仕分けをなされたのか、知事の思いや判断が具体的に予算のどのような部分に反映されたのか、例を挙げていただきながら教えてください。
長野県知事 阿部守一
まず初めに申し上げておきたいのは、先ほども申し上げましたけれども、今回の予算編成プロセスはこれまでと少し変えています。今までは各部積み上げ、最終知事査定で、まとまったものをくくって発表という形にしています。今回は予算編成方針でこの五つの重点政策の柱を出して、それを踏まえて、各部で検討するという、ボトムアップとトップダウンが完全にではないですけれども、ある程度逆転している予算編成の仕方になっています。当然のことながら、この五つに軸足を置くというのは私の意思ですから、最初から私の考え方が予算に入っているということです。細かい話を一つ一つ今ここで申し上げられる状況にないですが、例えば、先ほども申し上げた、「森のようちえん」や「信州やまほいく」は認定制度だけではなくて、質の向上という観点でも、なかなか財政的に厳しい認可外の部分については、かねてから支援策を講じる必要があるのではないかと思っていましたので、そういうことも踏まえて担当課の方で検討して制度化してもらっています。あるいは、地域振興局長に所管してもらう地域振興推進費、これも私は地域重視を考える中で、まずは1億円程度を、多いか少ないかは実行してみなければ分かりませんけれども、局長の皆さんの責任の範囲内で執行してもらいたいと予算付けさせていただいています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
先日、千曲市が誘致を目指している新幹線の新駅の期成同盟会の顧問に最近知事が就かれたと思うのですが、千曲市では知事の顧問就任で、県がより前面に立って活動してくれると、そんな期待もあるかと思うのですけれど、知事は今回の顧問就任で、千曲市への支援はどの程度のレベルで支援するお考えでしょうか。
長野県知事 阿部守一
顧問ですから、例えば、私は中部横断道や中部縦貫道なども、地元の市町村長が会長をされていますけど、そういうものについても顧問をさせていただいています。これまでも千曲市の駅の設置の取り組みについては県としても、相談にあずかっている関係もありますので、私が前面に立って推進するということではなくて、千曲市として進めていこうとすることを顧問という立場で、今までも県としてアドバイスしていますけれども、引き続きアドバイスをしていくという形になるだろうと思います。私どもとしては、千曲市において建設費用の精査であったり、財源をどうするかとか、需要予測をどうするか、いろいろな課題があると考えていますし、そうした指摘も千曲市にさせていただいていますので、こうした点について千曲市の方で、まずはしっかりと考えてもらうことが重要だと思っています。
信濃毎日新聞 井手拓朗 氏
今回千曲市は、知事が顧問に就任したことでJR東日本との交渉の際に、県職員に同行してもらって、一緒に話を進めてもらいたいと、そのような思いもあるようなんですけれども、千曲市の要請に県が一緒について行くとか、そういうことは考えられるのでしょうか。
長野県知事 阿部守一
まず、千曲市がどういうお考えかをお伺いしないと分からないですけれども、千曲市において、先ほど申し上げたような課題、論点、そうしたことをまずしっかりと詰めてもらうことが必要な段階ではないかと思っています。
読売新聞 下里雅臣 氏
知事が今このタイミングで、要請は今回あったということですけれど、昨年は顧問の就任を見送ったようですけれども、このタイミングで就かれた理由が何かあれば教えていただきたいです。
長野県知事 阿部守一
これは事務的なやりとりの中で私が入れていただくことになっているわけですけれども、県内のすべての市長、市議会議長が同盟会顧問に入ったということで、一部の市町村だけではなくて全県的にそうした体制ができてきたというのは一つ、われわれの考慮した要因としてはあります。ただ先ほどから申し上げているように、クリアすべき課題もまだいろいろあるのではないかと思っていますので、そのような観点については、千曲市やこの同盟会の取り組みをわれわれとしては応援していくという立場だろうと思っています。
テレビ信州 佐々木渉 氏
大北森林組合の関係で、33年で返還するという新しい計画書が提出されましたが、それに対する知事の評価、感想を教えてもらいたいのと、なぜもっと早く計画できなかったかと思うのですが、これはしっかり返還できるものなのかどうかという判断、評価を教えてください。
長野県知事 阿部守一
大北森林組合から補助金の返還計画等が出されているわけですけれど、私どもは昨年6月に林務部長名で見直しを求めた項目が4点あります。こうしたわれわれからお示ししたものに対してどのような検討がされてきているのかという観点であったり、あるいは、今回提出していただいている計画の実現性が妥当かどうか、こうしたことを、今精査しているところです。4項目、責任の明確化であったり、新たな発想であったり、徹底した管理費の削減であったり、まず、こうしたことがどのように具現化されているかチェックするなかで県としての対応を行っていきたいと思っています。
テレビ信州 佐々木渉 氏
銀嶺国体スケートで男女総合優勝だったり、カーリングでも軽井沢のチームが優勝したりですとか、信州の冬のスポーツが盛り上がっていますけれど、今後の期待を教えてください。
長野県知事 阿部守一
長野県は最近スポーツが順調だなと大変うれしく思っています。冬季国体のスケートも、2シーズン連続総合優勝ですし、カーリングも男女とも頑張って優勝していますし、御嶽海関も頑張っているし、男子駅伝も都道府県対抗で優勝したし、最近、スポーツ分野でうれしいニュースが続いていて非常にありがたいと思っています。長野県もスポーツチームと包括連携協定を結んで、スポーツで元気にしようと取り組んでいますので、引き続きこうした取り組みを着実に進めると同時に、健康長寿県なので、スポーツと健康とか、スポーツと観光とか、そうしたスポーツを核としていろいろなことをこれから考えていきたいと思っています。
時事通信 金澤俊子 氏
今日から県庁の階段に応援メッセージが表示されていると思うのでが、知事ご自身で健康管理の面で気を付けていることはありますか。または「信州ACE(エース)プロジェクト」を今後進めていく上での意気込みをお聞かせいただけますか?
長野県知事 阿部守一
私自身は、最近また運動不足かなと思っていますけれど、なるべく歩こうと思ってます。本当は車の移動ではなくて歩けるところは歩きたいけれど、いつも時間がギリギリなので車で移動していますけれども、例えば休みの日はなるべく妻と一緒に、いろいろ歩いて出掛けるようにしています。もう一つは、塩分取りすぎにならないように食べ物にはいろいろ気を使っています。「信州ACEプロジェクト」については、今日から庁舎内の階段に、ワンフロアで5kcalと表示してもらっていますけれども、いろいろな形で県民運動に広げていきたいと思っています。部局長会議でも言いましたけれども、健康福祉部だけではなくて、今回も職員課とか財産活用課とか、総務系の人たちにやってもらいましたけれども、全ての部局で健康と関わり得ると思っています。農政部は食で関係するし、林務部は森林セラピーで関係するし、観光は運動、スポーツ等で関係する。健康長寿県長野県としては、この「信州ACEプロジェクト」を多面的に広げていけるように各部局を挙げて、これからも取り組んでいきたいと思いますし、県民の皆さんの巻き込みがまだまだ弱いかなと思っていますので、そうしたことにも十分意識を持ちながら政策を進めていきたいと思っています。
市民タイムス 赤羽啓司 氏
会議の開催方法について一つ伺いたいのですが、専門家の皆さまで作っている、例えば審議会とか研究会とか、その系統としては部会の方なのですが、東京で開催するのが何回か見られまして、確かに専門の方なので忙しいというのは分かるのですが、例えば、明日東京事務所である地方税制研究会の専門部会は傍聴できるようなことが書いてあります。特にこのような傍聴できるものは、県内で開いた方がいいのではないかと思うのですが、知事はどのようにお考えですか。
長野県知事 阿部守一
そのような観点も確かにあるかもしれないですよね。委員の皆さんの便宜のためだろうと思いますけれども、県民の皆さまに開かれた場で検討してもらうことからすると、県内でやった方が望ましいのではというご意見も傾聴すべきご意見だと思いますが、そこら辺のあり方はどうあるべきなのか私も考えてみたいと思いますけれども、例えば私が出る伊那谷自治体会議も私がここにいて、他の人たちは皆伊那谷とか、それもありますよね。時間の効率性を考えると、どうしても私としてはそうしてもらいたいなというところがあるので、委員の皆さんにあまり過度な負担をかけてもいけないなというところもありますけれども、ただ、確かに県でやることは長野県を中心に考えた方がいいのではないかという指摘はその通りだと思いますので、あまり安易にならないようには考えていきたいと思いますので、またそこは検討課題とさせてください。
長野県知事 阿部守一
どうもありがとうございました。
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