ホーム > 県政情報・統計 > 県概要 > 知事の部屋 > 知事会見(動画とテキストでご覧になれます) > 2014年度知事会見録一覧 > 知事会見2014年7月17日
ここから本文です。
更新日:2015年6月23日
長野県知事 阿部守一
今日の会見は私の方から、新しい県立4年制大学の理事長そして学長の予定者お二方をご紹介をさせていただきたいと思います。
まず、みなさんから向かって右側に座っていただいております、安藤国威(あんどう くにたけ)さんをご紹介したいと思います。
安藤国威さん、新しい大学の理事長予定者ということでお願いをさせていただきました。ソニー生命保険株式会社の現在名誉会長でございます。安藤名誉会長には、大変ご多忙中ではありますが、新しい県立大学の基本構想に掲げた理念、そして内容に大変強く共感をいただき、ご快諾をいただいたところでございます。
後ほど安藤理事長予定者の方から直接ご自分の自己紹介があるかと思いますが、ソニー株式会社の代表取締役社長等ご歴任された方でございます。長野県に生産拠点を持つパソコンのVAIOの開発・事業化にご尽力をされ、また、業界において革新を起こしたといわれております、ソニー生命保険の立上げも進めて来られた方でございます。
新しい県立大学はグローバルな視点で、地域においてイノベーションを起こすことができる人材を育てようということで、この場でも何度も繰り返しお話をさせてきていただいておりますけれども、まさにグローバルにご活躍をされ、そして様々なイノベーションの中心にいらっしゃった方でございます。
豊かな経験そして高い見識をお持ちの安藤名誉会長に、私どもの県立大学、運営面で取り組んでいただくということになるわけであります。グローバルな視点の下に、産業界等含めてですね、多くの県民の皆様方からの期待に応えることができる大学づくりが、さらに加速することができるというふうに考えているところでございます。
安藤名誉会長におかれましては、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
そして次に、皆さんから向かって左側にご着席いただいております、学長予定者として金田一真澄(きんだいち ますみ)慶應義塾大学の名誉教授をご紹介させていただきたいと思います。
金田一真澄名誉教授は、慶應義塾大学で教鞭をとられるとともに、慶応大学全体の1、2年生が学ばれます日吉キャンパスの責任者として、これまで新しい教育に挑戦され、そして実践をされてきた方でございます。
新しい県立大学の基本構想の理念にご賛同をいただき、昨年度から県立大学設立準備委員会の教育課程・教員選考専門部会で、これまでもご指導をいただいてきたところでございます。
私はかねてから、学長には、豊かな教養と高い学識に加え、教育に対する熱意、そして学生に対する愛情、こうしたものを持っておられる方が相応しい方というふうに思ってまいりました。
金田一先生とお話する中で、まさにこうした学長像にぴったりの方であると思い、お願いをさせていただいたところでございます。金田一名誉教授にもご快諾をいただいたところでございます。
新しい県立大学。教育を重視して、そして一人一人の学生を大切にする大学でありたいというふうに思っております。また、今日の大学が直面している様々な課題に応えて、あるべき姿を実現する大学でありたいというふうに思っております。
こうした価値観を共有して、新しい大学を率いていただける方と確信をしているところでございます。
以上が、お二方の私からのご紹介でございます。
なお、理事長と学長予定者、今回それぞれお願いをさせていただいたところでございます。理事長と学長については、公立大学によっては兼務をされる大学もあるわけでありますが、今回基本構想に盛り込みました様々な取組を通じて、グローバルな視点でイノベーションを創出できる人材を育成する新しい大学をつくりあげ、そして特色ある教育を実現するという観点で考えたときに、大学法人の経営を統括する理事長という立場と、そして教育研究を牽引する学長を分けてですね、それぞれお願いをして、分担・協力をして、開学準備そして大学運営に当たっていただくことが、有効という形で判断をさせていただき、理事長予定者、学長予定者それぞれお願いをさせていただいたところでございます。
これまでどちらかというと、この県立大学構想、私なり、事務局の思いで引っ張ってきたところがありますが、これからは安藤名誉会長、そして金田一名誉教授のお力添えを得る中で、お二人に中心的な牽引役を担っていただく中で、私もしっかりと協力するという、こういう体制でこの新しい大学の構想の実現、そして大学づくりをさらに加速化をさせていきたいというふう思っております。皆さま方のこれまで以上のご協力とご支援を心からお願いを申し上げて、私からのご紹介とさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
安藤国威 氏
ただいま、阿部知事から理事長予定者として御紹介いただきました安藤でございます。まず、最初に金田一先生と二人を代表いたしまして、先週、南木曽町が大変な大雨によって災害を被ったということで、その中で中学生の方の尊い命が失われたと伺っておりまして、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
さらにまだまだ、被害を受けられた方につきましては、大変不安な中でお過ごしのことと思いますけれども、一日も早い復旧を心より祈念しております。
先ほど阿部知事から、グローバルな視点を持った、イノベーションを愛するというか創出できるというような、そういう人材を豊富に輩出できるような、新しいタイプの大学をつくりたいというお話がありましたけれども、私自身40年以上にわたって、ずっとソニーとソニーグループの中で色々な経験を積んでまいりまして、特にこれからの日本、現代の日本にとって必要なのは、まさに今知事の仰られたような人材が必要不可欠であるというように、非常に強く感じていたところでございます。
かつて、70年代とか80年代には皆さんも御承知のように日本は非常に強いものづくりの力というものを背景といたしまして、ある、コロンビア大学の先生によれば、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と、日本はもう圧倒的に世界一なんだと言われていた時代もあったわけでございますけれども、やはりそれから数十年経ちまして、現在では、当時と比べましてはるかにグローバル化が進んでいるというように思っております。そして、その中で欧米の先進国や、あるいは今急激に成長しつつあるアジアの新興国に伍して、もう一度日本が世界に存在感を発揮するように、さらに輝きを持って世界に認められるというか、そのような存在になるためにはやはり人材であると思っています。本当に新しいことに積極的にチャレンジをして、敢えて困難な改革などに挑んでいくんだというような、そういうような人材こそ必要とされていると感じておりました。そういう中で、阿部知事から新しい県立大学の構想を伺いまして、これこそ私なんかがずっと考えていた問題意識とまさに重なるところがあると強く感じることができました。
私自身のことも少し触れさせていただきますと、私は学生時代にもアメリカにずっと行っておりまして、60年代半ばくらいですが、それからソニーの時代には、70年代と、80年代から90年代にかけて、2度アメリカに赴任をした経験がございます。その中で、現地の優秀な人材を育て採用するために、色々な大学をまわった訳でありまして、そういう中でも、欧米の大学がどのような状況であるかということも、本当によく自分なりに理解をしたつもりでおります。
また、海外における色々な事業経験を通じまして、本当にグローバルに通用する人材とは一体どういうものなのかと考えてみますと、ただ単に英語が喋れればよいというものでもありませんし、やはり自らがきちっとした、明確な考えを持っていて、色々なコミュニケーションを通じて、相手の価値観もよく理解するような人材こそ日本にとって求められているというように感じております。
さらに個人的には、先ほど知事からもご紹介ありましたけれども、1996年くらいにですね、ソニーが新しいパソコンを開発するということで、私が責任者に任命されて、その製造と開発の拠点があったのが、この長野テックと言われている、安曇野にある事業所でございました。ですから当時は本当に月に数回、頻繁に長野県に通ってた訳でございます。そういうような経験を通じまして、長野県を知れば知るほど、ここには素晴らしいユニークな技術を持った企業がたくさんあるなと、それから、人材も非常に優れた人材がいると、常日頃、当時は感じていた訳でございます。そういういときに、たまたま、阿部知事から理事長にという声がかかったときには、これからこのように本当に素晴らしい県の将来を担うような人材を育成するということは実に意義のあることであるということで、是非この役目を金田一先生と一緒になって果たしていきたいというように強く考えております。
実は、大学のこれからについては、それほどまだ深く考えた訳ではなくてですね、今までの知事のビジョンの下で、準備委員会の方々が用意された方向性はもう大きなところは決まっている訳でございますけれども、ただ単に、ここでもう一つ普通の大学をつくるということでは、ほとんど意味がないと考えております。やはり、これから日本の将来進むべき方向にマッチした、そういうところと教育の理念を同じ方向で考え、そしてまた新しい教育メソッドとか、独自なユニークな方法によって、この大学が独自のアイデンティティと言うのでしょうか、存在感を持った大学をつくろうということを目指しております。
実は、そのためには、これからも本当に地域密着というか、長野県の方々、特に教育関係でありますとか、企業の関係の方々、色々と話をさせていただきたいと思っております。そういう中でやはり、長野県の素晴らしい特長を生かした、全国からも注目されるような、言ってみれば、この大学しか持っていないような、「ワン・アンド・オンリー」という言葉を使うのですけれども、そのような大学を、これから目指してつくっていきたいと思っておりますので、是非皆様方のご協力をいただきたいと思います。
また、これからは開学までに、平成30年の4月を目指していますけれども、時間があるようですが、非常に大変なことを実現していかなければなりません。特にこれからもっと具体的な教育の内容でありますとか、それから目指すべき人材についても、もっともっと具体的なものを皆さま方に提示しながら、そして、色々な方々と議論をしながら、素晴らしい大学をつくりたいと思っていますし、そのような気運を長野県全体に巻き起こすためにも、私も本当に先頭に立って鋭意努力をしてまいる所存ですので、よろしくお願いいたします。
簡単ですけれども、これで挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
金田一真澄 氏
ただいま、阿部守一長野県知事より、大変過分な、褒めすぎの紹介をいただきました金田一真澄と申します。
長野県立大学学長という役職は大変名誉ある大役でございます。謹んでお受けしたいと思います。
幸い、今お話しされました理事長の安藤国威先生、世界で活躍される国際人でございます。そういう強い味方を得て、是非素晴らしい大学をこれからつくっていきたいと考えております。
長野は教育県と全国で知られております。その長野の県民の想い、その望むような理想というとちょっと語弊がありますけれども、魅力的な大学づくりを是非目指していきたい。そして、健康、文化、教育、研究、学問、そういった知の拠点として、広く長野の地域貢献をしていきたいと思います。
まずは平成30年、というと4年後ですけれども、この4年間、新しい大学を立ち上げるために全力を尽くしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
私個人のことにつきまして少しだけお話しますと、私は今から50年ほど前に白馬岳に家族で登りました。父が大変高山植物が大好きで、あそこは日本でも有数の高山植物の宝庫と言われます。シナノキンバイ、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲもあります。ミヤマウスユキソウ、もうコマクサから色々な花が咲いております。
そういう花も素晴らしかったんですけれども、山頂から、たまたま天気が良かったせいですか、雲海の向こうに八ヶ岳、そしてその向こうに富士山を見ることができました。こんな遠くから富士山が見えるということを初めて知りました。
それ以来、山に憧れまして、その後すぐに八ヶ岳に小さな山小屋を建てまして、そこで夏を過ごすということをやりました。父も汗かきで、私も汗かきで、今ちょっと汗をかいているところなんですけれども、45年山にいました。ですので、私は、この山のある南アルプス、北アルプス、中央アルプスとある日本アルプスのあるこの長野県、大変憧れをもっていました。ですので、今回こういう話をいただいたときに二つ返事で是非やりたいと答えました。
私がこの役職をやるにあたって、もう1つ引き受けた理由がございます。
それは先程、知事の方から話がありましたけれども、たまたま、私は慶應義塾大学の教養教育を担当しておりまして、辞めるまでの4年間、教養教育の中核を担当し、あそこには9,000人の1、2年生がいるんですけれども、7学部、その学生たちのために様々な改革をしてまいりました。ですので、ひょっとしたらその経験がこの新しい大学に活かすことができるのではないかと思いました。
力足らずですけれども、理事長そして県知事の阿部さんにも是非サポートしていただきながら是非素晴らしい大学をつくりたいと思っております。
是非ご協力のほど、皆さんからもお願いしたいと思います。
以上で私の話を終わります。どうもありがとうございました。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
まず知事に伺いたいのですけれども、今回ですね、ようやく、これまでですね県議会を始め色々なところから求められてきました、理事長、学長が決められたわけですけれども、人事などでどこまでお話できるのか分かりませんけれども、どんな経緯でお二人にお願いするに至ったのか、それから最終的にいつの時点でご返事いただいたのか、その点についてが一つとですね、それから最終的にこの知事選の前に発表というようなタイミングになりましたけれども、これについてはいろいろな考え方があるかとは思いますが、このタイミングを選ばれた、というのか結果的になったといいますか、タイミングの意味を教えていただきたいのが二点目です。
それから最後三点目に教えていただきたいのは、ここまでですね、どちらかというとここまで教員選考とそれから教育課程の専門部会についても、德永先生などがご中心になられてここまで進めてこられたわけですが、今後そちらの専門部会の位置づけがどうなるか、それから德永先生などの、こうした体制が決まった中での先生の位置づけなどはどのようにお考えか、その三点を教えてください。
長野県知事 阿部守一
三点のご質問にまずは私の方からお答えしたいと思います。
まず経緯ですけれども、これは県議会でも再三質問いただく中でですね、私とすれば学長予定者の選任はできるだけ早くと思いながらも、しかしながらこの長野県にとって極めて重要な大学をある意味託すわけでありますから、そういう意味では決して拙速ではなく、しっかり素晴らしい方を選ばなければいけないというふうに、かねてから思ってまいったところであります。
そういう中で、当然何人かの方といろいろご相談をさせていただきました。そうした中で、今回予定者としての、安藤名誉会長そして金田一名誉教授のお名前が挙がってきたということであります。
安藤名誉会長には何度かお目にかかる中で、ご内諾いただけたのは5月頃だったと記憶をしております。また、金田一名誉教授には、かねてから教育課程・教員選考専門部会にご参画いただいていただいた訳でありますが、私も一対一で何度かお会いをさせていただく中でですね、6月の段階でご内諾をいただけたというのがこれまでの経過でございます。
発表のタイミングということでありますが、まさにご質問の中にもありましたように、知事選云々と特に関係付けて発表しているわけではありません。大学の設立準備にあり、今待ったなしで進めていかなければいけないわけでありますので、これは当事者のお二方の日程、スケジュール、関係される方ともいろいろと調整を必要とされますので、そうしたことを行っていただいた上で、今日のタイミングになったということであります。
私とすれば、できるだけ早くですね、決まった上では県民の皆様方にお知らせしようと思っていましたが、調整をさせていただいた結果今日になったということでございます。
それから今後の体制でありますけれども、今まで設立準備委員会ということで議論してきたわけでありますが、これから、今、設立準備委員会自体は任期が切れた形になっておりますので、名称をどうするかは別として、これから本格的な体制を改めて作っていかなければいけないと思っております。
そうした中で、安藤名誉会長、金田一名誉教授は当然中核的なメンバーでご参画をいただくということになります。德永先生のお話もありましたが、本当に德永先生にはこれまで私どもも、大変ご支援ご尽力をいただいてきておりますので、これからも引き続きご協力をいただきたいというふうに思っております。とりわけ、これは県立大学だけではなくて、私として高等教育振興全体をですね、これからの県の大きなテーマというふうに掲げておりますので、そうした観点で、この県立大学については引き続きご協力をいただくと同時に、県の高等教育全体に対してもご意見をいただくような形を今後さらに考えて、これは德永先生にも改めてまたお願いをさせていただいて、調整していきたいと思っているところであります。以上です。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
補足で、知事が今仰ったところでは、準備委員会の方は先ほどのお話で分かりましたけれども、専門部会の方がどうなるのかというのが一点と、今德永先生について仰ったのは、何か県政参与であるとか、何かアドバイザーであるとかそうしたものを、高等教育全体にかかるものをお考えだということでしょうか。
長野県知事 阿部守一
そうですね。高等教育については、今年度から新しく高等教育の専門の部署を作ったところであります。まだまだこれから信州大学、あるいは県内の大学、短期大学、少子化を迎える中でですね、全体として、しっかりとした高等教育の道筋を県も一緒になって考えていかなければいけない部分があろうかと思っておりますので、そういう観点で德永先生には、この県立大学へのご協力以外にも、別の形で考えていきたいと思っております。それは今お話あったような、いくつか具体的な呼称があがりましたが、幅広くどういう形がいいのかということは、これは德永先生のお考えもあろうと思いますし、県としての考え方もありますので、十分調整、相談をさせていただく中で決めていきたいと思っています。
信濃毎日新聞 島田誠 氏
理事長予定者、それから学長予定者のお二人の先生方に伺いたいのですけれども、安藤会長で言えばですね、非常にこれまで経営の分野で世界的な活躍をされてきた方ですし、金田一先生であれば、学者一家のお生まれでいらっしゃって、これまで慶應大でもご活躍されてきた方ですけれども、先ほど知事の理念への共感であるとか、教育への思いというのはお話いただきましたけれども、それを踏まえてなおですね、今回の依頼を引き受ける決め手になられたのはどこなのかというのが一点とですね、それからもう一つは、今回つくられる大学というのは、今大学が集まっている、例えば首都圏とかにつくるのではなくて、地方である信州の地につくる訳ですけれども、そこで先ほど安藤会長が仰られたような長野県らしい教育というのは、どんな事をイメージされていらっしゃるのか、その二点をそれぞれお二人に伺いたいのですが。
安藤国威 氏
最初に私からお答えさせていただきますけれども、先ほど説明した以外ではですね、やはり私自身色々ビジネスの世界でやってきまして、最終的には、人材を養成すると、それも将来の日本を背負って立つような人材ですとか、あるいはこれからはむしろ首都圏を中心とする大都市よりも、日本らしいユニークな文化とか考え方とか特色を持った地方の人材とか企業をこれから育成して、世界に羽ばたかせていこうというのが、私の、ある意味では、最後に情熱を込めてやっていこうという事だと考えておりました。
もう一つは、阿部知事と話をさせていただいた時に、やはり、知事が非常に情熱的で、本当に、私も色々な知事と話をしてもですね、これほど教育に打ち込んで話をされる方が居たのかと驚いたくらいですので、ほだされたと言ってはなんですけれども、やはり、こういう方のビジョンをですね、実現するのをお手伝いできるのは、素晴らしいと思っております。
それから、長野県というのが日本のちょうど中心に位置していて、新幹線も通り、これからリニアも通り、色んな意味でですね、地方の中でも世界に羽ばたく事ができる非常に特色のある地域であると思っておりましたので、こういう話がありました時には是非ですね、まず長野県でしたら是非受けさせていただきたいということはありました。
それからもう一つ、どういうイメージで地方の特色を出した大学をつくっていきたいのかという御質問であったと思いますけれども、名前は出しませんけれども、長野県は元々東洋のスイスと言われるような、セイコーさんが大変成功された諏訪地方というのがありますし、特に精密機械であるとか、最近ではメディカルですとか、世界でもここでしか作れないものをつくっている企業がたくさんあります。そういうような企業がこれから大企業を経ることなくダイレクトに世界と繋がっていくと、そういう企業を助けるのはあくまでも人材ですので、大学と一緒になって、インターンシップですとか、いわゆる産学協働ということが言われておりますけれども、具体的な産学協働ということを、この長野県を中心にしてですね、実現できれば素晴らしいと思っております。
今世界で新しいベンチャーを産んでいる都市というのは、やはりアメリカのシリコンバレーとかですね、それから最近ではスタートアップレーションと言われているのですけれども、イスラエルなんかがもの凄く伸びてきているんですね。それからシンガポールなんかもそうですし、ですから、これからはそういうところというのは皆中心に大学があって、大学と企業が一体となって新しい産業を産んでいくと、そういう点においては、長野県における、あるいは日本における知の中核としての役割を、大学を通じて実現していきたいと、そうなってくると授業の方法にいたしましても、それから、全寮制度で学校の考え方、建学の精神みたいなものをですね、徹頭徹尾学生の方に分かっていただいて、そこに海外からも多くの学生を呼び込んで、まさにグローバルな中でも自由に、失敗を恐れることなくチャレンジ精神を持って羽ばたくようなことができる人材を、多数この大学がつくっていきたいと、それをどう実現するかという事を、金田一先生ともですね、ついこの間色々と議論させていただいたんですけれども、幸いなことにですね、二人とも、考え方がぴったり合っていると思っておりますので、二人で協力しながら今申し上げたような事を実現していきたいと考えております。
金田一真澄 氏
私の方も先ほどきっかけについてお話ししたかと思いますけれども、もう少し具体的に申し上げますと、去年の暮れからこの準備委員会と言うんですか、準備委員会の教育関係のところで委員会が開かれまして、そちらで一緒にどういう大学をつくるかという話を検討いたしました。その中でやはり新県立大学の基本構想というものがございます。こういうものを見て、新しい大学をつくるということ、単に学長が移るというのではなく、一から大学をつくるということは、凄く責任のあることであり、また凄くやりがいのあることだと、これはおそらく、やりたくてもできないことにたまたまそこに自分が出会ったという、しかもこの基本構想の考え方が大変よく出来ている。しかも、このグローバル、イノベーション、知の拠点、それからオープンというキーワード、これらはまさに、安藤先生の、非常に大きな夢を語ってくださるんですけれども、この大きな力があれば、すごく良いものができるんじゃないかと思いました。
ですので、是非これを夢物語にするのではなく、安藤先生が大きな話をして、現実問題としてどうやってそれを実際にやっていくかというところを僕が考えるという形でいけば、ひょっとしたら凄く良いものが出来るのではないかというように思いました。
それと、一つ言い忘れましたけれども、今、安藤先生も仰っていましたけれども、阿部知事の教育に対する情熱は僕もとっても強く感じました。知事という役職については僕は全く分かりませんけれども、政治家が教育についてこれほど力を入れるという事は、普通は無いだろうと思っております。というのは、教育というのは、5年、10年経たないと結果が出ません。ですからもし4年ごとに選挙やっていたら、教育というのは最後になってしまう。そういう時に、阿部知事は、そうではない、やっぱり教育は大事であると仰った。僕はそれに感動いたしました。
そういう事で是非力足らずでありますけれども、少しでもお力になれればと思って、引き受けたということでございます。
長野の特長という話も最後に出ましたけれども、これについては僕は地方の学生というのは、資質は大変良い、ところがちょっと欲がない、やはり東京の人は貪欲で、同じ能力であっても欲がある分ちょっと上に這い上がっていく、そういうところが違う点として一つあるかな、また、長野は居心地がいい、だからあまり外に出ていかなくても食べるものはおいしいし、安全だしというところが、逆に居心地の良さがもっとチャレンジ精神を持てという時にマイナスに働く可能性もある。そういうところを是非うまくもっていけるような大学が作れたらいいなと思いましてこの話を引き受けたということです。
共同通信 小田智博 氏
安藤さんに伺いたいのですが、これまでソニーでご活躍なさってこられて、教育分野に関して言えば直接のご経験については今お話になっていなかったと思うんですけれども、これまでの経験を具体的に今回の大学の理事長という職でどのように活かしていけるのかその辺りを伺えませんでしょうか。
安藤国威 氏
確かに大学の教育、大学経営というのは私にとっては新しいチャレンジであるんですけれども、どういう訳だかいつか必ず教育にももっともっと深く携わる日が来るのではないかという感じを漠然として持っておりまして、特にソニーの社長からかつてつくったところへもう一度戻ってきてIPOとか上場を果たして来たわけですけれども、余裕があればあるほどやはり色々な大学で教えるということは今までずっとやってきました。ずっと講座を持ち続けるということはかなり難しいことだったんですけれども、ただそれでもひとつ大学院レベルで英語での授業を頼まれたりしてやったりとか、海外からの留学生たちの多いところで特別講義をやったりとか、それを3つ、4つ、それ以外のところでもかなりやってまいりました。
それから、もうひとつこんなことを言いますと、ちょっと口はばったいんですけれども、一時NHKでハーバード大学のマイケル・サンデルという教授が白熱教室ということを盛んにやっておられたんですね。僕も教育テレビでそれを見ましていたく感心はしたんですけれども、こういう大学のことはこれほど議論されて何かおかしいんじゃないか、というのは企業においては、ああやって色々な人材の意見をどんどん出させて、最終的には互いに刺激し合って正しい方向へ持っていくわけですけれども、ああいう大学院のレベルの議論というのは、例えばソニーなんかの会議における議論と非常に似ている訳ですよね。最終的にはトップが意思決定をしていく訳ですけれども、それまでにどれだけ多くの色々な考えを持っている人たちに意見を戦わせて、そこから新しいイノベーションを産んでいくのか、やはりイノベーションというのは多様な考え方とか経験をもった人が集まることによって、切磋琢磨して初めて可能になるわけでそれは純血種がいればいいというものとは全く違うわけですよね。
だから、そのようなことを教育の場でいつか何かこれができるのだったらば、今やっていることをもっともっと教育などでやっていったら教育も活性化するのかなと、それから、かつてのように企業が大学から出て来た優秀な人材を一度預かって、それから本当に企業にとってのトレーニングをして役に立つにはかつては10年とか、それ以上かかった、まだ雑巾がけをしているような。ただ、最近のITとかデジタルみたいになってきますと、そんなことは言っていられないんですね。大学出た人がすぐに役に立つ。さっきちょっと申し上げましたけれども、シリコンバレーでもどこでも大学にいる時代から起業をして、インターンでどんどん勉強してそれからビジネスにつなげていくことというのは日常茶飯事行われつつある訳ですよね、だからそういう意味においても今やはり日本というのは大学教育全体が高等学校までのレベルの高い教育に比べて世界の中ではどんどん低くなっている、遅れていると。やり方においてはもっと遅れている可能性があるわけですので、やはりそのようなところを起業のニードと輩出される人材とのミスマッチが今起こっていたと思うんですね。そういうのを極力なくすような新しいタイプの教育みたいなことは、今までの経験を活かして、それから少なくともそんなに深くはなかったんですけれども、かつて少し経験した教育のことを勘案してもですね何とかこの大学で実現できたらなと思っています。
それはもちろん金田一先生を始め多くの国内、海外から来る教授の先生方と一緒に実現していくわけですし、私自身はそれ以上に大事なのはやはりこの間知事に申し上げたんですけれども、大学で働く職員達の意識というのも非常に大事だと思うんですね。先生というのはある種のプレーヤー的なところがありますから、ノーベル賞を選ぶにしても研究開発するにしても本当に金田一先生が言っておられるように、教育にライフワークとして心を傾けて先生はいらしているでしょう。どちらかといえばこちらは金田一先生の言を借りれば本当に教育そのものを一生懸命やるような、そういう新しい大学なんだと言っておられますけれども、私はまさにそれが正しいと思っておりまして、そういう点で特徴、先に申し上げた「ワン・アンド・オンリー」というのはそのようなところをこの大学で他の大学より先駆けて実現できればこれは本当に素晴らしいかなと思っておりますので、是非そのために頑張っていきたいと思っております。
共同通信 小田智博 氏
もう一点、安藤さんと金田一さんお二人にお伺いしたいんですけれども、今回の新県立大学ですが、管理栄養士を養成しようという考えもございまして、それというのは今安藤さんが仰った、グローバルに活躍する人材というところとどう結びついていくのかというのが見えにくいのではないかというご指摘も中にはあるんですけれどもその辺りお二人どのようにお考えかそれぞれお聞かせいただけませんでしょうか。
安藤国威 氏
私もその辺りについてはよく理解しているわけではないんですけれども、話を聞かされておりまして、ただしかし私はこれから作っていく大学の中では総合マネジメントというところと、これは確かにグローバルに非常に活躍する人材を作るわけですけれども、それから健康発達学部のような衣食住に密接に関連した分野で新しいそういう分野でもユニークな学部を作っていくと、その中の一つとして管理栄養士の資格を与えるというのは当然あってしかるべきだと思いますし、必要だと思っています。
ただそれがですね、僕は大事なのはそういうのを新しい長野県立大学で4年間きちっと学んでですね、そういう校風のもとに育てられた人材が新たに地域社会に貢献してきていくということですので、もちろん確かに管理栄養士がだぶっているとか色々なことはあるんでしょうけれども、僕はそれを超えたところにこの大学の価値はあると思っていますから、これは他の大学の経営を圧迫するということではなくて、お互いがウィン・ウィンの関係というか、それぞれの特色を生かしながら、長野県で両立していけるような形をつくっていくべきだと思っていますので、あまり個人的には、皆さん方がよく説明されるようなこととは違って、むしろ楽観的に考えているといった方が正しいかもしれません。今、考えていることはそんなところです。
共同通信 小田智博 氏
安藤さんから伺ったのは、長野県内の大学と重なることで、ということでお答えいただいたと思うんですが。
金田一真澄 氏
県内への貢献とグローバル化との対立についてですか。
共同通信 小田智博 氏
質問がある意味重なってしまったかもしれませんが、まず、県内の競合というのが1つで、あと、グローバルな人材を育てるという目標の中で管理栄養士を養成するというのは、どのように位置づけられているのか、という2点を伺いたいと思います。
金田一真澄 氏
管理栄養士の話は、残念ながら、私はよく分からないので。申し訳ありません。
ただ、グローバル化は大変重要で、私は、長野県全体がかなり日本の良いものの大部分を持っていると思っています。ですので、今回、こういうグローバル化の中で留学生を出していく、または、海外から受け入れていくというところは、大変重要な意味があって、そうやって海外から日本の素晴らしさを見るときに、長野市にそれが、または長野県の他のところにあるということを見せてあげることがすごく大事なんではないかと思っています。
学生にはやはり発信型、つまり自分でプレゼンできる、文章も書ける、勿論、英語力も大事ですけれども、これは基本的なことですけれども。グローバル化ということはどこの大学でもやっているけれども、本当にグローバル化をやるにはどうしたらよいのか、ということを私は個人的に考えております。まだ、これは、具体的なことを言うと、できなかったりすると怒られてしまうんですが、例えば、東大で秋入学というのを打ち上げましたが、できませんでした。それはかなり無理な状況がありまして。これを慶應大学でもその話を受けてかなり議論いたしました。その中で可能性として出てきたのは4学期制でして、これは今、慶應大学でも早稲田大学でも部分的にはやっています。しかし、これは全面的にやることは不可能です。つまり既存の大学ではできない。そういうことを是非今度の新しい大学で出来たら素晴らしいことだと思います。これは、6~7月の留学にも関わってくるだけではなく、やはり海外から留学生を受け入れたい。そして、日本でもサマースクール、サマーセミナー、サマープログラムのようなものをどんどんやっていって、世界とつながっていきたい。こういうくらいの気持ちで、今度の新しい大学に向けて頑張っていきたい。できなくて、私が謝ることで済めばいいんですが、これは絶対実現したい。実現させますので、是非期待していていただきたいと思います。
共同通信 小田智博 氏
確認ですが、今回の新県立大学では秋入学も含めて考えていきたいというお考えということでいいんですか。
金田一真澄 氏
そうですね。基本構想の中では、秋入学を検討と書いてあるんですよね。これはなかなか部分的にしかできないだろうと。もし、全員を留学させようと思ったら、これではシステム的に無理があると思いますので、そこを4学期制だったら可能なんではないかということで、是非これから検討して実現させたいということでございます。
共同通信 小田智博 氏
分かりました。ありがとうございます。
市民タイムス 淵上健太 氏
安藤さんと金田一さんのお二方にお聞きしたいんですが、今の質問でもありましたが、県内の他の大学の特色を生かしながら、ともに両立させて発展させていくという話があったんですが、今の時点でどういった形でそれを進めていくかというお考えとかビジョンみたいなものがありましたら、教えてほしいんですが。
安藤国威 氏
具体的にどうやって進めていくかということですが、その部分はこれから考えていかなければいけないと思います。私自身は、これからの大きな方向性として、今までいろんな議論があった中で、やはり健康発達学部の中では、たとえ他の大学と競合するというか、同じような学部であったとしても、先程申し上げましたように、資格の面ではそうかもしれませんけれども、そこで学び舎が違い、校風が全く違う中で、人材育成という面ではうまくできるのではないか、実現可能だと思っております。具体的にどうするかというと、今、私は定かには言えないんですけれども、これからまだまだ開学前にそういったことも具体的に考えていきたい。それは我々だけというよりも、やはり長野県でつくる大学ということもありますから、地域の方々のご意見をいろいろ聞かせていただきながら、しかし、やはり、過去のことにこだわるというよりも、我々は将来の人材を育成していくわけでありますので、これからの進むべき日本の方向性、あるいは、これから進むべき長野県の地域としての考え方みたいなものを、先程申し上げたようなかたちでこの大学で実現していくということで、この大学の付加価値を高めていきたいと考えております。
金田一真澄 氏
こちらもまだ勉強不足ですので、他の大学との連携は是非とっていきたいと思いますので、これからコミュニケーションも含めて、長野にある全ての大学、及び高校も含めて、そういう方々と会って、話をしていきたいと思っております。
読売新聞 松本由佳 氏
今、企業との連携のお話が出たと思いますが、大学経営が難しい時代だと思いますので、何らかの寄付講座を設けたりするとか、産学官の共同研究をされるとか、企業の方を育てるような生涯教育にも携われるとか、いろいろな企業との連携のあり方があると思いますが、今、具体的に何か構想がおありであれば、お二人にお聞きしたいと思うんですが。
安藤国威
今、言われた幾多の例、産学協同とかインターンシップだとか、これはほとんどその全てが、我々が模索しながらやっていくべきだと思っています。
ただ、私は特に企業でずっと仕事をしてきまして、それでさっき企業と大学の忙しさの話もありましたけれども、しかし、時代はもうそういうことが許されなくて、大学の方々のアイディアをどんどん基礎に取り込んで、あるいは大学に入るんですけれども、これからの大学というのはアクティブラーニングですとかあるいはプロジェクトデザインですとか、かつてのように一方的に先生が講義をして、学生がノートを取って、試験を受けるということから相当変わってきているわけですよね。また、そういうような実験的なことをされている大学は、もう数多く日本でもできつつあると思っています。
それから、特に海外なんかの学生が日本の大学に対して、最も不満というよりも案外期待外れだというのは、やはり英話で行われる授業の質があまりにも低いということと、それから、余りにも先生が議論をリードできないというか、学生の意見そのものよりも決まった理論が正しいかの如く、言ってみればイノベーションとはおよそ縁の遠い環境みたいなところで日本の大学というのは授業を行っているのではないかと思っています。
こういうところこそ新しい大学では、さっき金田一さんもおっしゃいましたけれども、色々な留学生の考えもあるでしょうし、この地方独特の考えとかあるいは日本だって他県からも来るわけですし、そういう方々をどれほど色々な議論させながら、それもただ単に講義的なスタイルよりも色々なプロジェクトをみんなが実行する。その過程の中では、ただ学校の中でできないわけですから、そういう中で企業と色々な共同プロジェクトをやるとか、インターンシップでも、ただ単にインターンで帰ってくるのではなくて、そこでよかったら、そのままその企業をずっとサポートしながら、新しい力でグローバル化していくだとか、そういうようないくつか具体的な企業の名前を挙げますと色々なやるべきことが出てくると思います。
ですから従来の枠にとらわれない、新しいタイプの、スタイルの大学ができたらいいなと思っていますし、それこそ私さっき申し上げましたけれども、ワン・アンド・オンリーみたいな、こういうやり方だから長野県立大学は素晴らしいんだと、そのために色々なところから生徒が集まってくるし、先生もそこで実験したいと、仕事をしてみたいと、そういうような学校をつくれたら素晴らしいなと思っています。
金田一真澄 氏
ただいま、安藤さんが仰ったことは全く素晴らしいことだと、これを全部やろうとするとかなり大変だと個人的には思います。こんなことをやっている大学はまだ日本にはありません。ですので、「これを全部やるぞ」とここで宣言するのはちょっと無茶だと思います。でも、どこまでできるかということは是非挑戦してみたいと思います。
これから4年間と言ってもあっという間のことだと思いますけれども、その中でどういうことができるか。ですから、安藤さんのそういった一つ一つの国際基準で考えたらこれは何だというようなことはたくさんあると思います。そのように尻を引っ叩かれながら、私はその中でどうやってそれを一つ一つ実現できるかということを考えていくというのが私の役割だと思っております。
ですので、お答えは、今、安藤さんが仰ったとおりだと思います。私はそれを如何に実現していくかということで、どこまでできるかというのが私の役割だと思っております。
よろしいでしょうか。
読売新聞 松本由佳 氏
ありがとうございました。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください