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更新日:2022年12月16日

水産試験場

シナノユキマスの話 (佐久支場)

 ayuko1masuo1

 こんにちは。水産試験場佐久支場の見学に来ました。よろしくお願いします。

 ここもたくさん池がありますね。

 hakase2

 はい、こんにちは。

 佐久支場は、広さが約12,000平方メートル、この中に池が42面あるんだよ。
 ここでは、アユがたくさん釣れる川づくりやブラックバス・ブルーギルなどの外国からやってきた危険な魚を駆除(くじょ)する技術の研究、それから、シナノユキマス、ウグイ、フナの稚魚(ちぎょ)を育てて、養殖(ようしょく)業者のみなさんなどに分けてあげたり、水田で魚を飼う技術の指導なんかをしているんだよ。

 saku
 masuo1  あっ、この池にはきれいな魚がたくさん群れながら泳いでいるぞ。なんていう魚ですか? yukimasu4
 hakase1  シナノユキマスという魚だよ。サケの仲間なんだけど、もともとは日本にはいなかったんだ。
 長野県では、今から約30年前の昭和50年(1975年)に、東ヨーロッパの旧チェコスロバキアからこの魚の卵を取り寄せて、世界で初めて卵から親魚(卵を産む親の魚)までの完全養殖に成功したんだよ。いろいろと苦労があったんだけど、養殖技術がきちんとできて、昭和58年(1983年)から民間養魚場への稚魚の出荷を始めたんだ。
 ayuko1  なんでシナノユキマスって名前なんですか?
 hakase2  最初はね、ロシア語を引用して「ペリヤジ」という名で呼ばれていたんだ。
 でも、昭和59年(1984年)に長野県の特産魚にふさわしい愛称(あいしょう)をつけようということで、その姿が銀白色で雪のように美しいことから「シナノユキマス(信濃雪鱒)」という名前がつけられたんだ。きれいな名前だよね。
英語ではホワイトフィッシュ(White fish)と言うんだよ。

それじゃ、ちょっとエサをやってごらん。
yukimasu3
 masuo1  う~ん、なんだか、コイやニジマスなんかに比べると、泳ぎ方やエサの食べ方が上品に見えるなぁ・・・
 hakase2  そうそう、シナノユキマスは、ニジマスなどとは違って泳ぎ方やエサの食べ方が少しゆっくりしているんだ。
 それから、円を描きながら泳ぐのが特徴(とくちょう)なんだけど、最初に池に入れた時にその方向は決まっちゃうんだよ。一度泳ぐ向きが決まるとその後は、変わることなく常に一定の方向に泳ぐんだよ。ほら、隣の池を見てごらん。この池は時計回りだけど、隣の池は反時計回りで泳いでいるだろう。不思議だよね。
 そして、口が小さいので自然界では小さい虫やプランクトンが主なエサなんだ。だから、同じ大きさでもニジマスより一回り小さいエサを与えているんだよ。

 ちょうど、ふ化場で採卵(さいらん)した卵をふ化させているので見てみようか。
 yukikai
 masuo1  わー、細長いビンみたいのがいっぱいあるなぁー。
 hakase2  これは、「ビン式ふ化器」といって、もとは一升ビンの底を切ってはりつけたのがもともとの形なんだよ。
 水は下から上へと流れ、ビンの中で卵はゆっくりとした楕円(だえん)運動をしているのが分るかい?
 一般的には、魚の卵は、眼ができる(「発眼卵(はつがんらん)」といいます)ころまでは動かすと死んでしまうので、ふ化器の中で静かに置いておくのが原則なんだけど、シナノユキマスはゆっくりとした動きならば大丈夫なんだよ。
 それに、ビン式ふ化器だと常に卵が動いているので病気のもとになる水カビ菌などがつきにくいし、いきた卵と死んだ卵が比重(ひじゅう)の差から自動的に分かれるので、シナノユキマスなどには一番ふさわしいふ化器なんだよ。
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 ayuko1  こっちの網の中に小さな魚がいっぱい泳いでいるけど・・・。
 hakase1  卵は、約10℃以下の水で管理し、2か月半たった3月頃にふ化するんだよ。
 ふ化したら、水の流れに沿ってこの網の中に集められ、あらかじめ動物プランクトンを発生させた大きな池にはなしたり、円型水槽にはなしてアユ用のエサなどで飼育する方法があるんだよ。
 そして、7月~8月頃に民間の養魚場などへ毎年約20万匹の稚魚(ちぎょ)が配られるんだ。
 ふ化した魚の数を数えるときは、網(あみ)ですくい上げたりすると死んでしまうので、あらかじめ決まった数のふ化した魚を洗面器などに計っておき、その全体の色を対比させながら、掛ける何杯でカウントするんだよ。面白いでしょう。
yukichi
 masuo1  へェー、面白い。でもちょっといい加減な感じだなぁ。
 ところでシナノユキマスはどのように利用されているのですか?
 hakase3  やっぱり、一番は食べることかな。
 シナノユキマスは白身で適度に脂がのっていて淡白(たんぱく)な味が特徴なんだ。また、小骨も少ないんだよ。このことから、2~3年飼育した1~2kgの大型のものがお刺し身やムニエル、くん製などに使われるんだ。
 和風、洋風、中華と、どの料理にも向いているんだよ。それに、卵は塩漬けにするとキャビアのようにおいしく食べられるんだ。
   食用以外の利用としては、釣り用に県内の3つの漁業協同組合が湖に放流(ほうりゅう)しているんだよ。
 シナノユキマスは、ニジマスやヤマメなどとは違って川じゃなくて湖がすみかに向いているんだ。冬、氷が張るようなところでは、ワカサギの穴釣りと同じような仕掛けでシナノユキマスも釣ることができるんだよ。知ってたかい?
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 ayuko1masuo1   シナノユキマスを食べてみたいな。どこに行けば食べられるのですか?
 僕は、シナノユキマスを釣ってみたいな。どこに行けば釣れるんですか?
 hakase1

 まず、食べられるところだけど、佐久地方の川魚を扱っている料理屋さんやホテル、旅館などで食べられるよ。
 あと、釣りができる場所だけど、詳しいことはシナノユキマスの放流を行っている漁業協同組合に聞いてもらったほうがいいかな。
「食べる」
 ○佐久養殖漁業協同組合:0267-62-0737
「釣る」
 ○南佐久南部漁業協同組合:0267-92-2167
 ○青木湖漁業協同組合:0261-23-1504
 ○犀川殖産漁業協同組合:026-262-2212
 シナノユキマスという魚のことについて少しはわかってくれたかな。水産試験場佐久支場では、1年を通してシナノユキマスを飼育しているし、ほかにコイ、フナ、ウグイ、カジカ、ニジマス、チョウザメなどもいるので、いつでも見に来てくださいね。

 ayuko4masuo1 は~い、わかりました。
ほかの魚についても、また教えてください。

お問い合わせ

所属課室:長野県水産試験場 

長野県安曇野市明科中川手2871

電話番号:0263-62-2281

ファックス番号:0263-81-2020

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