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更新日:2019年3月16日
2015年(平成27年)9月の豪雨では、長野市広瀬地区において斜面崩壊が発生し、広瀬神社の拝殿が被災しました。
豪雨のピークは9月10日の午後7時から8時頃でしたが、崩壊発生時刻は11時過ぎで、ほとんど無降雨だったといわれています。
この災害では、約10か月前に発生した長野県北部の地震(神城断層地震)の震動による地盤の緩みなどの影響があった可能性がありますが、崩壊のメカニズムについては不明な点が多く、事前に崩壊が発生する時刻、発生に至る降雨量等を予測することは不可能だったと考えられます。
豪雨のピークを過ぎても、しばらくのあいだは避難を続ける、斜面に近寄らないなどの注意が必要であること、特に地震後において斜面崩壊が発生しやすくなっていることへの注意が必要であることが判ります。
なお一定規模以上の地震後において、長野県では土砂災害警戒情報の基準雨量を引き下げる運用を実施しています。
広瀬地区では9月9日午後11時18分頃に広瀬神社の裏山が崩れ、神社の拝殿が全壊した。この斜面では2014年(平成26年)11月22日に発生した長野県北部の地震(神城断層地震)の際にも落石による被害があり、災害発生時にはその調査が行われていた。
9月9日午後3時頃から降り始めた雨は、7時頃にピークに達し(時間雨量32.5mm)、その後9時台には止んでいる。災害発生時刻はその2時間以上後であった。
現地は急傾斜地で斜面の高さは30~90m、勾配40~50°、露岩部では70°~90°以上の勾配を呈している。斜面には表層崩壊跡が多数確認される。基盤は新第三紀鮮新世の高府層(泥岩・砂岩・礫岩:N31E・N31S)、荒倉山層(火山岩類:N3va)、荻久保層(砂岩・礫岩:N31s)からなり、その上に厚さ1~3mの固結していない表土・崖錐堆積物が分布している。
崩壊地点では、基盤岩の上に未固結の表土・崖錐堆積物が累重している。地形は急斜面であり、その境界も急傾斜である。このような素因の斜面に集中豪雨時の地下水供給による間隙水圧の上昇が誘因として重なり、崩壊にいたったものと考えられる。また10か月前に発生した地震により表層の土塊が緩んでいたことも想定される。
急傾斜地崩壊危険箇所、急傾斜地崩壊防止区域に指定されている。崩壊斜面周囲では受圧板+鉄筋挿入工+モルタル吹付工および現場打法枠工、周辺の斜面末端部では崩壊土砂防止柵工や擁壁工などが計画されている。また斜面上部に点在する岩塊については、ワイヤーネット被覆工による固定が検討されている。
崩壊は集中豪雨が過ぎて2時間以上経過した時点で発生した。雨が止んでも斜面表層部の土塊は地下水をたっぷり含んでおり、崩壊が発生する危険がある。また地震で大きな揺れを受けた斜面では、表層の土塊が緩んでいる可能性があり、豪雨の際には早めの避難が大切である。
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