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更新日:2018年4月1日
上田地域振興局
平成26年2月の月間発電実績は1,561.1kWh(1kWあたり78.1kWh)で、前年同月比71.8%・前月比74.7%でした。 また、過去1年間のパネル1kWあたりの発電実績は1,462.4kWhで、前年同月比101.3%・前月比98.0%になりました。
なお、太陽光発電量に最も影響の大きい日照時間(上田アメダス)は184.3時間で、前年同月比94.3%・平年比103.0%・前月比92.3%でした。
月 |
平成25年(kWh) |
前年同月比(%) |
前月比(%) |
平成26年(kWh) |
前年同月比(%) |
前月比(%) |
1 |
2,182.7 |
114.8 |
131.7 |
95.7 |
111.3 |
|
2 |
2,174.1 |
108.9 |
99.6 |
1,561.1 |
71.8 |
74.7 |
【2月の天候(データ等のメモ)】
気象庁では、「災害をもたらした気象事例」として、2月14日からの「発達した低気圧による大雪・暴風雪」の資料を掲載しています。これを含む2週連続の大雪により、2月の降水量は96.0ミリを記録し、2月として平年(30.7ミリ)の312.7%(約3倍、県下39観測地点のトップ)となり、統計開始以来1位の多さでした。気温は月間平均では平年並(やや低い)の水準でしたが、中旬を中心に真冬並みの冷え込みが続き、晩冬の明るい日差しも融雪に結びつきにくくなりました。
期日 |
降水量 |
多順位 |
積雪深 |
日最高気温 |
低順位 |
連続24時間降水量 |
2月8日(土曜日) |
27.0ミリ |
4位(直後2位) |
47センチ |
-3.0℃ |
3位 |
27.5ミリ(断続) |
2月14日(金曜日) |
29.0ミリ |
3位 |
↓ |
-2.4℃ |
7位 |
(↓連続26時間降雪) |
2月15日(土曜日) |
39.0ミリ |
1位 |
76センチ |
1.3℃ |
- |
64ミリ |
中旬・下旬は、南岸低気圧による降雪時以外はおおむね冬型の気圧配置や高気圧に覆われて晴天の日が続きましたが、上旬に暖気の流入や気圧の谷の影響を受けて曇りがちとなったため、日照時間は平年よりやや多くなった程度にとどまりました。
日照時間に比べて発電量が顕著に少なかったのは、特に2月14日~15日の記録的な豪雪とその後の低温により、滑りやすいはずのパネル上の着雪が、架台を載せている陸屋根の着雪にブロックされてなかなか落ちず(融けず)、2月24日に人力で完全に排雪するまでの11日間、太陽日射をパネル20kWの全面で発電することができなかったためです。(この11日間の平均気温・最高気温・最低気温の平年比は、それぞれ△3.1℃・△4.4℃・△3.0℃でした。)
【南岸低気圧による大雪・着雪の長期化による太陽光発電量の減殺】
下のグラフで、2月8日(降雪日)から11日までと14日・15日(降雪日)から24日までの間、日照時間を示す赤の折線グラフの高さに対し、発電量を示す黒の棒グラフが短いこと、見た目にも隙間があることに着目してください。太陽光発電の自然リスクの一つとして、冬季の「パネルの着雪」が挙げられますが、まさに今回の大雪がこれに当たります。
【大雪の影響(試算)、パネル1kWあたり】
@1kW |
2月実績 (kWh) |
着雪影響除去 (kWh) |
影響量 (kWh) |
影響率 (%) |
災害相当影響除去 (kWh) |
影響量 (kWh) |
影響率 (%) |
(1) |
(2) |
(1)-(2) |
左/(2) |
(3) |
(1)-(3) |
左/(3) |
|
着雪なし |
47.3 |
47.3 |
0.0 |
0.0 |
47.3 |
0.0 |
0.0 |
8日~11日 |
10.8 |
15.3 |
4.5 |
29.4 |
10.8 |
0.0※ |
0.0※ |
14日~24日 |
20.0 |
45.2 |
25.2 |
55.8 |
38.2 |
18.2 |
47.6 |
合計 |
78.1 |
107.8 |
29.7 |
27.6 |
96.3 |
18.2 |
18.9 |
それでは、今回の大雪の影響額を試算してみましょう。まず、発電量へのパネル着雪の影響を除くため、「日照あり着雪あり」の日のデータを除去して一次回帰で推計しました。発電量yが日照時間xの一次関数であるとき、近似式y=0.4665x+0.7777で示され、これを先ほど除去した日の実際の日照時間を代入することにより、「着雪がなかったとした」ときの発電量を再計算します。例えば、2月21日は10.1時間の日照がありましたので、近似式に代入すると得べかりし発電量は5.49kWhと求められます。この日の実際の発電量は2.19kWhでしたので、影響量はマイナス3.30kWh(影響率△60.1%)となり、6割も損したというイメージです。
このように、着雪影響を除去した発電量を毎日再計算し、期間ごとに小計したものが上表の(2)になります。次に、期間ごとの理論値(推計値)と実績値の差(=影響量)を取って、それを理論値で割ることで大雪着雪の太陽光発電への影響を測ります。表の(2)の2つ右の列(=影響率)をご覧ください。2月8日の大雪による該当期間4日間の影響は3割減(△29.4%)、2月14~15日の記録的豪雪による11日間の影響は約6割減(△55.8%)であり、これら2週連続の大雪の2月全体の発電量への影響は約3割減(△27.6%)となりました。大雪の影響がなかった平成25年2月との比較で、日照時間△5.7%・発電量△28.2%のギャップがおおむね説明できました。
ところで、平年の上田では、冬季に年1~2回は(2月8日(=日降水量・多4位)レベルの)大雪は降りますし、降雪後の着雪も何日かは残るのは通常です。このため、今年2月8日の大雪は想定内※として扱い、「2月14~15日豪雪(合計68ミリ、多3位・1位、平年の2月月間降水量の2.2倍)」の「想定外の部分」を太陽光発電における「自然災害」とするのが妥当ではないかと考えます。2月8日の降雪の融雪状況(所要3日)から見て、2月16日以降の着雪期間中、降雪直後の2日間(16~17日)と最終日(24日)の3日間以外の18~23日の6日間を、降雪量と低温継続が重なったことによる太陽光発電としての被災期間とみなすこととします。
(2)のうち当該6日間に限って再計算したものが(3)です。表の右端の列(=影響率)をご覧ください。14日の降り始めから24日までの11日間で、例年並みの降雪・気温ならば実現できたであろう発電量(推計値)に対して、実際は約半分(△47.6%)が減殺され、2月全体としても約2割(△18.9%)が着雪により発電できなかったことが計算されました。これが、自然災害の観点からとらえた被害量18.2kWhの相対値です。上田合庁では2月24日に人力で排雪したので、着雪期間も同日までの11日間としました。市内各戸の太陽光パネルの着雪もおおむね平均的な日数だと現認していますが、屋根・パネルの傾斜や風向き等から、もう少し長い間融けなかった方も多いでしょうし、逆に早期の能動的な除雪・排雪によって、早々に回復した事業会社もあったと聞いております。
また、被災量18.2kWhの平年の年間発電量(1,380kWh)に対する影響率は△1.3%であり、これは年間の日照時間で約29時間に相当し、今回の被災を挽回するためには、曇りや雨だった日が晴れになる日が年4日程度新たに必要になる量です。
なお、2月14~15日の大雪による影響量25.2kWhが、固定価格買取制度(家庭余剰買取単価38円、事業全量買取単価37.8円)によってどのくらい減収したかを試算すると、家庭用4kWで3,830円、事業用10kWあたり9,526円となります。
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