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更新日:2024年10月15日
農業試験場
病害虫防除は、作物の安定生産や品質の維持・向上には欠かせません。一方、農薬による環境への負荷を軽減することは循環型社会を創るうえで重要なポイントです。そこで、水稲等の主要穀物の病害虫防除において、できるだけ農薬の使用量を減らすため、高精度な発生予察法の開発や要防除水準の策定を行い、それに基づいた防除技術の開発を目指しています。
また、農薬に代わりうる、微生物や天敵昆虫を利用した生物的防除法、熱・光等を利用した物理的防除法の開発、環境にやさしい農薬技術の選定及び利用法の開発に取り組んでいます。
さらに、マルチローター(ドローン)を用いたセンシングによる病害虫の発生予察技術や、効率的な防除法についても検討しています。
これまで開発された技術の詳細については、こちら(別ウィンドウで外部サイトが開きます)を参照ください。
また、長野県の主な農産物で発生が確認されている病害虫について、その特徴を写真などで図説したギャラリー(別ウィンドウで外部サイトが開きます)もございますので、参考にしてください。
ばか苗病は最も重要な種子伝染性病害であり、汚染種子を播種することにより育苗期から発生します。普段は種子消毒を行うと問題にはなりにくいのですが、近年になって特定の薬剤に対する耐性菌の存在が明らかになりました。そのため、新規の種子殺菌剤の効果を検討するとともに、耐性菌発生リスクを考慮した体系防除技術の開発に向けて取り組んでいます。
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イネばか苗病が発生した育苗箱 |
発病苗は黄化や徒長症状を示す |
ドローンの農業への活用方法として、空撮画像からのリモートセンシングによる発生予察技術ついて研究しています。併せてドローンを用い薬剤散布効果について実証と研究を進めています。
ドローンによる散布状況 |
散布用ドローン |
近年、全国的にダイズ茎疫病や黒根腐病が広範囲で発生しています。その中でも茎疫病は、松本地域を中心に畝間かん水によって発生が助長され、大きな減収要因になっています。現在、特に茎疫病の発生に与える影響を検討し、防除対策技術の構築を目指しています。
茎疫病発生圃場 |
排水不良の転換畑で多く見られる | 被害株の茎に見られる卵胞子(翌年の感染源となる) |
発生予察とは病害虫防除を効率的に行うため、病害虫の発生やその後の進展を予測することです。イネいもち病(葉いもち)の感染予測システム「BLASTAM」は、広域の予察として広く利用されています。当部では地域単位(局所)の感染予測をするため、「発生予察支援装置」や「作物栽培支援装置(クロップナビ)」を開発し、現在、県内各地で利用が進んでいます。
また、クロップナビを利用して、コムギ赤かび病など、いもち病以外の病害への適用も検討しています。
水田内に設置された |
「作物栽培支援装置」 |
コムギ赤かび病 |
主要穀物の病気に対する新農薬の効果と実用性を検討しています。
カメムシが登熟中の籾を加害すると斑点状や黒蝕状の食害痕が残り、斑点米と呼ばれる変色粒が発生します。米の品質検査で斑点米の混入率が0.1%以上になると2等米、0.3%以上になると3等米となってしまうため、生産者にとって経済的損失が大きくなります。
県内では、アカヒゲホソミドリカスミカメ、アカスジカスミカメ、トゲシラホシカメムシ類、アカヒメヘリカメムシなどのカメムシが主な加害種となっています。これらのカメムシ類の発生生態を調査し、耕種的な防除対策及び効率的な防除技術の開発に取り組んでいます。
アカヒゲホソミドリカスミカメ |
トゲシラホシカメムシ |
斑点米 |
稲の斑点米カメムシの主要種であるアカヒゲホソミドリカスミカメのフェロモントラップ誘殺数と斑点米発生量との関係を調査し、被害予測技術の開発に取り組んでいます。また、イネ縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカの発生予察技術について検討しています。
アカヒゲホソミドリカスミカメの |
アカヒゲホソミドリカスミカメの |
ヒメトビウンカ |
主要穀物の害虫に対する新農薬の効果と実用性を検討しています。
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