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更新日:2024年11月27日
農業試験場
現在、水稲の生産現場では、温暖化による高温によって、図2のような白未熟粒と呼ばれるお米の割合が増え、品質低下の原因となっています。加えて、気象変動が進むなかでは、水稲の穂が形成される時期に急な低温に見舞われる場合もあり、不稔(受粉がうまくいかず、お米が実らないこと)の原因となっています。そのため、水稲の品種については高温への耐性と耐冷性も兼ね備えている必要があります。
正常なお米
図2白未熟粒(米が白く濁り品質が低下する)
現在、試験場では、気象変動下のこれらの相反する課題に対応できる有望な系統を開発中です。
この系統は、品質低下のもう一つの原因となる小型カメムシ類による斑点米被害が比較的少ないことや、いもち病抵抗性が強いことも今までの試験の結果から確認されており、病害虫に対しても強い特性を持っています。
水稲は、これら栽培上の課題に対応するだけでなく、お米としての食味が良いことも求められます。そこで、この有望系統について、炊飯米評価の専門家に食味評価を行っていただきました。
新たな有望系統の食味評価の様子
食味評価とその後の意見交換では、「くせのない香り」、「ある程度のあっさり感と重くないおいしさがある」、「万人受けしそう」等、総合して高い評価を受けました。
今後も、温暖化による気象変動下でも水稲の安定生産に貢献する品種開発を進めてまいります。担当育種部