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更新日:2024年2月2日
林業総合センター
高橋太郎・宮崎隆幸*
従来型機械と高性能林業機械を導入している事業体を対象にして、日報による功程調査や聞き取り調査を行い、地域で行われている搬出間伐の作業功程について解析し、生産性の向上について検討した。その結果車両系システムの優位性が確認された。このことより、事業体における効率的な作業システムの構築には、日報の分析が有効であり、日報の作成には、ルール作り、現場の状況の把握など事業体全体の取組が必要である。
キーワード:高性能林業機械、従来型機械、日報、労働生産性
増野和彦・古川仁・鈴木良一・高木茂*
里山の森林空間と森林内の資源を活用したきのこ栽培技術の開発を図った。その結果,クリタケ簡易接種法に関して,原木栽培,伐根栽培の5~8年間の累積収量を把握して,経営試算を例示することができた。また,クリタケについて,アカマツ,カラマツ,サワラを利用した殺菌原木法による栽培特性を把握した。
キーワード:里山,きのこ簡易接種法,殺菌原木栽培,クリタケ,経営試算
鈴木良一・高木茂*・増野和彦
森林空間を利用した新たな特用林産物の生産技術を開発するとともに,生産された特用林産物の流通・販売を促進するため山菜類の栽培試験及び農産物直売所調査を行ったところ,次のような結果が得られた。
キーワード:コシアブラ,イヌドウナ,塊茎増殖,農産物直売所
片桐一弘・竹内嘉江*・鈴木良一・高木茂*・小坂信行*・増野和彦
施設転用による菌床シイタケ栽培上の技術的問題点を解明し,菌床シイタケの効率的栽培法を明らかにするために各種栽培試験を行い,次のような結果を得た。施設の特性に合わせて品種を使い分けることの有効性が示された。他品目の栽培施設を転用し菌床シイタケを栽培する場合は,シイタケの特性を考慮した発生管理が必要と考えられた。また,培地含水率を適正に保つための水分管理が収量向上のために重要であることが分かった。トウモロコシ系栄養材を添加すると,フスマ・米ヌカを主体とした栄養材添加と比べると発生個数が多くなり個重が軽くなった。以上の試験結果及び既往の試験例等1-3)を基に,施設転用し菌床シイタケを効率的に栽培するための「チェックリスト」を作成した。
キーワード:菌床シイタケ,培養温度,品種,発生環境,水分管理
鈴木良一・片桐一弘・竹内嘉江*・高木茂*・小坂信行*・増野和彦
林内ホダ場と人工ホダ場において,散水の有無によるホダ木の含水率,重量減少率,断面のホダ付率の経時的変化を調査したところ,原木の腐朽促進に散水が有効であることが示唆された。種菌栓の素材を検討するため,オガ種菌について,発泡スチロール栓,ダンボール紙栓,パラフィン栓,蜜ろう栓を用いて栽培試験を行ったところ,ダンボール紙栓,蜜ろう栓は少なくとも他の栓資材と同等の発生量があった。これまでの試験結果等から,「持続
可能な原木シイタケ生産のためのチェックリスト」を作成した。
キーワード:原木シイタケ,林内ホダ場,含水率,種菌栓
増野和彦・細川奈美*・丸田弥生子*・高木茂**・古川仁・鈴木良一
空調施設栽培によるクリタケ菌床栽培の実用化を促進するため,培養後期の青色LED照射及び発生処理
時の培地被覆による子実体発生促進効果を検討した。その結果,菌株による差はあったが,子実体収穫所
要日数の短縮効果,増収効果を認めることができた。
キーワード:クリタケ,菌床栽培,青色LED,培地被覆,子実体発生促進
山内仁人・柴田直明・吉田孝久・加藤英雄*・井道裕史*・長尾博文*
天然乾燥と過度の高温乾燥を施したカラマツの120mm正角材について、縦引張り強度性能を比較した。カラマツ天然乾燥材の縦引張り強さの平均値は34.3N/mm2であったのに対し、過度の高温乾燥材の縦引張り強さの平均値は22.6N/mm2で、熱劣化によると考えられる強度性能の低下が顕著であった。
キーワード:カラマツ,天然乾燥,高温乾燥,縦引張り強さ,熱劣化
柴田直明・吉田孝久・今井信・山内仁人・守口海*
新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「安全・安心な乾燥材生産技術の開発」(2009~2011年度)の一環として,カラマツ120mm心持ち正角を試験対象とし,高温下での処理時間を変えた推奨乾燥材と非推奨乾燥材の強度特性を比較した。本報では,それらの試験体の調製について記す。カラマツ4m正角として2グループ,計100本を調製したが,いずれもほぼ予定通りに仕上げられた。製材直後とモルダ仕上げ後の縦振動法ヤング係数は,高い相関を示した。各正角からの3種類の試験体鋸断位置についても明記した。
キーワード:カラマツ,心持ち正角,高温セット乾燥,乾燥スケジュール,強度低下
今井信・柴田直明・吉田孝久・山内仁人・守口海*
カラマツ心持ち正角材の蒸気式高温セット乾燥では,熱劣化等による強度性能の低下が指摘されている。そのため,乾燥スケジュールの違いによる曲げ強度性能を比較した。カラマツ120mm心持ち正角材100本を2グループに仕分け,推奨・非推奨スケジュールで乾燥を行った。その結果,真の曲げヤング係数,曲げ強さの平均値に違いは見られなかったが,曲げ強さの信頼水準75%における5%下限値は,「推奨乾燥材」で27.5N/mm2,「非推奨乾燥材」で24.9N/mm2となり「推奨乾燥材」はカラマツ無等級材の基準強度26.7N/mm2を上回った。
キーワード:カラマツ,心持ち正角,高温セット乾燥,乾燥スケジュール,強度低下
守口海*・今井信・柴田直明・吉田孝久・山内仁人
実大材木材の強度はばらつきが大きく,その軽減によって県産材の利用促進が期待できる。そこで,現行JASに規定されている機械等級区分と目視等級区分を基に,推定方法を変更することで,木材強度の予測精度の向上が可能であるか検討した。カラマツの人工乾燥材40本を対象とし,その実大材曲げ破壊試験のデータおよびその材面の写真データを得た。次に,説明変数を曲げヤング係数および,目視等級区分を基にした節の評価値とした重回帰式を,強度評価モデルとした。そのうえで,材縁部と中央部,および単独節と集中節で異なる重み付けに相当する3つのパラメータについて,それぞれ値を変更しながら重回帰分析を行い,AICが最小となるものを探索した。その結果,曲げヤング係数のみを説明変数とする単回帰式と比較して節を取り入れたモデルのAICは低下した。なお、本研究は県単課題「各地域材の強度特性等の把握」における中課題として実施した。
キーワード:JAS目視等級区分,実大材,曲げ強度,重回帰分析,AIC
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