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更新日:2023年1月20日
水産試験場
こんにちは。今日はフナについて教えてください。 | |||||||
はい、こんにちは。よくきたね。 それじゃ、さっそく近くの田んぼで小ブナを飼っているので見に行ってみよう。 |
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わー、小さい魚がいっぱい泳いでいる! 田んぼでフナを飼っているだぁ。こういうのは、いつ頃から始まったんですか? |
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佐久地方は「佐久鯉(さくごい)」で有名なんだけど、江戸時代から田んぼでコイを飼う養殖(ようしょく)が盛んだったんだよ。その時からコイに混じってフナもとれていたんだ。 | |||||||
江戸時代って、すごい昔からなんですね。 | |||||||
うん、本格的に養殖が始まったのは昭和40年代(1965年ころ)からだよ。当時は、お米を作り過ぎて余っていたので、国では減反(げんたん)と言って、お米を作るのを減らしたり、お米に代わる作物の生産をすすめていて、これが追い風となって急速に普及していったんだよ。 コイやフナを田んぼで飼うときは畦(あぜ)の近くをあけるんだ。そうするとできるお米はその分少なくなるよね。 |
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田んぼで養殖っていうのは初めて見るけど、小ブナを養殖しているのはこの地区だけですか? | |||||||
県内では、佐久地域と上伊那地域で生産しているんだ。 | |||||||
あれぇ、よく見ると川や湖にいるフナとは色や形が違うように見えるけど・・・。 | |||||||
よく気が付いたね。 養殖のもととなる親ブナは、この佐久支場で生産して、地元の農家に販売しているんだよ。 |
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親ブナを田んぼに放すと自然に増えるの? | |||||||
親ブナは、田んぼに放して5~6月に卵を水草に産ませるんだよ。それにあわせて田んぼではエサになるミジンコなどの動物プランクトンをあらかじめ発生させておくんだ。 卵からふ化した小さなフナはこれを食べるんだよ。 |
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へぇ~、田んぼでプランクトンかぁ。知らなかった。 | |||||||
その後、コイ用のエサである配合飼料(はいごうしりょう)というのをやって、7~8月は、特に水の管理に注意しながら、フナが田んぼから逃げ出さないようにして飼育するんだ。 そして、9月ころ稲刈りの前に、田んぼから取りあげるんだ。取りあげは、田んぼの水をはらいながら行うんだけど、人手がたくさんいるので家族みんなが泥だらけになって作業になるんだよ。ちょっと大変かな。 |
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まえに、親戚の家で食べたことがあるんだけど、取りあげたフナはどこで売っていますか。 | |||||||
秋祭りが盛んになる9月ころに、秋の代表的な味覚の一つとして地元の農協やスーパーで1kgずつビニール袋に酸素詰めにされて、生きたまま販売されるんだ。 | |||||||
ふ~ん、生きたまま売られているんですね。 親戚の家で食べたときは、確か甘じょっぱくておいしかったけど、どうやって食べるんですか。 |
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そうだね、料理方法は、一般的には5g(3~5cm)くらいの小ブナを、しょうゆと砂糖をベースに甘露煮(かんろに)風に煮込むんだ。頭からヒレまで魚の形を保つために途中でかき混ぜてはいけないよ。さめてから、1匹ずつ箸(はし)でていねいに形をくずさないように容器に移し替えるのがコツで、冷凍(れいとう)にしておけばお正月にも食べることができるんだよ。 この味付けには各家庭で独特の秘伝(ひでん)があって、「我が家の味」としておばあちゃんからお母さんへと代々受け継がれているんだ。 |
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田んぼでフナやコイを飼うといいことがあるんですか。 | |||||||
魚を飼うので、当然のことだけど農薬(のうやく)をあまり使わなくなるよね。このことから、農薬の使用が少ないお米、「フナ米」って言って、一般より高い値段で取引されるんだ。 特に、最近は食べ物の安全性への関心が高まってきているので販売は好調なんだよ。 田んぼで泳ぐフナは「安全・安心なお米」の生き証人としてその役割も果たしているんだよ。 |
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そうだね、フナやコイと一緒に育ったお米は、安心・安全ってわかるよね。 |
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