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更新日:2023年12月20日
過去の災害を地域の防災に役立てよう
長野県立歴史館と建設部砂防課では、共同の取り組みとして、歴史館所蔵の「長野県明治初期の村絵図」の一部を活用して、ホームページに掲載いたしました。
地図には、過去に起こった崩壊や土石流、河川の洪水などの痕跡を、表現しているものもあります。またその土地を利用する上で、そこに住んだり耕作したりするために人々が受けてきた制約や、気をつけて避けてきた土砂移動などについて、想像させるものも少なくありません。そのような地図から、土砂災害を避けるための知恵を皆さんと一緒に読み解いて参りたいと思います。
貴重な資料の保存・活用も、現代に生きる私たちの大切な使命です。地域に暮らし、その土地と向き合ってきたご先祖様が残してくれた防災のヒントを、読み取っていただくきっかけになれば何よりです。
このページでは、今後、地図のほかにも”過去の災害に学ぶ”コンテンツを増やしていきたいと思います。
災害伝承カードは全部で100種類‼
災害伝承カード第四弾を、令和5年6月19日(月曜日)から配布を開始しました!
災害の記憶を、生活に身近な石碑、祀(祭)り、伝説などに託して後世に伝える「災害伝承」の営みは、古くから生活の知恵として行われてきました。
県では、これら先人の知恵を広く伝え、将来にわたって災害による被害を減らすことができるよう、県内各地に伝わる「災害伝承」を記載したカードを作成し、第一弾から第三弾にかけて、計87種類のカードを配布しているところです。この度、第四弾の取り組みとして、13種類のカードを作成しました。
現地を巡り、カードを集めながら、災害の記録や先人たちの教訓を感じてみてください。
※ただし、土日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁日により配布していません
無料にて1人につき1枚、各建設事務所の管轄する市町村の災害伝承カードをお渡しします。
また、メールや郵送等により該当写真を確認でき、切手が貼られた返信用封筒を管轄事務所までお送りいただきますと、1人につき1枚カードを郵送いたします。
全100種類のカードが対象です。
明治初期の村絵図(旧町村名) (県立歴史館のサイトへリンク) |
現市町村名 | 解説 |
---|---|---|
木曽郡南木曽町読書地区 | 蛇抜沢:土石流 | |
木曽郡南木曽町吾妻地区 | 大崖沢:斜面崩壊、土石流 | |
東筑摩郡生坂村北陸郷地区 | 大倉:地すべり | |
下水内郡富倉村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 飯山市富倉地区 | 倉本:地すべり |
北安曇郡中土村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 北安曇郡小谷村中土地区 |
清水山:地すべり 上手村:地すべり |
南佐久郡大明村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 南佐久郡川上村御所平地区 | 転石:斜面崩壊 |
北安曇郡北小谷村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 北安曇郡小谷村北小谷地区 | 大平:地すべり、雪崩 |
小県郡当郷(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 小県郡青木村当郷地区 | 押出:地すべり |
上伊那郡飯島村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 上伊那郡飯島町地区 | 田切:土石流、洪水 |
東筑摩郡片丘村(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 松本市内田地区 | 牛伏川:土石流、洪水 |
西筑摩郡木祖村倉龍(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 木曽郡木祖村 | 薮原:土石流、洪水 |
小県郡長久保新町(別ウィンドウで外部サイトが開きます) | 小県郡長和町 | 長久保:土石流、地すべり |
災害の伝承は、「祀(祭)り」として県内の各地域に語り継がれています。
市町村名 |
祀(祭)りの名称 |
開催場所 |
開催時期 | 災害の伝承と祀(祭)り | 紹介HP |
---|---|---|---|---|---|
中野市 |
大俣の水神祭 |
中野市大字大俣区 |
毎年8月16日 | 千曲川の改修が行われるまで、大俣地区では何度も洪水が起きており、生活は常に不安な状況でした。その長年にわたる惨状を偲び、それまでの水難者の供養や精霊送りの意味、さらに雨乞いの要素も加わって、この行事は全区民が熱意を持って参加しています。 | |
山ノ内町 |
大蛇祭り |
志賀高原大沼池 |
毎年8月第4土・日曜日(予定) |
「大沼池に棲む大蛇は、殿様に騙されたことに怒り狂い、暴風雨を起こし城を洪水で押し流そうとしました。(黒姫物語より)」 志賀高原の大沼池に棲む、伝説の大蛇にまつわる催しです。若者がボートに乗り大蛇を操って、湖面を進みます。 |
志賀高原観光協会HP(別ウィンドウで外部サイトが開きます) |
千曲市 | 戸倉上山田温泉夏祭り | 千曲市戸倉上山田温泉 | 毎年7月 海の日の直前の土日 |
戸倉温泉と上山田温泉は、幾度も千曲川の氾濫による水害に見舞われました。特に1907年(明治40年)の水害による被害は大きく温泉施設が流出し休湯の日が続きました。この夏祭りは、水神の怒りを鎮め、千曲川の治水を祈願し、いで湯に感謝する水天宮の祭事が由来とされています。 | 信州千曲観光局 戸倉上山田温泉のお祭り(別ウィンドウで外部サイトが開きます) |
東御市 |
金井の火祭り |
東御市鞍掛金井 |
毎年7月下旬 | 1742年(寛保2年)の7月末から降り続いた雨により、8月1日に大洪水が発生し、金井村は壊滅し、多くの死者を出し、村ごと移住しなければならなくなってしまいました。亡くなった人々の霊を弔う意味を込めたお祭りです。 | 八十二文化財団 金井の火まつり(別ウィンドウで外部サイトが開きます) |
御代田町 |
龍神まつり | 御代田町 真楽寺 龍神の杜公園 |
毎年7月最終土曜日 | 真楽寺は、用明天皇の時代に浅間山噴火の鎮静を祈願するために、勅願により開かれたのが始まりと伝えられています。伝承によると長子である聖徳太子の勧めで用明天皇は、浅間山の噴火を鎮めるため、噴火鎮静の祈祷を行ったとされています。 | |
佐久市 |
望月宿 榊祭り |
中山道望月宿一帯 | 毎年8月15日 | 望月宿は鹿曲川の水害に悩まされてきました。とくに1742年(寛保2年)8月1日の「戌の満水」と呼ばれる大洪水では多くの建物が被害にあい、鹿曲川右岸から左岸への移転を余儀なくされました。榊祭りは室町時代から続くとされる火祭りで、火と榊によって不浄を祓い浄め、五穀豊穣・無病息災を祈ります。 | |
北相木村 |
家難祓(カナンバレ) |
北相木村役場前 |
毎年3月3日 |
3月3日の節句に村小学校の行事として手作りのサンダワラに手作りの人形をのせて川に流す「カナンバレ」という行事が行われています。カナンバレは家難、河難を「祓う」という意味が由来と考えられています。水への感謝と、恐れを教える行事です。 |
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小谷村 |
式年薙鎌打ち神事 |
丑年 小倉明神社 未年 境の宮諏訪神社 |
丑年と未年 8月 最終日曜日の翌日 |
式年薙鎌打ち神事は諏訪大社式年造営御柱大祭の前年に行われ、諏訪大社下社・大祝が「薙鎌」をご神木に打ちこみます。「薙鎌」とは諏訪明神の神器の一つで鶏のトサカのような形状をした鎌で、これは信州開拓の象徴であるとされるほか、「なぎ」が「凪ぐ」に通じることから風雨鎮護の意味もあるとされています。 |
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安曇野市 松本市 |
穂高神社奥宮大祭(明神池お船祭り) |
上高地明神池 |
毎年10月8日 | 約5000年前に古上高地湖が決壊し、現在の松本市丸田から安曇野市豊科に広がる段丘(丸田面)を形成しました。穂高神社奥宮大祭は「明神池お船祭り」とも呼ばれ、お船祭りは天下泰平、山の安全を願い、山を鎮める儀式と言えます。 | |
大桑村 |
須佐男神社例大祭 |
大桑村野尻地区 須佐男神社周辺 |
毎年7月14日~15日 |
須佐男神社の御神体は、京都八坂神社を追放された僧が持ち出して、現在の国有林天王洞山麓に祭祀されました。しかし1715年(正徳5年)6月18日の長雨により天王洞が崩壊し、社殿・御輿諸共に流されてしまいました。そして翌年の2月に現在の場所に遷座されました。毎年7月には例大祭が行われ、2日間かけて御輿が山中の神社と町中の御仮屋を行き来します。 |
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伊那市 |
サンヨリコヨリ |
美篶両川手天伯社 |
毎年8月7日 | 室町時代応永年間に大洪水が起きた際、高遠町藤沢片倉の天伯宮が富県桜井の平岩の淵に流れ着き、再び流されて対岸の美篶両川手に落ち着きました。これを縁として、桜井と川手に天白様をお祭りしたのがはじまりとされています。旧暦の七夕にあたる8月7日に、色とりどりに飾りを付けた七夕の竹竿を手にした子どもたちが「サンヨリコヨリ(さぁーよってこいよぉーの意)」と唱えながら洪水を起こす疫病神(鬼)の周りを3 周し、持っている飾り竹でめった打ちにします。 | |
高森町 |
竜口神社の舞 |
高森町山吹竜口地区 |
毎年3月下旬~4月上旬 | 竜口地区の東側には天竜川が流れており、大雨が続く度に洪水になって多くの被害をもたらしました。目の前で濁流にのみこまれる村の惨状を見た母と子が、身を挺して荒れ狂う流れに飛び込み、やがて二体の龍と化してこの窮状を救ったという伝説が生まれ、地域の人々に語り伝えられてきました。伝説に登場する2体の竜を中心にした「龍神の舞」は竜口地区の住民の心を一つにする、なくてはならない存在です。 | 高森町 高森町の魅力「伝統芸能」(別ウィンドウで外部サイトが開きます) |
飯田市 |
お練りまつり |
飯田市外縣大宮諏訪神社周辺の市街地 |
寅と申の年 3月下旬 |
大宮諏訪神社の式年祭礼に合わせて行なわれています。かつて休止の時期もありましたが、1715 年(正徳5 年)の未(ひつじ)満水(洪水)の時に、住民が大宮神社の神明様に加護を祈願したところ、飯田の町は被災を免れたそうです。 このため中断していた祭りを再興し、盛大に奉納するようになりました。祭りには数十の団体が参加し、大名行列や、巨大な獅子舞などが披露されます。 |
(別ウィンドウで外部サイトが開きます)
|
阿南町 |
深見の祇園祭 |
深見諏訪神社周辺 |
毎年7月第4土曜日 |
深見池は、伊那谷で最大の天然湖です。1662年(寛文2年)の大地震のとき大規模な地すべりが発生し、その跡の窪地に七つの池ができ、やがて一つになって深見池ができたといわれています。祇園祭が行われる津島社は深見池が見渡せる高台にあり、津島様を神輿に移し、イカダに乗って岸を離れると盛大に花火が打ち上げられ湖上で祭典が始まります。 |
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天龍村 |
坂部のかけ踊り |
天龍村神原坂部 |
毎年8月14日 | 1789年(寛政元年)の七日七夜にわたる大雨によって坂部本村の上の山に大きな地割れができたので、雨止めを願ってはじめたのがこの「願かけ踊り」であるといわれています。現在では毎年8月14日の晩に盆の精霊を慰めるため、切り子灯篭を灯し笛や太鼓を鳴らしながら踊る祭りとなっています。 | 八十二文化財団 下伊那の掛け踊り(別ウィンドウで外部サイトが開きます) |
先人は、再び災害に合わないように身近な石碑、祭り、伝説などを通して災害の記憶を留めてきました。
災害伝承カレンダーを組み立てていただき、ぜひ防災に役立ててください。
完成(災害伝承面) |
完成(カレンダー面) |
ファイルサイズが大きいので、ダウンロードに時間がかかります
国土地理院では、先人が自然災害の様子や教訓を石碑やモニュメントに刻み遺してくれた自然災害伝承碑情報を地形図等に掲載する取組みを行っています。この取組みは、過去の自然災害の教訓を地域の方々に適切にお伝えし、教訓を踏まえた的確な防災行動による被害の軽減を目指すものです。
長野県は、この取組みを応援しております。
ぜひ、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」で自然災害伝承碑に関する情報を確認してください。
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