各種水稲の試験設置を行いました。
夏の暑さが厳しいなかでも長野県産のお米は高い品質を誇り、1等米比率が令和3~5年は全国2位、令和6年も全国3位と、全国でもトップレベルを保っています(農林水産省令和7年10月31日公表)。また、同じ広さの田んぼから収穫できるお米の量は、令和7年度には全国1位となるなど、多収県でもあります(農林水産省令和8年3月6日公表)。
こうした長野県の米づくりをさらに発展させ、全国の皆様においしい県産米を届けるための技術開発として、農業試験場では各種試験に取り組んでいます。その一環として、5月7日に各種試験に向けた田植えから開始しました。どのように生育し、どの程度の収量が得られるのかについて、気象や生育などの観測データと併せて調査・研究を進めていきます。
今回は、試験場内の水田に設置した5つの試験や種子生産の状況を紹介します。
- 農業用ドローンを用いた直播栽培での試験
- 田植え機を用いた移植栽培での試験
- 新規除草剤の効果試験
- 高冷地(原村試験地、標高1,017m)での品種選定や耐冷性試験
- 水稲原原種生産
1農業用ドローンを用いた直播栽培での試験
農業用ドローンは、農薬の散布や種まき等、農作業の省力化に資する技術として近年急速に普及し、現場での活用が進められています。従来は苗を育てて田植機で移植する方法が主流ですが、大規模経営では苗を育てる施設の確保や管理の手間が課題となります。そのため、田んぼに直接種もみを播く「直播(ちょくは)栽培」の導入が拡大しています。
今回の試験では、ドローンによる直播技術の確立を目指し、種まき作業を実施しました。
農業用ドローンでの水稲湛水直播栽培試験:播種作業でのケーブルテレビの取材(左)、種子散布分散の調査(右)
2田植え機を用いた移植栽培での試験
田植え機での移植の後に、試験区ごとの生育、成熟期や収量などを比較するため、波板で水田を区切り、適切な中干時期や期間の試験や自動抑草ロボットによる除草体系の試験を行います。

各種栽培試験での田植え機による移植作業
3新規除草剤の効果試験
除草剤の試験では、田植え後に田んぼの中に試験区をつくる作業を行いました。それぞれの区画で、使う除草剤の種類や量を変えながら、その効果や稲への影響(薬害)を比較していきます。今回の作業は関係機関の方々と協力して行いました。多くの人の力を合わせて、正確な試験ができるよう準備を進めています。

除草剤の効果試験では移植後、関係機関とともに試験区を区切る波板を設置
4高冷地(原村試験地、標高1,017m)での試験
長野県の水田は南北約212kmに広がり、標高差も約1,000mあります。そのため地域によって気候が大きく異なり、さまざまな条件のもとでお米がつくられています。特に、標高800m以上、さらに1,000mを超えるような高冷地での米づくりは全国でも珍しく、長野県の大きな特徴の一つです。こうした標高が高く、涼しい場所でどうしたら美味しいお米を栽培することができるかを研究するために、農業試験場では、原村の標高1,017m地点に試験ほ場(原村試験地)を有しています。
原村試験地では、これまでも全国に誇れる育苗方法(保温折衷苗代)の開発や、冷害に強い水稲「きらりん」、「ゆめしなの」の品種育成などの成果を出してきました。
今年も、高冷地に適した品種づくりや生育調査のために、5月26日に田植えを行いました。この試験設置は、原村役場農林課、諏訪農業農村支援センター、(公財)日本植物調節剤研究協会とともに実施しました。

原村試験地では関係者とともに手植え作業を実施
5水稲原原種生産
試験場では「原原種(げんげんしゅ)」と呼ばれる特別な種もみを育てています。原原種とは、品種や品質を保つために厳しく管理されながら育てられる、もとになる種もみのことです。この原原種から「原種」、さらに「一般の農家が使う種もみ」へと増やされていきます。

水稲原原種生産:手植え作業状況の取材
長野県農業試験場では今後も、高品質で安定的に収穫できる水稲品種の開発と稲作農家の省力化と生産性向上に貢献できる栽培技術の確立に取り組みます。
担当:作物部