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更新日:2018年2月27日
2006年(平成18年)7月の豪雨災害において、辰野町中村地区では1名が犠牲者となる斜面崩壊が発生しています。
豪雨のピークは7月19日の午前3時から4時頃でしたが、崩壊発生時刻は10時頃で、時間雨量は2mm程度でした。豪雨のピークを過ぎても、しばらくのあいだは避難を続ける、斜面に近寄らないなどの注意が必要であることが判ります。
小野中村地区では7月19日午前10時過ぎに住宅地の裏山が崩れ、家屋2戸が全壊、1名の方が土砂に巻き込まれて亡くなっている。
7月17日から降り続いた雨は、17日12時00分頃と7月19日3時頃にピークに達し、その後正午にかけて降水量は減少している。災害発生時刻は降りやむ直前であった。
崩れた裏山は中生代ジュラ紀から白亜紀の付加体コンプレックスと呼ばれる岩石を基盤とし、その上に基盤の風化層(泥質)と崖錐堆積物が分布している。崩壊地点は急傾斜地で、幅200m程度の地すべり地形の側方境界部にあたっている。
崩壊地点では風化層・崖錐堆積物の基底部に湧水が認められ、地すべり地形の下部では亀裂をともなう緩みやパイピングが認められた。降り続いた降雨により風化層や崖錐堆積物基底の間隙水圧が高まり、表層崩壊が発生したものと考えられる。
急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている。崩壊斜面では吹付法枠工、地下水排除工(横ボーリング工)、水路工、鋼製枠土留工、周辺斜面末端部では擁壁工、落石防護柵工、吹付法枠工などが施工されている。
崩壊は豪雨が過ぎてほぼ止んだ時点で発生した。しかしこの時、斜面表層部の土塊は地下水をたっぷり含んでおり、所々で水が噴き出している状態であった。急傾斜地周辺に住んでいる場合には、集中豪雨の後もしばらくは斜面崩壊の可能性を想定し、避難する必要がある。
参考文献:卜部厚志・田村圭子・鈴木幸治(2007)災害調査報告「平成18年7月豪雨災害」長野県岡谷市・辰野町地域の土石流災害.新潟大学災害復興科学センター年報1,11-19.
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