ここから本文です。
更新日:2024年3月6日
農業試験場
米麦等の主穀作物の生産は、主食としての利用はもちろん、水稲を中心とする輪作体系等により、本県農耕地のおよそ50%を占める水田をフル活用した農業生産に寄与することなど、本県農業の重要な位置を占めています。
当部では水稲、麦、大豆を対象に、高い生産性と品質を確保するための栽培方法の研究を行っています。また、省力で低コストの栽培技術の開発や先進的な農業機械を駆使した効率的な輪作体系の確立など水田の高度利用技術の開発を行っています。
省力・低コストで効率的な水田作と園芸品目の複合経営を確立するため、ICT、ロボット技術等を利用した各種農業機械(自動運転トラクタ、直進アシスト機能付き田植機、マルチロータ、収量・食味コンバイン、自動給水栓)を大規模経営体に導入した現地実証試験に取り組んでいます。乾燥システムは、導入が令和元年度冬となったため未実施となりましたが、それ以外の課題については、達成目標実現の為のデータ収集が計画通り進捗中です。
・関連する成果(普及技術)については産業用マルチローターの水稲除草剤散布に少量拡散剤及びフロアブル剤が有効である (令和元年)(別ウィンドウで外部サイトが開きます)へ。
成熟期の高温により玄米粒が白濁したり、割れが生じるなどの障害が発生することが知られています。将来、温暖化が想定されるため、これらの障害が発生する気温や時期を解明し、対策技術を確立します。
玄米の種皮が赤く脱粒しやすい雑草イネが県内で発生し、一般米への混入による品質低下や減収などの被害が生じています。このため、雑草イネの撲滅のための対策マニュアルを策定しました。また、県下高標高地で発生し問題化しているカヤツリグサ科の強雑草であるシズイ対策にも着手しました。
麦畑に発生するアブラナ科、キク科などの帰化雑草、大豆畑に発生する帰化アサガオ類は防除情報が乏しく放置すると甚大な被害が生じます。そこで、これら難防除雑草の生態を解明し、防除対策に取り組んでいます。
パン用や麺用小麦の高いタンパク質含量と均一な品質を確保するための栽培技術確立に取り組んでいます。また、大豆の播種時期と梅雨時期が重なるため、湿害の発生が問題となっています。そこで、排水性の向上を主眼とした安定生産技術を目指しています。
本県の水田の多くが傾斜地に存在し、全国的に見ても畦畔率が極めて高く、畦畔の草刈り作業は生産者の大きな負担となっています。そこで県工業技術総合センターや大学、民間企業等の従来の枠組みを超え、多分野の研究領域の方たちと研究グループをつくり、新たな畦畔草刈り機の開発を目指しています。
標高差が大きく地域により気象条件が異なる本県において、それぞれの地域で栽培しやすく、生産者はもとより実需者や消費者から求められる水稲や麦類(大・小麦)の新系統・品種を奨励品種とするために、試験場内および現地水田(水稲10カ所、麦類4カ所)において栽培適応性や生産物の実需評価を行っています。
効率的な雑草防除技術や環境にやさしい農業の取り組みに生かせる、新しい有効成分の普通作物対象の除草剤や生育調節剤の実用性を検討し、利用技術を確立します。
水稲の帯緑色籾歩合と米の品質及び胴割との関係(平成13年度、試験して得られた技術事項)
登熟積算気温による収穫適期判定(平成4年度、試験して得られた技術事項)
低コスト栽培技術として各種の直播栽培や疎植栽培の開発を行ってきました。また、水田農業経営に有効な作付体系の提案やそれを組み立てる個別技術の開発を進めてきました。
雑草イネとは栽培イネと同じ植物種(Oriza.sativa.L)でありながら、玄米の種皮が赤いため、生産物に混入すると品質低下を招き、多発すると減収をもたらす水田の強害雑草です。雑草イネ対策の重要性をいち早く認識し、全国に先駆けて詳細な発生生態の解明や防除対策の開発に努めてきました。また、並行して関係機関からなる対策チームによる解決方策を積極的に推し進めています。これらの成果が認められ、総合的な防除対策技術が農水省による「最新農業技術・品種2014」に選定されました。
近年、大豆作や麦作における帰化雑草をはじめとした難防除雑草は現地で大きな問題となっており、当場では主要な研究課題として積極的に取り組んでいます。平成26年には、関係機関とともに「難防除雑草対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、県広域での情報の共有化および対策技術の普及を図っています。
本県の水田雑草はクログワイ、オモダカなど多年生の難防除雑草に加えて、平成10年頃以降はスルホニルウレア系除草剤(以下SU剤)抵抗性雑草(コナギ、ホタルイ、アゼナ)の対策が必要となりました。これまでに、これらの抵抗性草種に対応した成分を含む多くの除草剤を普及に移してきています。
新品種の栽培・普及は、選抜した育種部や現地の普及センター(農業技術課)など、多くの部門との共同の成果です。水稲の新品種「風さやか」は、現在、県オリジナル品種として関係機関一丸となって普及に努めています。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください