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更新日:2019年3月22日
南木曽町の南木曽駅から中山道を北へ歩くと、ほどなく小さな沢にかかる橋があります。その橋名板には、「蛇抜沢」「蛇抜橋」と書かれています。”蛇抜け”とは、土石流(災害)を意味し、歴史的に大きな災害をたびたび経験してきた木曽地方の人々には、よく知られている言葉です。近くの梨子沢(なしざわ)で2014年(平成26年)に発生した土石流災害は、記憶に新しいところです。明治初期の村絵図(読書村全図)では、「梨子沢」、「蛇抜沢」等の地名を見ることができます。
蛇抜沢は南木曽岳から西に延びる尾根に発し木曽川左岸にそそぐ、延長約1.5km、比高約500mの河川で、山地部の平均勾配は27度です。両岸の斜面は急峻な地形を呈し、所々に崩壊地が見られます。南木曽駅裏手(東側)の山すその緩斜面は、土石流により形成された扇状地です。その末端部に、国道19号やJR中央本線、旧中山道が通過し、集落が形成されています。
山地の地質は中生代白亜紀の花崗岩・花崗閃緑岩から構成されています。岩石は堅硬ですが、節理が発達しマサ化が進行しているため、崩壊が発生しやすい状態にあります。山すそには、北東-南西方向に延びる馬籠峠断層およびその副断層があります。これら断層帯による破砕も、岩石の風化を促進している可能性があります。
蛇抜沢および周囲の河川流域は、山地から出て木曽川にそそぐまでの斜面が全て土砂災害警戒区域(土石流)に指定されています。蛇抜沢上流には数多くの堰堤工(谷止工)が施工されており、扇状地には流路工が整備されています。古い施設には、土石流による破損箇所が多く見られ、その威力を感じさせます。
地形図 | 地質図 |
空中写真 |
蛇ぬけの碑(悲しめる乙女の像)については、「地図から読み取れる防災情報」をご覧ください。
平成じゃぬけの碑
蛇抜沢の北方にある梨子沢(なしざわ)では、2014年(平成26年)に土石流災害が発生しました。発生から3年後の2017年、南木曽町は土石流にのまれた家屋があった場所周辺を広場にして芝生を植え、災害を記憶にとどめておくための石碑「平成じゃぬけの碑」を建立しました。
夏らしい暑い日だった 平成二十六年七月九日午後五時四〇分 悲しみが町を襲った たくさんの人々に助けてもらった 町は蘇った山も川も蘇った この教訓を防災の礎とするため |
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