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更新日:2024年2月29日

環境保全研究所

「令和4年度信州自然講座」を開催しました

 信州自然講座は⻑野県の⾃然環境保全について、当研究所の研究成果や県内の団体の活動を紹介するとともに、その現状と課題、保全に向けた取組について、県⺠のみなさんとともに考えるイベントです。

 本年度は、霧ヶ峰高原の自然環境保全の問題をとりあげ、以下のテーマと内容で開催しました。

テーマ「草原と人とシカ~霧ヶ峰の生物多様性保全の今~」

開催概要

  • 日時 令和4年(2022年)11月5日(土曜日)午後1時30分~4時
  • 会場 諏訪市文化センター(諏訪市湖岸通り5丁目12−18)
  • 参加者数 80名
  • プログラム(当日配布資料;プログラムと要旨(PDF:1,596KB)
研究成果発表
  • はじめに〜ゆれ動く草原〜 須賀 丈(長野県環境保全研究所)
  • 霧ヶ峰の草原再生~刈り取りの効果と維持について~ 土田 勝義(霧ヶ峰自然環境保全協議会 座長、信州大学名誉教授)
  • 霧ヶ峰の火入れ近代史~なぜ柏原財産区で続いたか~ 浦山 佳恵(長野県環境保全研究所)
  • 霧ヶ峰の植生と防鹿柵~シカ柵設置からおよそ10年を経て~ 尾関 雅章(長野県環境保全研究所)
ポスター展示 出展団体
  1.  霧ヶ峰自然保護センター((一社)諏訪観光協会)
  2.  KiNOA合同会社
  3.  NPO法人 霧ヶ峰基金
  4.  小和田牧野農業協同組合
  5.  霧ヶ峰自然環境保全協議会
  6.  信州大学農学部緑地生態学研究室
  7. (公社)諏訪教育会
  8.  美しい環境づくり諏訪地域推進会議
  9.  諏訪地域振興局環境課
  10. 長野県環境部自然保護課
  11. 長野県環境保全研究所
意見交換会

質問1:火入れの中止とシカの増加に関係はあるのか?
回答:火入れが行われない場合の今後のシカへの影響は不明である。データがないので正確ではないが、火入れをすることでシカが増えやすくなる可能性がある。2013年の延焼後に新鮮な草(シカが好む)が繁茂し霧ヶ峰でシカが増えた。縄文人もこの効果を利用した可能性はある。

質問2:今後も防鹿柵を設置して植物を守り続けていくのがよいのか?
回答:霧ヶ峰自然環境保全協議会としては柵設置を継続する方向であるが、コロナ禍で今後どのような対策をしていけるのか不明である。試行と検証をしつつ草原を再生するために効果的な方策などを検討していきたい。

質問3:火入れの再開はできないのか?
回答:地権者(財産区)がどのようにしていきたいかによる。全国各地で火入れが行われなくなっているが、生物多様性保全や観光のために火入れを再開する地域もあり、今後に期待したい。

質問4:防鹿柵内で広葉樹が増える理由は?
回答:シカは樹木(皮や葉)を食べるが、これだけシカが多数生息していると広葉樹の増加を抑えている可能性がある。そのため防鹿柵内ではシカの被食がない分、広葉樹が増えている可能性がある。ただし、それを確認するにはもう少し長いスパンでの調査が必要である。

アンケートの結果(回答数 38名)

講座への満足度:満足・おおむね満足が36名(95%)

 

参加年代:59%が60-70代,20-30代も参加

 

研究所の認知度:74%が研究所を知っていた

 

興味深かったのは?:どれも満遍なく興味深かった。


特に後半の2講座「火入れ近代史」「植生と防鹿柵」を挙げた方が多かった。

当日の様子

長野県環境保全研究所長による開会あいさつの様子

開会あいさつ

草原再生の研究に関する講演の様子 シカ対策用の柵の設置に関する講演の様子 活動団体の1分間トークの様子

講演(草原再生について/植生と防鹿柵の設置について/ポスター展示団体の活動紹介1分トーク) 

ポスター展示会場での情報交換の様子

ポスター展 会場

意見交換会場の様子

意見交換会

当日紹介できなかったご質問への回答

はじめに〜ゆれ動く草原〜

質問1 今後の火入れの予定は? ぜひ実施してほしい。
回答:霧ヶ峰での今後の火入れで、研究所が把握している予定はありません。しかし、各地の草原再生の取り組みでは、火入れを行っている地域が複数あります。そのような地域の取り組みを参考に、地元での合意を広げることが、火入れを今後また再開するためのステップになるのではないでしょうか。

質問2 山菜類が火入れで増加することは理解できたが、クリが火入れによって増加するのは不思議だったので、もっと深く聞きたいです。
回答:青森県の三内丸山遺跡での調査から、縄文時代に火事が増えたことで植生がナラ類やブナの森からクリの林に変わったことがわかっています。クリは日陰では育ちにくく、火事などでできる明るい環境でよく育ちます。クリは建材や食料として使われましたので、縄文人が意図的に増やしたのかもしれません。

質問3 霧ヶ峰の歴史、特に人とのかかわりについてとても興味深かったです。火入れとシカの因果関係について知りたいです。火入れを中止したことと、シカの増加に関係はあるのでしょうか。
回答:2013年に火入れが広く延焼し、2014年にシカの目撃数が大きく増えました。これはシカにとって食べやすい青草が延焼により増えたためと考えられます。火入れをしないと前年の枯れ草が残りますので、そうした増加は起きにくくなると考えられます。しかしシカの数は周辺地域での増減にも影響されますので、霧ヶ峰での今後の増減は一概に予想できません。歴史的には火入れと狩猟の双方がシカの数に影響してきたと考えられます。

質問4:コヒョウモンモドキが縄文時代に分布拡大、個体数が多かったであろうことは推測できるか。そのエビデンスはどうなのか(どのような研究方法でわかるのか)
回答:コヒョウモンモドキの多数の個体の遺伝子を調べ、そこから過去の個体数の増減が統計的に推定された結果です。各個体の遺伝子のちがい(変異)の大きさから時間をさかのぼって過去の各時点の個体数(有効な集団サイズ)の大きさを推定するという方法です。遺伝子の分析には、過去の標本や最近捕獲された個体のものが用いられました。

質問5 刈り取り、火入れ、シカ柵の設置等をしない場合、草原はどうなっていくのか? 最終的には森林化していくのか? どんなふうに変遷していくのか教えてほしい。
回答:刈り取り、火入れがないと、草原は森林化していきます。シカは一部の植物、また花などの特定の部位を好んで食べ、森林化を押しとどめます。シカ柵を設置しないと、花の数や植物の多様性が減って、単調な草原になります。その結果どのような植物が残り、森林化がどのくらい進むかは、周辺地域も含めたシカの数の動向に左右されると考えられます。

質問6 超高齢化社会で健康維持のためにアウトドアブームである。散策路を増やす考えはないか? 都会の若者もアウトドアで気軽なハイキングを希望している。
回答:今後、生物多様性を現状以上に回復していくためには、利用制限などの従来型の自然保護に加え、社会課題の解決のために自然を活用する手法(Nature-based Solutions: NbS)を広げることが重要という議論が世界的に行われています。健康のための散策路もそうした手法になりうると思います。一方で、散策路は過剰利用や土壌侵食を招く可能性がありますので、その対策も必要です。霧ヶ峰自然環境保全協議会などでの検討が望まれます。

霧ヶ峰の草原再生~刈り取りの効果と維持について~

質問7 シカ柵を設置することにより、植物の多様性が守られることや、減少した植物の原因がシカの食害であったことがわかりましたが、今後はどのような方向でいくんでしょうか? この先も柵で守られた中だけで減少してしまった高山植物が観察出来るという構図のままなんでしょうか? それともこの研究結果を基に、シカに対してもっと踏み込んだ対策をとっていくんでしょうか?
回答:シカに対して霧ヶ峰で直接的にできる対策としては防鹿柵など限定されますが、より広い地域を単位として、捕獲目標を設定した個体数管理が行われています。こうした個体数管理の効果を測るためにも、霧ヶ峰での継続的なシカのライトセンサスや植生調査によるモニタリングが有効と考えています。

質問8(1) (外来種)対策エリアでは(外来種を)減らせても車のタイヤに種子がついて拡散してしまうなど、いたちごっこになってしまっているのでは? 今後の対策は?
(2)作業に参加しているが、人数が足りないのでは? ボランティアをコロナで参集できない現状ではあるが、参加団体は多いので、回数を増やすなどもっと工夫が必要だと思う。
(3)インターチェンジ付近のササ刈りは、全面刈り取りでなく、高山植物の群落は残してもよいのでは? マツムシソウなどの植物は残せないだろうか?
回答:外来(国内移入種を含めて)植物の侵入の防止は困難ではありますが、登山者を対象にした研究では、山岳域への外来種子の持ち込みの抑止には、生態系への影響等への知識や関心だけでなく、実際に入山前に靴を洗うなどの“行動”につなげることが重要と指摘されています。そのため、現在霧ヶ峰でも外来種子持ち込みについての啓発ポスター等がありますが、実施の防止“行動”につながるような、より効果的な抑止策を検討していくことも必要と考えられます。
 作業にご参加いただき、ありがとうございます。新型コロナウィルスの感染拡大もあり、ボランティアに多くご参加いただけない状況が続いています。コロナ終息後の活動体制について、霧ヶ峰自然環境保全協議会等での議論の進展を期待しています。
 面的な刈り取りが、マツムシソウ等の草原性の植物にとって好適な環境の維持につながる部分もあると考えています(インターチェンジ付近はササでなく、ススキを刈り取っています)。

質問9 霧ヶ峰自然環境保全協議会加入団体の人たちが、大変な時間と労力を使って、外来植物の除去をしてくださっていることに感謝しています。しかし、外来植物の刈り取りや掘り取りだけでは効果は薄いのではないでしょうか。刈り取り、掘り取りをした後に、在来植物の種をまいたり、苗を植えることによって効果は際立ってくるのではないでしょうか。
回答:外来植物の駆除は、越年草(ヒメジョオン類など)は堀取りでなく、刈取りで行っております。根を抜いた後の裸地にまた外来植物が生えてくるためです。オオハンゴンソウ等の多年草は、やむを得ず根掘りで駆除しております。これらの効果は認められております。
 今回ご報告した、刈り取り実験のベースとなっている「霧ヶ峰保全再生計画」では、刈り取り、(雑木の)伐採を中心に再生方法を探ることとしてきました。種子をまいたり、苗を植えたりすることには、外部からの植物の移入につながる恐れもあることから、実施していません。なお、園芸的な手法で草原再生を図ることは半自然草原の成り立ちにそぐわないものと考えております。

質問10 ササとススキで刈り取りの結果に違いが出た要因は何か気になった。
回答:刈取り時期の問題と考えております。ササ刈取りは、9月中旬に行われてきましたが、この時期の刈取りは、ササの生育にかなりダメージを与えることと思われます。ササの減少によって他の植物の生育に好適な環境が得られたと思われます。ススキは9月末に刈取りが行われてきましたが、最もダメージを与えるのは8月下旬と考えております。そのためススキの勢力があまり衰えず、他の植物の生育環境に反映しなかったと思われます。刈取り時期は、刈取り体制の都合と、観光への影響からこの時期に設定されておりました。ただここ数年、上記の結果を受けて、ススキ刈取りは8月末~9月上旬に刈取りが行われるようになり、現在モニタリングをしております。

霧ヶ峰の火入れ近代史~なぜ柏原財産区で続いたか~

質問11(同様の質問が2名からありました) (火入れが)中止になっているため、霧ヶ峰の森林化も自然として受け入れてもよいのではないか? 火入れの再開には行政の関わりも必要。
回答:現在、諏訪市や柏原財産区で火入れ中止という決定がなされていることから、森林化は仕方のないことと思います。一方、「霧ヶ峰高原の火入れ」は長い歴史を持つものでありますので、今回話をさせていただきました。再開については、霧ヶ峰には行政機関も加わった協議会もあるため、そうした場で可能性を検討することもできるのではないでしょうか。

質問12 火入れについて現在は多くの課題があり行われていないかと思いますが、火入れの必要はある、というスタンスなのでしょうか? 今後例えば県が主体となって火入れを実施するという可能性はあるのでしょうか。
回答:火入れを復活させなければならない、とは考えていません。ただ、霧ヶ峰高原での火入れを新しい形で再開・継承することができれば、草原の保全に役立つだけでなく、諏訪地域の地域づくりにも活用できるのではないかと考えています。火入れの主体として県、協議会、財産区、その他NPO等様々な団体が考えられますが、火入れの再開を検討していくなかでより適切な団体が行うことが望ましいと考えています。

質問13 地球温暖化防止が叫ばれる今、火入れを行うのはなかなか難しいと思われますが、植生保全を観点とした火入れは再開できないものでしょうか。高齢化で難しいのなら、何か他の方策はとれませんか?
回答:全国的にみれば、秋田県の寒風山等生態系保全を目的に再開した地域もあるので、火入れの再開は不可能ではないと思います。今後、再開した地域の事例についても調査・検討していきたいと思います。

質問14 組織的な火入れ技術の話、面白かった。無形文化財に指定して保存できないか?
回答:有難うございます。市町村や県の教育委員会、地権者等様々なレベルで検討がなされ、賛同が得られれば文化財に指定できます。阿蘇地域では、火入れで草原が維持され、赤牛の生産、有機農業に活用され、草地に関連したお祭りも残っていることから、その「草原の維持と持続的農業」は世界農業遺産に指定されています。

質問15 今後火入れを復活させる必要性の有無について、どのようにお考えでしょうか?
回答:火入れをどうしても復活させる必要があるとは考えていません。これまでも火入れをしない方法で草地を維持する方法について多くの調査研究がなされてきました。ただ、火入れを新しい形で再開・継承することができれば、草原の保全に役立つだけでなく、諏訪地域の地域づくりにも活用できるのではないかと考えています。

質問16 柏原財産区では手順やルールが明確に決められそれを守って火入れ作業が行われていたが、今後火入れ作業が復活する可能性はあるのでしょうか。
回答:柏原財産区の火入れ中止の要因は高齢化により安全な火入れが難しくなってきたためと聞いています。何らかの形で安全な火入れが可能な状況になれば、柏原財産区による火入れは復活する可能性はあると思われます。

霧ヶ峰の植生と防鹿柵~シカ柵設置からおよそ10年を経て~

質問17 シカ柵タイプ(電気柵やネット)や維持かかるコストは? 予算はどこから出ている? 維持はだれが行っているのか?
回答:コストについては研究所では把握しておりません。なお、予算、資材は霧ヶ峰自然環境保全協議会の会員のうち、主に行政、地権者が調達し、維持管理は、地権者の方々ならびにボランティアのご協力もいただきながら同協議会で行っています。

質問18 シカ柵の管理に係る労力や管理上の課題があれば、詳しく知りたい。
回答:霧ケ峰で多く設置されている「電気柵(電柵)」の場合には、毎年春の設置と秋の撤去のほか、夏期に漏電防止のための草刈り等の管理作業が必要となります。恒久柵の場合には、そうした作業は発生しませんが、初期コストと破損した場合の修繕コストが電気柵よりも大きくなります。

質問19 捕食者のいないシカの増加をどうしていくべきか?
関連;質問7再掲 シカ柵を設置することにより、植物の多様性が守られることや、植物の減少した原因がシカの食害であったことがわかりましたが、今後はどのような方向でいくんでしょうか? この先も柵で守られた中だけで減少してしまった高山植物が観察出来るという構図のままなんでしょうか? それともこの研究結果を基に、シカに対してもっと踏み込んだ対策をとっていくんでしょうか?
回答(質問7への回答再掲):シカに対して霧ヶ峰で直接的にできる対策としては防鹿柵など限定されますが、より広い地域を単位として、捕獲目標を設定した個体数管理が行われています。こうした個体数管理の効果を測るためにも、霧ヶ峰でのシカのライトセンサスや植生調査は有効だと考えています。

質問20(1) シカ柵はもっと大規模にできなのか? あるいはシカ被害対策に有効手段はないのでしょうか? 自然現象は期待できない?
(2)草刈り、火入れを大々的にやることが難しく、シカ柵は森林化を促進する。100年後の霧ヶ峰は全山樹林化してしまうのではないでしょうか。
回答:現在、シカの個体数に最も影響が大きな動物(天敵)はヒトであり、霧ヶ峰を含むより広い地域を単位として、捕獲目標を設定した個体数管理が行われていますので、こうした総合的な対策を継続していくことが重要と考えています。
 霧ヶ峰に限らず、日本各地の草原は同様の課題を抱えています。ただ、霧ヶ峰は、標高が高い亜高山帯に位置することもあり、他地域の草原と比較すると森林化に時間を要している面もあります。この特徴を、霧ヶ峰の将来を考える猶予ととらえて、霧ヶ峰自然環境保全協議会等で霧ヶ峰のあり方の検討がよりすすむことを期待します。

質問21 最後の部分で湿原とシカとの歴史について語られていましたが、現時点でわかっている化石でのシカの分布(霧ヶ峰周辺地域)について、もしご存じでしたら教えていただけないでしょうか?(できれば旧石器時代以前の状況)
回答:旧石器時代の遺跡から動物遺体(化石)が出土することは少なく、旧石器時代以前の霧ヶ峰周辺地域のシカの生息状況についてはお答えすることができません。縄文時代になると、八ヶ岳山麓・霧ヶ峰周辺で1000基を超える縄文落とし穴が発見されているとの報告があり(『信州の草原 その歴史をさぐる』(湯本貴和・須賀 丈 編著,ほおずき書籍))、霧ヶ峰周辺で積極的にシカを利用していたことがうかがわれます。

質問22 防鹿柵設置10年でこんな効果があったのですね。草原を維持するにはかなりの手を入れなければいけない様です。自然はそのままにしておくと維持できないということですか?
回答:霧ヶ峰のような人とのかかわりによって生まれ維持されてきた生態系は、そのままにしておくと時間とともに姿が変わっていきます。

質問23 シカ増加の要因は、温暖化、森の下刈りをしなくなった、猟師の高齢化・人数低下などと言われていますが、何が一番大きな要因でしょうか?
回答:様々な議論がありますが、現在生じている増加については、人口減少によるシカの生息可能域の拡大、人による狩猟圧の低下が大きな要因となっていると考えられています。

質問24 雑木処理も必要ではないでしょうか
回答:草原の維持においては雑木処理も有効な方法と考えられます。「霧ヶ峰保全再生計画」では、刈り取り、(雑木の)伐採を中心に再生方法を探ることとしています。

質問25 シカ柵内で広葉樹が増える理由は? シカが好む樹枝や葉は広葉樹だからでしょうか?
回答:シカは樹木も採食しますので、シカ柵(八島ヶ原湿原に設置されたような恒久柵)によりシカが排除されると、草原に侵入した樹木が定着・成長しやすくなり、樹林化が促されます。

質問26 北大塩には霧ヶ峰を背にしているため、シカがおりてくる。農作物に被害があり柵が里山に張り巡らされている。霧ヶ峰のシカ、里へ下りてくるシカが生きていかれる範囲がないのでは? カモシカも里で見られるが、こちらの動向はどうなっているのか?
回答:餌資源が競合するカモシカの生息密度については、シカが増えた後は減ってしまうことが報告されています。標高差の大きい長野県では、夏は標高の高い場所で、冬は標高の低い場所でと行き来しているシカが多いですが、里山だけ、高原だけで生きていく個体も多くいます。農作物被害を防ぐための広域防護柵は、シカやカモシカの行き来を阻むものですが、往来を制限して里地を利用できなくても山地で暮らしていくことは可能です。

 

※このほかイベント運営改善についていただいたアドバイス等もあわせて、今後に活かしていきたいと思っています。
 ありがとうございました。

 

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お問い合わせ

所属課室:長野県環境保全研究所 

長野県長野市大字安茂里字米村1978

電話番号:026-239-1031

ファックス番号:026-239-2929

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