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更新日:2023年12月22日
長野県立総合リハビリテーションセンター
障がいの程度(等級)は、等級表に基づいて決められていますが、交付(再交付)から期間が経った場合に、その障害程度に変化が生じることはあります。障害程度に変化がある場合には、再交付申請により等級変更が可能な場合もありますので、法第15条指定医にご相談ください。
なお、障害程度に変化があっても、等級上は変更がない場合もあります。
障がいの種類には、『肢体不自由』のように目に見える障がいと、『内部障がい』のように目に見えない障がいがあります。それぞれの障がいごとに等級が決められており、異なる障がいの間で等級の比較をすることは適切ではありません。
障がいが重複する場合には、それぞれの等級に割り当てられた指数を合算し、合計指数の値によって等級を認定します。例えば、心臓機能障害3級の指数【7】と肢体不自由4級の指数【4】の合計指数は【11】となります。これは、2級の指数範囲【11~17】の範囲内になるので、総合2級と判断します。
ただし、障がいによっては重複認定や合算できない場合もあります。
等級 | 指数 | 合計指数 |
---|---|---|
1 | 18 | 18以上 |
2 | 11 | 11~17 |
3 | 7 | 7~10 |
4 | 4 | 4~6 |
5 | 2 | 2~3 |
6 | 1 | 1 |
7 | 0.5 | - |
身体と、知的発達の両方に障がいがあると、社会参加する上で大きな障がいとなります。そこで、知的障がい児(者)のための療育手帳では、中度の知的障がい(B1)があり、身体障害者手帳の等級が1、2、3級の場合には療育手帳の等級を上げる措置を行っています。軽度の障がいの場合は等級は変りません。
身体障害者手帳の取得や、再交付によって等級が変化したら、療育手帳の程度変更を申請してください。申請窓口は市町村です。
療育手帳の もともとの等級 |
身体障害者手帳 1~3級 |
身体障害者手帳 3~6級 |
---|---|---|
A1 | A1 | A1 |
B1 | A2 | B1 |
B2 | B2 | B2 |
なお、これは長野県の場合です。療育手帳の等級は国ではA(最重度・重度)およびB(最重度・重度以外=中度・軽度)と定められています。それを細分するのは各自治体に任されています。
合算はできません。
障がいの程度が、等級表のうえで中間と判断可能でも、該当する等級がない場合には下位の等級(数字が大きい方)に認定されます。例えば、じん臓機能障害に2級はなく、1級と3級の間と判断される場合にも、3級と認定されます。
病気やケガの内容と、障がいが一致していること(因果関係が身体的原因であることがはっきりしている)が必要です。その原因によっては該当しない場合があります。障がいの原因となる傷病、障がい部位と、障がい種別は厳密に定義されています。
なお、病名は明確であることが望ましいです。
特に注意が必要なのは、精神的、心理的原因による場合、知的障がい、発達障がいが原因である場合は身体障がいとして認定が難しいということです。
障がいの種別 | 該当する原因 | 該当しない原因 |
---|---|---|
視覚障害 視力 | 視力障害となる傷病により、視力が基準に合致する | 心理的原因 片目のみの失明 |
視覚障害 視野 | 視野障害となる傷病により、視野が基準に合致する | 中心性視野狭窄でない 眼瞼下垂など |
聴覚障害 | 聴覚器官の障がいであること | 認知症、自閉症、精神科疾患などによって反応が困難な場合 |
平衡機能障害 | 四肢や、体幹に器質的異常がなく、平衡機能が障がいされているために歩行が困難となっている状態 |
体幹機能障害、下肢機能障害など →肢体不自由となります。 |
音声機能障害 | 音声を発するための基本的機能の障がい | 一時的な舌の腫瘍 知的障がい、自閉症等の発達障がいにより言語獲得がない場合 心理的、精神的原因 |
言語機能障害 | もともとあった言語機能が障がいされた場合 |
知的障がい、自閉症等の発達障がいにより言語獲得がない場合 |
そしゃく機能障害 | そしゃく、嚥下機能の低下 | 食道炎 |
口唇・口蓋裂による咬合異常
|
相当程度の日常生活制限と治療により治癒可能 | 障害者総合支援法59条指定歯科医の診断がない 軽度のそしゃく機能障害など |
肢体不自由 全般 | 傷病により、肢体の機能が直接的に障がいされたり、運動機能を司る脳の機能に障がいがあること | 小人症、知的障がい、認知症 痛みのみによるものなど |
肢体不自由 脳原性 | 脳性麻痺など、乳幼児期以前に発現した非進行性脳病変による姿勢及び運動の異常 | 乳幼児期以後の傷病等によるもの 後天性の障がいなど |
心臓機能障害 |
心臓の機能に永続的な障がいがあること ペースメーカー植え込み術や人工弁移植、人工弁置換術をした場合 |
急性心筋梗塞など一時的と思われる症状 |
じん臓機能障害 |
じん臓の機能の永続的な障がいがあること じん臓移植後の抗免疫療法が必要な状態 |
人工透析のみをもって認定されません |
呼吸器機能障害 | 肺、胸郭系の疾患、呼吸筋(横隔膜を含む)、または末梢神経障害に由来する呼吸器機能障害 | 肺高血圧症のみの症状で心臓機能障害に該当する可能性がある場合 酸素療法の実施のみ 過換気(過呼吸)症候群など |
ぼうこうまたは直腸機能障害 | 人工肛門や尿路変更(変向)のストマを装着した場合及び 二分脊椎など先天的な障がいによる排便排尿機能障害 |
後天的な脊髄疾患、知的障がい等によるもの 一時的ストマ |
小腸機能障害 |
小腸大量切除を伴う疾患、病態 永続的に小腸機能の低下を伴う小腸疾患 |
|
免疫機能障害 | ||
肝臓機能障害 |
90日以上180日以内の2回の検査が基準に合致すること |
アルコール摂取がやめられない場合 |
「先天性」は、必ずしも永続的な障がいを示すとは言えません。原因及び障がいの内容が身体障害者障害程度等級表に合えば、手帳は交付されますが、将来の再認定が必要な場合もあります。
先天性の障がいであっても、等級上の変化がある場合もあります。また、最初の認定時期が早く、一定の年齢に達したときに発達の状況を踏まえて再度認定する必要があると判断される場合もあります。心臓機能障害のように子どもと大人の基準が異なる障がいもあります。
再認定は、その時点での障がいの程度を正しく評価し、必要な支援を行うためのものです。
遷延性意識障がいなど、意識がない状態というだけでは対象にはなりませんが、原因となる疾患の治療が終了し、医学的、客観的な観点から障がいが継続していると判断できる場合には認定の可能性があります。
その場合は、主として『肢体不自由』の基準が適用されます。
見えている片眼の視力が認定基準表に該当しなければ認定されません。
見えている片眼の視野が保たれている場合には該当しません。片眼が見えなくても、視野が半分になるわけではありません。
視力を測定する方法です。「指数」は、目前の50cm以内の指の数がわかるもので、視力は0.01と換算されます。「手動」は、目前の手の動きがわかる程度のもので、視力は0と換算されます。
まぶたが下がって目が開かず視力が得られないだけでは、視覚障害、視野障害とは認められません。
目や視神経に障がいのない場合には対象とはなりません。
色盲や色弱などの色覚異常は、身体障害者手帳の対象ではありません。
高齢により、ことばの聞き分けが悪くなったからといって直ちに聴覚障害とは言えません。基本的には聴力測定器(オージオメータ)で、純音の聞き取りを検査し判断します。
乳幼児の場合、通常の聴力測定器(オージオメータ)検査は不可能ですが、睡眠時の脳波反応(ABR)や音への反応を行動で観察する方法(COR)によって測定は可能です。耳鼻科医師等にご相談ください。
自閉症や知的障がいのお子さんの場合、聴覚的な問題はなく、呼びかけに反応しないことがあります。この場合は、対象とはなりませんが、脳波による聴覚検査等で聴覚障害がはっきりしていれば対象となる可能性があります。
耳の機能に障がいのない場合には対象とはなりません。
永続的な聴力障害があれば、認められる可能性はあります。この場合、原因疾患は『音響外傷』と記載されます。
聴覚障害では、昭和59年以前に交付された手帳のdB(デシベル)表示は現在のものと違うので、換算して表記しています。換算は、旧表記に10を加えたものが新表記となっています。
小脳や平衡器官の障がいによって歩行障がいが現れている場合認定されることがあります。
下肢障害や体幹障害があって歩行がうまくいかない場合などの肢体不自由は、平衡機能障害と重複して認定できないこととされています。
肢体不自由の内容が、上肢の障がいのみの場合には、肢体不自由と重複認定される場合もあります。
もともと言語機能に問題がなく、病気や事故によりその機能を失った場合を想定しています。
知的障がい、発達障がい、自閉症などは原因疾患として認められていません。これらの方の場合には療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。
後天的な原因であっても、認知症などは原因として認められていません。
口唇・口蓋裂等の先天性異常の後遺症による咬合異常の場合には、障害程度の判定と、歯科矯正治療・口腔外科的手術によって改善可能かの両方の条件を満たす必要があります。
咽頭や構音器官の障がい等がなく、脳梗塞などの中枢性のものでない場合には認められていません。
肢体不自由の場合には、複数の身体部位に障がいが現れることが多くあります。例えば脳梗塞で、右(左)の上半身と下半身の両方が不自由になることがあります。等級の認定にあたっては、複数個所の障がいを総合的に判断して等級を決定しています。
「心臓機能障害」のみを持って肢体不自由の障がいとはいえません。
ただし、「心臓機能障害」や「呼吸器機能障害」の身体障害者手帳があって、車椅子が必要な場合には、補装具としての車椅子が交付される場合があるので、市町村にご相談ください。
『上肢』や『手指』機能の障がいを認定するためには、『上肢』あるいは『手指』を使おうとしても使えないという身体機能の障がいがあることが条件となります。重度の認知症や、遷延性意識障がいなどで、意思疎通が難しい場合には、『上肢』あるいは『手指』の障害認定をせず、『体幹機能障害』のみで認定することもあります。
なお、意識が回復するなどして、『上肢』あるいは『手指』を使う意思があるけど使えない状態があると判断されれば、認定可能です。
切断によって、身体障がいとなった場合には、病気あるいは事故に関わらずこのように記載しています。
指の機能全廃や切断については、部位により認定に違いがあります。参考図を用意しましたのでご覧ください。
切断部が大腿であっても、下肢の障害区分が「下腿2分の1以上」の次は「大腿2分の1以上」が基準となるので、切断部が「下腿2分の1以上大腿2分の1未満」は「大腿切断による下腿2分の1以上」としています。
単独では手帳交付や福祉制度の対象とはなりませんが、7級の障がいが2つ以上重複した場合や6級以上の障がいと重複した場合に手帳交付の対象となります。
なお、7級は肢体不自由にしか設定されていません。
肢体不自由として認定されるのは「機能の障がい」であり、痛みなど、客観的な評価が困難である場合には認定できません。
心臓機能障害の認定基準に該当するものであれば、認定可能です。しかし、更生医療の適用を目的に、心疾患の発生とほぼ同時に認定することは、障害固定後に障害認定するという原則から、適当ではありません。
また、バイパス手術の実施のみをもって心臓機能障害とは認定できません。
心臓機能の検査所見と活動能力の程度が心臓機能障害の基準に合えば、心臓機能障害として認定されます。
障害程度が変更するかもしれない場合に行うのが再認定で、新しい診断書を提出していただくことになります。『更生医療』を適用して、心臓の手術(ペースメーカー埋込術、人工弁移植又は人工弁置換術を除く)を行った場合、心臓の機能が回復し心臓機能障害が軽度化、あるいは非該当となる方がいますので、手術して3年以内に再認定を受けることになります。
人工透析はじん臓機能が悪くなって行うものなので、じん臓機能障害に該当する可能性はあります。しかし、認定基準では、血清クレアチニン濃度をはじめとしたほかの条件もありますので、人工透析の実施のみで認定されるわけではありません。また、人工透析の実施をもって1級とは認定されません。
呼吸不全等で、人工呼吸器からの離脱が困難で、常時使用が必要と認められれば、認定は可能です。
酸素療法のみで、ただちに呼吸器機能障害とはいえません。原因となる呼吸器疾患があって、動脈血ガスの分析値等が等級表の基準に該当する必要があります。
原発性肺高血圧や肺血栓塞栓症などの場合でも、常時呼吸器を使用するものであれば呼吸器機能障害として認められる可能性がありますが、在宅酸素療法の実施の事実や、活動能力の程度のみをもって認定することは適当ではないとされています。
呼吸器疾患のために検査が実施できない場合があります。その場合には、意見書・診断書に検査ができない理由の記載が必要です。無記入の場合、「やらない」のか「できない」のか判断できないので、調査等が必要になり、交付までに時間がかかる場合があります。
ぼうこう機能障害は、尿路を変更する永久ストマを装着した場合に認められます。
直腸機能障害は、腸管を変更する永久ストマを装着した場合に認められます。
自然排泄型代用ぼうこう(新ぼうこう)の手術を行い、自然排尿が可能であれば該当しません。
しかし、この手術の結果神経因性ぼうこうに起因して、カテーテル留置または自己導尿を常に行わなければならない状況であるなら認定される可能性はありますが、手術後6カ月の経過観察を行う必要があります。
排尿機能障害は、「先天性疾患(先天性鎖肛を除く)による神経障害」や「直腸の手術や自然排尿型代用ぼうこう(新ぼうこう)による神経因性ぼうこう」に起因するものに限られており、脊髄損傷や脳性麻痺などは認定の対象ではありません。
ストマ造設後、6カ月経過しないと「ストマにおける排尿・排便処理が著しく困難な状態」の合併による上位等級認定はできません。
ストマを造設してから6カ月以降にこの状態になっていれば、認められる可能性があります。
障害固定の原則から、永久ストマでないと認定されません。
なお、症状の変化等によりストマを閉鎖したら身体障がいに該当しない可能性がありますので、再交付申請が必要です。
切除によって残された小腸の長さと、中心静脈栄養法、経腸栄養法による一定の栄養補給が必要かどうかによって判断されます。
身体障害者手帳の交付に関しては、プライバシーの保護を重視して行っています。特に、免疫機能障害の場合には、審査取扱いのスタッフを限定し慎重に行っていますので、安心して申請してください。
アルコール性肝障害であっても、アルコールの摂取をやめ、積極的に治療した上で、基準に該当する場合には肝臓機能障害として認定されます。
アルコール性肝障害でなくてもアルコールは肝臓機能の悪化原因となることから、検査日前の180日以上の期間はアルコールを摂取してないことが必要です。2回目の検査は1回目の検査から90日以上180日以内に行うことが原則なので、最大180日+180日以上アルコールを摂取していない必要があります。
通常の認定に当たっては、90日以上180日以内の2回の検査結果が必要となるので、発症直後に肝臓機能障害としては認定できません。なお、すでに肝臓機能障害で手帳を取得している方については、肝臓移植も自立支援医療(更生医療)の対象となります。肝臓移植を行い抗免疫療法が必要な期間は1級として認定できます。認定後の抗免疫療法であれば自立支援医療(更生医療)の対象となります(更生医療は事前申請が必要です)。
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