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更新日:2023年4月15日
環境保全研究所
長野県の生物多様性の総合評価と保全に関する調査研究(2012~2016年度)
信州の生物多様性の保全および自然資源の価値共有手法の開発(2017~2021年度)
上高地
長野県の生物多様性は、この地域でみられる日本でも有数の美しい自然環境を特徴づけています。この生物多様性のもたらす恵みを未来の世代に引き継ぐため、「生物多様性ながの県戦略」が平成24年に策定されました。本研究は、この「戦略」に示された目標と行動計画の達成手段をあきらかにし、その達成に貢献することを目的とするとともに、2017年度からはこの信州の自然の価値を科学的な情報として社会的に共有し、保全対策や持続可能な活用につなげていくことにも力を入れて取り組みました。
植物標本庫の収蔵標本や野生動植物分布データベースを整備・活用し、希少種の分布の解明や、保全上重要な地域(生物多様性ホットスポット)の選定などに活用しました。
2. 希少種の現状とその保護に関する調査研究(平成24~28年度、平成29~令和3年度)
長野県希少野生動植物保護条例の指定種など、注目すべき種の状況を現地調査し、その保護に必要な情報を提供しました。また絶滅のおそれのある野生生物の現状を再評価し、「長野県版レッドリスト」の改訂(平成24~26年度)に参画しました。
ライチョウの雌
< 調査対象種の例 >
植物: タデスミレ、コマウスユキソウ、アツモリソウ、ササユリなど
鳥類: ライチョウ、イヌワシ、ハチクマ、アカモズ、ブッポウソウなど
両生類:ハクバサンショウウオなど
魚類: イワナ、ヤマメ、アマゴ、ウケクチウグイなど
貝類: カワシンジュガイなど
昆虫類:草原性チョウ類、マルハナバチ類、フサヒゲルリカミキリなど
3. 生物多様性の地域特性に関する調査研究(平成26~27年度)
長野県の生物多様性を保全する上で特に優先すべき重要な地域(生物多様性ホットスポット)を、絶滅のおそれのある種の分布から抽出し、長野県版レッドリスト(2014, 2015)に掲載しました。
4. 草原生態系の保全・再生手法に関する調査研究(平成25~27年度)
霧ヶ峰高原などにみられる全国的にも貴重な半自然草原の保全・再生のため、実践的な対策(シカよけ防護柵・火入れなど)の効果を検討し、防鹿柵が草原の植物や昆虫の多様性を回復させることを明らかにしました。
5. 「生物多様性ながの県戦略」の科学的・技術的中間評価(平成28年度)
「戦略」で示された2020年度(平成32年度)までの目標の達成のため、その科学的・技術的な論点を整理・提供しました。
長野県の代表的なホットスポットである北アルプス白馬岳の山麓で、ニホンジカの分布が拡大する状況をセンサーカメラを用いて調査しました。
7. 生物多様性を基盤とする文化的資源の実態把握とその再生・活用策の検討(平成29~令和3年度)
開田高原などにおいて、伝統的草地利用の調査、地域の伝統文化と生物多様性のつながりである「生物文化多様性」の再生に向けた活動を地元関係者や外部研究者らとともに行いました。
8. 「生物多様性ながの県戦略」の改定作業への参画(令和元~3年度)
現行戦略下での県内の生物多様性とその保全活動の現状と課題の把握、生物多様性に関する国内外の最新動向の収集を進め、改定に向けた論点を整理し、新たな戦略目標設定の議論に参画しました。
霧ヶ峰の草原
長野県版レッドリストや研究報告書などのかたちで成果を公表し、また当研究所の公開イベントや講座、講師派遣の場などで広くお伝えしました。さらに県・市町村など行政の担当部局に情報提供をおこないました。
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