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更新日:2022年12月16日
水産試験場
こんにちは。 この魚、近所の川で釣った魚に似ているけど、なんて言う魚なんですか。 |
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こんにちは。 これはね、ウグイという魚だよ。名前のいわれは、鵜(う)という鳥がよく食べることから「鵜食い」→「うぐい」と呼ばれるようになったという説もあるんだよ。 長野県の川や湖をはじめ日本全国に広く分布している魚で、地方によってハヤ、アカウオ、アカハラ、アイソ、ザコなどとも呼ばれているよ。 いろいろな呼び方があるということは、昔からどこの地方でも身近に親しまれてきた魚だっていう証拠(しょうこ)でもあるんだ。 |
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このまえ、釣った時はこんなに赤くなかったけどなぁ・・・? | |||||||
この赤い色は、婚姻色(こんいんしょく)といって、4~6月ころの卵を産む時期が近づくと体の一部が赤くなってくるんだアカウオ、アカハラという呼び名はこの時期のウグイから付けられたと思うよ。 それから、体のどこが赤くなるか、その場所や形でウグイの仲間のエゾウグイやマルタと呼ばれる種類の魚と区別することもできるんだ。 卵を産む時期になると体の表面にぶつぶつしたもの(「追星(おいぼし)」と呼ばれています)が出るんだ。さわってごらん。 |
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ほんとだ、ザラザラしてる。 ウグイが卵を生むところって見たことないけど、どうやって卵を産むの? |
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ウグイが卵を産む場所は、川の水の流れが比較的早いところ(「瀬(せ)」といいます)で、川底にきれいな石や砂利(じゃり)のある所なんだよ。特に、大雨などで川の水が増えた後は川石も洗われてきれいになるので、産卵も盛んになるんだ。 メス1匹に対して、たくさんのオスが群がって産卵が行われるので、産卵する場所にはたくさんのウグイが集まってくるんだ。そして、この習性を利用して砂利や石で人工の産卵場所をつくり、そこに集まってきたウグイを投網(とあみ)などでとる方法があるんだ。 これが「つけ場漁」と呼ばれるものなんだよ。見たことあるかな? |
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あっ、「つけ場」っていうのぼり旗、千曲川でみたことあるよ。 | |||||||
そうなんだ、佐久地方から長野市の千曲川流域で「つけ場漁」を行う「つけ場小屋」というのがあるんだけど、初夏になると千曲川の川沿いのあちらこちらに店開きして、全国的にも有名なんだ。 そこでは、とれたウグイを塩焼き、天ぷら、田楽(でんがく:味噌をぬって焼いたもの)などで食べさせてくれるので、今度、お父さんやお母さんに連れて行ってもらうといいよ。 |
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ウグイっておいしく食べられるんだ。今度連れて行ってもらおうかな。 でも、生まれた卵はどうなっちゃうの?お父さんウグイやお母さんウグイがいなくなって大丈夫かな? |
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ウグイの卵は、お父さんお母さんの世話がなくても、ちゃんとふ化して育っていけるんだ。だけど自然界は厳しいから、大雨の増水で石ごと卵が流されたり、よく泳げない小さいうちは他の魚に食べられたりすることもあるんだ。 そのため、漁業協同組合はウグイが減らないように放流(ほうりゅう)を行っているんだよ。 それに、水産試験場佐久支場では卵から一人立ちできる大きさの稚魚(ちぎょ)まで育て、組合へ放流用のウグイを分けているんだよ。 |
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ウグイの卵や子どもって見たことないなぁ。 | |||||||
それじゃあ、これからふ化場へ行ってみよう。 | |||||||
わー!! このたくさん並んだビンはなんですか。 | |||||||
これはビン式ふ化器といって、ここに「つけ場」でとれたウグイの卵を入れるんだよ。ビンの下の蛇口(じゃぐち)をひねることで水の量を調整(ちょうせい)することができるんだ。 卵は、このビンに入れてから1週間ぐらいでふ化するよ。ふ化したばかりの子ども(「仔魚(しぎょ)」と呼ばれます)は全身黄色なんだけど、2~3日すると眼が黒くなってくるんだ。 |
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なんだかひょろひょろしていて、ウグイじゃないみたい。 | |||||||
この状態のときは、ヒレもまだできてないのでよく泳げないんだ。自然の川では石の下に隠れてじっとしているころなんだよ。 お腹の黄色いふくらみはお母さんからもらった栄養の袋(サイノウといいます)で、「浮上」といって泳いで自分でエサを食べられまでの約10日間はこの栄養だけで生きていくんだ。 |
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泳げるようになったらどうなるの? ビンの中にいっぱいいるけど、大丈夫かな? |
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泳げるようになると、ビンの上の方に自然に浮きあがってくるんだよ。 ビンの列の上にある透明な太いパイプがあるよね、ここにつながったホースを通してビンから水が入ってくるんだ。 それじゃ、外の池を見に行こう。 |
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この池は、ウグイのエサとなる動物プランクトンを増やすために肥料をまくなど、あらかじめ準備してあるんだ。 その後、動物プランクトンだけではエサが足りなくなるので、人工のエサ(「配合飼料(はいごうしりょう)」といいます)を与えて大きくするんだよ。 1か月くらいすると元気に池を泳ぎ回る稚魚の姿が観察できるよ。 9月には体重1gくらいまで育つんだ。そしたら、漁業協同組合や養殖業の人たちに配られるんだよ。 |
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ウグイって身近な魚だけど知らないことがいっぱいだったね。 漁協の人たちや水産試験場の人たちが、魚を増やすためにいろんな仕事をしていることも初めて知りました。勉強になったね。 |
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