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更新日:2022年4月11日
林業総合センター
戸田堅一郎
地域の森林をどのようにするかの意思決定は,災害発生リスク,木材生産性など様々な判断要素を揃えて,その地域にかかわる人々が情報を共有し,納得したうえで行われることが望ましい。本研究では,地域の意思決定の判断材料となりうる個別要素として,山地災害リスクを可視化する手法の開発を目的とし,既存のCS立体図の改良と,地形の複雑さを定量化する新たな指標としてSHCの開発を行った。
CS立体図については,従来方法の欠点であった,市町村ごとの色調の違いや図郭端部のノイズを解消した。また,タイル形式で配信することで,汎用性を向上させた。また,AI解析によるCS立体図からの路網自動判読においても連続性のあるデータを作成することができた。SHC図については,その作成方法を確立するとともに,実際の災害発生地における検証と,過去の森林整備事業実施地との照合から,現地での適用性を検証した。
キーワード:山地災害リスク,CS立体図,SHC,ゾーニング
戸田堅一郎
近年,西日本を中心に全国各地で大規模災害が発生している。災害発生後には,行政機関においては迅速に被害状況を把握し,情報の集約と対策の検討が求められる。しかし,限られた人員の中では対応が難しい場合もある。本研究では,人工衛星やドローン等を用いたリモートセンシング技術や高精度GNSS等の最新のICTを活用して,山地災害の発生状況を迅速に把握する技術の開発を行った。人工衛星データの解析では,大まかな災害発生位置を把握することができた。ドローン写真の解析では,崩壊地内に立ち入ることなく崩壊幅や斜面延長を計測することができた。高精度GNSSでは,おおむね延長や面積計測に耐える精度であり,開空条件下ではセンチメートル級精度の測位が可能であることが確認できた。リモートセンシング技術やICTは日進月歩の発展を遂げているが,災害調査時には,用途や使用環境,求める精度により,用いる技術を選択することが重要であると考える。
キーワード:大規模災害,人工衛星データ,ドローン,高精度GNSS
加藤健一・古川仁
本試験では製炭装置,木竹酢液,針葉樹精油を対象とし,地域資源を活用した山村産業に資する技術開発を行い,以下の結果を得た。
(1)簡易製炭を地域へ普及するため縦置き式ドラム缶製炭装置を開発し,短時間で炭化度合いの高い良炭の生産が可能になった。
(2)原木ナメコ栽培で同じホダ場を連続して使用すると収量が低下する「イヤ地」現象の軽減対策として木竹酢液の散布が有効であることが示唆された。
(3)ナメクジによる原木栽培きのこの食害対策のため,木酢液散布の忌避効果を持続させる試験を行った結果,2週間程度の忌避効果が確認された。
(4)林地残材の有効利用を図るため,ドラム缶やペール缶を利用した安価で自作可能な精油採取装置を開発した。さらに,当該装置の導入希望者が8名あり精油事業展開の実例を収集できた(令和3年12月時点)。
(5)トリコデルマ菌に対する針葉樹精油(県内主要4樹種)の抗菌活性試験を行った結果,その機能が確認された。
(6)アカマツ枯損木から精油を採取しマツノマダラカミキリに対する誘引試験を行った結果,誘引効果が確認された。
キーワード :木酢液,竹酢液,針葉樹精油,ドラム缶,ペール缶
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