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更新日:2018年4月1日
上田地域振興局
平成26年8月の発電実績は2,128.4kWh(1kWあたり106.4kWh)で、前年同月(単月)比74.6%、平年(推計)比79.3%と大きく減少しました。
月 |
平成25年(kWh) |
前年同月比(%) |
前月比(%) |
平成26年(kWh) |
前年同月比(%) |
前月比(%) |
7 |
2,710.4 |
106.2 |
106.5 |
101.3 |
106.8 |
|
8 |
2,852.6 |
91.3 |
105.2 |
2,128.4 |
74.6 |
77.5 |
また、太陽光発電量に最も影響の大きい上田(アメダス)の今月の日照時間は130.0時間にとどまり、前年同月比55.8%・平年比62.8%・前月比63.0%でした。これは、昭和63年(1988年)の統計開始以来、冷夏と日照不足で米を緊急輸入した平成5年(1993年)の109.1時間、エルニーニョ現象下にあって夏型が安定しなかった平成10年(1998年)の129.8時間に次ぐ寡照3位で、冷夏で農業被害が多く出た平成15年(2003年)の131.9時間と並んでかなり少なくなりました。
なお、通年でも月150時間を下回ることはあまりないのですが、近年では平成22年(2010年)10月の125.2時間に次ぐ約4年ぶりの低い水準でした。
区分 |
発電実績(1kWあたり) |
日照時間 |
||||
8月 |
平成26年(kWh) |
前年同期比(%) |
平年比(%) |
平成26年(h) |
前年同期比(%) |
平年比(%) |
上旬 |
35.2 |
78.0 |
79.8 |
42.4 |
58.0 |
59.9 |
中旬 |
33.7 |
67.0 |
78.0 |
44.9 |
49.3 |
67.7 |
下旬 |
37.5 |
79.4 |
80.0 |
42.7 |
62.2 |
60.9 |
月間 |
106.4 |
74.6 |
79.3 |
130.0 |
55.8 |
62.8 |
【8月の天候コメント】
平成26年8月の天候は、大雨による災害が日本各地で頻発して「平成26年8月豪雨」と命名され、気象庁が異常気象分析検討会を開くほどの天候不順に見舞われ、上田(アメダス)の日照時間は平年8月の6割強、かなりの多照だった昨年・一昨年8月の半分強という県下主要地点と同様の傾向で、記録的な少なさとなりました。
【上旬】【中旬】
平成26年8月上・中旬の発電実績をご覧ください。
【下旬】
日本海に北上していた前線が、23日頃から再び本州付近に南下して停滞し、早くも秋の長雨のような気圧配置に移行したので、お盆休み明けの夏空はもう望めず、曇りや雨の日が多くなりました。この前線に向かって流入する、太平洋高気圧の西縁を回った南からの暖湿気、偏西風の南蛇行による大陸からの寒気という中旬以来の悪パターンに加えて、オホーツク海高気圧からの冷涼北東気流の吹き出しという東日本の冷夏・日照不足パターンの影響もあって、24日から28日の平均日照時間は1.0時間と今月の最低まで落ち込みました。29日は停滞前線の本州南岸までの南下によって若干の回復を見ましたが、下旬の日照時間は42.7時間と平年比60.9%で、上・中旬の不順を回復できませんでした。
また、下旬の降水量は平年比138.6%、気温は特に最高気温が平年差で2.8℃も低く、平均気温でも1.6℃のマイナスでした。
【月間】
太陽光発電にとっては5月と8月が大きな書き入れ時になりますが、今年8月の天候は、太平洋高気圧の東偏と日本付近への張り出しが弱かったため、そして偏西風の南(北)蛇行を背景に、上旬後半・中旬は台風12号・11号による暖湿気の流入継続や本州上の停滞前線の、下旬はオホーツク海高気圧の北東気流の影響を強く受けて、上旬前半の数日とお盆休み明けの1週間程度の夏空を除き曇りや雨の日ばかりとなりました。月間の日照時間が記録的な少なさとなったほか、降水量は多く、中・下旬の最高気温はかなり低くなりました。毎日の気温の変動も大きく、暑かった期間が短かった夏でした。(なお、太平洋高気圧の勢力そのものは強かったと解説されています。)
最近の冷夏・日照不足(農業被害級)だった11年前の平成15年(2003)の夏と比較すると、8月の日照時間はどちらも130時間程度でかなり低い水準でした。ただ、平成15年の夏が3か月間で331.9時間しかなかったのに対し、今年は6月と7月上・中旬が平年並、7月下旬の100時間超・31.2時間プラスが効いて503.4時間ありました。昨年・一昨年の超高水準にはもちろん、平年の542.9時間にも及ばないものの、下のグラフのとおり8月単月の落ち込みも6月7月の貯金の取り崩しと考えれば、衝撃度も和らいで感じることができます。この点が同じ太陽エネルギーを源とする農業(作物成長時期があって、その時期に所要の日照等が重要)との本質的な違いだと思います。
過去1年間のパネル1kWあたりの発電量は1,411.4kWhで、前年同月(累計)比93.8%でした。93.8%の意味は、今年8月末までの1年間(下のグラフの赤)とかなり多照だったその前の1年間(1,504.9kWh、青)を比較したときに、年間発電量が1kWあたり93.5kWh減少しており、平成25年度単価38円で年3,553円の減収に相当します。(今年2月の大雪着雪の影響を含む。)
書き入れ時の真夏の発電量が、昨年同月比・シミュレーション(目標設定)比であまりに少ないため、設備や配線等の故障を心配された方も多くいたと聞いています。繰り返しになりますが、「平成26年8月豪雨」と命名された今月の日照時間130.0時間は、米を緊急輸入した平成5年、エルニーニョ現象下にあった平成10年に次ぐ寡照3位で、直近の農業被害級冷夏の平成15年と並ぶでかなり少ないものです。さらに、通年でも平成22年10月以来の低い水準であり、何年かに一度あるかどうかという異常な極端な記録でした。
平成26年(2014年)8月の異常気象(降水量と日照時間)は、自然エネルギー利用である太陽光発電の自然のリスクを体感した貴重な経験として、今後とも記憶と記録に留めたいと思います。日照不足は、10年20年タームの長い発電期間中にはこういうこともあるということだと思います。
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