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更新日:2024年3月2日
北信濃と越後を結ぶ交通交易の重要なルートであった富倉道(現国道292号沿い)を飯山から県境付近に進むと、左手(西方)に比高100~200mの急崖が円弧状に連なる特異な地形が現れます。その下にたたずむ集落が、富倉倉本地区です。
倉(クラ:蔵、鞍、暗)という地名は、岩が露出する崖や、斜面崩壊を意味することが多く、明治の町村地図(富倉村図)では、崖下に「倉本」、「上倉中」、「下倉中」、「舩倉」、「倉下」等の地名を見ることができます。
当地区の北西側に延びる県境の尾根は、関田山脈の主稜線となっています。上記の急崖は古い時代に活動した大規模な地すべりによって形成された滑落崖で、崖に囲まれた集落や耕地のある緩やかな斜面は、地すべりブロックとなっています。その中央部に長沢川の支流、湯ノ入沢が流れており、以前は沢の中流~下流の侵食が著しく、渓岸の崩壊や沢に向かう小規模な地すべりが見られました。近年では、対策工の進捗により変状の発生は少なくなっています。
地すべり地内の地質は、新第三紀中新世~鮮新世の泥岩を主体とする地層で、西側の急崖には凝灰岩や凝灰角礫岩が分布しています。泥岩は、含水・乾燥を繰り返すとスレーキングによって細片状・粘土状に砕けやすい特徴を有しています。また、当地区の中央部には、関田山脈を形成させた富倉背斜の軸面に伴う断層が北東-南西方向に通過しています。このような脆弱な地質が素因となり、融雪期や集中豪雨などの際に地下水が上昇することが誘因となって地すべりが発生しています。
当地区は、地すべり防止区域、地すべり危険箇所、土石災害警戒区域(地すべり)、土砂災害特別警戒区域(急傾斜地、土石流)、急傾斜地崩壊危険箇所、砂防指定地に重複指定されています。
地すべり対策工は、抑制工として地下水排除工(横ボーリング工:所在不明)、地表水排除工(水路工:明暗渠工)、フトンカゴ工が施工されており、その他に堰堤工(不透過型、透過型)が設置されています。
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