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更新日:2023年5月8日
環境保全研究所
平成23(2011)~平成29(2017)年度
都市域では、地球規模の温暖化に加えて、都市特有の構造や土地利用を主原因とするヒートアイランド現象の影響により、気温の上昇が加速すると考えられています。
都市域で熱中症等の被害を生じさせないためには、ヒートアイランド現象の原因対策(気温上昇を緩和させる緩和策)が重要となります。
本研究では、地方都市におけるヒートアイランドの緩和策を検討するため、現地での気象観測や数値シミュレーションなどを併用し、都市気温の緩和に必要な基礎資料を作成することを目的としています。
気候変動適応策の一つとして考えられるヒートアイランド対策を整理した。地方中小都市におけるヒートアイランド対策としては、中長期的な視点と効果を考慮して緩和策(特に地表面被覆の改善および都市形態の改善)を実施することが望ましいと考えられ、これは都市における気候変動適応策とも合致します。
小学校百葉箱を活用した高密度気温観測による長野市のヒートアイランドの実態を把握しました。また、熱中症の死亡リスクが高まる30℃以上の時間数の分布図を作成し、30℃以上の時間数は特に長野市街地を中心に分布することからヒートアイランド現象による影響が考えられました。
領域気象モデルWRFを用いて、境界条件、土地利用、境界層スキームを変えた場合の再現計算を複数行い、その感度について検討を行いました。その結果、土地利用分布による影響が大きいと考えられました。
山風をモニタリングするため、気温及び風の定点観測(市内3箇所)を行いました。また、立正大等と共同で夏および秋にドップラーライダーとGPSゾンデを用いた山風の立体構造の集中観測を行いました。秋の観測結果から、山風の吹走範囲は裾花川谷口から少なくとも風下方向に約2km、山風の厚さは最大280m程度と推定されました。さらに、山風は長野市内にくさび状に侵入していることが示唆され、山風の冷気の侵入が長野市街地中心付近の気温を緩和する効果があることが推測されました。
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