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更新日:2022年10月28日

環境保全研究所

「山と自然のサイエンスカフェ@信州」を開催しました:令和4年度(2022年度)

「山と自然のサイエンスカフェ@信州」は、当研究所の研究員や外部からお招きした研究者が、信州の大きな特色と魅力の源である“山と自然”に関する話題や社会的な注目度が高まっている“気候変動“に関する話題を提供し、参加者のみなさまとともに気軽に語り合うというイベントです。

ここでは、令和4年度(2022年度)の開催の様子をお伝えします。

令和4年度(2022年度)の開催日程

テーマ 開催日 備考
第1回 池沼に侵入したクラゲとザリガニ 令和4年6月4日(土曜日) 開催済み
第2回 高山帯のお花畑を訪れる蝶たち 令和4年7月2日(土曜日) 開催済み
第3回 信州の生物多様性2030年に向けて 令和4年10月12日(水曜日) 開催済み

 

 第1回「池沼に侵入したクラゲとザリガニ」

概要

今年度の初回(通算第55回)となる「山と自然のサイエンスカフェ@信州」を開催しました。今回は、山カフェの初の試みとして、現地とオンラインでのハイブリッド開催として実施しました。県内外から多くの方にご参加いただき、また、多くの質問、活発な意見交換をありがとうございました。

  • 日時:令和4年(2022年)6月4日(土曜日)15時00分~16時30分
  • 参加人数:27名
  • 話題提供者:マイルズ・ピーターソン(信州大学大学院)・北野 聡(環境保全研究所 自然環境部 生物多様性班)
  • 講演概要:2011~2020年に長野県内で新たに見つかった幻の淡水クラゲ、マミズクラゲと特定外来生物のウチダザリガニ(シグナルザリガニ)の分布・生息状況、生態影響、由来推定などについての研究を紹介しました。マミズクラゲについては、クラゲ期でもオスとメスがおり有性生殖すること、泳ぎ方が独特であること、日本で初めての遺伝解析の結果について、動画を交えて解説しました。ザリガニについては、6つの水域のうち、片桐ダムや味噌川ダムでは高密度(CPUE>10)であること、ザリガニに共生するヒルミミズおよびミトコンドリアDNAの分析により、一部は安曇野集団由来、その他は北海道・福島県由来と推測されたことなどを解説しました。

当日の様子

今回はハイブリッド開催ということで、長野市以外にお住まいの方にも多くご参加いただき、アンケートでも、「オンラインだったので、気軽に参加できてよかった。」とのお声をいただきました。

講演内容に関しては、「淡水クラゲという生き物がいることすら知らなったので面白かった。」「ぜひ実物を見てみたい。ため池などで気を付けて探してみたい。」「長野県内の淡水クラゲについて、今後の成果を楽しみにしています。」「クラゲについては、水族館でしか見たことがなく、また夏に海で刺されることぐらいしか知らず、初めて知ることがたくさんあって、勉強できてよかった。」などの反響をいただきました。多く方にご参加いただきありがとうございました。

 

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↑信州・学び創造ラボの落ち着いた空間で開催。

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↑オンラインで県内各地・県外からも多くの方が参加。

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↑信州大学大学院のマイルズ・ピーターソンさん。県内の淡水クラゲについて、最新の研究を紹介していただきました。

 

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↑環境保全研究所の北野主任研究員からも話題提供。特定外来生物であるウチダザリガニの研究を紹介。

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↑会場では、様々な種類のザリガニの標本を展示!

 

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↑参加者と話題提供者とのやりとりも盛り上がりました。会場からだけでなく、オンラインからも多くの質問・意見をいただきました。

 第2回「高山帯のお花畑を訪れる蝶たち」

概要

今回の山カフェは、県立長野図書館とオンラインでのハイブリッドで開催しました。県内の高山帯でみられる蝶の研究成果から、温暖化の影響について考えました。県内外からも多くの方にご参加いただき、また、多くの質問をいただきました。

  • 日時:令和4年(2022年)7月2日(土曜日)15時00分~16時30分
  • 参加人数:35名
  • 話題提供者:中村寛志さん(信州大学名誉教授・環境保全研究所生物多様性保全アドバイザー)
  • 講演概要:中部山岳域の高山帯のお花畑には、高山蝶だけでなく市街地や里山に生息する蝶も訪れます。こうした蝶の種類は、高山帯でおきた地殻変動や人による影響が関与しています。上高地や蝶ヶ岳など、高山帯の蝶の調査からみえてきた環境変化や温暖化による影響について、詳しい研究成果をもとに解説しました。

当日の様子

オンラインからも現地からも、多くのご質問・ご意見をいただきました。また、事後アンケートでは、「チョウの調査で環境がいろいろわかることが興味深かった。」「長期モニタリングのデータが蓄積されていくことで様々な発見があると思う。今後の研究が楽しみなので、長生きしようと思った」「一つの面だけを見てはいけないなあと感じた。」「上高地に牧場があったことや地殻変動のことなど、蝶以外にも勉強になった。」などの反響をいただきました。多く方にご参加いただきありがとうございました。 

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↑話題提供者の中村さん。

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↑会場のようす。少し難しい研究の話では、司会進行役が都度、質問を挟みます。

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↑会場では様々な種類の蝶の標本も展示!

 第3回「信州の生物多様性2030年に向けて」

概要

オンライン(Zoom)で開催しました。長野県の生物多様性の現状や課題、今後の保全のあり方について、オンラインで参加者のみなさまと語り合いました。県内外からも多くの方にご参加いただき、また、多くの質問をいただきました。

  • 日時:令和4年(2022年)10月12日(土曜日)17時00分~18時30分
  • 参加人数:28名
  • 話題提供者:須賀 丈(長野県環境保全研究所 自然環境部 部長)、畑中 健一郎(同 主任研究員)
  • 講演概要:
    • 第1部「信州の生物多様性の特徴、現状と課題」

(1) 信州の生物多様性 (2) その成り立ちと (3) 危機

  • 第2部「県内における保全の取組みの現状と課題」

(1) 市町村 (2) 保全団体 (3) 活動事例

  • 第3部「2030年に向けて」

(1) 国内外の最近の議論の動向 (2) 県戦略改定に向けた検討状況

配布資料(第1部)(PDF:2,870KB)
配布資料(第2部、第3部)(PDF:2,975KB)

当日の様子

  • クイズなどを交えて話題提供しました。チャットや口頭では「絶滅危惧種かどうかはどうやって調べる?」「生物の保護のために身近なところから具体的に取り組めることは?」等の質問やコメントをいただきました。
  • 事後アンケートでは、以下のようなお声をいただきました。
    • 30by30など、最新の行政の取り組みが知れて良かった
    • 長野県における過去と現在の生物多様性の変化をもう少し具体的に知りたい
    • 生物多様性の複雑性を読み解く専門家と市民をつなぐ職業人がプロとして活躍しないとなかなか市民には広がらないのではと感じています。長野県は自然が豊かという認識の人が多く、どんどん多様性が失われていく現状に気づく機会があまりにも少ないです。

今後の情報発信にも生かしていきたいと思います。多くの方にご参加いただきありがとうございました。

チラシ


スクリーンショット

配信会場の様子

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お問い合わせ

所属課室:長野県環境保全研究所 

長野県長野市大字安茂里字米村1978

電話番号:026-227-0354

ファックス番号:026-224-3415

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